東京都の「戸建てを売却した理由」について、売主様アンケートの回答をランキング形式で紹介し、あわせて買主への上手な売却理由の伝え方を解説します。
戸建てを売却した理由
ランキングTOP7
順位 | ポイント |
---|---|
1位 住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて) (34.7%) |
東京都における戸建て売却理由の1位は「住み替え」でした。「家族が増えて家が手狭となった」「親・子と同居をするため」など、ライフステージの変化に伴い住み替える方が多い傾向にあります。 |
2位 売り時だと思ったから(19.0%) |
「令和5年東京都基準地価格の概要」によると、東京都の住宅地の平均変動率は11年連続で上昇しています。そのため、上昇傾向にある今が売り時だと判断する人が増えたため、売却に至った人が増えたと考えられます。 |
3位転勤・転職(仕事や勤務地の変化など) (18.4%) |
東京都で戸建て売却をした理由として、「転勤・転職」も比較的多く見られました。 仕事で勤務地が変化することにより、今の家を売却して新しい住まいを求める人も多いようです。 |
4位 離婚・別居 (10.1%) |
東京都の離婚率は1.43(人口1,000人に対して:2022年)で、全国平均の1.42とほぼ同じですが、離婚することにより戸建てを売却する人が、やはり一定数いるようです。 |
5位 ローンの返済苦など金銭的な理由 (8.5%) |
ローンの返済が困難になった、事業の資金繰りや家計が厳しいなど、金銭的な理由で戸建てを売却するというケースもあります。 |
6位 その他(5.5%) |
その他の理由として「投資用物件」、「介護施設への入居」、「同居」といった理由が多く見受けられました。 |
7位相続関連 (4.0%) |
東京にある実家の戸建てを相続したものの、すでに自宅を所有していたり相続税が高かったりするために、そのまま売却するケースもあります。 |
- <調査概要>(データ参照元)
- イクラ不動産で不動産を売却した売主様に向けたアンケート調査
- <実施方法>
- 実施日 2022年10月〜2023年11月
順位別に実際のお客様の声&買主への上手な伝え方をご紹介
こちらでは、戸建て売却を決めた売主の実際の回答に加えて、売却理由別に買主への上手な伝え方を解説しています。
1位(34.7%)住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて)
〈売主様の実際の回答・声〉
3LDKの戸建てに住んでいたのですが、夫婦2人と子ども2人の4人家族で、もう少しすると3人目が生まれる予定なので、家が手狭に感じるようになり、思い切って住み替えを行うことにしました。八王子駅に近かったこともあり、早期で売却できました。
〈買主への上手な伝え方〉
住み替えは戸建ての売却理由の中でメジャーなため、買主に正直に伝えても特に問題はありません。
買い替えや住み替えの相談については、「家の買い替え・住み替えの相談はどこにするべき?」で、また買い替え全般については、「買い替え(住み替え)で家やマンションを売却する流れと成功のコツを基本から解説」で詳しく説明しています。
2位(19.0%)売り時だと思ったから
〈売主様の実際の回答・声〉
所有していた戸建てを売却することにしました。資産整理をしている際に東京都23区内の地価が高騰していることを知り、今のうちに売却しておいた方が良いのではないかと思ったからです。人気の立地だったこともあり、すぐに買い手が見つかりました。希望の価格で売ることができたので良かったです。
〈買主への上手な伝え方〉
戸建てを売却する際に少しでも高く売りたいと考える方は多いでしょう。一方で買主側は少しでも安く買いたいと考える傾向にあります。「今が売り時」と考えて不動産を売却する方は少なくありませんが、金銭的な理由を買主に伝えると「高い価格で買わされる」という印象を与えかねないため、「住み替えのため」「不要となった家を処分するため」などと言い換えたほうが良いでしょう。
3位(18.4%)転勤・転職(仕事や勤務地の変化など)
〈売主様の実際の回答・声〉
急な辞令で大阪に異動になりました。賃貸として出すことも考えましたが、いつ戻って来れるかも分からない上に管理費もかかると思ったので、手放すことにしました。思っていたより高く売れたので、新居はローンを組まずに購入できそうです。
〈買主への上手な伝え方〉
転勤・転職を理由とする戸建て売却はメジャーなため、買主に正直に伝えて問題ないでしょう。
転勤による売却については、「転勤で持ち家をどうする?売却と賃貸の流れと判断基準、高く売る注意点は?」で詳しく説明しています。ぜひ読んでみてください。
4位(10.1%)離婚・別居
〈売主様の実際の回答・声〉
離婚したため、家の売却を行いました。できるだけ早く手放したかったので、自宅近くにあった不動産会社さんに売却を依頼し、価格も相場よりも少し下げて売りに出しました。結果、2ヵ月ほどで買い手が見つかり、早期で売却することができました。
〈買主への上手な伝え方〉
離婚が売却理由であっても家自体に問題があるわけではないため、売却価格に影響を与えることはありません。しかし、新婚夫婦やこれから結婚を考えているカップルなど、離婚を不吉と捉える方もいるので売却時には注意しましょう。
基本的に、説明が義務付けられた以下の4つの瑕疵にあたらず、物件そのものに関係がないのであれば、個人的な理由を説明する必要はありません。「住み替え」などと濁して伝えるほうが良いでしょう。
瑕疵の種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
心理的瑕疵 | 買主の心理状態に悪影響を与える恐れのある場合 | ・過去に自殺や事故があった物件 ・嫌悪施設の跡地 等 |
法律的瑕疵 | 現在の建築基準法に違反している、もしくは法的制限のある場合 | ・再建築不可物件 ・建築基準法違反 ・市街化調整区域に建っている 等 |
物理的瑕疵 | 土地・家屋そのものに欠陥がある場合 | ・耐震強度不足 ・地中埋設物 ・シロアリによる被害・ヒビ、水漏れ 等 |
環境瑕疵 | 物件を取り巻く環境に問題がある場合 | ・隣人トラブル ・嫌悪施設の付近である ・騒音がある 等 |
離婚による売却については、「【離婚×不動産まとめ】離婚時の不動産の扱いについて基本から解説」でまとめて説明しています。ぜひ読んでみてください。
5位(8.5%)ローンの返済苦など金銭的な理由
〈売主様の実際の回答・声〉
マイホーム購入時にフルローンを組んだのですが、不況に伴う給与の減少、ボーナスのカットで支払いが難しくなったため、売却せざるを得ない状況になりました。不動産会社の方が懸命に営業活動を行ってくれたおかげで高く売却でき、ローン残債を完済できたので感謝しています。
〈買主への上手な伝え方〉
住宅ローンの返済が困難な場合、なるべく早く買主を見つけたいと考える方は多いでしょう。しかし売却が金銭的な事情であることが買主に伝わると、足元を見られて値下げ交渉をされかねません。買主に個人的な事情を説明する義務はないため、「親との同居のため」「住み替えのため」などと言葉を濁したほうがよいでしょう。
6位(5.5%)その他
〈売主様の実際の回答・声〉
夫が他界し、一人で暮らすことになったのですが、寂しいのと何かあった時不安だと思い、娘の家の近くに引っ越すことにしました。今まで住んでいた家を売却するのは悲しい気持ちでいっぱいでしたが、心機一転、孫にちょくちょく会いに行きながら余生を過ごしたいと思います。
〈買主への上手な伝え方〉
生活環境の変化によって引っ越すことは、売却理由としては一般的なものです。買主に悪い印象を与えることはないので、正直に伝えて大丈夫でしょう。
7位(4.0%)相続関連
〈売主様の実際の回答・声〉
一人暮らしをしていた姉が亡くなり、空き家となった実家を相続しました。しかし、すでにマイホームを構えており、今後も住む予定がないことから売却することにしました。相続した物件を売却するということで制度などが分からず不安でしたが、不動産会社の方が売却時に利用できる制度などを丁寧に教えてくれたおかげで、納税額を抑えられて手残り金額を増やせました。
〈買主への上手な伝え方〉
相続を理由とする戸建ての売却はそれほど多くないものの、正直に伝えても買主からネガティブなイメージを持たれることは少ないといえます。
もし持ち主が室内で亡くなっていたとしても、自殺や殺人などではなく、病死や不慮の事故などが原因で発見が遅れていなければ、事故物件にはなりません。
しかし、あとから買い手とトラブルになることもあるため、念のため売却を依頼する不動産会社には伝えておくほうが良いでしょう。
この記事のポイントまとめ
今回のアンケート調査からわかったことは、次のとおりです。
- 東京都では、家族構成やライフステージの変化などに合わせ、自分たちの生活に適した住まいへの住み替えを考える人が多い
- 地価の上昇により、売り時だと判断し、売却する人が増えてきている
- 転勤や転職などによる勤務地の変化に伴って戸建てを売却するケースも多い