東京都の「マンションを売却した理由」について、売主様アンケートの回答をランキング形式で紹介し、あわせて買主への上手な売却理由の伝え方を解説します。
マンションを売却した理由
ランキングTOP7
順位 | ポイント |
---|---|
1位 住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて) (42.3%) |
東京都でマンションを売却した理由の1位は住み替え」という結果でした。東京内だけでなく、ほかの地域から東京に住み替えで転入してくるケースも多いからだと考えられます。 |
2位 売り時だと思ったから(21.3%) |
東京における駅近などの人気エリアでは、新築マンションの建築が増えていないことから、中古マンションの需要が高まっています。そのため、今が売り時だと考えて売却したという声も多く見受けられました。 |
3位転勤・転職(仕事や勤務地の変化など) (13.3%) |
転勤・転職を理由に、東京から関東近郊や関西圏に引っ越すケースも多くあります。賃貸に出しても管理がむずかしいといった理由から、マンションを売却することにしたというケースが3位という結果でした。 |
4位 離婚・別居 (8.3%) |
離婚を理由にマンションを売却したケースは、30代や40代が多いようです。ちょうどマンションを購入する世代と重なっているため、戸建てや土地よりも離婚での売却理由として多くなっています。 |
5位 ローンの返済苦など金銭的な理由 (6.5%) |
住宅ローンを組んだ際には想定していなかったような事態の発生によってローンの返済が苦しくなり、売却せざるを得なくなる場合もあるようです。 |
6位 その他(4.8%) |
そのほかの売却理由として、東京都のマンションの場合、投資用物件として売却されるケースも比較的よくあります。 |
7位相続関連 (3.4%) |
東京にある実家のマンションを相続したものの、すでに自宅を所有していたり相続税が高かったりするために、そのまま売却するケースもあります。 |
- <調査概要>(データ参照元)
- イクラ不動産で不動産を売却した売主様に向けたアンケート調査
- <実施方法>
- 実施日 2022年10月〜2023年11月
順位別に実際のお客様の声&買主への上手な伝え方をご紹介
こちらでは、マンション売却を決めた売主の実際の回答に加えて、売却理由別に買主への上手な伝え方を解説しています。
1位(42.3%)住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて)
〈売主様の実際の回答・声〉
子供が独立したので、セミリタイアすることにしました。今まで通勤に便利なマンションで暮らしていましたが、自然が豊かなところに住み替えたくなったので売却を決意しました。マンションの売却代金で郊外にある庭付きの中古戸建てを購入したので、リフォームしてから住み替える予定です。
〈買主への上手な伝え方〉
住み替えはマンションの売却理由の中でメジャーなため、買主に正直に伝えても特に問題はありません。
買い替えや住み替えの相談については、「家の買い替え・住み替えの相談はどこにするべき?」で、また買い替え全般については、「買い替え(住み替え)で家やマンションを売却する流れと成功のコツを基本から解説」で詳しく説明しています。
2位(21.3%)売り時だと思ったから
〈売主様の実際の回答・声〉
高齢者施設に両親が入居したので、これまで住んでいた古いマンションを放置していました。ほぼ物置状態だったのですが、ここ数年、近所の古いマンションでも高く売れていることを知ったので、今が売れ時かと思い売却を決意。旧耐震のマンションだったので売れるか心配でしたが、想像以上の価格で売れたので驚きました。
〈買主への上手な伝え方〉
「高く売りたい」と思う気持ちは売主の希望として当然のため、買主から尋ねられたなら正直に答えるという人も多いです。
ただし、すべての買主が良いイメージを抱くとは限らず、中には高く買わされたと思う人がいるかもしれません。
そのような心配がある場合は、「値上がりしたから」と正直に伝えるのではなく、「住み替えのため」と濁すのも一つの方法です。
3位(13.3%)転勤・転職(仕事や勤務地の変化など)
〈売主様の実際の回答・声〉
急な辞令で東北地方に異動になりました。15年ほど前に買ったマンションをどうしようかと悩みましたが、思い切って売却することにしました。賃貸に出すことも考えたのですが、管理が大変そうだったのでやめました。心機一転、すっきりとした気持ちで引っ越しできました。
〈買主への上手な伝え方〉
転勤・転職を理由とするマンション売却はメジャーなため、買主に正直に伝えて問題ないでしょう。
転勤による売却については、「転勤で持ち家をどうする?売却と賃貸の流れと判断基準、高く売る注意点は?」で詳しく説明しています。ぜひ読んでみてください。
4位(8.3%)離婚・別居
〈売主様の実際の回答・声〉
5年前に結婚をしてマンションを購入したのですが、すれ違いの生活が続き、離婚することになりました。新築で買ったマンションだったので少し売却損は出ましたが、貯蓄から補填できる額だったのでやれやれといったところです。どちらかが引き取って住み続けることも考えましたが、23区内の賃貸の方が通勤に便利だし、売ることで気分もすっきりとしました。
〈買主への上手な伝え方〉
離婚を理由とする売却は、一戸建てや土地に比べてマンションのほうが多い傾向にあります。正直に伝えても良いですが、中には悪いイメージを抱く買主もいるため、詳しい説明をせずに「買い替え」とだけ伝えても問題はないでしょう。
基本的に、説明が義務付けられた以下の4つの瑕疵にあたらず、物件そのものに関係がないのであれば、個人的な理由を説明する必要はありません。「住み替え」などと濁して伝えるほうが良いでしょう。
瑕疵の種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
心理的瑕疵 | 買主の心理状態に悪影響を与える恐れのある場合 | ・過去に自殺や事故があった物件 ・嫌悪施設の跡地 等 |
法律的瑕疵 | 現在の建築基準法に違反している、もしくは法的制限のある場合 | ・再建築不可物件 ・建築基準法違反 ・市街化調整区域に建っている 等 |
物理的瑕疵 | 土地・家屋そのものに欠陥がある場合 | ・耐震強度不足 ・地中埋設物 ・シロアリによる被害・ヒビ、水漏れ 等 |
環境瑕疵 | 物件を取り巻く環境に問題がある場合 | ・隣人トラブル ・嫌悪施設の付近である ・騒音がある 等 |
離婚による売却については、「【離婚×不動産まとめ】離婚時の不動産の扱いについて基本から解説」でまとめて説明しています。ぜひ読んでみてください。
5位(6.5%)ローンの返済苦など金銭的な理由
〈売主様の実際の回答・声〉
事業の調子が良いときにマンションを買ったのですが、経営が悪化してきたので売らざるを得なくなりました。調子にのって買ってしまったことを反省しています。幸い、駅に近いことから値下がりもせず、売却額でローンも完済できたので助かりました。早めに決断してよかったです。
〈買主への上手な伝え方〉
買主の生活に支障がない限り、金銭的な問題などプライベートな事情をこと細かに伝える必要はありません。「住み替えのため」と伝えても問題ないでしょう。
6位(4.8%)その他
〈売主様の実際の回答・声〉
都内に投資目的で7年ほど前にワンルームマンションを購入したのですが、管理会社の費用が上がり、自分で管理するもの大変なので売却することにしました。いろいろな不動産会社に査定してもらいましたが、投資用のマンションの売却が得意なところに任せることに。今、都内のマンションが値上がりしていることもあり、買ったときよりも少し高く売れてよかったです。
〈買主への上手な伝え方〉
投資用や収益目的のマンションを売却する場合、その旨を買主に伝えることはもちろんのこと家賃や賃貸条件などを記した「レントロール」や、過去の修繕履歴が書かれている書類を用意しておくと良いでしょう。
7位(3.4%)相続関連
〈売主様の実際の回答・声〉
同じ江東区内にある実家の古いマンションを相続したので家族で住む事も考えたのですが、少し狭いので売却して広いマンションを買う頭金にすることにしました。旧耐震基準のマンションだったのですが、思ったよりも高く売れたので、新しく買ったマンションのローンの返済負担が少なくてすみました。
〈買主への上手な伝え方〉
相続を理由とするマンションの売却はそれほど多くないものの、正直に伝えても買主からネガティブなイメージを持たれることは少ないといえます。
もし持ち主が室内で亡くなっていたとしても、自殺や殺人などではなく、病死や不慮の事故などが原因で発見が遅れていなければ、事故物件にはなりません。
しかし、あとから買い手とトラブルになることもあるため、念のため売却を依頼する不動産会社には伝えておくほうが良いでしょう。
この記事のポイントまとめ
今回のアンケート調査からわかったことは、次のとおりです。
- 東京都におけるマンション売却理由は、ライフスタイルの変化などによる住み替えのケースが多いという結果だった。
- 東京都では新築マンションの建設数が減少傾向にあり、中古マンションの需要が増えているため、今後も価値が上がることを期待して売却するケースが多くなると考えられる。
- 買主の不利になるような瑕疵やトラブルによる売却でなければ、離婚や借金苦などのプライベートな売却理由を正直に伝えずに「住み替え」などとしても特に問題はない