賃貸に出している家で人が亡くなったのですが…
事故物件になれば、家賃が安くなると聞きました。
このまま賃貸で貸し続けるべきか売ってしまうべきか、どうすれば良いですか?
こちらはイクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容です。
「事故物件」という言葉を耳にすることが多くなりました。賃貸物件を借りる人だけでなく、貸す人にとっても事故物件になるかどうかは大きな問題です。
ここでは、賃貸中の物件で人が亡くなった場合、事故物件になるかどうかなどについて、わかりやすく説明します。
- この記事はこんな人におすすめ!
- 賃貸に出している家やマンションで人が亡くなり困っている人
- 事故物件になるかどうかの基準を知りたい人
- 賃貸物件が事故物件になったので手放したい人
もくじ
1.事故物件になる場合とは?
賃貸に出している物件が事故物件になった場合の説明をする前に、どのような場合に事故物件になるのかを知っておくことが大切です。
まず、家やマンションといった不動産が事故物件になるのはどのような場合なのかをわかりやすく説明します。
1-1.「人の死」=「事故物件」ではない
一般的には、自殺や他殺といった人の死に関わる事件や事故が起きた家やマンションなどが「事故物件」と呼ばれています。しかし、すべての人の死が事故物件の原因になるわけではありません。
このような不慮の事故死や病死、老衰などで人が亡くなった場合は、売主や貸主に告知義務はなく、原則として事故物件にならないとされています。
告知義務とは、対象となる物件に不具合や悪い情報があり、それを売主や貸主が知っていれば、買主や借主に伝えなければならない責任のことです。
1-2.告知義務の基準はあるの?
これまで、事故物件になる告知義務の判断基準が非常に曖昧だったため、国土交通省は事故物件に関するトラブルを未然に防ぐことを目的とした「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を2021年に公示しました。
このガイドライでは、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務や売主の告知義務、事故物件の基準などが取りまとめられています。
こちらのガイドラインや事故物件の売却については、「事故物件は売却できる?相場や売却方法をわかりやすく説明する」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
1-3.事故物件になる場合とならない場合
上述のガイドラインによると、自殺や他殺などといった不自然な死や、火災やガス中毒などの事件性のある死があった家やマンションなどは、告知義務の対象になるため事故物件になります。
一方で、家の中での不慮の事故死、病死といった人の死の場合は、原則として事故物件にはなりません。しかし、不慮の事故死や病死であっても、亡くなってからすぐに発見されずに放置されていたような場合は、事故物件になることがあります。
また、亡くなってから放置されていたような場合は室内がひどく汚れていることが多いため、特殊清掃やリフォームが必要なケースがほとんどです。
特殊清掃については、「事故物件の掃除「特殊清掃」とは?費用の目安と業者選びの3つのポイント」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
1-4.「心理的瑕疵」になるかどうかがポイント
不動産業界で使われることの多い瑕疵(かし)という言葉は、不具合や欠陥といった意味を持つ言葉です。
売却したり貸したりする家やマンションに瑕疵がある場合、売主や貸主は告知義務があるため、買主や借主に必ずそのことを伝えなければなりません。
瑕疵の中でも、家の建物や設備などに不具合はないものの、そこに住む人が嫌な気持ちになったり住みたくないと感じたりするようなものを「心理的瑕疵(しんりてきかし)」と呼びます。
心理的瑕疵の一例をあげると、自殺や殺人といった人の死があった、近くに暴力団事務所や焼却場、墓地などの嫌悪施設があるなどです。このような心理的瑕疵が賃貸物件にあるかどうかで、家賃をはじめとした賃貸条件が異なってきます。
2.賃貸物件が事故物件になったら?
賃貸に出している物件が事故物件になってしまった場合、取ることができる方法は、次の2つです。
- そのまま賃貸住宅として貸し続ける
- 事故物件として売却する
それぞれの方法について、詳しく見てみましょう。
2-1.そのまま賃貸として貸し続ける
賃貸に出している家やマンションで事故物件になるような人の死があった場合、状況によってはすぐに新しい借主を探すことができないこともあります。
一般的には、室内の清掃やリフォームを終えて、新しい賃借人を募集するまでに半年~1年程度かかることが多いようです。そのような期間を経て新しく貸出を再開したとしても、賃料の設定は事故物件になる前の30~50%減になります。
清掃費用や賃料減額など、事故物件になったことで貸主が被った損害は、事故物件になった原因を起こした人に対して請求することがほとんどです。
しかし、賃貸物件が事故物件になった場合、いつまでも事故となった人の死の告知義務があるわけではありません。
先の国土交通省の事故物件ガイドラインによると、賃貸の場合は事故の発生から3年程度が経過すれば、原則として告知義務の対象にならないとされています。
つまり、事故物件になったとしても、3年が経過すれば告知義務の対象からは外れることになるため、事故物件になる前と同じような条件で賃貸できることになるのです。
2-2.事故物件として売却する
賃貸に出していた物件が事故物件になった場合、そのまま売却することも可能です。ただし、事故物件になった原因にもよりますが、通常の仲介で売却した場合よりも10~50%程度安くなってしまいます。
例えば、仲介による売却の価格が2,500万円の家であれば、事故物件で30%安くなると1,750万円程度です。凄惨な事件の場合だと、50%以上安くなる場合もあります。
ただし、売却の場合でも、賃貸と同様に事故物件になった原因を作った相手やその遺族に対して被った損額を請求することも可能です。
売却は賃貸の場合とは異なり、時間が経ったからといって告知義務がゼロになることはありません。
事故物件である建物を取り壊して更地にしても、告知義務が残ります。
事故物件になった賃貸物件を売却する際は、そのような物件の売却経験がある不動産会社に依頼をすると、スムーズに売却できる可能性が高くなります。
事故物件の売却に強い不動産会社を知らない、どの不動産会社に頼めば良いのかわからないといった場合は、イクラ不動産をご利用ください。売却事情に応じて、自分にピッタリ合った不動産会社を選べます。
2-3.売却を急ぐ場合は買取
賃貸に出していた物件が事故物件になり、一刻も早く手放したい場合や周囲に知られずに売却したい場合は、仲介ではなく買取を利用するのも一つの手です。
買取とは、広告や宣伝をして購入希望者を探して売却するのではなく、不動産会社が直接買ってくれるという仕組みです。買主を探す必要がないため、不動産会社との売却条件さえ整えば、すぐに現金化できます。
ただし、買取の場合は、そもそも相場価格の70%程度の額でしか売却できない点がデメリットです。さらに、事故物件の買取価格は、事故物件の相場価格の70%程度になります。
先の例をあげると、相場価格が2,500万円から1,750万円になった事故物件の家だと、買取価格はそこからさらに30%程度安い1,225万円程度になります。
事故物件になった賃貸物件を売却する場合は、少しでも高く売りたければ仲介、すぐに現金化したければ買取というように、目的に応じて売却方法を選ぶと良いでしょう。
まとめ
賃貸に出している家やマンションなどがいわゆる「事故物件」になると、新しい借主が見つかりにくくなったり家賃を下げなければならなくなったりします。しかし、すべての人の死が事故物件の原因になるわけではありません。事故物件になるのは、自殺や他殺といった不自然な人の死の場合だけです。
事故物件になった賃貸の家やマンションは、しばらくしてから賃貸を再開するだけでなく、売却することもできます。賃貸を再開する場合は、一般的に3年が経過すれば事故物件の告知義務が不要です。
ただし、売却の場合は、いくら時間が経っても告知義務が残る点に注意が必要です。仲介での売却だと相場価格の10~50%程度安くなり、買取を利用するとそこからさらに30%ほど安くなります。事故物件を売却する方法については「事故物件は売却できる?相場や売却方法をわかりやすく説明する」で詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
事故物件になってしまった賃貸の家やマンションを売りたいけれども、どこの不動産会社に相談すればよいかわからない方や、いくらぐらいで売れそうなのかを知りたいという方は、イクラ不動産をご利用ください。
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