
一人暮らしをしていた身内が孤独死しました。
遺体の発見が遅れたため室内がひどい状況なのですが…どうすればいいのでしょうか?
こちらはイクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容です。
家やマンションなどの室内で人の死にかかわる出来事があった場合、状況や汚れ具合によっては「特殊清掃」が必要になります。
特殊清掃とは、一般的な清掃やホームクリーニングとは異なり、特別な機材や薬剤、技術を使って室内をきれいにし、原状回復するための清掃です。特殊清掃をすることによって、事故物件を売却することも可能になります。
- この記事はこんな人におすすめ!
- 孤独死のあった家をどうすればいいかわからない人
- 事故物件をきれいにする費用の目安を知りたい人
- 事故物件を少しでも高くうるコツを知りたい人
もくじ
1.事故物件になる場合について
家やマンションなどで人の死があると事故物件になると思われがちですが、すべての人の死が事故物件になるわけではありません。
同じ人の死であっても、自殺や殺人などの不自然な死と、病死や老衰、すぐに発見された孤独死などとでは判断が分かれるからです。
これまでは、事故物件になる人の死についての判断がバラバラであったため、さまざまなトラブルが起きました。


そこで、2021年に国土交通省はトラブルの未然防止の観点から、宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインを公示しました。
このガイドラインのくわしい内容や事故物件の売却については「事故物件は売却できる?相場や売却方法をわかりやすく説明する」でも詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
国土交通省が発表したこのガイドラインによると、事故物件になるかならないかは、告知義務のある人の死によるとされています。告知義務があるのは自殺や殺人などで、告知義務がないのは病死や老衰、すぐに発見された孤独死などです。
しかし、亡くなってから発見まで長い間放置されていた孤独死の場合は、たとえ病死や老衰であっても告知義務があるとされているため、事故物件の扱いになるのです。
そのような場合は、事故物件の原状復帰のために「特殊清掃」が必要になります。
孤独死で亡くなってから、何日が過ぎると事故物件になるといった基準は特にありません。また、どの程度の汚れから特殊清掃が必要になるかも定められていないため、自己判断をすると売却後のトラブルにつながる恐れがあります。
そのため、孤独死があった物件を売却するのであれば、まずは不動産会社に相談することが大切です。事故物件の売買を得意とする不動産会社であれば、適切なアドバイスをしてもらえます。
どの不動産会社に相談すれば良いかがわからない場合は、イクラ不動産をご利用ください。事故物件の売却や買取に強い不動産会社を探すことができます。
2.事故物件の掃除は特殊清掃専門業者に依頼
事故物件と判断されるような場合、室内の床材や壁紙などに「におい」や「汚れ」などが染みついてしまっていることがほとんどです。場合によっては血液が飛び散っていることもあるでしょう。
そのような状況のままでは、当然住むことも売ることもできません。そこで、特殊清掃を実施して部屋を元の状態に戻す必要があります。
しかし、事故物件の現場は特殊であるため、一般のハウスクリーニング業者に依頼しても断られることがあります。事故物件の掃除は、特殊な薬品などを使った作業が必要なので、専門としている特殊清掃業者に依頼する必要があるのです。
3.特殊清掃完了までの流れ
所有している物件が事故物件になってしまった場合の、遺体発見から特殊清掃完了までの流れを紹介します。
- STEP.1警察に通報する事件や事故、孤独死であった場合でも、遺体を発見したら、まず警察に通報します。警察は事件か事故かを調べるために、実況見分を行います。
- STEP.2特殊清掃会社へ連絡する警察が現場検証をしている間の立ち入りは禁止されますが、この時点で特殊清掃会社に連絡がついた場合は、わかる限りの状況を説明しましょう。
- STEP.3現場での見積もり・作業内容の説明警察からの立ち入り許可が出たら、特殊清掃会社のスタッフと現場の状況を確認してもらったうえで、見積もりを出してもらいます。
- STEP.4特殊清掃の実施契約を交わしたのちに、特殊清掃が実施されます。
- STEP.5必要に応じて解体・リフォーム作業を行う現場の状況によっては、床をはがすなどしないと完全に臭いを消せないこともあります。根本的な解決のためには、解体や大がかりなリフォームが必要になることも考えられます。
- STEP.6状況確認・作業終了すべての作業が終了したら、立ち会いのもと現場を確認して特殊清掃が終了します。
4.特殊清掃の作業内容
ここでは、特殊清掃では物件を原状回復するためにどのような作業を行うのか、一般的に行われる作業の内容を紹介します。
4-1.体液や汚物などの除去と洗浄
遺体から染み出ていた体液や血液を特殊な薬剤で除去し、洗浄します。
体液や血液などの汚れは非常にしつこく、洗浄するためにはおよそ1~2時間程度かかります。
4-2.殺菌と一時消臭
事故物件の現場には、体液や血液が飛び散っていることが想定されるため、感染症の恐れがあります。そのためまずは濃度が高い次亜塩素酸水を噴霧して、殺菌しなければなりません。
そのあと遺体から発生して染みついた臭いを取り除くために、オゾン燻蒸を行います。オゾン燻蒸はおよそ30分程度かかります。
4-3.家財の撤去・遺品整理
故人の遺品は必要なものと不要なものに分けて整理します。
貴重品や形見の品は依頼主またはご遺族に、不要なものは市区町村のゴミ分別に合わせて分別し、現場から全て持ち出します。
4-4.完全な消臭作業
遺体の発見が早く、汚染が広がっていない場合は特殊清掃のみで完了しますが、体液などが染みこんでしまっている場合には、その部分を解体しなければ臭いを完全に除去できません。
まず臭気の染みこんだクロスを剥がします。においが染みついたクロスを清掃するよりも、クロスを交換した方が安いからです。
体液が染みた床などは床を解体し、床下の洗浄を行い、体液が染みている部分は特別コーティングなどを施します。そして、オゾン燻蒸を数日行い作業完了です。
これらの作業をしてから、必要に応じてリフォームを検討します。
5.特殊清掃にかかる費用の目安
特殊清掃にかかる費用の大まかな目安は、以下の通りです。
間取り | 料金の相場 | 作業人数 |
ワンルーム | 3〜10万円程度 | 1〜2人 |
1K〜1LDK | 10〜30万円程度 | 2〜4人 |
2K〜2LDK | 15〜50万円程度 | 3〜6人 |
3K〜3LDK | 30〜80万円程度 | 4〜8人 |
特殊清掃の料金は、次のような状況によって作業内容が変わります。
- 現場の広さや状況
- 処分したい家財の量や種類
- 各市区町村ごとの一般廃棄物費用
- 作業に要する人数や日数
特殊清掃は状況によって作業内容が変わるため、ひと部屋の特殊清掃にかかる費用を断言することはむずかしく、どうしても料金に幅が出てしまいます。特殊清掃を依頼する前には、必ず見積もりを出してもらいましょう。
特に、解体やリフォームが必要となる場合には、さらに大きく費用がかさみます。
6.特殊清掃業者を選ぶ3つのポイント
特殊清掃は特別な技術や機材を必要とするため、いいかげんな業者に依頼すると臭いが残ってしまい、再度依頼しなければならないということにもなりかねません。
ここでは、特殊清掃業者を選ぶときのポイントを3つ紹介します。
6-1.①解体工事業登録がされている
特殊清掃での完全消臭には解体作業が伴うことがあります。
2019年6月1日より、特殊清掃業には解体工事業の登録が必須になりました。該当の都道府県に解体工事業登録がされていない特殊清掃業者が施工すると違法となります。
実績があって完全消臭できる業者であっても、解体工事業登録ができていない業者が解体作業を行うと違法になってしまうのです。
もちろん解体作業の必要のない特殊清掃もありますが、現場の状況により急に必要になることもあります。
解体作業のできない業者が表面上だけ清掃・消臭したとしても、臭いのもとが残っている限り完全に消臭はできません。
そのため、特殊清掃業者を選ぶ際には、解体工事業登録がされている特殊清掃業者に依頼するようにしましょう。
6-2.②一般廃棄物処理の許可を受けている
貴重品や形見の品以外、現場にある物のほとんどはゴミとして処分されることになります。家庭からのゴミは一般廃棄物になるため、産業廃棄物とは異なります。
現場となる市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を受けているのが一番ですが、そのような業者はごく一部です。一般廃棄物収集運搬業の許可を所持していない場合は、廃棄物の処分方法を確認しましょう。

というような業者がありますが、その分の費用は、全体の手数料や作業費に上乗せされています。見積書や契約書に「廃棄物処理費」という項目がない場合は、別の費用に上乗せされていると考えて間違いありません。
別の名目で高い費用を支払うことにならないように、「不用品やゴミはどのように処分してくれますか?」と聞いてみることをおすすめします。
見積もり内容や処分費用をきちんと説明してくれる業者を選びましょう。
6-3.③特殊清掃の実績が豊富
特殊清掃は、その名の通り特殊な掃除が必要になるため、どれだけの知識と経験があるのかはもっとも重要なポイントです。
しっかりと作業や施工がされないと、特殊清掃が終了したあとに

といったトラブルが起こる可能性も考えられます。
特殊清掃業者を探すときには、ホームページや口コミなどで、実績がどの程度あるのかをきちんと確認することがおすすめです。
また、複数の業者に見積もりを出してもらうことも大切です。それぞれの業者が出した見積もり額や内容を比較し、信頼して作業を任せられそうなところを選びましょう。
7.事故物件を売却するなら不動産会社に相談を
家やマンションが事故物件になった場合は、まずは特殊清掃を行うことが必須です。特殊清掃でもにおいや汚れが残る場合は、解体やリフォームを検討することになります。
ただし、事故物件を売却する予定であれば、解体やリフォームについては不動産会社に事前に相談するようにしましょう。
どのような状況で事故物件になったかにもよりますが、孤独死が放置されていた場合だと買い手が一般消費者である仲介の場合では、一般的に相場価格の1割程度、自殺や殺人の場合だと3~5割程度安くなります。
事故物件の売却の場合、解体やリフォームをしたからといって決して高く売れるわけではありません。そのままの状態で安く購入し、自分の好みに合うように建て直したり、リフォームしたいと考える人もいます。
また、売却価格は事故物件の相場価格からさらに3割ほど安くなりますが、不動産会社が特殊清掃後の状態のまま直接、買取をしてくれるケースもあります。
まずは信頼できる不動産会社を探し、どのようにすべきか相談することがおすすめです。
まとめ
自殺や殺人などがあった場合や、孤独死の発見時の状況によっては事故物件となり、特殊清掃が必要なケースがあります。
特殊清掃の依頼が必要になる場合は、じっくりと時間をかけて業者を選定することができないケースが多いですが、できる限り複数の業者に見積もりを出してもらい比較するようにしましょう。
事故物件を売却する場合は、まず、不動産会社に相談することが大切です。告知義務事項を買主に慎重、かつ上手に伝えなければならないため、売却を依頼する不動産会社の役割がとても重要となります。
事故物件を売却したいけれど、どこの不動産会社に相談すればよいのかわからないという人は「イクラ不動産」をご利用ください。売却事情に応じて売却に強い不動産会社を選べます。
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