父が浴室で亡くなった実家を売却したくて、葬儀屋さんに不動産屋さんを紹介してもらいましたが、いくらなんでも…という安い金額を提示されました。
事故物件の相場価格はどれくらいなのでしょうか?
一人暮らしをしていた叔父が、一軒家で孤独死しました。 こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。 事故物件を売却するうえで一番の問題点となるのは、人気がないことを理由にして、相場より大幅に安く買い叩く不動産会社がいることです。 このように納得しがちですが、事故物件には事故物件なりの売却方法があります。また、そもそも事故物件でなければ普通の価格で売れます。 事故物件の売却については、「【事故物件×不動産売却まとめ】告知義務や売却相場と併せて売り方の基本を解説」でも詳しく説明しています。あわせて参考にしてみてください。 24時間以内にLINEでお家の価格がわかる ※イクラ不動産はLINEサービスの名称で もくじ 事故物件とは、自殺や他殺など、その家で人の死に関わる事件や事故が起きた不動産(マンション・一戸建て・土地を含む)のことです。 基本的に病死や自然死は該当しないとされていますが、今まで事故物件に定義はありませんでした。 そこで、2021年5月20日に国土交通省が初めて「事故物件」のガイドライン案を公表し、2021年10月8日、正式に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が策定されました。 このガイドラインによると、人の死についての告知義務はあるが、病死や老衰などの自然死について、売主(貸主)は、買主(借主)に対して告知義務はない、としています。 また、「賃貸については、自殺や他殺、事故死発生からおおむね3年間は告知義務がある」と告知の期限も初めて定められました。 「事故物件」≒「告知義務があるかないか」≒「告知義務がある場合は価格が大幅に下がる」というものなので、非常に重要です。 詳しくは、後述の「告知義務があるのはどんな死亡?国土交通省「事故物件ガイドライン」とは」で説明していますので、必ずご確認ください。 そもそも事故物件は「心理的瑕疵(しんりてきかし)」によって判断されるものなので曖昧な部分があり、「価格はどれくらい下がるのか」というのは一概に決まっているものではありません。 心理的瑕疵(しんりてきかし)とは 「瑕疵」とは、見えない欠陥や欠点、過失などの意味で、不動産業界ではよく用いられる言葉です。心理的瑕疵に対して「物理的瑕疵」は、雨漏りやシロアリ被害、排水管のつまりなどが挙げられます。 心理的瑕疵は、住む人に「心理的にそこに住むのは気が引けるなぁ」と思わせる事象のことです。人の死に関わる事件が起きた物件のほか、 ・隣地がゴミ屋敷 などの物件も心理的瑕疵物件に該当します。 不動産取引の慣行(かんこう:習わしやしきたりとして古くから行われていること)として事故物件に該当するかどうかは、事故死か自然死かによって分かれると考えられてきました。 事故物件として扱われるのは、次のような事故死に該当する死が物件内で生じた場合です。 事故物件を売却するときは、「告知義務(こくちぎむ)」を果たす必要があります。告知義務とは、心理的瑕疵に限らず、売却前に、売主が知っている物件の瑕疵を、買主に伝えなければならないという売主の責任のことです。 売主が告知義務を果たさず、売却後に瑕疵の事実が買主の知るところになれば、損害賠償請求をされたり、詐欺罪に問われたりする可能性もあります。 このような場合でも、買主側の損害賠償請求が通ったという判例も多くあります。 例えば、次のような事例です。 建物を取り壊して更地にしてもダメです。特に最近は事故物件サイト「大島てる」を見て、確認してから購入する人も少なくありません。 事件や事故から時間が経てば告知義務がなくなるというものではありません。売主が知り得ている事実は包み隠さず告知するようにしましょう。買主にはもちろん、不動産会社にもです。 このように人の死に関わった物件でも、事故物件になるかならないで、価格に大きな差が出てきます。事故物件ではない場合、一般的な物件の売却方法と同じです。 事故物件でない場合については、「家を売る方法は4種類!はじめての方に宅建士がわかりやすく解説!」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。 今まで、事故物件について、告知義務があるのかないのか判断基準が非常に曖昧でした。 国土交通省が2021年に示した宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインは、トラブルの未然防止の観点から、物件内における人の死について妥当と考えられる一般的な基準をとりまとめたものです。 (Yahoo!ニュース:FNNプライムオンラインの国土交通省の不動産・建設経済局不動産業課の担当者への取材から出典) 次の表に、告知義務があるものは◯、ないものは☓としてまとめました。 売買・賃貸に関わらず、他殺、自殺、不慮の事故死以外の事故死、その他原因が明らかでない死亡(事故死か自然死か明らかでない場合等)が発生した場合は、告知義務があります。実際に、告知義務違反(重要事項説明義務違反)を理由とする損害賠償責任を巡る多くの紛争がみられます。 過去の判例においても、 等の事例があるほか、UR賃貸住宅でも、事案発生後の最初の入居者が退去した後には、通常の住戸として募集している実例があるからです。 もし、地震等の大規模な災害によって、対象となる不動産において人の死が生じたか明らかでない場合は、その旨を告げれば良いとしています。 一方、老衰、持病による病死などいわゆる自然死や、自宅の階段からの転落や、入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥(ごえん:飲食物や唾液などを、誤って食道ではなく気道に飲み込むこと)など、日常生活の中で生じた不慮の事故死は、告知義務の対象外とされています。 老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については発生すること自体が当たり前で、実際、自宅における死因割合のうち、老衰や病死による死亡が9割を占める一般的なものだからです。 また、判例においても、自然死について、心理的瑕疵への該当を否定したものが存在することから、買主(借主)の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いものと考えられ、過去に自然死が生じた場合には、原則として、これを告げる必要はないものとします。 ただし、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、孤独死など長期間にわたって人知れず放置されたことに伴い、室内外に臭気・害虫等が発生し、特殊清掃等が必要であったり行われたりした場合は告知義務があります。 マンションで飛び降り自殺があった場合は、居住している専有部分に加えて、買主(借主)が日常生活において通常使用され、住み心地の良さに影響を与えると考えられる部分、例えば、ベランダ等の専用使用な可能な部分のほか、共用の玄関・エレベーター・廊下・階段なども含まれますが、建物全体が事故物件になるわけではありません。 宅地建物取引業者(不動産会社)は、自ら人の死が生じたかどうかを調査すべき義務については、宅地建物取引業法に定められていません。 ただし、販売活動や媒介活動に伴う通常の情報収集等の調査過程において、売主(貸主)や管理業者から、過去に人の死に関わる事案が発生したことを知らされた場合や自らこれらの事案が発生したことを認識した場合(例えば、買取した場合にこれらの事実を知って再販売することも含まれます)、宅地建物取引業者として事実を買主(借主)に告げなければなりません。 なお、管理業者から提供される情報の範囲については、管理業者と管理組合との間で締結された管理受託契約や、分譲マンションの管理規約等に定められています。 事故物件の調査方法として、売主(貸主)に対して、物件状況等報告書やその他の書面に過去に生じた事案についての記載を求めることにより、媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとされます。 具体的には、発生時期・場所・死因(不明な場合はその旨)を記載します。 物件状況等報告書に、人の死の事実ついて、不明と回答、もしくは回答がなかった場合も、調査は適正にされたとし、宅地建物取引業者に責任はありません。 もし、売主(貸主)が物件状況等報告書に記載しなかった内容が後日に判明しても、宅地建物取引業者に重大な過失がない限り、事故物件としての調査は適正にされたものとされます。故意に告知しなかった場合等には、もちろん売主(貸主)が民事上の責任を問われる可能性があります。 このように、宅地建物取引業者は、原則として売主(貸主)・管理業者以外に自ら近隣の周辺住民に聞き込みを行ったり、インターネットサイトを調査するなどの自発的な調査を行ったりする義務はありません。 理由としては、近隣住民等の第三者に対する調査やインターネットサイトや過去の報道等に掲載されている内容は、正確性の確認が難しいこと、また、遺族のプライバシーに対する配慮が必要だからです。 したがって、「大島てる」に掲載があったとしても、売主(貸主)からの告知がない限り事故物件にはなりません。 大島てるに掲載されていることがどうしても気になる方は「大島てるに載っているけど削除方法は?」をご覧ください。 以上の内容は宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインに記載のある内容です。 24時間以内にLINEでお家の価格がわかる ※イクラ不動産はLINEサービスの名称で ここからは、いわゆる「告知義務がある物件」≒「事故物件」という前提で説明します。 事故物件と何も起きていない物件が同じ価格であれば、ほとんどの人が何も起きていない物件を選んで購入するでしょう。 多くの人が心理的瑕疵と感じる事象がある物件は、まず相場通りの価格で売ることができません。 ケースによって異なるため一概には言えませんが、相場価格から自殺で3割前後、他殺(殺人)で5割前後の値引きになる覚悟が必要です。 一方、孤独死については、高齢化、核家族化の昨今よくある事象でもあります。発見にいたったまでの期間(時間)にもよりますが、ハウスクリーニングなどをすればそこまで価格は落ちない傾向があります。 ただし、発見されたときにすでに悪臭を放ってしまっているような場合は、事故物件と同様に相場よりも価格が落ちます。 しかし、心理的瑕疵は、人によって感じる度合いが異なります。 例えば という人もいれば、 という人もいるはずです。また事件や事故の凄惨(せいさん:目をそむけたくなるようなむごい様子)さや経過年数によっても、感じる心理的瑕疵の度合いは異なるでしょう。 そのため事故物件の価格は、売り出したときの買主からの反応や問い合わせ件数をみて、随時変更していく必要があります。 事故物件における売却方法は、次の3つです。 それぞれの売却方法について、説明します。 事故物件だからといって、一般的な売却方法で売れないということはありません。 しかし、相場価格から自殺で3割前後、他殺(殺人)で5割前後割り引いた価格で売り出したとしても売れなかったり、そもそも不動産会社に売却活動を断られたりするケースもあります。 「価格を安くしても売れない」、「これ以上値段を下げたくない」という場合は、心理的瑕疵を和らげてから売却するのも1つの手です。具体的には、次のような手段が考えられます。 これらのことを行ったとしても、事故物件でなくなるわけではありませんし、告知義務も引き続き果たす必要があります。 しかし、「人の噂も七十五日」という言葉もあるように、心理的瑕疵はあくまで気持ちの問題なので、少しでも「住みたくない」と思わせる部分を和らげることができれば、売却できる可能性は高まります。 ただし、いずれも判断が難しいので、不動産会社と相談してアドバイスを受けてから対策を講じるようにしましょう。 リフォームを考えている方は「事故物件のリフォーム費用はいくらかかる?売却でもリフォームは必要?」をぜひ読んでみてください。 事故物件の場合、不動産会社に内密で買取してもらうという人が一番多いです。 不動産会社に買取してもらうことのデメリットは、事故物件としての相場価格よりさらに金額が落ちてしまうことです。 例えば、相場価格3,000万円の家の査定額が、事故物件であることを考慮され2,100万円になってしまったとします。この場合、買取業者に売るとなると、そこからさらに2~3割価格が下がり、1,500万円になることもあります。 一方、メリットは、周辺に知られることなく、すぐに売却できることです。物件の引き渡しまで最短数日から1ヵ月以内に完了させることもできるので、金額が安くなるとはいえ、売りにくい事故物件には適した売却方法ともいえます。 買取については、「【不動産買取】お家をすぐに売ることができる方法をかんたん解説!」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。 不動産会社に事故物件を買取してもらうときの売却の流れは次の通りです。 まずは、葬儀を執り行ってください。 高く売るポイント① 亡くなった方が物件の名義人だった場合は、司法書士に依頼して相続登記をしなければなりません。 ※ステップ3とステップ4はどちらが先でも大丈夫です。 高く売るポイント② ※ステップ3とステップ4はどちらが先でも大丈夫です。 決定した不動産会社と不動産売買契約を結びます。 売買代金を受け取り、お家を不動産会社に引き渡します。 高く売る上で、重要なのはステップ2の「事前に特殊清掃すること」と「手取りの高い会社を選ぶこと」です。 事故物件では、特殊清掃が必要です。 特殊清掃とは、孤独死、自殺、事件現場の清掃を専門にを行い、現状を復帰(回復)する作業のことです。 特に、遺体の発見が遅れ日数が経過してしまうと、汚染物の除去、体液、汚染物質、感染症予防の為の除菌、害虫の駆除や腐敗臭の消臭を行う必要があります。 特殊清掃を行わずに不動産会社に査定を依頼すると、査定額が大きく下がります。 査定するのは不動産会社の人間なので、普段から「遺体」との接触回数が多いわけではありません。そのため、「この物件を買い取って、ちゃんと売れるのかな?」と思った時点で、買取金額は間違いなく下がります。特に臭いが残っていると良くないイメージが浮かんでしまうため、最低限、特殊清掃してから査定を依頼しましょう。 特殊清掃の費用は、家の面積によりますが、5万円〜80万円ぐらいかかります。 特殊清掃について詳しくは「事故物件の掃除「特殊清掃」とは?費用の目安と業者選びの3つのポイント」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。 また、不動産会社に買い取ってもらってお家を引き渡すときに、遺品や残置物をすべて処理しなければならないので、同時に遺品整理や残置物処理もしてしまうのがおすすめです。お家を空っぽにした状態で、不動産会社に査定してもらいましょう。 不動産会社選定のポイントは「手取りの高い会社を選ぶこと」です。 事故物件は相場がないため、不動産会社ごとによって大きく買取金額が変わってきます。 と宣伝している不動産会社もありますが、仮に専門だったとしても必ず高く買ってくれるわけではありません。 特に、葬儀屋さんから不動産会社を紹介してもらった場合は、高い紹介料を支払っている可能性が高いため、買取金額が安くなりがちです。 そのため、必ず複数の不動産会社で買取査定をしてもらい、そのときに と聞いて価格を比較してください。査定価格ではなく、手取りの高い不動産会社を選ぶことが、事故物件を高く売るコツです。 価格以外にかかる諸費用を差し引いて手取りの金額で考えなければ意味がありません。不動産会社によって仲介手数料がかかる会社とかからない会社があるからです。 詳しくは「「家を高く買取ってもらう方法」を元不動産屋が教えます!」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。 また、事故物件の売却については「【事故物件×不動産売却】告知義務や売り方の基本・出来るだけ高く売るコツを解説」で、より詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。 家族や身内の方が家で亡くなった場合、亡くなった状況によって事故物件になる場合とならない場合があります。 しかし、残念ながら不動産会社の中には、事故物件にならない人の死であるにもかかわらず、安く買い叩こうとするところもあります。 そのため、まず事故物件になるかどうかを正しく判断し、適切な方法で売却してもらえる不動産会社を選ぶことが大切です。 事故物件の売却仲介や買取してくれる不動産会社を探したい方は「イクラ不動産」をご利用ください。 売却事情に応じて「売却に強い」不動産会社を選べます。 また、無料&匿名で不動産の査定や売却の相談をすることも可能です。事故物件でお困りの場合は、ぜひ一度、ご利用ください。
このような場合でも、事故物件になってしまうんですか?
不動産会社ではありません1.事故物件になる場合とは?
・近隣に宗教施設や暴力団の施設がある2.告知義務とは?事故物件ということを隠して売ってはいけない
2-1.告知義務があるのはどんな死亡?国土交通省「事故物件ガイドライン」とは
告知事項
売買
賃貸
他殺(殺人)
◯
◯ ※
自殺
◯
◯ ※
事故死
◯
◯ ※
火災による死亡
◯
◯ ※
原因が明らかでない死亡
◯
◯ ※
老衰や病死などの自然死
✕
✕
日常生活の不慮の事故死
✕
✕
孤独死
◯
◯ ※
2-1-1.不動産会社の責任と調査方法
不動産会社ではありません3.事故物件の売却相場
4.事故物件の売却方法
4-1.①普通に市場で売る
4-2.②期間を空けてから売る
4-3.③不動産会社に買取してもらう
5.売却の流れと事故物件を高く売るポイント
不動産会社に相談する前に特殊清掃を行う
手取り額が高い会社を選ぶ5.1事故物件を高く売るコツ①:事前に特殊清掃すること
5-2.事故物件を高く売るコツ②:手取りの高い会社を選ぶこと
まとめ