家を買い替えるのですが、思ったより費用がかかりそうです…
買い替えで使える税金の控除や特例はあるのでしょうか。
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
家を買い替えるときに売却と購入で課税される税金は、特例を利用することで引き下げることが可能です。
ここでは、買い替え・住み替え時の税金を節税するための控除や特例を紹介するとともに、利用するときの注意点についてわかりやすく説明します。
もくじ
1.家の買い替え(住み替え)の税金の控除
家を買い替えるときは、新居の購入と住んでいた家の売却をすることになります。購入と売却には、それぞれ税額を引き下げるための特例(特別に設けた例外)がありますが、中には併用(へいよう:一緒に使うこと)ができないものもあるので注意が必要です。
まずは家の購入時に使えるローン控除と、売却時に税金を引き下げることができる特例について説明します。
1-1.買い替え先の家の住宅ローン控除
まずは買い替え先の家が、住宅ローン控除の対象となるか確認します。
個人が住宅ローンを利用して、マイホームの新築や購入、増改築などのリフォーム等をした場合、一定の要件を満たすときにおいて、住宅ローンの年末残高を基として計算した金額を各年分の所得税額から控除できる制度です(給料から差し引かれていた所得税が戻ってくる制度です)。購入2年目からの10年間、ローンの年末残高の1%が所得税から控除され、年末調整などで還付金を受け取ることができます。
住宅ローン控除の主な適用要件は、次の通りです。
- 新築または購入から6ヶ月以内に自らが入居する
- 床面積50㎡以上
- ローンの返済期間が10年以上
- 控除を受ける年の年収が3,000万円以下であること
買い替え時の住宅ローン控除について詳しくは「家を買い替えした場合、住宅ローン控除を利用できるのかまとめた」で説明していますので、ぜひご覧ください。
1-2.旧居の売却時に利用できる特別控除
住んでいた家を売却して利益が出た場合は、利益(譲渡所得)に対して住民税と所得税が課税されます。
また、売却によって損失(譲渡損失)が出た場合には、給与などの所得と損益通算(そんえきつうさん:一定期間内の利益と損失を相殺すること)することができる特例があります。
家の買い替え時の譲渡所得や譲渡損失を控除・損益通算できる特例は次の4つです。
1-2-1.①3000万円の特別控除
譲渡所得から最大3000万円が控除されます。
1-2-2.②所有期間10年超の場合の軽減税率の特例
3000万円を控除してもなお譲渡所得がある場合は、家の所有期間10年超に限り課税される税率を引き下げることができます。
1-2-3.③居住用財産の買い替え特例
旧居が新居より高く売却できた場合、旧居売却にかかる税金の納税を新居売却まで繰り延べることができます。
1-2-4.④買い替えにかかる譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
旧居の売却損を給与などの所得と損益通算することで所得税を引き下げることができます。
控除しきれなかった分は、売却以後3年内まで繰り越して控除することができます。
買い替え時の税金について詳しくは「家の買い替えの際にかかる税金についてまとめた【売却編】」で説明していますので、ぜひご覧ください。
2.住宅ローン控除と併用できない特例
売却時の税金の特例のうち、住宅ローン控除と併用できないものは次の3つです。
- 3000万円の特別控除
- 所有期間10年超の場合の軽減税率
- 居住用財産の買い替え特例
これら3つは、売却の利益が出たときに利用される特例です。
つまり、旧居の売却で売却益が出た場合は、新居の住宅ローン控除を適用させた方がいいのか、旧居の売却益を控除した方がいいのか、比較する必要があるということになります。
3.住宅ローン控除と併用できる特例
一方、旧居の売却で損失が出た場合に、給与などの所得と損益通算することで税金を減らすことができるこちらの特例は、新居の住宅ローン控除と併用できます。
住んでいた家を売却するときは利益が出るより損失が出ることが多いので、買い替え時は損益通算の特例を利用するケースが多いです。
ただし、住宅ローン控除と併用することはできますが、譲渡損失と所得を損益通算したことで所得税がゼロになった場合、住宅ローン控除によって控除することはできません。このような場合、住宅ローン控除の効果が出るのは、損益通算及び繰越控除がなくなった年からということになります。
4.家の買い替えをするときの税金の控除のまとめ
まずは、新居が住宅ローン控除の対象になるか確認します。
住んでいた家の売却で利益(譲渡所得)が出たときは、譲渡所得を控除する特例と住宅ローン控除を併用することができません。この場合は、どちらの節税効果が高いか比較して選択します。
一方、住んでいた家の売却で損失(譲渡損失)がある場合は、「買い替えにかかる譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」によって、損失と所得を損益通算させることができます。
こちらの特例は、住宅ローン控除と併用が可能ですが、損益通算の特例によって所得税がゼロとなる期間は、住宅ローン控除の効果はありません。
住宅ローン控除、譲渡所得控除の特例、譲渡損失の損益通算の特例、いずれも利用する場合は、買い替えした翌年に確定申告する必要があります。
自ら判断が難しく「どうしたらよいかわからない」ときは、買い替えする不動産会社や税理士に相談することをおすすめします。