
家の買い替えを検討しているのですが、新居にも住宅ローン控除は適用できるのでしょうか?
ご相談ありがとうございます😊
適用要件さえ満たせば、住宅ローン控除を受けることは可能ですよ✨ただし…
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住宅ローン控除とは、マイホームを購入した人向けの減税制度で、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
買い替えを検討する人の中には、家を購入する2軒目以降では、住宅ローン控除を受けられなかったり年数が短くなったりするのでは、という不安を持つ人が意外と多いようです。
結論から言うと、初めてのマイホーム購入の時と同様、買い替えた家でも適用要件さえ満たしていれば、また10年間控除を受けることが可能です。
ただ、買い替えには「購入」だけでなく「売却」が絡むため、ちょっと事情が複雑になります。
新たなマイホームで住宅ローン控除を受けるためには一体どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
こちらでは買い替え時における住宅ローン控除について説明します。
もくじ

そもそも住宅ローン控除とはどんな制度?

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで購入したマイホームが適用要件を満たしているときに利用できる減税制度のことです。
マイホームを購入後、2年目から10年間の適用となりますが、消費税増税の関係で、2019年10月1日~2020年12月31日までの間に入居した場合は、控除期間が3年間延長されます。
年末の住宅ローン残高の1%が所得税から控除され、還付金を受け取ることができます。たとえば、住宅ローンの年末残高が3,500万円だった場合、控除額は35万円となります。
ただし、毎年の控除限度額が決められており、一般住宅の場合は最大で40万円、認定長期優良住宅もしくは認定低炭素住宅の場合は、最大50万円が上限額として設定されています。
消費税率 | 8% | 10% | |
居住開始期間 | 2021年12月31日まで | 2019年10月1日~2020年12月31日 | |
最大控除期間 | 10年間 | 13年間 | |
年間控除額
(一般住宅) |
年末の住宅ローン残高の1%
(最大40万円) |
【1~10年目まで】 年末の住宅ローン残高の1% (最大40万円) 【11~13年目まで】 「建物購入価格×2%÷3」または 「年末のローン残高の1%」の いずれか低い金額 |
|
年間控除額
(認定住宅) |
年末の住宅ローン残高の1%
(最大50万円) |
【1~10年目まで】 年末の住宅ローン残高の1% (最大40万円) 【11~13年目まで】 「建物購入価格×2%÷3」または 「年末のローン残高の1%」の いずれか低い金額 |
もし、納めた所得税の金額よりも控除額が多く、控除しきれなかった分については、住民税から控除されます。市町村が自動的に天引きしてくれるので手続きをする必要はありません。
ただし、住民税の控除額にも上限(136,500円)があり、上限を超えた分の金額は控除されることなく手続きが終了してしまいます。
買い替え時に住宅ローン控除の適用を受けるための条件
冒頭でも述べたように、家を買い替えたかどうかはあまり関係がなく、買い替えた家でも適用要件さえ満たしていれば、また10年間控除を受けることが可能です。
主な適用要件は次の通りです。
- 物件を取得した日から6ヶ月以内に、控除を受ける当人自らが居住すること
- 対象となる物件の床面積が50㎡以上であること
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 控除を受ける年の年収が3,000万円を超えないこと
- 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと
しかし、問題となるのは、買い替えには、購入だけでなく売却も関わってくるという点です。
「買い替えた新しいお家でも住宅ローン控除が受けられるか」と言われると答えはイエスなのですが、実は⑤の条件にもあるように、長期譲渡所得の課税の特例などが適用されると、住宅ローン控除を受けられないケースがあるということに注意が必要です。
新居に住宅ローン控除を適用できないケースとは

旧自宅の売却による利益「譲渡所得」がある場合
旧自宅が購入したときの金額よりも、高く売却でき、利益が出た場合は、確定申告で所得税と住民税を納めなければなりません。
この不動産を売却したときに出た利益のことを譲渡所得(じょうとしょとく)といい、譲渡所得にかかる、所得税のことを「譲渡所得税」という言い方もします。
前述したとおり、住宅ローン控除には「居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと」という適用要件があります。
「長期譲渡所得の課税の特例など」というのは、お家の売却の譲渡所得に関わる、次のような税金の制度のことです。
- 3,000万円の特別控除:マイホームを売却して譲渡所得があった場合でも、3,000万円までは所得税がかからない制度。
- 長期譲渡所得の特例:マイホームの譲渡所得は、所有期間に応じた軽減税率が適用され、所有期間5年以下、5年超、10年超で税率が違い、所有期間が長いほど安くなります。
- 居住用財産の買い替え特例:売却したマイホームの譲渡所得より、買い替えた家の購入金額の方が大きければ課税されないという制度。税金の支払いが免除されるのではなく、買い替えで購入した家を将来売却するときまで繰延べされます。
買い替えの際、旧自宅の売却で譲渡所得(売却したときに出た利益)があった場合は、適用要件を満たせば、上記3つの特例を併用して利用することができます。
しかし、これらの特例を適用してしまうと、住宅ローン控除は適用対象から外れてしまいます。
旧自宅の売却による損失「譲渡損失」が出た場合
一方、旧自宅が購入したときの金額よりも、安くでしか売却できず、損失が出た場合のことを譲渡損失(じょうとそんしつ)といいます。
この譲渡損失が出た場合、「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の適用要件を満たせば、給与所得や事業所得などから損失分の控除を受ける(損失分を取り戻す)ことができます。
また、その年の所得より損失額の方が大きければ、翌年から3年間、繰り越して損失額が控除されます。
この特例は住宅ローン控除との併用が可能なのですが、問題は住宅ローン控除も所得から控除される点です。ローン控除より損失の繰越控除が優先して行われるため、ローン控除をしようにも控除を受けるべき所得がゼロになってしまうケースが発生します。
住宅ローン控除の控除期間は10年間(購入時期によっては13年間)で、このカウントは適用開始(住み替え完了)から始まるため、例えば繰越控除終了まで3年かかると、ローン控除が受けられる期間は7年間(あるいは10年)に減ってしまうというわけです。
住宅ローン控除の適用を受けるには確定申告が必要
買い替え時に住宅ローン控除を受けるには、購入物件に入居した翌年に確定申告を行う必要があります。

- 確定申告書
- 住宅借入金等特別控除額の計算証明書
- 住民票
- 源泉徴収票(給与取得者の場合)
- 土地・建物の登記事項証明書
- 不動産売買契約書または建築工事請負契約書
- 住宅ローンの借入金残高証明書
確定申告は、毎年2月中旬~3月中旬の間に税務署に提出するか、郵送やインターネットでも手続きすることが可能です。
なお確定申告の期日を過ぎてしまったら税金の還付申告(源泉徴収で納めすぎた税金を返してもらう申告手続きのこと)ができないと思っている方も多いですが、翌年1月1日~5年間の期間であれば行うことができます。
また、給与取得者の場合、2年目以降は確定申告を行わなくても勤務先の年末調整のみで住宅ローン控除の手続きができるようになります。その際、以下の2つの書類の提出が必要です。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼証明書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
住宅ローン控除が適用になると、年度末の確定申告時に納税した所得税の一部が戻ってきます。申告手続きから約1ヶ月~1ヶ月半程度で還付金を受け取ることができます。
家の買い替え時は住宅ローン控除を選ぶべきなの?
ここまで、住宅ローン控除と旧自宅の売却の損益に関わる特例との関係について詳しく見てきました。
住宅ローン控除を選べば、特例による減税などの適用は受けられず、譲渡所得や譲渡損失の特例を選べば、住宅ローン控除が適用対象から外れたり、控除期間が短くなってしまったりします。
家の買い替えには「売却」と「購入」が絡むため、どうしても複雑になります。
どれくらい税金が安くなるのか、住宅ローン控除と特例を比べるとどちらがお得なのかを調べて、適用する制度を選びましょう。
適用要件や減税額などで混乱して失敗することのないよう、税理士などの専門家に相談して結論を出すことをおすすめします。
家の買い替えの流れについては「家の買い替えの流れについて〜売ってから買うの?買ってから売るの?」で説明していますので、ぜひ読ご覧ください。