熊本県の「戸建てを売却した理由」について、売主様アンケートの回答をランキング形式で紹介し、あわせて買主への上手な売却理由の伝え方を解説します。
熊本県の「戸建ての売却相場・動向データ」や「売却実績事例データ」を知りたい方は、「熊本県の土地・中古戸建て売却価格の相場と動向をやさしく解説」に掲載しているので、ぜひご覧ください。
戸建てを売却した理由
ランキングTOP7
順位 | ポイント |
---|---|
1位 住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて) (26.7%) |
熊本県における戸建て売却理由の第1位は「住み替え」という結果でした。 結婚、出産、子どもの独立など、人生におけるさまざまな分岐点で家を住み替える方が多くみられます。 |
2位 売り時だと思ったから(19.3%) |
世界最大の半導体受託製造企業が菊陽町に進出することを受け、その周辺の地価は上昇傾向にあります。今後も売り時だと判断し、戸建ての売却に踏み切る方も多くなっているようです。 |
3位相続関連 (18.7%) |
熊本県が公表している「高齢者関係資料集」によると、2022年10月時点で県内の高齢化率は32.1%で、県民の約1/3が65歳以上の高齢者となっているそうです。今後も相続を理由に戸建てを売却する方は増えると予想されます。 |
4位転勤・転職(仕事や勤務地の変化など) (12.0%) |
総務省「人口移動報告」によると、熊本県から県外へ転出した方の数は、約3万2千人です。転勤・転職が決まった場合は、家を売るほかに、賃貸に出すなど方法はあります。しかし、「経済的余裕ができる」、「手間をかける余裕がない」などの理由で売却を選択する方が多くみられます。 |
5位離婚・別居 (10.7%) |
2022年度における熊本県の離婚率は1.46%で、全国順位では18位という結果となっています。持ち家がある方が離婚する場合は、売却して財産分与する傾向にあるようです。 |
6位 ローンの返済苦など金銭的な理由 (8.7%) |
東京商工リサーチが発表している2023年の熊本県内企業倒産件数は、前年より21件増加し69件となっていました。戸建て売却の理由としては少ないものの、金銭的な理由での売却は、今後も一定数見受けられそうです。 |
7位 その他 (4.0%) |
第7位は「その他」という結果でした。「家族の介護」、「病気を患ってしまい、医療費を捻出するため」、「投資用物件」などの声も上がっていました。 |
- <調査概要>(データ参照元)
- イクラ不動産で不動産を売却した売主様に向けたアンケート調査
- <実施方法>
- 実施日 2022年10月〜2023年11月
順位別に実際の売主様の声&買主への上手な伝え方をご紹介
こちらでは、戸建て売却を決めた売主の実際の回答に加えて、売却理由別に買主への上手な伝え方を解説します。
1位(26.7%)住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて)
〈売主様の実際の回答・声〉
現在務める会社の通勤に不便であることと、老後に自家用車を必要としない環境で過ごしたいと思い売却をしました。査定額が思っていたより高く、とても嬉しかったです。しかし、本当にその額で売れるか不安は感じていました。 最終的な売却価格は妥当な値段であったので納得しています。
〈買主への上手な伝え方〉
歳を重ねた自分の健康状態を想像してみた時に、生活環境はとても重要になってきます。一般的な事なので、買主にはそのまま伝えても問題ないでしょう。
買い替えや住み替えの相談については、「家の買い替え・住み替えの相談はどこにするべき?」で、また買い替え全般については、「買い替え(住み替え)で家やマンションを売却する流れと成功のコツを基本から解説」で詳しく説明しています。
2位(19.3%)売り時だと思ったから
〈売主様の実際の回答・声〉
年齢を重ね、そろそろ生まれ育った田舎に帰りたいなと思っていた時に、日銀が事実上の利上げを発表したと聞き、早めに決断した方が良いと思い、売却に動き出しました。結果的に想定内の売却金額となりましたが、今後は下落を予想しているため、これで良かったと思っています。
〈買主への上手な伝え方〉
金利が上昇すると、不動産に限らず物の価格は下落する傾向にあります。高く売れるときに売ってしまおうとする人が増えると予想できます。こちらの場合、買主には「Uターン移住のため」であると伝えておけば問題ないでしょう。
3位(18.7%)相続関連
〈売主様の実際の回答・声〉
実家を相続したものの、自宅から車で約1時間もする場所で、週に1度ほど通っては、掃除、庭木の剪定や草取りに大変でした。今後のことを考えると、継続していくのは無理だと思い売却に向けて動きました。内覧に来られ、そのまま契約まで至った方から、管理が行き届いていると褒めていただいたと、後で聞いた時はとても嬉しかったです。
〈買主への上手な伝え方〉
実家を相続しても、手間暇かけてのメンテナンスはとても大変なため、売却する人も少なくありません。買主には「相続したが利用予定がない」と正直に伝えて良いでしょう。
4位(12.0%)転勤・転職(仕事や勤務地の変化など)
〈売主様の実際の回答・声〉
新築の戸建てを購入した翌年に夫が海外へ転勤することになりました。やっと手に入れたマイホームでしたが、夫婦揃って幼い子どもの成長を見届けるためには、致し方ないと思い家族での渡航と売却を決断しました。築2年目と言うことで、購入希望者も比較的すぐに現れ契約となり、あっと言う間でしたが良い人達のようなので、少し安心しました。
〈買主への上手な伝え方〉
退職や転勤がきっかけで不動産を売るケースは珍しくありません。家族での門出ですので、良いイメージを与えるため、買主にはありのままの事情を伝えてください。
転勤による売却については、「転勤で持ち家はどうする?売却と賃貸の流れと判断基準、高く売る注意点は?」や「転勤で持ち家の戸建てやマンションを売却!不動産会社選びで失敗しないポイント」で詳しく説明しています。ぜひ読んでみてください。
5位(10.7%)離婚・別居
〈売主様の実際の回答・声〉
結婚から5年が経ち、共働きですれ違いが多かったことから、離婚することになりました。そこで現在住んでいる居宅はどうしようかと話し合った結果、家は売却することになりました。それから3ヵ月足らずで、契約成立となり、お互い無事に再スタートを切ることができました。
〈買主への上手な伝え方〉
多くの夫婦が共働きをし、お互いが独立できている現代では、離婚に踏み切る心理的な抵抗が少ないと言われています。しかし、プライバシーに関することなので買主には特に伝える義務はありません。
基本的に、説明が義務付けられた以下の4つの瑕疵にあたらず、物件そのものに関係がないのであれば、個人的な理由を説明する必要はありません。「住み替え」などと濁して伝えるほうが良いでしょう。
瑕疵の種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
心理的瑕疵 | 買主の心理状態に悪影響を与える恐れのある場合 | ・過去に自殺や事故があった物件 ・嫌悪施設の跡地 等 |
法律的瑕疵 | 現在の建築基準法に違反している、もしくは法的制限のある場合 | ・再建築不可物件 ・建築基準法違反 ・市街化調整区域に建っている 等 |
物理的瑕疵 | 土地・家屋そのものに欠陥がある場合 | ・耐震強度不足 ・地中埋設物 ・シロアリによる被害・ヒビ、水漏れ 等 |
環境瑕疵 | 物件を取り巻く環境に問題がある場合 | ・隣人トラブル ・嫌悪施設の付近である ・騒音がある 等 |
離婚による売却については、「【離婚×不動産売却まとめ】離婚時の不動産の扱いについて基本から解説 」でまとめて説明しています。ぜひ読んでみてください。
6位(8.7%)ローンの返済苦など金銭的な理由
〈売主様の実際の回答・声〉
私が売却を決めた理由は、住宅ローンを組んでいましたが、その支払いが苦しくなってきたためです。築40年弱で老朽化が進んでいましたが、建っているエリアが今後人気が出そうなエリアだったため、購入した金額とほぼ同額で売却することができました。 ローンの重圧から逃れられて安心しました。
〈買主への上手な伝え方〉
金銭的な事情による売却はあくまでも個人的な問題です。ただ、買主には金銭的な事情を話す義務はないため、通常の「住み替え」であると伝えておきましょう。
7位(4.0%)その他
〈売主様の実際の回答・声〉
将来実家を相続するとなった場合、現金化しておく方が兄弟間で分配しやすいと考えた高齢の母の依頼で実家を売却することにしました。売り出し当初の問い合わせが少なかったので、長引くことも覚悟していましたが、少し売却価格を落としたところ、すぐに契約となりました。母は我が家に呼び寄せ同居することになったので、孫の顔を見ては嬉しそうにしているので、これで良かったと思います。
〈買主への上手な伝え方〉
高齢になった親との同居も良くあることです。利用予定がない家を売り出すケースは多いため、正直に伝えても問題はないでしょう。
この記事のポイントまとめ
今回のアンケート調査からわかったことは、次のとおりです。
- 熊本県菊陽町への半導体工場進出の影響により、菊陽町周辺では地価が上昇しており、今が売り時と考えて売却するケースも多い
- 熊本県からの転出者の引越し先として、一番多い都道府県は福岡県という結果だった