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借金のために家を含めて相続放棄!それでも残る家の管理責任と免れる方法を解説

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借金のために家を含めて相続放棄!それでも残る家の管理責任と免れる方法を解説

借金などの負債がある人が亡くなった場合、相続人は借金も相続することになります。しかし、家を含めたすべての財産を相続放棄することで、借金の返済から免れることが可能です。

ただし、相続人全員がすべての財産を相続放棄をしたとしても、家の管理責任は残ってしまいます。

こちらでは、借金を相続したくないときの相続放棄の方法や、相続放棄をしても残ってしまう家の管理責任と対処法についてわかりやすく説明します。

この記事で具体的にわかる3つのポイント

  • 亡くなった人に借金があった場合、単純承認をすれば相続人は借金も相続することになる
  • 相続放棄をすれば相続した借金の返済から免れることができるが、ほかの資産すべても相続放棄をすることになる
  • 相続人全員が相続放棄をしても家の管理責任が残るため、管理責任を負いたくない場合は、家庭裁判所で相続財産管理人を選任してもらう必要がある
この記事はこんな人におすすめ!
亡くなった人に借金があり、どうにかして借金の相続から免れたい人
相続放棄をどのようにすれば良いのかわからない人
相続人全員が相続放棄した場合の家の管理について知りたい人

1.借金の相続について

まず、亡くなった人の借金が、どのように相続されるのかについて説明します。

1-1.借金も相続の対象になる

親や兄弟などが亡くなったとき、借金が残されていたら借金も相続の対象です

被相続人(ひそうぞくにん:亡くなった人)の財産を、無条件ですべて承継することを単純承認(たんじゅんしょうにん)と言います。何もしなければ単純承認による相続になってしまい、亡くなった人の代わりに相続人が借金を返済しなければなりません。

1-2.複数の相続人で借金を相続する際の割合

相続人が複数いる場合、それぞれの相続人が引き継ぐ借金の額は、法定相続分(ほうていそうぞくぶん)に応じた金額です。

法定相続分は、次の表のようになっています。

【法定相続人と法定相続分の割合】
法定相続人 法定相続分
配偶者と直系卑属(子供・孫など)の場合 配偶者1/2
子供(孫)1/2(複数の場合1/2を人数で分ける)
配偶者と直系尊属(父母・祖父母など)の場合 配偶者2/3
父母(祖父母)1/3(複数の場合1/3を人数で分ける)
配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者3/4
兄弟姉妹1/4(複数の場合1/4を人数で分ける)
配偶者がいない場合 それぞれ法定相続人となる順位の中で均等に分配

たとえば、すでに配偶者を亡くしている親が900万円の借金を残して亡くなり、その借金を3人の子供達が相続する場合、子供達はそれぞれ300万円ずつ借金を引き継いで返済しなければなりません。

1-3.借金を相続したらどうなるのか

借金などの負債が相続財産に含まれている場合は、ほかの相続財産から返していくのが一般的な方法です。

ただし、亡くなった人が残したプラスの資産が負債分に足りずに返済ができないのであれば、相続人自身の財産から支払うことになります

もし、相続人が支払えなければ、親の借金の債権者(貸した側)が裁判などを起こして、相続人自身の預貯金や給料、家などから取り立てを行うことも可能です。それによって、最悪の場合、相続人が自己破産しなければならないこともあります。

2.相続放棄をしたら借金の返済をしなくてすむ

借金の相続を免れるためによく利用されるのが「相続放棄(そうぞくほうき)」です。

相続放棄をすれば、相続放棄した人は「はじめから相続人ではなかった」ことになるため、借金を含めた被相続人(亡くなった人)の資産すべてを引き継ぎません。

2-1.相続放棄は個人単位で行うことが可能

相続放棄は、それぞれの相続人個人の判断だけで行うことができます

たとえば兄弟3人が相続人になったとき、ほかの兄弟が相続をしても、自分だけが相続放棄することも可能です。

しかし、相続放棄すると相続権がほかの相続人に移ります。つまり、借金の相続がある場合は、自分が相続するはずだった借金をほかの相続人に負わせることになってしまうのです。

借金の相続があるような場合は、一人の判断で勝手に相続放棄してしまうと、ほかの相続人とトラブルになる可能性があります。

2-2.相続放棄するとすべての資産を相続できなくなる

相続放棄すると、すべての資産を相続することができなくなります

借金だけではなくプラスの資産も受けとれなくなるため注意が必要です。家などの不動産はもちろんのこと、預貯金や株式などの価値のあるものも一切相続できません。

したがって、マイナスの負債よりもプラスの資産が大きいときに相続放棄をすると、損をしてしまう恐れがあります。

相続放棄を申請して認められると原則として撤回できないため、遺産相続をしたときに借金がある場合は、まずは負債と資産がどのくらいあるのかそれぞれ明らかにし、負債がプラスの財産よりも多いときにのみに相続放棄するのがおすすめです。

なお、被相続人に借金があっても相続する実家を守る方法については「借金を相続せずに実家を残す方法についてわかりやすくまとめた」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。

2-3.相続放棄の期限について

相続放棄には期限があります。基本的には、相続の開始(被相続人の死亡)の事実を知ってから3ヵ月以内に家庭裁判所で「相続放棄の申述(しんじゅつ)」をしなければなりません。

「相続の開始の事実を知ってから」とは、財産の所有者が亡くなったことを知ったとき、および、これにより自分が法律上相続人となった事実を知ったときのことを指します。

この期限を過ぎると自動的に「単純承認」が成立するため、借金も強制的に相続させられてしまう可能性が高まります。

しかし、調査する財産が多い場合などは、3ヵ月以内に相続するか放棄するかの判断ができないこともあるでしょう。

このような場合は、家庭裁判所に熟慮期間伸長の申し立てをすることで、期限を延長してもらえることもあります。一般的には1~3ヵ月の延長が可能です。

ただし、相続人が複数いたとしても、期限の延長の効果は、申し立てをした人だけにしか認められません。そのため、相続人ごとに申し立てを行う必要があります。

また、財産調査をした当初、借金の存在を知らなかった場合や被相続人に財産がまったくないと信じていた場合などは、亡くなったことを知ったときから3ヵ月以上経過していても、相続放棄が認められる可能性もあります。

2-4.相続放棄の申請方法と必要なもの

相続放棄の申請は、亡くなった人が最後に居住していた地域を管轄している家庭裁判所で行うことになります。

申請に必要となるおもな書類などは、次の表のとおりです。

【相続放棄の申請に必要な書類】
申し立てに必要なもの 取得先
相続放棄の申立書(家事審判申立書) 家庭裁判所(ダウンロードでも取得可能
故人の出生時から死亡時までの戸籍謄本類 該当する市区町村役場
故人の直系尊属や兄弟などで死亡している人の出生時から死亡時までの戸籍謄本類 該当する市区町村役場
故人の住民票除票または戸籍附票 該当する市区町村役場
収入印紙(800円分) 郵便局など

これらに加えて、先に説明した予納金が必要です。

相続放棄のくわしい申し立て方法については、裁判所のホームページで確認してみてください。

裁判所「相続の放棄の申述」

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3.相続を放棄した家の管理責任について

親が借金と家だけを残して亡くなったとき、相続人全員が相続放棄をすれば、相続から外れて平穏に暮らすことができそうです。

しかし、相続人全員が借金と家の相続を放棄した場合は、家の管理という新たな問題が発生します。

3-1.相続放棄をしても家の管理責任が残る

相続を放棄しても、相続人にはしかるべき管理者が遺産を管理するようになるまでは、自己の所有物と同様の注意をもって相続財産を管理しなければならないという義務があります。

そのため、もしすべての相続人が相続放棄したら、残った家を管理する人がいなくなるため、自分達で家を管理し続けるしかありません。家の掃除や片付け、傷んでいる箇所の補修などを行う必要があります。

もし、管理が行き届いていないことによって通行人に怪我をさせたり火事になって隣家が延焼したりしたら、損害賠償の請求先は家の管理人である相続人です。

このように、相続放棄しても相続財産の管理義務が残ります

3-2.相続放棄した家の管理責任から免れる方法

相続放棄した家の管理義務から免れるには、家庭裁判所で「相続財産管理人(そうぞくざいさんかんりにん)」の選任をしてもらう必要があります。

相続財産管理人とは、相続人がいない場合に相続財産を管理して清算する人のことで、選任されるのはおもに弁護士などの専門家です。

相続財産管理人が選任されたら、家の管理権限は相続財産管理人に移るため、相続人は完全に遺産の管理から解放されます

ただし、相続財産管理人を選任するときには予納金(よのうきん)が必要です。ケースにもよりますが、数十万円~100万円程度かかることもあり、相続人にとって大きな負担となります。さらに、弁護士などが相続財産管理人に選ばれると、月に1~5万円程度の報酬も必要です。

3-3.相続財産管理人の申請方法と必要なもの

相続財産管理人選任の申立ては、亡くなった人が住んでいた地域を管轄している家庭裁判所で行うことになります。

申請に必要となるおもな書類などは、次の表のとおりです。

【相続財産管理人の申請に必要な書類】
申し立てに必要なもの 取得先
相続財産管理人選任の申立書(家事審判申立書) 家庭裁判所(ダウンロードでも取得可能
故人の出生時から死亡時までの戸籍謄本類 該当する市区町村役場
故人の直系尊属や兄弟などで死亡している人の出生時から死亡時までの戸籍謄本類 該当する市区町村役場
故人の住民票除票または戸籍附票 該当する市区町村役場
該当の不動産の全部事項証明書(登記事項証明書) 管轄の法務局
該当の不動産の固定資産評価証明書 該当する市区町村役場
収入印紙(800円分)と連絡用の郵便切手代(1,000円程度) 郵便局など
官報公告費用(5,075円)

ほかにも、状況に応じて必要なものがあるため、あらかじめ家庭裁判所に問い合わせておくと良いでしょう。

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まとめ

この記事のポイントをまとめました。

  • 亡くなった人に借金などの負債があった場合、何もしなければ単純承認となり、相続人が借金も相続することになる
  • 相続放棄をすれば借金の相続から免れることができるが、すべての資産の相続を放棄しなければならない
  • 相続放棄は個人単位で行うことになり、申請の期限は相続の発生を知った日から3ヵ月以内
  • 相続人全員が相続放棄をした場合、相続財産に家などの不動産が含まれている場合は管理義務が残る
  • 相続放棄した家の管理責任から免れるためには、家庭裁判所で相続財産管理人を選任してもらう必要がある
  • 相続財産管理人の選任には数十万円~100万円程度の予納金が必要。さらに、弁護士などが相続財産管理人に選ばれた場合は、月に数万円の報酬が発生する

亡くなった人に借金があると、何もしなければ相続人が借金も引き継ぐことになります。

相続放棄をすれば借金を相続せずにすみますが、ほかのすべての相続を放棄しなければなりません。また、相続人全員が相続を放棄しても、相続した財産に家が含まれている場合は管理義務が残ります。

もし、相続した財産に借金があっても、借金額が少ない場合にはあえて相続放棄をしないのも1つの選択肢です。上手に家を売却すれば、売却代金で借金を返せる可能性もあります

家を相続したときにはいろいろな可能性があるため、借金問題だけにとらわれず、まずは負債と資産がどのくらいあるのかそれぞれ明らかにすることが重要です。

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