
相続した家に抵当権がついているようで、相続すべきか迷っています…
売却したらいくらくらいになるのかも教えていただきたいです。
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
遺産相続をしたとき、相続した家に「抵当権(ていとうけん)」がついているケースがあります。
この場合、相続したからといって、抵当権が消えることはないため、家をそのまま相続すべきかどうか、慎重に検討しなければなりません。
こちらでは、借金で家に抵当権がついている不動産を相続するときの注意点について説明します。
だから!

もくじ

抵当権とは
抵当権(ていとうけん)とは、お金を貸した側が不動産を借金の担保に入れる権利のことです。
抵当権が設定されている場合、その元となっている借金が返済できなければ、不動産を強制的に売却(競売)して借金の返済に充てます。
抵当権の元となる借金は、不動産の所有者の借金である場合だけでなく、他人の借金である場合もあります。
自分の借金の担保としている場合、自分がきちんと返済をしている限り不動産をとられませんが、他人の借金の担保として抵当権を設定している場合、その他人が借金返済を怠ると自分の土地や建物をとられてしまいます。
参考 抵当権とはなにかイクラちゃんねる抵当権の内容を確認する方法
不動産にどのような抵当権がついているか確認する場合は、法務局で不動産の「登記簿謄本(全部事項証明書)」を取得しましょう。
全部事項証明書には、抵当権者名(ていとうけんしゃめい:抵当権をつけた者)、担保となっている債権の内容や金額などが記載されています。
(抵当権設定登記の例)
参考 全部事項証明書とは?イクラちゃんねる複数の不動産(土地と建物など)にまたがって抵当権がついている場合、「共同担保目録」という書類を取り寄せることにより、どの不動産に抵当権が設定されているか確認できます。
相続しても抵当権は消えない
不動産の相続が起こったら、それまで設定されていた抵当権(借金の担保)は消えるのでしょうか。
実は抵当権は、土地建物の相続とは無関係に存続します。つまり不動産を相続しても抵当権は消えず、抵当権付きの不動産をそのまま相続することになります。
借金も相続対象になるので、被相続人(亡くなった人)が借金していた場合は、その借金も相続人(相続する人)に引き継がれます。相続後に借金の返済が滞れば、不動産を競売にかけられてしまいます。
抵当権つきの不動産にも一応価値はありますが、借金を担保している状態なので「いつなくなるかわからない不安定な状態」ともいえます。
抵当権を消す方法
抵当権付きの不動産を相続したとき、抵当権を消すにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは借金を返済する
抵当権を抹消するには、基本的に借金を完済するしかありません。被担保債権が被相続人(亡くなった人)自身の借金であれば、相続人たちが借金を相続するので、遺産の中から支払うのがベストです。
まずは相続した不動産などを売却し、その売却代金から完済することを目指しましょう。
被担保債権(ひたんぽさいけん)とは
被担保債権とは、担保の元になった債権(さいけん:お金や不動産を受け取る権利)のことです。
たとえば、銀行から住宅ローンを借りる場合、銀行は、借りた人の返済が滞るなど、債務を果たさない場合に備え、住宅の土地と建物を担保とし、抵当権を設定します。
この場合、抵当権で保証される債権(ここでは銀行が貸したローン)が被担保債権にあたります。
もしも被担保債権が他人の借金ならば、基本的にその他人が完済するのを待ちます。もちろん「第三者弁済」として、相続人たちが代わりに支払ってあげても良いですが、一般的にはそこまでする義理はないでしょう。
他人が借金を順調に返済し続けている限り、抵当権を実行される可能性はありませんし、完済されたら抵当権を抹消することが可能です。
抵当権を抹消する具体的な手続き
抵当権の元となった借金が完済されても、自然に抵当権の登記が消えるわけではありません。金融機関から抵当権抹消用の書類をもらい、法務局で「抵当権の抹消登記」を申請する必要があります。
登記をしないといつまでも不動産登記に抵当権の表示が残ってしまい、賃貸活用などに悪影響を及ぼす可能性もあります。
完済したら、借入先の金融機関に連絡を入れましょう。自分たちで登記申請をするのが手間だと感じる場合、司法書士に依頼すると登記を代行してもらえます。
相続債務の清算方法について
相続した不動産に抵当権がついている場合、被担保債権額がいくらになっているのかが重要です。
特に被相続人(亡くなった人)自身が借金していた場合、その借金も相続人に引き継がれてしまいます。
被相続人の借金は、不動産を相続した相続人ではなく、法定相続人全員に法定相続分に従って引き継がれます。つまり、不動産を相続しない相続人にも相続分に応じた借金返済義務が及んでしまうということです。
預貯金や換金した不動産によって借金を完済できるなら良いですが、足りなければ相続人たちが自腹で被相続人の負債を返済しなければなりません。
支払えなければ、相続人自身が破産しなければならない危険性もあります。
相続権の一切を放棄する「相続放棄」
もしも遺産内容が債務超過状態になっていて、資産を全部売却しても債務を完済できないのであれば、「相続放棄(そうぞくほうき)」をおすすめします。
相続放棄をすれば、その人は始めから相続人ではなかったことになるので、資産も相続できませんが負債を相続することもありません。
相続放棄は相続人1人1人が個別に行う手続きなので、他の相続人が相続放棄をしなくても、自分1人で行うことが可能です。
相続放棄の注意点など詳しくは「借金で家を相続放棄!それでも残る家の管理責任と免れるための方法」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
余りがあれば相続できる「限定承認」
遺産内容が債務超過かどうかわからない場合には、「限定承認(げんていしょうにん)」という方法で、資産が債務を超過する場合にのみ超過した資産を受けとることができる(借金は相続しない)方法もあります。
限定承認は、相続人全員が共同で申し立てしなければなりません。
相続放棄では、相続人全員が放棄すると家は手放すしかありませんが、限定承認であれば、家を残せる可能性もあります。
限定承認について詳しくは「限定承認して家を残す」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
相続放棄は「相続しない」選択肢であるのに対し、限定承認は「相続する」選択肢の1つといえます。
まとめ
今までの所有者が亡くなったからといって、抵当権は消えることがありませんので、相続するかどうか慎重に見極める必要があります。
相続放棄や限定承認という方法もありますが、どちらも基本的に相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きする必要があるので、早めの行動が大切です。
相続した不動産に抵当権がついていて、どうしたらよいのかわからないという人はまず「イクラ不動産」をご利用ください。
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