空き家や古い家を売却するときに、建物を解体して更地(さらち)にしてから売るという方法があります。
ボロボロの古い建物があるより更地にする方が売却しやすいと思うかもしれません。しかし、一概に更地にするべきではなく、状況に応じて選ぶことが大切です。
こちらでは、更地にしてから売却するメリット・デメリットと共に、更地にしてからの売却がおすすめのケースについてわかりやすく説明します。
- 「更地にする」とは、どのようなことかについて
- 更地にしてから売却するメリットとデメリットについて
- 更地にして売却するのがおすすめのケースについて
- この記事はこんな人におすすめ!
- 古い家やボロボロの空き家の売却を予定している人
- 更地にしてから売却するメリットやデメリットを知りたい人
- 更地にしてからの売却がおすすめのケースについて知りたい人
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1.そもそも「更地にする」とは?
- 「更地」とは、建物や工作物などがなく、借地権などの使用を制限するものがない状態の土地のこと
- 建物を解体したあと、きれいな状態にするには「整地」が必要
- 解体を整地はセットで行われることが多いが、契約内容によっては別々の場合もあるため注意する
「更地(さらち)にする」とは、土地の上に建築物や工作物などがない「まっさら」な状態にすることです。
さらに、借地権(自分の建物を建てるために、他人の土地を借りる権利のこと)などが設定されておらず、購入後、自由に建物を建築できる状態になっている土地のことを指します。
ただし、抵当権については、土地の使用収益を制限する権利ではないため、抵当権が付いている土地であっても更地であると見なされます。
自らが所有している土地の場合、家を解体すれば建物がなくなるので、更地になると言えます。
1-1.解体後、高値で売るには「整地」が必要
整地(せいち)とは、建物を解体したあとに土地をきれいな状態にすることです。
建物を解体すれば、大量のコンクリート破片、細かい砂利、木くず、鉄くずなどが出ます。
そのままの状態だと、購入者に与えるイメージが良くないうえに、すぐに土地を活用したいと思っても整地する時間も費用もかかってしまうなど、買い手にとっては大きなマイナス点となります。
そのため、建物を解体するだけでなく、整地された土地のほうが買い手も見つけやすく、売却価格も高めに設定しやすくなるのです。
1-2.解体と整地は必ずセットなの?費用は?
「建物の解体」と「整地」はセットで行われると考えている人も多いでしょう。
実際に、解体業者に家の解体を依頼すれば、整地を行ってくれることがほとんどです。
しかし、解体工事業者との契約内容によっては、必ず解体と整地を一緒に行ってくれるとは言い切れません。
また、整地には、いくつかの方法があります。一般的には、解体後に土に含まれたコンクリートガラ、大きな石、木くず、ガラスなどを手や重機で取り除き、そのあとで重機で踏み固める粗整地(そせいち)という簡易なスタイルのことを指します。
そのほかにも、見栄えをよくするために真砂土(まさど)などの化粧砂や、土や砕石で舗装するしっかりとした整地方法までさまざまです。
これらの整地は、解体工事費の3〜5%ほどの費用が別途かかります。
金額の安さで選んだ解体業者が、整地をほとんどやってくれなかったといったケースもあります。
コストとも関係することなので、事前に「どの程度の整地まで行ってくれるのか」を確認するのはかなり重要なポイントです。
見積書に「整地」が含まれているかどうかをチェックしておきましょう。
前述した通り、整地方法もさまざまあり、各社どこまで仕上げてくれるのか工程もバラバラで、事前に説明してくれる業者もあまり多くありません。
そのため、事前に要望を伝えたうえでどの程度まで整地してくれるのかを確認しておくと、解体後のトラブルを防ぐことができます。
売却する場合は、真砂土などの化粧砂を敷いておくと見栄えが良いのでおすすめです。
2.更地にしてから売却するメリット
- ボロボロの空き家があるよりも、更地にするほうが印象が良くなるので売れやすくなる場合がある
- 新築を建てる予定のある人には、更地にしておくほうが購入してもらいやすくなる
- 売主として、売却後の建物に対する責任を負う必要がなくなる
更地にしてから売却するメリットとして、次のようなものがあげられます。
- 買い手がみつかりやすくなる
- 建物に対する責任を負う必要がなくなる
2-1.買い手が見つかりやすくなる
更地にしてから売却するメリットとして、まずあげられるのが買い手が見つかりやすくなることです。
購入希望者が、建物の管理に手間がかかって大変だと感じるような空き家なら、解体すれば手間や面倒が減るため売れやすくなります。
また、新築住宅を建てるために土地を探している人にとっては更地のほうが都合が良いため、買い手が見つかりやすくなるという点もメリットです。
特に、どう考えても建物がボロボロで、見るに堪えず「壊した方がいいだろう」という空き家の場合は、更地にした方が土地全体の大きさも把握しやすくなるので建物を残したままの売却よりも効果的だと言えるでしょう。
2-2.建物に対する責任を負う必要がなくなる
もう一つの更地にしてから売却するメリットは、売主が建物に対する責任を負わなくても良くなることです。
古家を売却したあとに、建物に雨漏りやシロアリ被害といった欠陥や不具合が見つかったとき、売主は買主に対して責任を負わなければなりません。
これを「契約不適合責任」といいます。
古い物件の場合、思わぬ欠陥を抱えている可能性が高いので、取り壊して更地にしてしまえば、こういったリスクを事前に防ぐことができます。
契約不適合責任については、「契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いを確認」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3.更地にして売却するデメリット
- 建物を解体すると、土地の固定資産税の優遇がなくなるので固定資産税がアップする
- 再建築不可物件の場合、一度解体すると新たに建物を建てられなくなってしまう
- 解体費用がかかってしまう
売却のために更地にする場合、次のようなデメリットがあることに注意が必要です。
- 土地の固定資産税がアップする
- 一度建物を解体すると新たに建てられない場合がある
- 解体費用がかかってしまう
3-1.土地の固定資産税がアップする
建物を解体すると固定資産税の「住宅用地の軽減措置」が適用されなくなるため、土地の固定資産税額が通常の金額に戻ってしまうことで金額が今までよりもアップします。
もちろん建物は取り壊すので、建物自体の固定資産税はなくなりますが、土地の固定資産税が最大で4倍程度上がってしまうこともあるため注意が必要です。
ただし、必ずしも更地にしたからといって、固定資産税が高くなるわけではありません。まれにですが、更地にしたほうが安くなるケースもあるので、税務署や税理士に確認するのが確実です。
3-2.一度建物を解体すると新たに建てられない場合がある
所有している空き家が、再建築不可物件の場合には注意が必要です。
再建築不可物件とは、法律上、その土地で現在ある建物を取り壊してしまうと新たな建物を建築できない不動産(土地)のことを指します。
建物を取り壊すと、もう家を建てられない土地になってしまうため土地の価値が著しく下がり、売ることがむずかしくなる場合も多いです。
特に、地方の場合は、自治体のルールが適用されているケースもあります。売却や解体前に、必ず確認しておきましょう。
再建築不可物件については「再建築不可は売却できる?相場は?再建築不可を可能にする方法」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
3-3.解体費用がかかってしまう
更地にするには、建物を解体しなければならないため、当然ですが解体費用がかかってしまいます。
建物の解体費用のおおよその目安は次の表のとおりです。
建物の構造 | 一坪あたりの解体費用 |
---|---|
木造 | 4~5万円/坪 |
鉄骨造 | 6~7万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 6~8万円/坪 |
つまり、30坪の木造一戸建てを解体する場合、150万円前後の解体費用が必要になるということです。
ただし、物件の立地や時期、地域によっても金額はことなりますので、実際に複数社から見積もりを取って必ず比較しましょう。
3-3-1.古くても中古住宅として売れる可能性もある
一般的に「古い家は売りにくい」というイメージがあるため、築年数の経った古い空き家を所有している人の多くは、更地での売却を考えてしまうのかもしれません。
しかし、空き家を解体して更地にしても、すぐに売れるわけではありません。
ボロボロの家でも解体せずに売れるパターンもあります。リノベーションの技術向上に伴い、基礎だけ残して、ほとんど新築と同じような状態に生まれ変わらせることもできるからです。
解体はいつでもできるので、築年数だけで判断せず、まずはボロボロの状態であっても「古家付き土地」として売り出すのがおすすめです。
まずは、今の状態のまま売却するといくらくらいになるのか調べてみましょう。
家の相場価格は、「イクラ不動産」を利用すれば、無料&秘密厳守で簡単に調べることができます。
契約前には買主との金額交渉が行われることが一般的です。前もって家の相場価格を調べておけば、売出し価格を設定する際や買い手と価格交渉をする際にも役に立ちます。
4.更地にして売却するのがおすすめのケース
- 立地条件が良く早期売却が期待できる場合は、更地にしてからの売却を検討しても良い
- 「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケースは、建物を解体して更地にするほうが良い
- 建物の耐震工事が必要な場合は、費用に応じて解体を検討するほうが良い
更地にしてから売却するのがおすすめのケースもあります。
それは、次のような場合です。
- 立地条件が良く、早期売却が期待できるケース
- 「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケース
- 建物の耐震性が著しく低いケース
これらのようなケースであれば、更地として売却することを検討してみても良いでしょう。
4-1.立地条件が良く早期売却が期待できるケース
地域によっては、用途を選ばない更地は需要が高いです。
また、購入後、買主はすぐに新しい建設が始められるため、購入しやすい物件ということになるでしょう。
固定資産税は毎年1月1日の状態で判断されます。
そのため、更地にするタイミングとしては、1月1日を過ぎてから取り壊し、1年以内に売却できれば、固定資産税が安いまま売却することができます。
4-2.「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケース
2015年5月に「空き家対策特別措置法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。
「特定空き家」に指定された場合は、状態を改善するよう行政から助言や指導、勧告がなされ、それでも命令に従わなかった場合は、強制的に強制解体や補修が行われてしまいます。
当然、それらの費用を負担するのは、空き家の所有者です。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理がおこなわれていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(出典:国土交通省)
特定空き家に指定され、指導に従わなかった場合は、固定資産税の優遇措置がなくなくなるため、実質更地と同じ扱いとなるだけでなく、50万円以下の過料も科せられます。
たとえ、特定空き家に該当しないケースであっても、自然災害などにより、建物の一部が破損し、万が一人に危害を加えてしまえば、損害賠償しなければならないというリスクもあります。
そのため、建物の劣化が激しい場合は、解体してしまうほうがリスクを減らせるだけでなく、周りに危害を加えることもなくなるので安心です。
4-3.建物の耐震性が著しく低いケース
1981年(昭和56年)5月31日以前の建築確認で建てられている建物は、旧耐震基準が適用されています。そのため、新耐震基準を満たしていないものがほとんどです。
新耐震基準を満たしておらず、耐震性が低い建物を売却するのであれば、売却前に耐震補強工事を行う必要があります。
地震大国である日本においては、建物の最低条件として耐震性が求められるだけでありません。耐震性を満たしていない物件だと住宅ローン減税を受けられないため、買い手がつきにくくなります。
したがって、改修費用の額によっては、解体して更地にしてから売るほうが良いでしょう。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 「更地」とは、建物や工作物などがなく、借地権などの使用を制限するものがない状態の土地のことを指す
- 建物を解体したあと、地面をきれいな状態にするには「整地」が必要
- 解体を整地はセットで行われることが多いが、契約内容によっては別々の場合もあるため見積もりで確認しておく
- 土地を更地にしてから売却するメリットは次のとおり
・買い手がみつかりやすくなる
・建物に対する責任を負う必要がなくなる - 土地を更地にしてから売却するデメリットは次のとおり
・土地の固定資産税がアップする
・一度建物を解体すると新たに建てられない場合がある
・解体費用がかかってしまう - 建物が古くても中古住宅として売れる可能性もあるため、自己判断で解体しないほうが良い
- 更地にしてからの売却がおすすめなのは次のようなケース
・立地条件が良く、早期売却が期待できるケース
・「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケース
・建物の耐震性が著しく低いケース
買い手を早く見つけたい売主にとって、古い建物や空き家を取り壊し、更地にしてから売却するのは有効な売却手段のひとつです。
ただし、更地にしたからといって必ずすぐに売れるとは限らないため、自己判断で家を解体してしまうことはおすすめできません。
更地にしてから売却するメリットやデメリットだけを見ても、不動産の状況や地域のニーズによっても判断は異なるため、一般の人が判断をするのは困難です。
必ず、その地域の売却に強い不動産会社に相談してからにしましょう。
まずは、今の状態のまま売却したらいくらくらいになるのかを「イクラ不動産」で調べてみてください。
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さらに、不動産売却でわからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフにいつでも相談できるので、安心して売却を進めることができます。
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