「空き家を売りたいけど、更地にするべき?そのまま売れる?」このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
空き家や古い家を売却するときに、建物を解体して更地(さらち)にしてから売るという方法があります。
ボロボロの古い建物があるより更地にする方が売却しやすいと思うかもしれません。しかし、安易に更地にするのではなく、状況に応じて選ぶことが大切です。
こちらでは、更地にしてから売却するメリット・デメリットと共に、更地にしてからの売却がおすすめのケースについてわかりやすく説明します。
この記事で具体的にわかる3つのポイント
- 「更地にする」とは、どのようなことかについてわかる
- 更地にしてから売却するメリットとデメリットがわかる
- 更地にして売却するのがおすすめのケースがわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 古い家やボロボロの空き家の売却を予定している人
- 更地にしてから売却するメリットやデメリットを知りたい人
- 更地にしてからの売却がおすすめのケースについて知りたい人
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もくじ
1.そもそも「更地にする」とは?
3つのポイント
- 「更地」とは古い建物や借地権などの使用を制限するものがなく、すぐに建物を建てられる状態の土地のこと
- 建物を解体したあと、きれいな状態にするには「整地」が必要
- 解体と整地はセットで行われることが多いが、契約内容によっては別々の場合もあるため注意する
まず、「更地とはどのような土地か?」について説明します。
1-1.「更地」とは、建物をすぐに建てられる状態の土地のこと
「更地(さらち)にする」とは、土地の上に建築物や工作物などがない「まっさら」な状態にすることです。
さらに、借地権(他人の土地を借りて建物を建てられる権利のこと)などが設定されておらず、購入後、自由に建物を建てられる状態の土地を指します。
ただし、抵当権については、土地の使用収益を制限する権利ではないため、抵当権が付いている土地であっても更地であると見なされます。
自らが所有している土地の場合、家を解体すれば建物がなくなるので、更地になると言えます。
1-2.解体後、高値で売るには「整地」が必要
整地(せいち)とは、建物を解体したあとに土地をきれいな状態にすることです。
建物を解体すれば、大量のコンクリート破片、細かい砂利、木くず、鉄くずなどが出ます。
そのままの状態だと、購入者に与えるイメージが良くないうえに、すぐに土地を活用したいと思っても整地する時間や費用がかかるため、買い手にとっては大きなマイナス点となります。
そのため、建物を解体するだけでなく、整地された土地のほうが買い手も見つけやすく、売却価格も高めに設定しやすくなるのです。
1-3.解体と整地は必ずセットなの?費用は?
解体業者に家の解体を依頼すれば、整地を行ってくれることがほとんどです。
しかし、解体工事業者との契約内容によっては、必ず解体と整地を一緒に行ってくれるとは言い切れません。
また、整地には、いくつかの方法があります。一般的には、解体後に土に含まれたコンクリートガラ、大きな石、木くず、ガラスなどを手や重機で取り除き、そのあとで重機で踏み固める粗整地(そせいち)という簡易なスタイルのことを指します。
そのほかにも、見栄えをよくするために真砂土(まさど)などの化粧砂や、土や砕石で舗装するしっかりとした整地方法までさまざまです。
これらの整地は、解体工事費の3〜5%ほどの費用が別途かかります。
金額の安さで選んだ解体業者が、整地をほとんどやってくれなかったといったケースもあるため、事前に「どの程度の整地まで行ってくれるのか」を確認するのはかなり重要なポイントです。
見積書に「整地」が含まれているかどうかをチェックしておきましょう。
2.空き家の売却を考えるときの3つの選択肢
3つのポイント
- 空き家の売却は、そのままの状態で売る、更地にして売る、買取業者に売るといった選択肢がある
- 更地にして売却する前に、まずは「古家付き土地」としてそのまま売るのがおすすめ
- すぐに現金化したい場合は買取業者に売るのがおすすめだが、相場価格よりも3割程度安くなる点に注意する
空き家を売却するとき、「更地にすべきか?」「そのまま売るべきか?」と迷う方は多いでしょう。
実は、空き家の売却方法には3つの選択肢があります。
どの方法が最適かは物件の状態や市場の需要によるため、まずはそれぞれの特徴を押さえておきましょう。
2-1.そのままの状態で売る
築年数が浅い、またはまだ住める状態なら、建物を解体せずに売れる可能性が高いです。
また、築年数が経った古い家でも、リフォーム前提で購入を検討する人や、不動産投資目的で中古住宅を探している人がいるため、 古い状態そのままでも買い手が見つかることがあります。
自己判断で空き家を解体して更地にした結果、 数十万~数百万円の費用がかかってしまい、そのままの状態で安く売るよりも損をしたというケースも少なくありません。
築年数だけで判断せず、ボロボロの状態であっても、不動産会社に相談をして「古家付き土地」として売り出してみるのがおすすめです。
まずは、今の状態のまま売却するといくらくらいになるのか調べてみましょう。
家の相場価格は、「イクラ不動産」を利用すれば、無料&秘密厳守で簡単に調べることができます。
2-2.更地にしてから売る
築年数が古く、老朽化が進んでいるような場合は、更地にすると売れやすくなるケースもあります。
更地にすることで、買い手が「すぐに家を建てられる」と判断しやすくなり、特に、都市部や新築需要の高いエリアでは、更地のほうが売却しやすいことが多いです。
また、「建物付きの土地」よりも「更地」のほうが、土地本来の価値を評価してもらいやすいため、適正な価格で売れる可能性があります。
ただし、更地にするには解体費用がかかるため、「更地にしたらどのくらいの価格で売れるのか?」を事前に確認し、費用対効果を考えることが重要です。
2-3.買取業者に売る
「なるべく早く売りたい」「売却活動をする時間がない」という方には、買取業者に売るという方法もおすすめです。
買取業者は、そのままの状態で買い取ってくれることが多いため、解体や修繕、リフォームの手間が不要になります。また、売却活動をせずにすぐに現金化できるため、すぐに売却して税金や維持費の負担を減らしたい方にもピッタリです。
さらに、買取業者に売る場合は、売主の契約不適合責任を免除する特約を付けることもできるため、売却後に建物の不具合を心配することもありません。
ただし、市場価格よりも売却価格が3割程度安くなることが多いです。そのため、高く売ることよりも、スピードを優先したい人向けだと言えます。
買取での売却を検討する際も、ぜひ「イクラ不動産」をご利用ください。
前もって家の相場価格を調べておけば、買取業者が出した査定額が適切かどうかを判断する際にも役に立ちます。
3.更地にしてから売却するメリット
3つのポイント
- ボロボロの空き家があるより更地のほうが印象が良くなり、土地の状態も確認しやすくなるので売れやすくなる場合がある
- 新築を建てる予定のある人には、更地にしておくほうが購入してもらいやすくなる
- 売主として、売却後の建物に対する責任を負う必要がなくなる
更地にしてから売却するメリットとして、次のようなものがあげられます。
- 買い手がみつかりやすくなる
- 土地の状態を確認しやすくなる
- 建物に対する責任を負う必要がなくなる
3-1.買い手が見つかりやすくなる
更地にしてから売却するメリットとして、まずあげられるのが買い手が見つかりやすくなることです。
購入希望者が、建物の管理に手間がかかって大変だと感じるような空き家なら、解体すれば手間や面倒が減るため売れやすくなります。
また、新築住宅を建てるために土地を探している人にとっては更地のほうが都合が良いため、買い手が見つかりやすくなるという点もメリットです。
特に、どう見ても建物がボロボロな空き家の場合は、更地にしてから売却するほうが、建物を残したままの売却よりも効果的だと言えます。
3-2.土地の状態を確認しやすくなる
建物を解体して更地にすることで、土地の状態を確認しやすくなる点もメリットです。
特に、地中に埋没物があるかどうか、土壌汚染されていないか、地盤がしっかりしているかなどの調査がしやすくなります。
さらに、土地の形状や境界線も確認しやすくなるため、買い手が購入する際の安心材料となり、高く売れる可能性が増えると言えるでしょう。
3-3.建物に対する責任を負う必要がなくなる
もう一つの更地にしてから売却するメリットは、売主が建物に対する責任を負わなくても良くなることです。
古家を売却したあとに、建物に雨漏りやシロアリ被害といった欠陥や不具合が見つかったとき、売主は買主に対して責任を負わなければなりません。これを「契約不適合責任」といいます。
古い物件の場合、思わぬ欠陥を抱えている可能性が高いので、取り壊して更地にしてしまえば、こういったリスクを事前に防ぐことができます。
契約不適合責任については、「契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いを確認」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
4.更地にして売却するデメリット
3つのポイント
- 建物を解体すると、土地の固定資産税の優遇がなくなるので固定資産税がアップする
- 再建築不可物件の場合、一度解体すると新たに建物を建てられなくなってしまう
- 解体費用がかかってしまう
売却のために更地にする場合、次のようなデメリットがあることに注意が必要です。
- 土地の固定資産税がアップする
- 一度建物を解体すると新たに建てられない場合がある
- 解体費用がかかってしまう
4-1.土地の固定資産税がアップする
建物を解体すると固定資産税の「住宅用地の軽減措置」が適用されなくなるため、土地の固定資産税額が通常の金額に戻ってしまうことで金額が今までよりもアップします。
もちろん建物は取り壊すので、建物自体の固定資産税はなくなりますが、土地の固定資産税が最大で4倍程度上がってしまうこともあるため注意が必要です。
ただし、必ずしも更地にしたからといって、固定資産税が高くなるわけではありません。まれにですが、更地にしたほうが安くなるケースもあるので、税務署や税理士に確認するのが確実です。
4-2.一度建物を解体すると新たに建てられない場合がある
所有している空き家が、再建築不可物件の場合には注意が必要です。
再建築不可物件とは、法律上、その土地で現在ある建物を取り壊してしまうと新たな建物を建築できない不動産(土地)のことを指します。
建物を取り壊すと、もう家を建てられない土地になってしまうため土地の価値が著しく下がり、売ることがむずかしくなる場合も多いです。
特に、地方の場合は、自治体のルールが適用されているケースもあります。売却や解体前に、必ず確認しておきましょう。
再建築不可物件については「再建築不可は売却できる?相場は?再建築不可を可能にする方法」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
4-3.解体費用がかかってしまう
更地にするには、建物を解体しなければならないため、当然ですが解体費用がかかってしまいます。
建物の解体費用のおおよその目安は次の表のとおりです。
建物の構造 | 一坪あたりの解体費用 |
---|---|
木造 | 4~5万円/坪 |
鉄骨造 | 6~7万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 6~8万円/坪 |
つまり、30坪の木造一戸建てを解体する場合、150万円前後の解体費用が必要になるということです。
ただし、物件の立地や時期、地域によっても金額はことなりますので、実際に複数社から見積もりを取って必ず比較しましょう。
5.更地にして売却するのがおすすめのケース
3つのポイント
- 立地条件が良く早期売却が期待できる場合は、更地にしてからの売却を検討しても良い
- 「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケースは、建物を解体して更地にするほうが良い
- 建物の耐震工事が必要な場合は、費用に応じて解体を検討するほうが良い
更地にしてから売却するのがおすすめのケースもあります。
それは、次のような場合です。
- 立地条件が良く、早期売却が期待できるケース
- 「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケース
- 建物の耐震性が著しく低いケース
これらのようなケースであれば、更地として売却することを検討してみても良いでしょう。
5-1.立地条件が良く早期売却が期待できるケース
都市部や市街地など、用途を選ばない土地の需要が高い地域があります。そのような立地の土地であれば、更地にしておくことで早期売却が期待できるでしょう。
ただし、需要が高い土地は、固定資産税も高いことが多いです。
そのため、更地にするタイミングとしては、固定資産税が確定する1月1日を過ぎてから取り壊して1年以内に売却できれば、建物がないことで固定資産税が高くなるのを防ぐことができます。
5-2.「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケース
2015年5月に「空き家対策特別措置法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。
特定空き家の定義は、次のとおりです。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理がおこなわれていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(出典:国土交通省)
「特定空き家」に指定された場合は、状態を改善するよう行政から助言や指導、勧告がなされ、それでも命令に従わなかった場合は、強制的に強制解体や補修が行われてしまいます。当然、それらの費用を負担するのは、空き家の所有者です。
特定空き家に指定され、指導に従わなかった場合は、固定資産税の優遇措置がなくなるため、実質更地と同じ扱いとなるだけでなく、50万円以下の過料も科せられます。
たとえ、特定空き家に該当しないケースであっても、自然災害などにより、建物の一部が破損し、万が一人に危害を加えてしまえば、損害賠償しなければならないというリスクもあります。
そのため、建物の劣化が激しい場合は、解体してしまうほうが周りに危害を加えるリスクも減らせるので安心です。
5-3.建物の耐震性が著しく低いケース
1981年(昭和56年)5月31日以前の建築確認で建てられている建物は、旧耐震基準が適用されています。そのため、新耐震基準を満たしていないものがほとんどです。
新耐震基準を満たしておらず、耐震性が低い建物を売却するのであれば、売却前に耐震補強工事を行う必要があります。
地震大国である日本においては、建物の最低条件として耐震性が求められるだけでありません。耐震性を満たしていない物件だと住宅ローン減税を受けられないため、買い手がつきにくくなります。
したがって、改修費用の額によっては、解体して更地にしてから売るのがおすすめです。
6.空き家を更地にして売却するか迷った場合は、信頼できる不動産会社に相談する
空き家の売却を検討していて、「更地にすべきか?そのまま売るべきか?」と迷った場合は、まずは不動産会社に相談しましょう。
適切な判断をするためには、信頼できる不動産会社に相談するのが最善策です。
不動産会社に相談すれば、次のようなポイントについてプロの視点からアドバイスをもらうことができます。
- 現在の市場で「更地」と「古家付き土地」のどちらが売れやすいか?
- 空き家を解体した費用を上乗せした額で売却できそうか?
- 空き家を解体せずにリフォームやリノベーションで売れる可能性はあるのか?
また、不動産会社によっては、空き家をリフォームしてから売る際や、更地にするために空き家を解体する際の業者を紹介してくれるため、無駄な手間や費用をかけずに済む可能性もあります。
古い空き家の売却では、「更地にしなければ売れない」と決めつけず、まずは信頼できる不動産会社に相談して、最適な方法を確認するのが売却成功のカギです。
空き家の売却が得意な信頼できる不動産会社を探したい場合は、ぜひ「イクラ不動産」をご利用ください。
売却したい物件がある地域で、売却力のある不動産会社をランキング形式から選ぶことができます。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 「更地」とは、建物や工作物などがなく、借地権などの使用を制限するものがない状態の土地のことを指す
- 建物を解体したあと、地面をきれいな状態にするには「整地」が必要
- 解体を整地はセットで行われることが多いが、契約内容によっては別々の場合もあるため見積もりで確認しておく
- 土地を更地にしてから売却するメリットは次のとおり
・買い手がみつかりやすくなる
・建物に対する責任を負う必要がなくなる - 土地を更地にしてから売却するデメリットは次のとおり
・土地の固定資産税がアップする
・一度建物を解体すると新たに建てられない場合がある
・解体費用がかかってしまう - 建物が古くても中古住宅として売れる可能性もあるため、自己判断で解体しないほうが良い
- 更地にしてからの売却がおすすめなのは次のようなケース
・立地条件が良く、早期売却が期待できるケース
・「特定空き家」になりそうなほど建物の劣化が激しいケース
・建物の耐震性が著しく低いケース - 更地にしてから売却するかどうか迷った場合は、まずは不動産会社に相談するのがおすすめ
買い手を早く見つけたい売主にとって、古い建物や空き家を取り壊し、更地にしてから売却するのは有効な売却手段のひとつです。
ただし、更地にしたからといって必ずすぐに売れるとは限らないため、自己判断で家を解体してしまうことはおすすめできません。
更地にしてから売却するメリットやデメリットだけを見ても、不動産の状況や地域のニーズによっても判断は異なるため、一般の人が判断をするのは困難です。
必ず、その地域の売却に強い不動産会社に相談してからにしましょう。
まずは、今の状態のまま売却したらいくらくらいになるのかを「イクラ不動産」で調べてみてください。
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