
築40年と古い家なので、手を加えないと住める状況ではないかと思います。
そのため、更地にして売るほうがいいのではと思っているのですが、どうなのでしょうか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
空き家や古い家付きの土地を売却する選択肢のひとつとして、建物を解体して更地(さらち)にしてから売る方法があります。
ボロボロの古い建物があるより、更地にしてスッキリした土地にした方が売却しやすいと思うかもしれませんが、これは一概には言えません。
こちらでは、空き家や古い家付きの土地を更地にして売却するメリット・デメリットと共に、更地にしてから売却するおすすめのケースについてわかりやすく説明します。
もくじ
1.そもそも更地(さらち)とは?
更地(さらち)とは、建物や建築物・工作物などの建物がない「まっさら」な状態の宅地のことです。
借地権(自分の建物を建てるために、他人の土地を借りる権利のこと)などの権利が付いておらず、購入後、自由に建物を建築できる状態になっていることを指します。
ただし、抵当権は土地の使用収益を制限する権利ではないため、抵当権が付いている土地は更地に含まれます。
自らが所有している土地の場合、空き家を解体すれば建物がなくなるので、更地と言えます。
1-1.解体後、高値で売るには「整地」が必要
整地(せいち)とは、建物を解体した後に土地を綺麗な状態にすることです。
建物を解体すれば、大量のコンクリート破片、細かい砂利、木くず、鉄くずなどが出ますが、散乱したままで、雑草も刈っていなければ、売却のときに購入者に与えるイメージはよくないうえに、すぐに土地を活用したいと思っても整地する時間も費用もかかってしまうなど、買い手にとっては大きなマイナス点となります。
そのため、整地された土地のほうが、買い手も見つけやすく、売却価格も高めに設定しやすくなります。
1-2.解体と整地は必ずセットなの?費用は?

このように思う人もいるかもしれません。解体業者に依頼すれば、整地を行ってくれることがほとんどです。しかし、解体工事業者との契約内容によって必ずしもそうとは言い切れません。
また、整地には、いくつかの方法があります。一般的には、解体後に土に含まれたコンクリートガラ、大きな石、木くず、ガラスなどを手や重機で取り除き、その後重機で踏み固める粗整地(そせいち)という簡易なスタイルのことを指します。
そのほかにも、見栄えをよくするために真砂土(まさど)などの化粧砂や、土や砕石で舗装するしっかりとした整地方法まであります。これらは、一般的に解体工事費の3〜5%ほどの費用が別途かかります。
金額の安さに惹かれて選んだ業者が「ざっくりとした整地しかやってくれなかった」と土地の状態が悪いケースもあります。
コストとも関係することなので、事前に「整地まで行ってくれるのか」を確認するのはかなり重要なポイントです。見積書に「整地」と記載されているかチェックしてみましょう。
前述した通り、整地方法もさまざまあり、各社どこまで仕上げてくれるのか工程もバラバラで、事前に説明してくれる業者もあまり多くありません。
そのため、事前に要望を伝えたうえでどの程度まで整地してくれるのかを確認しておくと、解体後のトラブルを防ぐことができます。売却する場合は、真砂土などの化粧砂を敷いておくのがおすすめです。
2.更地にしてから売却するメリット
更地にしてから売却するメリットには、次のようなものがあります。
2-1.買い手が見つかりやすい
建物の管理に手間がかかって大変と感じている空き家なら、解体すれば面倒が減ります。
また、新築住宅を建てるために土地を探している人には、空き家を残した状態で売却するより、ニーズが高く、買い手が見つかりやすくなるというのもメリットです。
特に、どう考えても建物がボロボロで、見るに堪えず「壊した方がいいだろう」という空き家の場合は、更地にした方が土地全体の大きさも把握しやすくなるので建物を残したままの売却よりも効果的だといえます。
2-2.建物に対する責任を負う必要がなくなる
古家を売却した後に瑕疵(雨漏りやシロアリ被害といった欠陥のこと)が見つかったとき、売主は買主に対して、責任を負わなければならないという「契約不適合責任」というものがあります。
古い物件の場合、思わぬ欠陥を抱えている可能性も高いので、取り壊して更地にしてしまえば、こういったリスクを事前に防ぐことができます。
3.更地にして売却するデメリット
売却のために更地にする場合、次のような点に注意が必要です。
3-1.土地の固定資産税がアップする
建物を解体すると固定資産税の「住宅用地の軽減措置」が適用されなくなるため、土地の固定資産税額が通常の金額に戻ってしまうことで金額が今までよりもアップします。
もちろん建物は取り壊すので、建物の固定資産税はなくなりますが、土地の固定資産税が最大4倍程度上がってしまいます。
ただし、必ずしも更地にしたからといって、固定資産税が高くなるわけではありません。稀に更地にしたほうが安くなるケースもあるので、税務署や税理士に確認するのが確実です。
3-2.解体費用がかかってしまう
更地にするには当然、建物を解体しなければなりませんので、解体費用がかかってしまいます。
建物の解体費用のおおよその目安は以下の通りです。
建物の構造 | 坪あたりの解体費用 |
木造 | 4~5万円/坪 |
鉄骨造 | 6~7万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 6~8万円/坪 |
つまり、30坪の木造一戸建てを解体する場合、150万円前後必要になるということです。
ただし、物件の立地や時期、地域によっても金額はことなりますので、実際に複数社から見積もりを取って必ず比較しましょう。
解体費用などについて詳しくは「空き家を売却するときは取り壊して解体すべきかどうかについてまとめた」も併せてご覧ください。
3-3.解体してしまうと建物が建てられなくなる土地もある
所有している空き家が、再建築不可物件の場合には注意が必要です。
再建築不可物件とは、法律上、その土地で現在ある建物を取り壊してしまうと新たな建物を建築できない不動産(土地)のことを指します。
建物を取り壊すと、もう家を建てられない土地になってしまうので、不動産の価値が著しく下がり、売ることも難しくなるので注意が必要です。田舎などは、自治体のルールが適用されているケースもありますので、まずは必ず確認しておきましょう。
再建築不可物件については「再建築不可は売却できる?相場は?再建築不可を可能にする方法」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
3-4.中古住宅として売れる可能性もある
一般的に「古い家は売りにくい」というイメージがあるため、年数の経ったボロボロの空き家を所有している人の多くは、更地での売却を考えてしまうのかもしれません。しかし、空き家を解体しても、すぐに売れるわけではありません。
ボロボロでも、解体せずに売れるパターンもあります。リノベーションの技術向上に伴い、基礎だけ残して、ほとんど新築と同じような状態に生まれ変わらせることもできるからです。
解体はいつでもできるので、築年数だけで判断せず、まずはボロボロの状態であっても「古家付き土地」として売り出すのが一般的な売却方法です。
まずは、今の状態のまま売却するといくらくらいになるのか調べてみましょう。価格は「イクラ不動産」で無料で知ることができます。
契約前には買主との金額交渉が行われることが一般的ですので、解体費は売主が負担するもしくは、解体費を負担してもらう分、少し価格を値下げするなどの対応も可能なため、急いで解体してしまう必要はありません。
4.更地にしてから売却がおすすめのケース
ここまで更地にしてから売却するメリットとデメリットを紹介してきましたが、実際にどんなケースであれば更地にして売却するべきなのでしょうか。
- 立地条件が良く、早期売却が期待できる
- 「特定空き家」になりそうなど、建物の劣化が激しい
- 建物の耐震性が低い
上記のようなケースであれば、更地として売却することを検討してみましょう。
4-1.立地条件が良く、早期売却が期待できる
地域によっては、用途を選ばない更地は需要が高いです。また、購入後、買主はすぐに新しい建設が始められるため、購入しやすい物件ということになるでしょう。
固定資産税は毎年1月1日の状態で判断されます。
そのため、更地にするタイミングとしては、1月1日を過ぎてから取り壊し、1年以内に売却できれば、固定資産税が安いまま売却することができます。
4-2.「特定空き家」になりそうなど、建物の劣化が激しい
2015年5月に「空き家対策特別措置法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行され、「特定空き家」に指定された場合は、状態を改善するよう行政から助言や指導、勧告がなされ、それでも命令に従わなかった場合は最終的に強制解体や補修を行うことが出来るとされました。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理がおこなわれていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(出典:国土交通省)
特定空き家に指定され、指導に従わなかった場合は、固定資産税の優遇措置がなくなくなるため、実質更地と同じ扱いとなるだけでなく、50万円以下の過料も科せられます。
たとえ、特定空き家に該当しないケースであっても、自然災害などにより、建物の一部が破損し、万が一人に危害を加えてしまえば、損害賠償しなければならないというリスクもあります。
そのため、建物の劣化が激しい場合は、解体してしまうほうがリスクを減らせるだけでなく周りに危害を加えることもなくなるので安心です。
4-3.建物の耐震性が低い
1986年(昭和56年)5月31日以前に建てられた中古物件は、旧耐震基準が適用されている建物であるため、新耐震基準を満たしていない可能性が高いです。新耐震基準を満たしていない場合は、改修工事を行う必要があります。
地震大国である日本においては、耐震性を求められるのは最低条件であるだけでなく、買主が住宅ローン減税を受けられないなど、買い手がつきにくい傾向にありますし、改修費用によっては解体して更地として売るほうがよいでしょう。
まとめ
買い手を早く見つけたいという空き家所有者にとって、建物を取り壊して更地にしてから売却するのは有効な手段のひとつです。
ただし、更地にしたからといって、売れるかどうかわからないのに、最初に解体してしまうことはおすすめできません。
メリットやデメリットだけ見てもなかなか判断できませんし、不動産の状況や地域のニーズによっても判断は異なります。
必ず、その地域の売却に強い不動産会社に相談してからにしましょう。
まずは、今の状態のまま売却したらいくらくらいになるのかを「イクラ不動産」で調べてみてください。無料&秘密厳守で簡単に素早く相場価格がわかるだけでなく、売却に強い不動産会社も探すことができます。
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