田舎に住んでいる親が老人ホームや高齢者施設に入り、実家が空き家になることがあります。
そのとき、空き家になった実家を空き家のままにしておくのか、それとも売却するのかで悩む人も多いでしょう。
もし、いずれ売却することになるのであれば、維持費用や税制面などを考えると早めに売却するのがおすすめです。
こちらでは、田舎の親が老人ホームに入ったとき、空き家のままにしておくより売却すべき理由についてわかりやすく説明します。
- 田舎の親が老人ホームなどに入って空き家になった実家をどうすれば良いのか
- 老人ホームなどに親が入るタイミングで実家を売却するメリット
- 空き家になった実家の売却を親が拒む場合の対処法
- この記事はこんな人におすすめ!
- 田舎に住んでいる親が老人ホームに入ることになり、空き家になる実家をどうすれば良いのかわからない人
- 親の代わりに実家を売却する方法を知りたい人
- 空き家になった実家の売却を親が拒むときの対処法を知りたい人
もくじ
1.親が老人ホームに入って空き家になった実家はどうすればいいか?
田舎の親が老人ホームに入ったとき、空き家になった実家をどうすべきかと迷う人も多いでしょう。
そのような場合のおもな選択肢は、次の3つです。
- 空き家のままにしておく
- 親以外の人が住む
- 売却する
それぞれの選択肢がどのような状況でおすすめなのかについて、具体的に説明します。
1-1.空き家のままにしておく
空き家のままにしておくのがおすすめなのは、親が実家に戻ってくる見通しが立っている場合です。
一時的な老人ホームの入居や入院など、数ヵ月から1年以内程度のうちに親が戻るのであれば、空き家のままにしておいても良いでしょう。
ただし、空き家にしている間の管理をどうするかや、維持管理にかかる費用については、家族全体で話し合って決めておくことが大切です。
1-2.親以外の人が住む
親以外の人が、空き家になっている実家に住むという方法を選ぶ場合もあるでしょう。親が実家に戻る可能性が低いけれども、売却もしたくない、しかし空き家の管理に費用をかけたくない、といった場合に選ぶ人が多いです。
この方法には、子どもをはじめとする親族が住む場合だけでなく、賃貸に出して第三者が住む場合も含まれます。賃貸に出せば家賃が入るため、金銭的な悩みが減るでしょう。
ただし、賃貸に出す場合は、当然ですが実家の荷物をすべて出さなければなりません。また、入居者を探したり賃貸中の管理をしたりと、時間と労力のハードルが高くなりがちです。
賃貸物件の需要が高い地域以外では、あまりおすすめではないと言えます。
1-3.売却する
老人ホームに入居した親が実家に戻る見通しがない場合や、実家を引き継いで住む人がいない場合などは、空き家になった実家を売却するのがおすすめです。
できれば、老人ホームや高齢者施設に入ってからあまり時間が経たないうちに売却するほうが、売却のメリットがより多くなります。
次の章で、なぜ老人ホームに入るタイミングで売却するほうが良いのか、その理由をくわしく説明します。
2.老人ホームに入るタイミングで実家を売却するメリット
田舎の親が老人ホームや高齢者施設に入るタイミングで、空き家になってしまう実家の売却を検討すべき理由は、次のようなメリットがあるからです。
- 売却代金を老人ホームなどの費用に充てられる
- 空き家になった実家の維持管理費用が不要になる
- 「3000万円特別控除」が利用できる可能性がある
- 「相続空き家の3000万円特別控除」が受けられる
- 親が認知症になると売却しにくくなる
一つずつ、わかりやすく説明します。
2-1.売却代金を老人ホームなどの費用に充てられる
老人ホームや高齢者施設への入所代は決して安くありません。また、その後の生活費や医療費を考えると、まとまったお金を準備しておくことに越したことはありません。
実家を売却すれば、まとまった額の売却代金を得ることができるため、老人ホームへの入所費用に充てることができます。
特に実家を売却する場合は、「いつまでに売らなければならない」といった事情がないケースが多いはずです。そのため、不本意な値下げをすることもなく、できるだけ希望の金額に近い価格での売却がしやすいと言えます。
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2-2.空き家になった実家の維持管理費用が不要になる
空き家になった実家は、そのまま放置しておくことはできません。適切に管理するための費用が必要です。
人が住んでいれば、日常的な掃除や換気ができますが、誰も住まなくなった家は、傷むスピードが早くなります。
不審者が侵入して家具や電化製品が盗難に遭ったり、放火が起きたりするかもしれません。また、誰も住んでいなくても、火災保険や固定資産税などは今まで通り必要です。
家を売却してしまえばこういった家の維持管理費も必要なくなります。
2-3.「3000万円特別控除」が利用できる可能性がある
一般的に、家を購入したときの金額よりも高く売却できて利益が出た場合は、譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)という税金を納めなければなりません。
ただし、マイホームの場合は、売却するときに「利益が3000万円以下なら税金はかからない」という「3000万円特別控除」の特例があるため、実際に譲渡所得税を納める人はほとんどいません。
ただし、この特例を受けるためには、いくつかある要件のうちの一つ、「住まなくなってから3年目の12月31日までに売却する」を満たす必要があります。
親が老人ホームに入所してから「売ろうか、どうしようか」と考えているうちに3年が過ぎると、特例の対象外になるため要注意です。
まずは、現時点で売却利益が出るかどうかを調べておくようにしましょう。売却して利益が出なかったり損失が出たりした場合は、譲渡所得税はかかりません。
2-4.「相続空き家の3000万円特別控除」が受けられる
親が老人ホームに入って亡くなった場合、空き家になっている実家の相続が発生します。
先に説明した「マイホーム売却時の3000万円の特別控除」を同じように、相続した空き家の売却によって得た売却益(譲渡所得)から最大3000万円が控除されるのが、「相続空き家の3000万円特別控除」という制度です。
この特例を使うには、「相続が開始される寸前まで被相続人(亡くなった方)が住んでいた」などの要件を満たすことが必要になります。
つまり、「老人ホームに長く入っていて亡くなった」というケースでは、親の生活拠点が「マイホーム」から「老人ホーム」へと移り変わっていると見なされることがあり、そうなると、この特例の対象外になってしまいます。
2-5.親が認知症になると売却しにくくなる
家をはじめとする不動産を売却することができるのは、所有者である本人だけです。しかし、所有者本人が認知症などで不動産を売却するために必要な判断能力がないと見なされた場合は、売買契約を結んだとしても無効になってしまいます。つまり、売ることができません。
もし、親が認知症になって判断能力が欠いてしまったら、たとえ血の繋がりがある子供であっても勝手に売ることはできないのです。
後述する成年後見制度を利用するという方法もありますが、親の判断能力があるうちに売却してしまうのが、一番スムーズに解決できる方法だと言えるでしょう。
3.実際に売ると決まったら親名義の家は子供でも売却できる?
家の売却完了までには、不動産会社とのやり取りなどに加え、売買契約や決済に出向いたり、家の引き渡しの準備などを要するため、高齢の方にとっては大変なこともあります。
そこで子供が親に代わって売却の手続きを進めたいということもあることでしょう。
親名義の家を子供が代わりに売却するためには、所有者である親本人の意思確認が必ず必要となります。
家の売却について意思がきちんと確認できるケースと、認知症などで意思がきちんと確認できないケースによって、方法が異なります。
3-1.売却の意思が確認できる場合は「委任状」を取り付ける
親の判断能力があり、売却の意思がきちんと確認できるケースでは、「委任状」があれば、子供などの親族が代理人となって家を売却することが可能です。
委任状には、売主である親本人の自署と実印での押印が必要ですので、合わせて親の印鑑証明書と本人確認書類を添付しなければなりません。委任状は、通常不動産会社が用意してくれます。
ただ、委任状などの必要書類が揃っていたとしても、残代金の受け取りと物件の引渡しの前には必ず、事前に司法書士が親の本人確認や売却の意思を確認するための面談が必要となります。
親の代わりに家を売却する方法については、「親の家を子供が代わりに売却する2つの方法!必要な手順や注意点を解説」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
3-2.親が認知症などの場合は「成年後見制度」も検討する
前述した通り、家の売却には所有者である親本人の意思確認が必ず必要となります。そのため、親が認知症や脳梗塞といった病気などで「意思能力」が無くなってしまった状態では、家の売却はできません。
そのような場合は、成年後見人制度を利用すれば、親名義の家を売却することができます。しかし、必ずしも子供が後見人になれるわけではない点に注意が必要です。
成年後見人として認められるためには、「自分が成年後見人になる」という意思を家庭裁判所に申し立て、認められる必要があります。しかし、本人に代わって財産の管理を行うという重い責任を負う立場となるため、弁護士や司法書士などの第三者が選ばれるケースも大いにあります。
たとえ子供である自分が選ばれなかったからといって、成年後見制度をやめることはできません。
また、仮に成年後見人として認められた場合であっても、売却するには、あらためて「親が所有している家を売りたい」と家庭裁判所に申し立てて、許可を得る必要があります。
親が認知症になってしまった場合の売却方法については、「認知症になった親の家を売却できる?成年後見制度についてわかりやすく解説」でくわしく説明しています。ぜひご覧ください。
3-2-1.任意後見制度を利用するのもおすすめ
任意後見制度とは、判断能力があるうちに、将来、自分の判断能力が衰えてきた時に備えて、あらかじめ「後見人」を誰にするか、自分で決めておくことができる制度のことです。
基本的には、子供や孫はもちろん友人でも任意後見人になることができるので、信頼できる方に依頼し、引き受けてもらう契約(任意後見契約)を結びます。
前述した成年後見制度では、必ずしも子供が後見人になれるわけではありませんので、親が元気なうちに「任意後見人」を子供に選んでおけば、本人の判断能力が衰えたときは子供が代理で家を売却することができます。
4.家の売却に同意してもらえないときはどうすべき?
親が実家の売却に同意してくれないけど、今後の介護にかかる費用や将来のことを考えるとお金が必要になるので心配だという方は、次のような方法を検討してみても良いでしょう。
- リースバックの利用を検討してみる
- リバースモーゲージの利用を検討してみる
それぞれの方法について、わかりやすく説明します。
4-1.リースバックの利用を検討してみる
老人ホームや高齢者施設の入居費用や生活費を工面するために、家を売却してまとまったお金を得たいけれども、時折、親が実家に戻るために、家は売らずにおきたいという場合があります。
そのような、家を売っても住み続けたい場合は、リースバックを利用するというのも一つの手です。
リースバックを利用すれば、家を売却して売却代金を受け取り、そのあと、賃貸として住み続けることができます。
リースバックについては、「【リースバックのまとめ】家を売っても住み続けられる!利用方法や注意点を詳しく解説」で説明しています。ぜひ一読してみてください。
4-2.リバースモーゲージの利用を検討してみる
リバースモーゲージとは、簡単にいうと、自宅を担保(たんぽ)にすることで、お金が借りられる不動産ローンのことです。
借りたお金については、家の所有者が亡くなったときに、担保となっていた家の売却代金で一括返済します。
自宅を今すぐに売却することなくお金を借りることができるので、売却に同意してもらえないけど、親の介護費や医療費に回したいというときには検討すべき一つの制度です。
ただし、借りられる金額は、一般的に不動産の土地評価額の5〜7割程度と、売却するよりも低くなります。
リバースモーゲージについては、「家に住みながらお金を借りることができるリバースモーゲージとは?」でくわしく説明しているので、ぜひご覧ください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 親が老人ホームや高齢者施設などに入って実家が空き家になった場合に取れる方法は次の3つ
・空き家のままにする
・親以外の人が住む
・売却する - 親が実家に戻る予定がない場合は、維持管理日の節約や施設への入所費用捻出のためにも売却を検討すると良い
- 次のような5つの理由から、空き家になる実家を売却するのであれば、親が老人ホームに入所するタイミングがおすすめ
1.売却代金を老人ホームなどの費用に充てられる
2.空き家になった実家の維持管理費用が不要になる
3.「3000万円特別控除」が利用できる可能性がある
4.「相続空き家の3000万円特別控除」が受けられる
5.親が認知症になると売却しにくくなる不動産会社の業務には、不動産開発、不動産仲介、不動産管理の3つがある - 親の代わりに実家を売却する場合、親に判断能力があれば委任状を作成して代理人として売却できる
- 親の判断能力がない場合は、成年後見制度を利用することになる。判断能力があるうちに、任意後見制度を利用するのもおすすめ
- 親が実家の売却を拒む場合は、次のような方法の利用を検討してみる
・リースバック:実家を売って売却代金を得たあと、賃貸として住み続けることができる
・リバースモーゲージ:実家を担保にしてまとまった額の融資を受け、所有者が亡くなったら売却代金で一括返済をする
親が老人ホームや高齢者施設などに入所すると、実家が空き家になるケースが多いです。
親が実家に戻る見通しが立たない場合は、空き家にしたまま放置するよりも、思い切って売却を検討してみても良いでしょう。売却するのであれば、維持管理費用や税制面から、老人ホームに入所するタイミングがおすすめです。
しかし、親が「まだ家を売りたくない」という意向があれば、無理に売却は進められません。
そのような場合は、リースバックやリバースモーゲージを利用するという方法があります。
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