田舎の親が老人ホームや高齢者施設に入り、実家が空き家になることがあります。このとき、「空き家をどうどうするべきか?」と悩む人も多いでしょう。
こちらは、実際に「イクラ不動産」に寄せられたご相談の一例です。
【実際の相談例】
💬 田舎に一人で住んでいた母親が老人ホームに入ることになり、実家をどうしようかと悩んでいます…。
できれば売りたいのですが、母の気持ちを考えると一歩を踏み出すことができません。何か良い方法はあるでしょうか…
もし将来的に売却を考えているなら、維持費用や税制面の負担を考慮しても早めに売却を検討するのがおすすめです。
この記事では、老人ホーム入所と同時に空き家となった実家を「売る・貸す・残す」各選択肢と判断ポイントをわかりやすく解説します。
この記事で具体的にわかる3つのポイント
- 親が老人ホームに入った後の空き家の実家の扱い方(売却・維持・賃貸)
- 老人ホーム入所タイミングで売却することの具体的なメリット
- 親が売却を拒んだ場合の代替手段(リースバック・リバースモーゲージ)
- この記事はこんな人におすすめ!
- 親が老人ホームに入所し、実家が空き家になって困っている方
- 空き家になった実家を売却するか迷っている方
- 親が実家の売却を拒否しているが対処法を知りたい方
もくじ
1.親が老人ホームに入ったら実家はどうする?【3つの判断基準】
親が老人ホームに入ったあと、実家が空き家になる状況に直面したとき、取れる選択肢は次の3つです。
- 空き家のまま維持する
- 親族や第三者が住む
- 実家を売却する
1-1. 空き家のまま維持する場合のメリット・注意点
親が実家に戻る見通しがある場合は、無理に売却せずそのまま維持するのも一案です。
ただし、空き家のままにすると定期的な管理・維持費(草刈り・修繕・税金)が発生するため、事前に家族で役割分担を決めておくと安心です。
1-2. 他の人が住む・賃貸に出すという選択肢
親が戻る見込みはないが、売却までは考えていない場合、家族や第三者が住む・貸すという手段もあります。
賃貸にすれば家賃収入が得られる反面、管理の手間や借り手がつかないリスクも考慮する必要があります。
1-3. 売却するのが適切なタイミングとは?
親が戻る可能性がなく、家を引き継ぐ人もいない場合は、空き家のまま放置するよりも早期の売却がおすすめです。
この後の章で「なぜ老人ホーム入所のタイミングで売却すべきなのか?」を詳しく解説します。
2.老人ホーム入所のタイミングで実家を売却するメリットとは?
親が老人ホームへ入所した直後は、「実家を売却する最も適切なタイミング」とも言えます。その理由は、以下の5つです。
- 売却代金を施設入居や介護費用に活用できる
- 空き家管理の負担とコストを軽減できる
- 「3,000万円特別控除」が使える可能性がある
- 相続前の売却で、税制上のメリットを得やすい
- 親の認知症リスクが低いうちに手続きができる
2-1. 売却益を入居・生活・医療費に充当できる
老人ホームの入居一時金や月額費用は高額になることが多く、実家を売却して資金を確保することで、経済的な不安を減らせます。
2-2. 空き家維持コストの削減・トラブル回避
空き家のままでは草刈り、清掃、修繕、防犯、火災リスクなど、さまざまな維持管理コストと手間がかかります。
早期売却によって、精神的・金銭的負担を一気に軽減できます。
2-3. 「3,000万円特別控除」を使うなら早めの売却を
マイホーム売却における譲渡所得税を最大3,000万円まで控除できる制度がありますが、「住まなくなってから3年以内」などの厳格な条件があります。
制度の詳細はこちらをご確認ください。
2-4. 相続前の売却で節税につながる可能性
相続発生後に売却するよりも、親が健在なうちに売却する方が特別控除を受けやすく、税務上も有利になることがあります。
特に「相続空き家の3,000万円控除」を狙う場合は、「相続した空き家を売る時の特例「相続空き家の3000万円特別控除」を解説!」が参考になります。
2-5. 親が元気なうちに売却できる安心感
認知症などで意思能力が失われる前に手続きを進めることで、売却がスムーズに行えます。
そうでなければ、成年後見制度を使わざるを得なくなり、時間も費用もかかる可能性があります。
3.親名義の実家を子供が売却できる?【委任・成年後見制度を解説】
老人ホームに入った親に代わって、子どもが実家を売却したいというケースもよくあります。
この場合は、親の意思能力と手続きの違いによって、主に次の2つの方法があります。
3-1. 親に判断能力があるなら「委任状」で代理売却が可能
親が売却に同意できる状態であれば、委任状を使って子供が代理人となり、売却を進めることが可能です。
委任状のほか、実印・印鑑証明・本人確認書類が必要です。
詳細は不動産会社に確認しましょう。
3-2. 認知症などで意思能力がない場合は「成年後見制度」
もし親が認知症などで意思能力を失っている場合、委任による売却はできません。
家庭裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任してもらう必要があります。後見人が家の売却を行う場合も、別途家庭裁判所の許可が必要です。
3-2-1. 任意後見制度で“もしも”に備える方法
将来の認知症などに備えて、元気なうちに「任意後見契約」を結んでおくことも可能です。
自分で後見人(たとえば子ども)を選び、公正証書で契約しておけば、判断能力が低下したときに代理売却がスムーズに行えます。
4.親が家の売却に同意しないときはどうすべき?【2つの選択肢】
親が実家の売却に反対している場合、無理に説得せず、本人の意思を尊重しながら柔軟な方法を検討することが大切です。
特におすすめなのが以下の2つの手段です。
- リースバック:売却しても住み続けられる方法
- リバースモーゲージ:担保にして資金調達
4-1. 家を売却しても住み続けられる「リースバック」
リースバックとは、家を売却したあと、買主と賃貸契約を結ぶことで、そのまま住み続けられる仕組みです。
家を手放したくない気持ちと、資金ニーズの両立ができるため、親が強く反対している場合の有力な選択肢となります。
4-2. 自宅を担保に融資を受ける「リバースモーゲージ」
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から融資を受け、所有者が亡くなった後に家を売却して返済するローン制度です。
今すぐ売却しなくても、必要な資金を確保できる方法として注目されています。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 親が老人ホームに入ったあと、実家が空き家になる場合の選択肢は主に3つ
- ①空き家のまま維持する
- ②親族や第三者に住んでもらう/貸す
- ③売却する
- 売却を検討すべきタイミングは「老人ホーム入所直後」がおすすめ
- 売却メリットには「資金確保・維持費削減・税制優遇・認知症対策」などがある
- 親に判断能力があれば「委任状」で、判断力がない場合は「成年後見制度」や「任意後見契約」で売却可能
- 親が売却に反対する場合は「リースバック」「リバースモーゲージ」など代替策もある
田舎の親が施設に入って実家が空き家になった場合、まずはご家族で状況を整理し、どの選択肢が最善かを考えてみましょう。
その際に、「もし売るとしたら、いくらで売れるのか?」を知るだけでも、判断がしやすくなります。
実家がいくらぐらいで売れそうなのかを知りたい場合や、信頼できる不動産会社を探したい場合は、ぜひ、無料&秘密厳守のイクラ不動産でご相談ください。
イクラ不動産なら、売却したい実家がある地元で、空き家や相続物件の売却に強い不動産会社がわかります。
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イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明しています。ぜひ読んでみてください。