住宅ローンの申し込みを考えているけれど、配偶者(妻や夫)や家族の借金が審査に影響しないか不安な方も多いのではないでしょうか。
結論から述べると、基本的に住宅ローンの審査自体には、配偶者や家族の借金は関係はありません。しかし、配偶者や家族が連帯保証人になる場合やペアローンを検討中の場合は審査に落ちる理由になるため注意が必要です。
ここでは、配偶者や家族の借金が、住宅ローン審査の際にどのように影響するか、また審査に通るためにできることなどについてくわしく説明します。
- 配偶者や家族の借金が、住宅ローンの審査に影響するかどうかがわかる
- 配偶者や家族の借金が、住宅ローンの審査に影響する場合についてわかる
- 配偶者や家族の借金が、住宅ローンの審査に影響する場合の対処法についてわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 家族や配偶者に借金があるので、住宅ローンが組めるかどうか心配な人
- 住宅ローンの審査に、家族の借金が影響するか知りたい人
- 借金があっても保証人になったりペアローンを組んだりできるか不安な人
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もくじ
1.配偶者や家族の借金が住宅ローン審査に与える影響とは?
- 住宅ローンの審査では、基本的に申込者本人以外の借金などは調べられない
- 住宅ローンの審査に通らない理由は、住宅ローンを申し込んだ本人の年収が足りない、年齢が高すぎる、勤務先の信用がないなどの場合が多い
- 金融機関は、「個人信用情報」で住宅ローン申込者本人の借入状況などを調査する
まず、住宅ローンの申し込みをして審査を受ける際に、配偶者や家族の借金が影響を当たるのかどうかについて説明します。
1-1.配偶者や家族の借金などは調べられない
結論から述べると、基本的に配偶者(妻や夫)や家族に借金があっても、住宅ローンの審査には影響しません。
なぜなら、金融機関は、基本的に申込者本人ではない人の信用情報まで調べることはないからです。たとえ同居の親族であっても、調べられることはないと考えて大丈夫でしょう。
よって、配偶者や家族が多額のサラ金やクレジットカードローンを抱えていても、申込者本人に問題がなければ、原則として住宅ローン審査に通らない理由にはなりません。
ただし、後ほど説明しますが、配偶者が家族の年収を合算して住宅ローンを組む際は、配偶者や家族の借金も審査対象となります。
1-2.住宅ローン審査で調べられる項目
次に、なぜ配偶者や家族の借金が住宅ローンの審査に影響しないのか、住宅ローンの利用を申し込んだ際の審査について説明します。
住宅ローンは、金融機関が数千万円という高額なお金を貸し付けることになるため、どのような人でも利用できるわけではありません。
そこで、住宅ローンを申し込むと、きちんと返済できそうかの「審査」を受けることになります。
住宅ローンの審査で調べられるのは、おもに次のような項目です。
- 年収
- 勤続年数
- 勤務先
- 家族構成
- 今の住宅形態
- 現在の年齢
- 住宅ローン完済時の年齢(予定)
- 住宅の担保価値
- 頭金の割合
- すでにある借金の金額、借入先
年収は高い方がよく、勤務先は倒産のリスクが低い上場企業や公務員が優遇されます。年齢は若い方が有利で、住宅の担保価値(購入する物件の価値)は高い方が良いです。
これらの項目について、基本的に住宅ローンを申し込んだ本人についてのみ審査され、住宅ローンを利用できるかどうか決まります。
1-2.住宅ローン審査に通らないのはどのような場合か?
住宅ローンの審査に通らないおもな理由は、住宅ローンを申し込んだ本人について、年収が足りない、年齢が高すぎる、勤務先の信用がない、勤続年数が足りないなどです。
特に住宅ローンの審査では、「すでにある借金の金額や借入先」が問題になります。
住宅ローンを利用する前に他社で借金をしていると、そちらの返済もしないといけないので、金融機関への返済が滞る可能性が高くなるからです。
そのため、住宅ローンを申し込んだ本人がサラ金やクレジットカード会社で借入をしていると、住宅ローン審査に落ちる可能性が非常に高くなります。
また、過去に債務整理歴がある場合なども、住宅ローン審査に落ちやすいです。
1-2-1.「個人信用情報」で借入状況などが調査される
銀行など金融機関が、住宅ローン審査で申込人の借入状況を調査するとき参照するのが「個人信用情報」です。
個人信用情報とは個人の借金に関する記録で、どこの会社からいくらの借入をしているのか、利率はどのくらいかなどの詳細な情報が登録されています。
金融機関はそれぞれ「信用情報機関」に加盟しており、融資の審査を受けたらローンの申込みをした人の個人信用情報を照会して閲覧することが可能です。
申込人本人の個人信用情報から、すでに多額のサラ金やカードなどの利用がわかればローン審査に落ちやすくなります。
2. 配偶者や家族の借金がローン審査に影響するケースとは?
- 収入合算をして住宅ローンを申し込む場合は、配偶者や家族の借金も審査対象となる
- 借金のある配偶者や家族が住宅ローンの連帯保証人になる場合、審査対象になる可能性がある
- 収入合算などにより配偶者や家族も審査を受けるのであれば、あらかじめ信用情報を確認しておくのがおすすめ
配偶者や家族の借金が基本的に住宅ローン審査に影響しないケースが多いものの、場合によっては影響を与えることがあるため注意しなければなりません。
具体的には、次のような場合です。
- 収入合算やペアローンを利用する場合
- 配偶者や家族が連帯保証人になる場合
配偶者の借金が審査に影響する場合についてくわしく説明するとともに、配偶者や家族の信用情報の照会と影響についても解説します。
2-1. 収入合算やペアローンを利用する場合
まず、配偶者の借金が審査に影響を与えケースとしてあげられるのは、住宅ローンで「収入合算」や「ペアローン」を利用する場合です。
収入合算とは、住宅ローンを申し込む際に、配偶者や家族の収入を合算して審査を受けることを指します。たとえば、夫の収入だけでは希望額の借り入れができない場合に、妻の収入を加えて住宅ローンの申請を行うといったケースです。
ペアローンとは、夫婦それぞれがローンを組む形式で、ペアとなった2人は互いの連帯保証人となります。
収入合算やペアローンを利用することにより借入可能額を増やすことができますが、その反面、合算した収入源となる配偶者や家族の信用情報も審査の対象となります。もし、妻にほかの借金があれば、その借金も審査の一部になることは避けられません。
このため、収入合算やペアローンの利用を検討している場合は、配偶者の借入状況や返済履歴も慎重に確認することが重要です。
夫婦の連帯保証人や連帯債務については、「離婚で住宅ローンの連帯保証人から外れる3つの方法をまとめた」でくわしく説明しているので、せひ読んでみてください。
2-2. 配偶者や家族が連帯保証人になる場合
配偶者や家族が「連帯保証人」になって住宅ローンを組む場合も、配偶者の借金が審査に影響を与えることがあります。
連帯保証人とは、申込人が住宅ローンの返済を滞った場合に、代わりに返済を行う責任を負う人のことです。先に述べたように、夫婦でペアローンを組む場合は、お互いがお互いのローンの連帯保証人になります。
金融機関は、連帯保証人となる配偶者の返済能力や信用情報を確認するため、その人の借金や信用履歴を調べることがあります。
連帯保証人の借入が多いと、万が一の際に返済を肩代わりする力がないと判断され、ローンの審査が不利になりやすいです。
2-3. 配偶者や家族の信用情報の照会と影響について
配偶者が収入合算や連帯保証人として審査に関与する場合、金融機関は住宅ローンを申し込んだ本人と同じように「信用情報」を照会します。先に述べたように、信用情報に含まれているのは、借金の残高、返済履歴、延滞の有無などです。
たとえば、収入合算を検討している配偶者がクレジットカードのリボ払いで大きな借入をしていたり過去に延滞の履歴があったりする場合、住宅ローン審査においてネガティブに評価される可能性が大きくなります。
そのため、配偶者の信用情報を事前に開示し、確認しておくことが重要です。
自分たちであかかじめ確認しておくのであれば、信用情報機関(CIC、JICCなど)に情報開示の請求を行うことができます。
3. 配偶者や家族に借金があっても審査に通るための方法
- 住宅ローンの審査対象となる配偶者や家族に借金がある場合、借金の返済計画を見直すことで審査に通りやすくなることがある
- 配偶者や家族の借金が少額であれば、住宅ローンの審査前に返済しておくと良い
- 場合によっては配偶者や家族の収入合算などをせずに、住宅ローンを組むことを検討するのも一つの手
配偶者の借金がある場合でも、次のような対策次第で住宅ローン審査を通過することが可能です。
- 借金の返済計画を見直す
- 銀行や金融機関に相談する
- 収入合算を利用せずに審査を受ける
それぞれの対策について説明します。
3-1. 借金の返済計画を見直す
まず、収入合算などを検討している配偶者や家族に借金がある場合は、返済計画を見直し、延滞がない状態を維持することが大切です。
住宅ローンの審査時に、過去6ヵ月間の延滞履歴があるとマイナス評価となるため、審査前に延滞を解消することを目指しましょう。
可能であれば、小額の借金であれば住宅ローンの審査を受ける前に完済しておくことも効果的です。
これにより、住宅ローン審査時の返済負担率が下がり、審査が有利になります。
3-2. 銀行や金融機関に相談する
配偶者の借金状況が住宅ローン審査に影響しそうな場合は、事前に銀行や金融機関と相談し、適切なプランを提案してもらうことがおすすめです。
特に、地元の金融機関や信用金庫といった地域密着型の金融機関では、個別の事情を考慮して柔軟に対応してくれることがあります。
たとえば、「返済計画を柔軟に見直す」「担保価値を重視した審査を受ける」など、各金融機関の特徴に合ったアプローチを取ることで、審査通過の可能性を高めることができるでしょう。
3-3. 収入合算を利用せずに審査を受ける
配偶者や家族の収入を合算するペアローンを利用すると、借入可能額が増えるメリットがあります。しかし、先に述べたように配偶者の信用情報も審査対象に含まれてしまいます。
もし、配偶者や家族にほかの借金があり、その状況が審査に不利に働くと考えられる場合は、収入合算を利用せずに、単独での審査を申し込むという選択肢も検討しましょう。
これにより、配偶者の借金状況を考慮されることなく、審査を進めることができます。特に、配偶者や家族の借金が多い場合には有効です。
4. 配偶者や家族に借金がある場合の具体的な事例
配偶者に借金がある場合、住宅ローンの審査にどのような影響があるのかを具体的にイメージしやすくするために、いくつかの事例を用いて説明します。
4-1. 配偶者にクレジットカードのリボ払いで100万円の借金がある場合
まず、配偶者に100万円のクレジットカードのリボ払い残高がある場合の事例です。この借金が住宅ローン審査にどのように影響するのかを見ていきましょう。
【シミュレーションの前提条件】
- 申込人:夫、年収500万円
- 配偶者:妻、年収300万円、100万円のクレジットカード借入あり
- 借入希望額:3000万円
- 返済期間:35年(420ヵ月)
- 金利:年1.5%
4-1-1. 配偶者のクレジットカードリボ払い返済の影響
クレジットカードのリボ払いで100万円を借入している場合、利率が年15%程度と仮定すると、月々の返済額はおよそ1万5,000円〜1万8,000円です。この月々の返済額は、住宅ローンの審査時に考慮される「返済負担率」に含まれます。
返済負担率とは、年収に対してどれだけの金額をローン返済に充てているかを示す指標です。
今回のシミュレーションでは夫婦の収入合算後の年収が800万円になるため、返済負担率計算は次のようになります。
リボ払い月額:1万7,000円
年間のリボ払い返済額:1万7,000円 × 12ヵ月 = 20万4,000円
住宅ローンの年間返済額:約1,045,000円(35年返済、金利1.5%の場合)
この結果から、返済負担率は以下のように計算されます。
(年間返済額+リボ払い年間返済額)÷ 年収 × 100 = 15.6%
通常、住宅ローン審査では返済負担率が25%〜35%以内であることが好まれます。
したがって、今回のシミュレーションのようなリボ払いの借金配偶者にある場合でも、この範囲内であれば審査への影響は限定的だと言えるでしょう。
4-2. 配偶者の車のローンが残っている場合
次に、配偶者に車のローン残高が50万円あり、月々1万円の返済を行っている場合をシミュレーションします。
【シミュレーションの前提条件】
- 申込人:妻、年収400万円
- 配偶者:夫、年収350万円、車のローン残高50万円(月々1万円の返済)
- 借入希望額:2500万円
- 返済期間:35年(420ヵ月)
- 金利:年1.2%
4-2-1. 配偶者の車のローンが返済負担率に与える影響
車のローンの月々の返済額1万円も、返済負担率に含まれます。
この場合の返済負担率はの計算は次のとおりです。
車のローン月額:10,000円
年間の車のローン返済額:10,000円 × 12ヵ月 = 120,000円
住宅ローンの年間返済額:約852,000円(35年返済、金利1.2%の場合)
この結果から、返済負担率は次のように計算されます。
(年間返済額+車のローン年間返済額)÷ 年収 × 100 = 13.0%
こちらも返済負担率が基準内に収まっているため、審査を通過できる可能性が高いと言えるでしょう。
5. よくある質問(FAQ)
配偶者や家族の借金が住宅ローン審査に与える影響について、よくある質問をまとめました。
5-1. 配偶者の借金が多くても住宅ローン審査が通る銀行はある?
配偶者に借金がある場合でも、銀行によっては柔軟に審査を行うところがあります。
たとえば、地域密着型の信用金庫やネット銀行は、配偶者の借金状況を詳細に説明することで、審査基準を個別に見直してくれる場合もあります。
審査に不安がある場合は、複数の金融機関に相談してみるのがおすすめです。
5-2. 連帯保証人と連帯債務者の違いは?
連帯保証人と連帯債務者には次のような違いがあります。
- 連帯保証人:申込人が返済できなくなった場合に代わりに返済する責任を負う人
- 連帯債務者:申込人とともに同等の返済義務を負い、最初から共同で住宅ローンを返済する人
収入合算をする場合はお互いが連帯債務者となり、ペアローンを利用する場合はお互いがお互いの連帯保証人になります。
特に連帯債務者の場合、配偶者の借金が審査に影響しやすいため、借入前に双方の返済状況を確認しておくことが大切です。
5-3. 家族の借金を金融機関に隠しても良い?
家族の借金を金融機関に隠すことは、非常にリスクが高い行為です。
審査時に嘘が発覚すると、審査に落ちる可能性が高くなるだけでなく、将来的に信頼を損なうリスクもあります。
正直に状況を説明し、返済計画をしっかりと立てることが重要です。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 配偶者(妻や夫)や家族の借金は、一般的に住宅ローン申込時の審査に通らない理由にはならない
- 住宅ローンの審査では、ローンを組む本人について、次のような項目が審査される
・年収
・勤務先や勤続年数
・家族構成
・今の住宅形態
・現在の年齢と住宅ローン完済時の年齢(予定)
・住宅の担保価値
・頭金の割合
・すでにある借金の金額 - 審査で特に重要視されるのが申込者本人の借り入れ状況で、個人信用情報を使って詳細に調査される
- 配偶者や家族の借金が住宅ローンの審査に影響するのは、次のような場合
・収入合算やペアローンを利用する場合
・配偶者や家族が連帯保証人になる場合 - 借金のある配偶者や家族が住宅ローンの連帯保証人や連帯債務人になる場合の対策は、次のとおり
・借金の返済計画を見直す
・銀行や金融機関に相談する
・収入合算を利用せずに審査を受ける - 配偶者や家族に借金があっても、返済負担率が基準内であれば住宅ローンの審査に通る可能性が高くなる
住宅ローンを組む際の審査で、配偶者や家族の借金が理由で通らないことはまずありません。
ただし、連帯保証人になったり収入合算をしたりする場合は、配偶者や家族も審査対象となるため注意が必要です。場合よっては、住宅ローンの予定が変わることもあるでしょう。
もし、今の家やマンションを売却して新たに夫婦でローンを組んで新しい家を買おうとしている場合は、配偶者に借金があるために予定が変わるかもしれません。
まずは、どれくらいの住宅ローンが組めるかを調べるとともに、今の家やマンションがどれくらいで売れそうかを知っておきましょう。
今の家やマンションが、いくらぐらいで売れそうかを調べたい場合は、ぜひイクラ不動産をご利用ください。
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