相続などにより空き家となっている家があるとき、売却か賃貸かで迷う方は多いです。
空き家を売るべきか、貸すべきかは、状況によって異なります。まずは、空き家を貸した場合と売却した場合のメリット・デメリットをしっかり理解したうえで検討しましょう。
こちらでは、空き家となっている不動産を売るべきか、貸すべきかについて説明します。
この記事で具体的にわかる3つのポイント
- 空き家を売るか貸すかで迷った時の判断基準がわかる
- 空き家を賃貸に出すメリットとデメリットがわかる
- 空き家を売るメリットとデメリットがわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 空き家を賃貸に出そうか売却しようか迷っている人
- 空き家を賃貸に出すと、どのようなメリットとデメリットがあるかを知りたい人
- 空き家を売却すると、どのようなメリットとデメリットがあるかを知りたい人
1.「まだ住める」空き家なら賃貸にすることもできる
総務省が実施した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家総数は約900万2千戸にのぼり、総住宅数における空き家の割合(空き家率)は 13.8%と過去最高となりました。
空き家を放置したままでいると空き巣や放火の危険があるだけでなく、人が住まなくなった家は適切な管理をしていても劣化のスピードが早くなります。
空き家といっても、社会問題となっているような倒壊寸前のボロボロの空き家や、人が住まなくなってから時間が経っておらず傷みが少ない空き家など、状態はさまざまです。
築年数もそれほど古くなく、傷みもあまりない、そして手入れが行き届いているという状況なら、そのままの状態で貸し出すこともできます。
また、空き家になっている期間が長くても、修繕やリフォームなどの手を加えることによって、貸し出せる状態になるケースも多いです。
家をまるごとリフォームしなくても、キッチンや浴室、トイレといった水回りをきれいにしたり、壁紙や床板を張り替えたりするなど、見た目を明るく清潔にするだけでも「借りたい」という人が出てきます。
また、近頃は古民家のリノベーションに興味を持つ人も増えており、「リフォームしてもOK」という前提で貸し出すスタイルなら、借りた人は賃貸なのに自分仕様にできる点に魅力を感じるでしょう。
この方法だと、空き家をそのままの状態で貸し出すこともできるので、貸主側としてもあまり費用を負担せずに済みます。
2.空き家を「売る」か「貸す」かで迷ったら?
空き家を「売る」のか「貸す」のかで迷ったら、次のような点を検討して判断しましょう。
2-1.売った場合と貸した場合の比較をする
「貸す」ということは、誰かに借りてもらい、賃料を支払ってもらわなければなりません。
そのため、「貸す」という選択肢は、まず、その借り手の需要があるかどうかを見極める必要があります。
所有している空き家が賃貸の需要が多い立地にある場合は、貸すことも売ることもできるため、売った場合と貸した場合の比較から始めると良いでしょう。
一例として、今、売却した場合の手取り額と、5年の定期借家契約(ていきしゃっかけいやく:契約期間終了ととも借りている人に出ていってもらう契約)期間で得られる賃料収入の手取り額、そして、5年後に売却した場合の手取り額とを計算して比較してみます。
賃貸に出すのであれば、修繕や内装などリフォーム工事が必要な場合が多いので、その分の費用は差し引かなければなりません。入ってくる賃料の割に工事費用がかかる場合は、賃貸は現実的でないという判断になります。
また、「毎月きちんと賃料は入ってくるのか」「5年後の売却価格は、今より下がる可能性があるのではないか」といった不透明な要素の考慮も必要です。少し複雑になりますが、金利や賃貸事業のリスクを加味した割引率を算定し、将来得られる金額を今の価値に換算するという方法もあります。
売却による手取り金額を計算する場合は、仲介手数料や空き家の売却で得た利益に課せられる税金(譲渡所得税)などの費用も差し引かなければなりません。
将来の経済状況や賃貸への不安が大きい人とそうでない人とで判断が異なってきますが、このような比較をすることが、空き家を「売る」か「貸す」かの判断基準の一つとなります。
2-2.賃貸が難しければ早期売却がおすすめ
賃貸の需要が少ない立地であれば、空き家を「貸す」という選択肢は現実的ではありません。そのような立地にある空き家だと、売却もむずかしい場合が多いです。
今後、近隣地域の再開発などにより人口が増えるなどの見通しがなければ、価格が下がり続ける可能性が高いため、少しでも早く売るほうがよいでしょう。
ただ、相続人が複数いる場合などは、「売る」か「貸す」か判断を簡単に決められないというのも事実です。
そのため、「しばらく放置しておく」という選択肢を選ぶ人も少なくないのですが、固定資産税や建物の維持管理にもお金がかかるので、そのことを踏まえた上で「放置」しなければなりません。
実家を処分できない気持ちもわかりますが、老朽化した空き家は、地震や台風などの災害時に倒壊や延焼の被害をもたらす恐れがあり、周りに住んでいる方に迷惑をかけるリスクを招きかねません。
また、住む可能性はほとんどないのに、家財整理や建物の解体を考えると手放す踏ん切りがつかず、売却を先送りしている空き家も多くあります。
まずは、どうするか決めるためにもいま売却したらいくらになるのか調べておきましょう。
まだ、確実に売却するとは決まっていないので不動産会社に相談しにくいという場合は、ぜひ「イクラ不動産」をご利用ください。
簡単に素早く、空き家の相場価格を調べることができます。
3.空き家を貸すメリットとデメリット
次に、空き家を貸し出すメリットとデメリットについて見ていきましょう。
3-1.空き家を貸すメリット
まずは、空き家を貸すメリットとして、どのようなものがあるかを説明します。
3-1-1.所有権を失わずに済む
家を売却したら、当然ですが自分のものではなくなります。
人に貸していても、所有者が自分であれば将来的に資産として残すことが可能です。
また、状況によってはいずれ住むこともできますし、最終的に売却の決断ができたらそのタイミングで売ることもできます。
3-1-2.家賃という収入が入ってくる
空き家を賃貸に出すと、「家賃」という形で、決まった収入を月々継続的に得ることができるようになります。
このように、所有しているだけでさまざまな費用がかかる空き家が、収入を生む財産に変わる点がメリットです。
家賃で得た収入から、固定資産税の支払いを捻出することもできます。
3-1-3.借主が空き家を管理してくれる
空き家は、日常的に換気をしたり掃除をしたりなどの管理が面倒です。しかし、空き家を賃貸に出して借り主が住むようになれば、そのような管理は不要になります。
また、人が住むことによって、家の傷みが少なくなる点もメリットです。
3-2.空き家を貸すデメリット
賃貸すれば収入や管理の面においてメリットがある一方、反対にいくつかのリスクがあることも理解しておきましょう。
3-2-1.賃借人(入居者)とトラブルが起こることもある
入居する人によっては、家賃を滞納したり近所の人とトラブルを起こしたりするなど、厄介なケースもあります。
そのようなときは、大家としてトラブルを解決しなければならず、気苦労を抱えてしまうかもしれません。
また、借りる人がだらしない人だと、部屋をきちんと使ってもらえず、傷みがひどくなることもあります。
3-2-2.管理費用は大家側が支払う
賃貸物件の管理費用や維持費用は、大家が負担することになります。
水廻りのトラブルや給湯器など設備の故障など、住まいに不具合が発生すれば、貸主が修繕しなければなりません。
借主が変わるたびに、ハウスクリーニングや壁紙のリフォームなども必要になります。
3-2-3.入居者がいなくなれば家賃収入はゼロ
入居者がいないと、収入となる家賃は得られません。
新たな入居者が見つからなければ、その間は自分で空き家を管理していくことになります。
3-2-4.借主を無理やり追い出すことができない
一般的な賃貸借契約は、借主が退去したいと言うまで自動的に更新が続く「普通借家契約」という契約スタイルです。
売却したい、自分が住みたい、取り壊したいと考えたとき、正当な事情が無い限り、借主を無理に出ていかせることは法律上できません。
そのため、売却することや、自分が住むことなどを考えているのであれば、あらかじめ契約期間を定められる「定期借家契約」にしても良いでしょう。
ただし、短い期間だと困るという賃借人も多いため、普通借家契約で入居者を募集するときよりも借り手が見つかりにくく、家賃も安くなりがちです。
4.空き家を売るメリットとデメリット
次に、空き家を売るメリットとデメリットについてもみていきましょう。
4-1.空き家を売るメリット
空き家を売却するメリットは以下のとおりです。
4-1-1.まとまったお金が手に入る
空き家を売る大きなメリットの一つがまとまったお金が手に入るということです。
基本的に建物価格は、年月が経つにつれてどんどん価値が下がるため、建物価格のみでいうと、基本的には今が一番高いということになります。
不動産の価格は、立地や家の広さだけでなく、経済状況や天災地変などにも影響を受けるので一概では言えませんが、早めに売却するほうが、将来的な家の価格の下落リスクを避けやすいでしょう。
4-1-2.管理の手間や維持費がかからなくなる
賃貸に出したからといって家の管理から完全に逃れられるわけではありません。
経年劣化などの修繕については、賃貸に出す場合でも空き家のままにしておく場合でも、所有している限りは必要です。
一方、空き家を売却してしまえば、このような管理の手間や固定資産税などの維持費はかからなくなります。
空き家の維持費用については、「空き家を維持するときにかかる費用」で説明しているので、併せてご覧ください。
4-2.空き家を売るデメリット
空き家を売却するデメリットは、次のとおりです。
4-2-1.家を手放すことになってしまう
当然ですが売却してしまえば、新しい買主のものになるため、家を手放すことになってしまいます。
将来的に自分が住むかも知らないというケースや親が老人ホームに入居しており、今は空き家になっているが帰ってくる可能性があるかも知れないというケースではなかなか手放すという選択はできないかもしれません。
相続物件であれば、売却を決めた段階で売りに出すことができますが、親が老人ホームに入居しているなどのケースでは、売りたいときに売れないというリスクもあるため、売却するかどうかは慎重に判断しなくてはなりません。
詳しくは「田舎の親が老人ホームに入った!空き家の実家は売却すべき?わかりやすく解説」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
4-2-2.売却にかかる費用が必要となる
家を売却するには不動産会社への仲介手数料や相続登記をまだしていなければ、登記費用、印紙税などさまざまな費用がどうしてもかかります。
さらに住宅ローンが残っている場合は、住宅ローンの繰り上げ返済手数料や万が一、家を売ったお金で住宅ローンが完済できなければ、差額分を手元の資金から出す必要が出てくる可能性もあります。
家を売却した際にかかる費用などについて詳しくは「家やマンションの売却にかかる費用を解説!手元に残るのは結局いくら?」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 空き家がそれほど古くなくて傷みも少なく、手入れが行き届いているという状況ならそのままの状態で貸し出すことも可能
- 賃貸の需要がある立地にある空き家なら、貸した場合と売った場合の比較をして得になりそうほうを選ぶのがおすすめ
- 賃貸の需要が低い立地にある空き家なら、貸し出すのではなく早めに売却するのがおすすめ
- 空き家を賃貸に出すメリットとデメリットは次のとおり
(メリット)
・所有権を失わずに済む
・家賃という収入が入ってくる
・借主が空き家を管理してくれる
(デメリット)
・賃借人(入居者)とトラブルが起こることもある
・管理費用は大家側が支払う
・入居者がいなくなれば家賃収入はゼロ
・借主を無理やり追い出すことができない - 空き家を売るメリットとデメリットは次のとおり
(メリット)
・まとまったお金が手に入る
・管理の手間や維持費がかからなくなる
(デメリット)
・家を手放すことになってしまう
・売却にかかる費用が必要となる
空き家を活用する方法として賃貸にすることは魅力もある反面、家賃でこれぐらい入ってくると計算したとおりの結果にならないケースもあるなど、注意しなければならないポイントも多いです。
人に貸し出せば、老朽化を抑えることはできますが、年数が経てば自然に傷んでいくものです。
将来的に手放すことを考えているなら、傷みが少ないうちに売るのも一つの方法です。
住まない空き家を賃貸すべきか売却すべきか比較するには、貸したときに賃料がいくらぐらいになるのか、今売るといくらぐらいになるのか、まず相場価格を知ったうえで検討する必要があります。
所有している空き家の相場価格が知りたいという人はまず「イクラ不動産」をご利用ください。
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さらに、空き家の売却でわからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフにいつでも相談できるので、安心して売却を進めることができます。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。