空き家を売却する際に、築年数が古くて建物が傷んでいると、売却のためにリフォームを考える人もいるでしょう。
しかし、基本的に空き家をリフォームしてから売り出すことはおすすめできません。
こちらでは、空き家をリフォームしてから売り出すのがおすすめではない理由に加えて、空き家を売るときにリフォームするメリット・デメリット、さらにリフォーム以外の空き家を上手に売却する方法についてわかりやすく説明します。
この記事で具体的にわかる3つのポイント
- 空き家をリフォームしてから売却するのがおすすめではない理由がわかる
- 空き家をリフォームしてから売るメリットとデメリットがわかる
- 空き家を売る際に、リフォーム以外にどのような効果的な方法があるかがわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 古い空き家をリフォームしてから売却しようかと考えている人
- 空き家をリフォームしてから売却するメリットとデメリットを知りたい人
- 空き家の売却において、リフォーム以外の効果的な方法を知りたい人
1.そもそも空き家のリフォームにはどのくらい費用がかかるの?
リフォームにかかる費用は、「どの程度リフォームするか」という範囲によって大きく異なります。
たとえば、「リビングの壁紙だけ」「トイレの便器を交換するだけ」などの簡易なリフォームなら、10万円前後と比較的手軽な費用でのリフォームが可能です。
しかし、水回りの設備を全部交換する、フローリングを張替える、外壁を直すなど、住まい全体にリフォーム範囲が及ぶと数百万円の費用がかかります。
リフォーム費用の目安は、次の表のとおりです。
リフォーム箇所 | 相場価格 |
---|---|
壁紙交換 | 1千円/㎡ |
床材張り替え | 1~7万円/畳 |
トイレ | 20~50万円 |
キッチン | 50~150万円 |
お風呂 | 50~150万円 |
洗面所 | 20~50万円 |
外壁 | 50~350万円 |
耐震補強・改修 | 100~200万円 |
リフォームしてから空き家を売ろうと考えているなら、まずはおおよその価格を知ることが大切です。
必ず何社かに見積もりを依頼して、リフォーム費用の相場を把握しつつ、リフォームすべきかを検討するようにしましょう。
2.空き家をリフォームしてから売るメリットとデメリット
冒頭でもお伝えしたとおり、空き家をリフォームしてから売り出すことは基本的におすすめできません。
なぜなら、売却額でリフォーム費用を回収できるとは限らないなど、デメリットが大きくなりがちだからです。
ただし、空き家をリフォームして売り出すメリットももちろんあります。
空き家をリフォームしてから売るメリットとデメリットをきちんと理解しておきましょう。
2-1.空き家をリフォームしてから売るメリット
空き家をリフォームしてから売るメリットは、次のとおりです。
- 物件の印象がよくなることで売却が有利になる
- 買い手がすぐに住むことができる
- 買い手の資金負担を減らすことができる
一つずつ説明します。
2-1-1.物件の印象がよくなることで売却が有利になる
築年数の古い家が欲しいという人は「古くても良い」という考えを持っているものです。
しかし、あまりにも管理状態が悪い空き家だと、見た目の汚さや部屋のニオイが原因で「買いたくないな」と購入意識が失せてしまうことも事実として少なくありません。
リフォームすれば、ボロボロになっていた部分が綺麗に復活し、湿気によるカビ臭も消えて印象をアップできます。
見た目が新しくなった写真をインターネットなどの広告に掲載できるので、「これだったら見に行きたい」と買い手に思わせることもできます。
内覧数が多いほど家は売れやすくなる傾向にあるため、それだけ早くでの売却に期待ができます。
2-1-2.買い手がすぐに住むことができる
リフォーム済みであれば「気に入ったらすぐに住める」というのも、買い手側からするとメリットになることもあります。
中古物件の購入では、リフォームしてから住むという方も多いですが、リフォームには最低でも約1ヶ月ほどかかってしまうため実際に住めるのは工事が終わってからとなってしまいます。
「◯◯月までに引っ越ししないといけない」という買い手の方もいるため、「リフォーム済物件」であることをアピールすれば、このようなニーズを持っている購入希望者にとっては理想的な物件です。
2-1-3.買い手の資金負担を減らすことができる
中古物件を購入後、リフォームするためには、買い手は住宅ローンとは別にリフォームローンを借り入れる必要があります。
購入資金とリフォーム費用をまとめて借りられる一体型もありますが、別々に借り入れるとなるとリフォームローンは金利が2~5%と高くなり、返済期間も最長10~15年程度と短いです。
そのため、借入金額が高いほど月々に返済しなくてはいけない額も大きくなり、買い手にとっては負担が大きくなってしまいます。
しかし、リフォーム済みであれば、住宅ローン一本の借り入れで済むので、買い手にとっても購入の際に負担を減らすことができます。
2-2.空き家をリフォームして売るデメリット
空き家をリフォームしてから売る場合の、次のようなデメリットについても確認しておきましょう。
- リフォームしても高く売れるとは限らない
- リノベーションしたい買主にとっては対象外になる
- 買主の好みにマッチするのかわからない
一つずつ説明します。
2-2-1.リフォームしても高く売れるとは限らない
「リフォームにかかった費用分、高く売り出そう」と考えるのは普通のことです。
数十万円からときには数百万円もかかるリフォーム工事です。それをすべて上乗せして売ろうとすると、元の価格設定によっては「高すぎる」と敬遠されることもあります。
たとえば、2,000万円で売ろうと思っている空き家に、300万円ものリフォーム費用をかけた場合、両方をあわせると2,300万円です。
ただし、そもそも1,800万円程度がその空き家の相場価格だとすると、2,300万円の売出価格は、かなり高い印象になってしまいます。
また、中古物件は必ず周辺の新築物件と比較されてしまうのが一般的です。どんなにリフォームしたからといっても、新築物件の価格より高ければ売れません。
リフォームして、価格を高めに設定するよりも、リフォームしない分、価格を安くして売る方が、相場よりも安いため買い手に注目されやすくなるでしょう。
2-2-2.リノベーションしたい買主にとっては対象外になる
近年、「価格を抑えて購入し、自分好みにリフォームしたい」という気持ちで中古住宅を購入する人が増えてきています。
古い家を安く購入して、自分好みのリノベーションを楽しみたいという人にとっては、リフォームされている物件という時点で、購入の対象外になる可能性があるのです。
このように、リフォームしていることが売れにくくなる原因になるケースがあることも踏まえておきましょう。
2-2-3.買主の好みにマッチするのかわからない
費用をかけてもいいからリフォーム後に売り出したいという人もいるでしょう。
ただし、そこで注意したいのは、必ずしも買主の好みにマッチするリフォームになるかどうかがわからないという点です。
あなたの好みでリフォームした家を購入希望者が気に入れば良いですが、人の好みは千差万別だということも考えて検討しなければなりません。
また、リフォームを依頼する業者の選定も重要です。
壁や柱を取り払って間取りをだいぶ変更するようなリフォームは、設計が不十分だと家の強度を落としてしまいかねません。工期を短く設定し過ぎて職人の作業の質が悪かったりすることもあります。
「空き家を売りやすく…」と考えた結果、完成度が低すぎて売れにくくなるとお金をかけた意味がありません。
もし空き家をリフォームやリノベーションするのであれば、工事実績が多く、信頼できるリフォーム業者を慎重に選ぶことが大事です。
3.物件の魅力を高めるのはリフォームだけではない
リフォームだけが中古物件の魅力や価値を高める方法ではありません。
ほかの方法として、次のようなものがあげられます。
- ハウスクリーング
- ホームインスペクション
- リフォームプランの提示
一つずつ、具体的に説明します。
3-1.①ハウスクリーニングでも十分印象はアップする
まず、おすすめしたいのは「ハウスクリーニング」です。
ハウスクリーニングとは、専門業者がお家の清掃をしてくれるサービスです。
リフォームのように物件の査定額に直接影響するものではありませんが、内覧時、購入検討者に与える印象が大幅にアップします。
特に、キッチン、お風呂、トイレ、洗面所などの水回りだけでも汚れているのであればハウスクリーニングしておくべきです。水回りは、内覧時に厳しくチェックされる箇所でもあり、ここが清潔であるだけでも売却につながる可能性が高まるからです。
ハウスクリーニングにかかる費用の目安は、次の表のとおりです。
ハウスクリーニング箇所 | 相場価格 |
---|---|
キッチン | 15~20万円 |
お風呂 | 13~18万円 |
トイレ | 6,000~9,000円 |
洗面所 | 7,500~1万円 |
ハウスクリーニングはリフォームと比べると安いので、費用負担を抑えつつ、高い効果が得られます。
また、大掛かりなリフォームとなると、工事期間の分、売却が遅れますが、ハウスクリーニングであれば1〜2日程度あれば済むという点もメリットです。
3-2.②ホームインスペクション(住宅診断)を利用する
ホームインスペクションとは、ホームインスペクター(住宅診断士)と呼ばれる国土交通省の所定の講習を受けた専門家が、第三者的な立場から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見極め、アドバイスを行なう住宅診断サービスのことです。
ホームインスペクションの費用相場は業者によって異なりますが、目視可能な範囲で調査する一次検査(基本調査)の場合は、5~6万円程度、機材を用いた二次検査(詳細診断)の場合は、10万円以上かかることもあります。
実は、費用を誰が負担するのかは明確には決められていませんが、買主を欠陥住宅から守るというのが本来の目的であるため、購入希望者が費用を負担することが一般的です。
しかし、費用がかかるとはいえ、ホームインスペクションが実施された物件は、一定の品質や安全性が保証されるので、より買い手がつきやすくなることに加えて、欠陥がなければ売却価格を高くすることができる可能性もあります。
また、ホームインスペクションもリフォーム費用と比べて安いので、売主が費用を支払ってでも実施する価値はあるといえます。
3-3.③リフォームプランを提示する
空き家を売却する際、必ずしも実際にリフォームを行う必要はありません。その代わりに、購入希望者に対してリフォームプランを提示するという方法もあります。
これは、物件の現状に合わせたリフォーム案を用意し、どのように手を加えれば物件の魅力が増すかを提案する方法です。
たとえば、間取り変更やデザイン性の高い設備の導入など、購入希望者がリフォーム後のイメージを持ちやすくすることで、購入意欲を高めることができます。
リフォームプランを提示することで、購入希望者は自分の理想に合わせたリフォームが可能だという安心感を得ることができ、物件に対して前向きな印象を持ちやすくなります。
また、売主側も実際のリフォーム工事を行わずに済むため、コストや時間を抑えることができます。
さらに、リフォームプランを提示することで、購入希望者と具体的な契約内容の調整がしやすくなる点もメリットです。購入後にリフォームの詳細を決めることができ、双方にとって柔軟な対応が可能となります。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 空き家をリフォームしてから売り出すことは、売却額でリフォーム費用を回収できるとは限らないなどデメリットが大きくなりがちなのであまりおすすめではない
- 空き家のリフォームしてから売却するメリットとして、次のようなものがあげられる
・物件の印象がよくなることで売却が有利になる
・買い手がすぐに住むことができる
・買い手の資金負担を減らすことができる - 空き家のリフォームしてから売却するデメリットとして、次のようなものがあげられる
・リフォームしても高く売れるとは限らない
・リノベーションしたい買主にとっては対象外になる
・買主の好みにマッチするのかわからない - リフォームやリノベーション以外に、空き家売却時の効果的な方法として次のようなものがある
・ハウスクリーングをする
・ホームインスペクションをする
・リフォームプランを提示する
築年数の古い空き家や傷みがはげしい空き家の売却を検討する際、「リフォームしてからの売却」を検討する人も多いでしょう。
しかし、リフォームをしたあとで、「余計に売れにくくなった」「リフォーム費用を回収できなかった」と後悔することになったら意味がありません。
まずは、最初に「このまま売るならいくらぐらいで売れる?」といった、空き家の現状の相場価格をチェックすることがおすすめです。
また、空き家の状態によっては「部分的に修理する方が良い」ということもあります。たとえば、それほど費用がかからない壁紙の貼り替えをすれば、少しの費用負担で売れやすくなることもあります。
しかし、素人目には、そのボーダーラインが分かりづらいものです。「どこまで直したらいいか?」「このままでも売れそうか?」という販売戦略は、その地域のニーズをよく知っている売却に強い不動産会社と相談しながら決めていくべきです。
さらに、自身でリフォーム業者を探して依頼するよりも、不動産会社の紹介でリフォームする方が安く済むケースもあります。まずは、自身で判断せずに不動産会社に相談してみると良いでしょう。
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