
生活保護を受けるためには、マイホームを売らないといけないって本当でしょうか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
さまざまな理由や状況から、生活保護の受給を検討する人は少なくありません。
しかし、生活保護を受けるからと言って、必ずしも不動産を売却しなければならないわけではなく、場合によっては、住み慣れた家に住み続けながら生活保護を受けられることもあります。
- この記事はこんな人におすすめ!
- 生活保護を受けられる要件がわからない人
- 生活保護を受けていても、家を所有できる場合とできない場合を知りたい人
- 生活保護を受けている間に家を相続した人
もくじ
1.生活保護を受けるための要件
どのようなケースなら家を売却しなくていいのかを知るためにも、まずは生活保護を受けるための受給要件について詳しく解説します。
1-1.収入の要件
生活保護は、個人ではなく世帯単位に対して行われます。世帯とは、同じ住所に住んでいて、同一の生計を営んでいる家族ごとの単位のことです。
世帯全員が、資産や能力、そのほかあらゆるものを最低限度の生活を維持するために活用してもなお生活が困難な場合に受給できます。
そのため生活保護費は、支給額(厚生労働省が定めた基準で計算された最低生活費)から、収入を差し引いた額が支給されます。収入は、働いて得た収入のほか、年金や親族からの援助などもすべて含まれます。
なお、支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。以下に例をあげているので、参考にしてみてください。(2022年4月1日現在)
1級地−1 東京都23区 |
1級地−2 大阪府岸和田市 |
2級地−1 福岡県久留米市 |
|
3人世帯(33歳、29歳、4歳) | 156,990円 | 152,120円 | 147,360円 |
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) | 119,920円 | 115,890円 | 112,190円 |
母子世帯(30歳、4歳、2歳) | 188,780円 | 183,980円 | 177,500円 |
(※児童養育加算費、母子加算費を含む。)
(厚生労働省HP「級地区分(H30.10.1)」)
1-2.資産活用の要件
生活保護を受けるためには、まず預貯金を生活費に充て、生活に利用されていない土地、家屋などもあれば、売却して生活費に充てることが求められます。
1-3.能力活用の要件
世帯の中で働くことが可能な人がいるなら、能力に応じて働いて、収入を得る努力が必要です。
体も健康で働ける条件が整っていて、かつ就業可能な職場があるのに無職でいるような場合は、生活保護の対象になりません。
1-4.その他の要件
親族などから援助を受けられる場合は、援助を依頼することが求められます。
生活保護法においての扶養義務の範囲は、民法上での扶養義務と同じです。扶養義務とは、生活費の面倒をみなければならない以下の対象者を指します。
- 夫婦および成人している子
- 直系血族(父母や祖父母、孫など)、兄弟姉妹
- 三親等内の親族(おじ、おば、甥、姪など)のうち、特別な事情がある人
(過去にこの要保護者またはその世帯に属する人から扶養を受けたなど)
そのため、生活保護の申請をすると、付き合いがあるかどうかに関わらず、福祉事務所から上記の親族に申請者の生活を援助できないかどうかの通知(扶養照会)が強制的にいくことになります。
仮に親族が名乗り出れば生活保護の調査は終了し、親族の扶養に入るため、誰も名乗り出なかった場合のみ生活保護を受給できるようになります。
ちなみに、離婚した場合でも、元の配偶者にも扶養照会が届きます。

とはいっても、子供にとっては、元の配偶者も親であることに変わりはないのです。
2.家を所有できる場合・できない場合
それでは、家を所有できる場合とできない場合では、どのような違いがあるのか具体的に見ていきましょう。
2-1.所有が認められる不動産
厚生労働省では、生活保護における不動産保有の考え方として、以下のように示しています。
- 不動産については、売却することが原則
- 被保護世帯の居住の用に供される家屋およびそれに付属する土地については、保有を容認し、保護を適用
被保護世帯は、生活保護を受けている世帯のことです。
先述したように、生活に利用していない不動産については売却しなければなりませんが、居住している不動産(マンション・一戸建てなど)については売却しなくてよいとされています。


2-2.所有が認められず、手放さなければならない可能性が高い不動産
一方、厚生労働省は、保有不動産について以下のようにも述べています。
- ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められる場合は、売却等による資産の活用をしたうえで、保護の要否を判断

厚生労働省の指針によると、利用価値が著しく大きいとは、具体的には「標準3人世帯(30代と20代の夫婦と4歳の子を想定)の生活扶助基準額に、住宅扶助特別基準額を加えた額のおおむね10年分(約2千万円程度)」としています。
つまり、「現在の売却価格」>「毎月の生活保護の受給金額 × 120ヶ月(10年分)」だと売却しなくてはならない可能性が高いといえます。
ただし、住宅を保有するか売却するかについては、処分価値や処分の可能性、地域の低所得者の持ち家状況などのほか、住民意識や世帯の事情などをみて処遇検討会などで総合的に判断されるため、上記の条件に該当した場合、100%売却になるというわけではありません。
もし、自宅の売却価格を知りたいのであれば、無料&匿名で利用できる「イクラ不動産」をご活用ください。
2-2-1.住宅ローン返済中の場合
厚生労働省は、住宅ローン返済中の場合には、「結果として生活費にするべき保護費からローンの返済を行うことになるので、原則として保護の適用は行うべきではない」と見解を述べています。
参考 生活保護による保護の実施要項について(第3:資産の活用問14)厚生労働省生活保護費は税金から支払われるため、生活保護費でローンを返済するということは、税金でその人の資産形成を行っているのと同じことになるためです。
よって、住宅ローンが残っている家は、原則として保有が認められません。
住宅ローンが残っている家については、「住宅ローンが残っている家(マンション・一戸建て)を売る方法」で詳しく説明してますので、ぜひ読んでみてください。
2-3.高齢者世帯はリバースモーゲージが優先
厚生労働省では、「生活保護法による保護の実施要項について」の中で、以下のように述べています。
「不動産担保型生活資金」とは自宅を担保として生活資金を貸し出す制度で、自治体の社会福祉協議会が窓口です。
民間の金融機関が提供しているリバースモーゲージに該当し、土地や自宅を担保に融資を受け、死後その不動産を売却することによって返済する仕組みのことを指します。
リバースモーゲージでは、要保護の高齢者世帯に対し、居住用不動産を担保として生活資金を貸し付けます。貸付限度額は土地および建物の評価額の70%前後(集合住宅の場合は50%)、または生活扶助額の1.5倍となっていて、保証人も不要です。
高齢者世帯は、生活保護の受給を検討する前に、リバースモーゲージが利用できるか確認してみてください。
詳しくは、「家に住みながらお金を借りることができるリバースモーゲージとは?」で詳しく説明してますので、ぜひ読んでみてください。
3.居住用以外の不動産で保有が認められるケース
居住用以外の不動産は原則売却しなければなりませんが、以下については保有が認められる可能性があります。
- 宅地については、農業その他の事業に使われる土地で、事業遂行上必要最小限度の面積のもの
- 事業に使用される家屋で、営業種別、地理的条件などから判断して、その家屋の保有が当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる規模のもの
ただし、どちらについても、処分価値が利用価値と比べて著しく大きいものについては保有が認められません。また、投資用マンションも原則、所有が認められません。
なお、借家についても原則保有を認めないとしていますが、世帯の要保護推定期間(おおむね3年以内)で得られる家賃の合計が、借家を売却した代金よりも多いような場合には保有を認め、借家として活用させることとしています。
4.不動産を相続した場合
生活保護を受給している間に、親族が亡くなって不動産の相続が発生するケースがあります。
ここでは、資産価値が高い場合と低い場合に分けて、対処法を説明します。
4-1.資産価値の高い不動産を相続した場合
資産価値の高い不動産を相続したときには、資産活用の要件で定められているように、売却して生活費に充てなければなりません。
また、生活保護法には、以下のように費用の返済義務が定められています。
被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県または市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。(生活保護法第63条)
つまり、相続した不動産が売却できそうで、まとまった現金が手に入る場合には、これまでに受給した金額を全額返済する必要があります。
そして、保護が必要なくなったと判断された場合には、生活保護法第26条に従い、生活保護が停止または廃止されます。
保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなったときは、速やかに、保護の停止または廃止を決定し、書面をもって、これを被保護者に通知しなければならない。(生活保護法第26条)
停止とは、おおむね6か月以内に再び保護が必要になることが予想される場合などに、一時的に生活保護費の給付をしないことです。資金が枯渇すると、給付が再開されます。
一方、廃止とは、特別な理由が発生しない限り保護を再開する必要がない場合や、おおむね6ヶ月を超えて保護が必要ない状態が継続する場合に、生活保護の対象外とすることです。万が一、再度生活に困窮したときには、改めて生活保護を申請する必要があります。
なお、相続を受けるよりも、生活保護を受け続けたいからといって、相続放棄をすることは認められません。
なぜなら、生活保護はあらゆる資産を活用したうえで、それでも生活に困窮する人のための制度であるからです。
4-2.資産価値の低い不動産を相続した場合
しかし、その一方で資産価値の低い不動産を相続した場合には、相続放棄が認められています。
売却できる見込みがない資産を相続しても、相続税や固定資産税、維持管理費などの負担が考えられるためです。
このような現金化が難しい不動産は、例外的に相続放棄が認められています。相続放棄については、さまざまな観点から正しい判断が求められるため、ケースワーカーなどの専門家に相談するようにしてください。
まとめ
生活保護を受けるために、家(マンション・一戸建て)を売却しなければならないかどうかをまとめると次のようになります。
- 居住用のお家・・・売却しなくてもよい
- 居住用以外の不動産・・・原則売却
ただし、住宅ローンが残っている家は所有が認められません。
また、居住用のお家でも、「現在の売却価格」>「毎月の生活保護の受給金額 × 120ヵ月(10年分)」だと所有が認められず、生活保護を受ける前に、売却して生活費に充てるべきだと指導される可能性があります。
生活保護を受けることができるかどうか、その前に自宅の価格がいくらぐらいなのか知りたい方は、ぜひ、無料&秘密厳守で利用できる「イクラ不動産」を活用してみてください。
お家がいくらぐらいになるのかがわかるだけでなく、もし、売却したい場合は、自分にピッタリ合った売却に強い不動産会社を選ぶことができます。
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