競売とは、住宅ローンの返済ができなくなったときなどに強制的に担保である家やマンションを売却されて、売却代金を返済に充てられることです。
こちらでは、そもそも競売とはどのようなものか、競売の流れやメリットとデメリット、競売になった場合の対処方法などについて、わかりやすく説明します。
- 競売とは、住宅ローンの返済が滞った場合に担保になっている家を強制的に売却されること。売却代金は、ローンの返済の一部に充てられる
- 競売のメリットは売却の手間が省ける点。デメリットは売却額が安くなる点と強制的に追い出されてしまう点
- 競売になっても早めに手を打てば、競売を回避して任意売却できる場合がある
- この記事はこんな人におすすめ!
- 住宅ローンで購入した家やマンションの返済が苦しくて滞納しそうな人
- 住宅ローン滞納で金融機関から催促(督促)状が届いた人
- 競売を回避する方法を知りたい人
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もくじ
1.競売とは?
- 競売とは、住宅ローンなどの借金返済ができなくなったとき、担保にしていた家やマンションなどを強制的に売却されること
- 家やマンションを担保にして(抵当権を設定して)お金を借りた場合、約束どおりに返済しないと競売にかけられてしまう
- 競売での売却額は、通常の仲介で売却した場合の6割程度になってしまう
まず、競売とはどのようなものか、競売になるケース、競売による売却価格の相場について説明します。
1-1.「競売」とは強制的に家を売られること
競売とは、住宅ローンなどの借金返済ができなくなった時に、担保にしていた家やマンションを強制的に売却されることです。
住宅ローンや不動産投資用ローンを利用するときには、銀行などが対象となる不動産を担保にします。このときに設定されるのが「抵当権」です。
債務者がローンを約束どおり返済しないとき、債権者(さいけんしゃ:貸している側)が裁判所に申し立てることによって、債務者(さいむしゃ:借りている人)から担保として抵当権(ていとうけん)を設定している不動産を差押え(さしおさえ)ます。
そして、裁判所の権限によって不動産を強制的に売却し、その売却代金から債権(住宅ローン)を回収するのが競売です。
1-2.競売になるケース
競売になるのは、次のようなケースです。
- 住宅ローンの返済を滞納したとき
- 抵当権付きの不動産を相続したとき
- 他人の借金の担保として家に抵当権を付けたとき
- 一般の借金ローンの返済が滞っているとき
いずれの場合も、何らかの形でお金を借りたり保証人になったりした場合、約束どおりに返済ができなければ、最終的に抵当権が設定されている家やマンションなどが競売にかけられてしまいます。
1-3.競売での売却価格は相場価格の6割程度
競売によって抵当権が設定された家やマンションが売られた場合、相場価格の6割程度の額でしか売れません。
たとえば、通常の仲介で売却すれば2,000万円程度になる家の場合、競売にかけられると1,200万円程度にしかならないということです。
競売での売却額が安くなる理由として、内覧ができない、購入をすぐに決定しないといけない、などといった買い手に不利な条件が多いことがあげられます。
そのため、通常の売却物件より売れにくくなることを踏まえて、相場価格よりも安い売出価格になってしまうのです。
2.競売の流れ
- 裁判所で競売開始決定があり、担保不動産競売開始決定通知書が自宅に届いたら裁判所に家やマンションを没収されることになる
- 競売で落札されたら所有権が移転し、強制的に家から追い出されてしまう
- 競売での落札額で住宅ローンを完済できない場合は、不足額の返済を続けていくことになる
では、実際に競売がどのように進むのかをくわしく見てみましょう。
競売を申し立てられると、次のような流れで手続きが進みます。
- STEP.1競売開始決定裁判所で競売開始決定があり、担保不動産競売開始決定通知書が自宅に届きます。この書類がお家に届いたら「お家を裁判所に没収される」ことを覚悟しなければなりません
- STEP.2現況調査執行官と評価人が家にやってきて様子を確認します。自宅に入られて写真などを撮影されます。
- STEP.3物件情報の開示現況調査結果を踏まえて最低入札価額が決まり、入札日や開札日が決定されます。ネットや裁判所で物件情報が開示されます。
- STEP.4入札開始最低入札価額以上で入札が行われます。
- STEP.5開札(かいさつ)開札が行われ、もっとも高額で入札した人が落札します。
- STEP.6売却代金の納付と所有権の移転落札者が代金を支払い、登記名義が変更されて所有権が移転します。
競売開始決定から一連の手続きを終えるまでの期間は半年~1年程度です。
競売が始まると裁判所が勝手に手続きを進めていくので、あなたは何もできません。
競売が開始するまでの流れについては、「任意売却とは?メリットとデメリットやリスク、注意点をわかりやすく解説!」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-1.約2ヵ月後
競売開始決定の通知から約2ヵ月後に、物件の調査が開始されます。
調査は裁判所から派遣された執行官が行い、調査資料を作成します。その資料に基づいて、プロの鑑定士が競売の基準となる鑑定資料を作成します。
2-2.約4ヵ月後
通知から約4ヵ月後に、入札期間を知らせる通知が届き、競売情報が新聞やインターネットで公開されます。
物件の住所が公開されるため、近隣にあなたの家が競売にかけられていることが分かってしまいます。裁判所に行けば、個人情報も公開されています。
2-3.約6ヵ月後
通知から約6ヵ月後にはオークション形式の入札が開始されます。入札者が複数の場合は、その中で最も高額を申し出た人が落札者です。
落札者は、落札した代金を裁判所が指定した期日までに支払うことで、競売にかけられた物件の所有権を得られます。
2-4.約8ヵ月後
通知から約8ヵ月後に落札者が入金を済ませると、物件の所有権が落札者に移されます。
所有権が移されると、出て行かなくてはなりません。居座っても無駄です。落札者は法的な手続きに基づいて、あなたを強制的に立ち退かせることができます。
それだけでなく、落札された金額で残りの住宅ローン全額を返済できない場合は、不足額を債権者に支払わなければなりません。
差額については、一般的に一括で支払わなければなりませんが、債権者によっては、分割で支払うことができるところもあります。それでも支払いできない場合は、自己破産などの債務整理をすることになります。
3.競売のメリットとデメリット
- 競売のメリットとして、裁判所主導で進められるため売却の手間がかからず、売却期間を気にする必要がない点があげられる
- 競売のデメリットとして、相場価格の6割程度という安い価格でしか売れない点があげられる
- 競売になると情報が公示されるため、プライバシーが害されるというデメリットもある
ここでは、競売のメリットとデメリットについて説明します。
3-1.競売のメリット
競売は、後ほど説明する任意売却に比べるとメリットは少ないです。しかし、あえて言うなら、競売には次のようなメリットがあります。
- 売却の手間が省ける
- 売却期間を気にする必要がない
3-1-1.売却の手間が省ける
ローンを支払えなくなったら、遅かれ早かれ家を失うことになります。競売を阻止するには自分で家を任意売却して売却代金をローン返済に充てるしかありません。
ところが、自分で家を売るには、まずは不動産会社を探して内見に対応し、契約書を作成して引き渡しに立ち会ったり登記に協力したりなど、いろいろな手間がかかります。
競売では、家の売却の手続きはすべて裁判所と債権者がしてくれるので、債務者はほとんど何もする必要がありません。普通に家で生活していたら、勝手に家が売れて売却代金からローンが支払われます。
3-1-2.売却期間を気にする必要がない
競売では、裁判所や債権者が勝手に手続きを進めるので、債務者(借りている人)が時間を気にして売却を急ぐ必要がありません。郊外などで人気がない不動産だと入札者が現れず、いつまでも家が売れないだけとなり、こうなると債務者にとっての不利益は小さいといえます。
任意売却の場合、入札の期日(開札の前日)までに家が売れないと最終的には競売になるので、かけた時間も手間も無駄になる可能性があります。
3-2.競売のデメリット
一方で、競売には、次のようなデメリットがあります。
- 安くでしか売れない
- 引越費用ももらえず強制的に追い出される
- プライバシーが害される
3-2-1.安くでしか売れない
一番大きな競売の問題点は、家が安値でしか売れないことです。
競売になると、相場価格と比べて6~8割程度の価格でしか売れないケースが一般的です。そこから、さらに競売費用も差し引かれます。
そのため、後述する任意売却で少しでも高く売却するほうが、より多くのローン返済ができ、あとに残る借金を大きく減らすことが可能です。
3-2-2.引越費用ももらえず強制的に追い出される
競売になると、開札(かいさつ)によって不動産の新しい所有者が決まります。
そうなると不動産は落札者のものとなるため、もう家に住み続けることはできません。早急に出ていく必要がありますし、出ていかなければ「強制執行」で無理矢理退去させられてしまう恐れもあります。
任意売却であれば、売却代金から引越費用を出してもらえるケースも多いのですが、競売の場合にはそうしたことは期待できず、自腹で何とか引越しするしかありません。
3-2-3.プライバシーが害される
競売になると、手続き中に裁判所の執行官や評価人が家の現況調査にやってきます。
さらに、競売にかけられる物件情報が裁判所やネットなどで公表されるので、関心を持つ不動産会社などが家の周辺にきて様子を見たり、近隣の住民に状況を聞いたりします。
このことによって近所で噂になり、プライバシーが害されるケースも多いです。
任意売却なら一般的なお家の売却方法である「仲介」と同じ方法で売却するので、このような問題が発生することはありません。
4.競売を回避するには「任意売却」
競売になったとしても、早い時期であれば「任意売却(にんいばいきゃく)」という方法で競売を回避することができます。
任意売却とは、住宅ローンを組んでいる金融機関から承諾を得たうえで、ローンが残っている家の抵当権を外してもらって売却する方法です。滞納してからの期間が短ければ短いほど有利に交渉できます。
任意売却は、相場価格ほどではないにしても、競売の入札価格よりも高く売却できます。また、競売とは違って周囲に知られることもありません。
任意売却での売却は、一般的な家の売却方法である「仲介」で売る場合と同じように、不動産会社に売却を依頼して買い手を見つけてもらいます。
任意売却については、「任意売却とは?メリットとデメリットやリスク、注意点をわかりやすく解説!」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
ただし、すべての不動産会社で任意売却を取り扱えるわけではありません。競売を回避して、スムーズに任意売却を進めたい場合は、任意売却が得意な不動産会社を探して依頼しましょう。
任意売却を得意としている不動産会社を効率よく探したい場合は、ぜひイクラ不動産をご利用ください。無料&秘密厳守でご相談いただけます。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 任意売却とは、住宅ローンの返済が滞った場合に強制的に家を売却されて、売却代金を返済に充てられてしまうこと
- 競売は、次のような流れで進められる
・裁判所で競売開始決定があり、担保不動産競売開始決定通知書が届く
・執行官と評価人が家にやってきて現況調査が行われる
・最低入札価額が決まって入札日や開札日が決定し、物件情報が公示される
・入札開始
・開札が行われ、もっとも高額で入札した人が落札する
・落札者が代金を支払うと登記名義が変更されて所有権が移転し、競売が完了する - 競売のメリットとして、次のようなものがあげられる
・売却の手間が省ける
・売却期間を気にする必要がない - 競売のデメリットとして、次のようなものがあげられる
・安くでしか売れない
・引越費用ももらえず強制的に追い出される
・プライバシーが害される - 競売になったとしても、早い時期であれば「任意売却」という方法で競売を回避することができる
裁判所から競売開始決定通知書を受けとったら、早急に任意売却するかどうかを決めましょう。
一般的に任意売却の方が高額で売れるため、売却後のローン残高が少なくなってその後の返済が楽になります。
任意売却するには、競売の手続きが進んでしまう前に買主を見つけて売買契約しなければならないので、一刻も早く不動産会社に相談する必要があります。
裁判所から競売開始決定通知書が届き、競売で家を失うのではないかと不安な人は決して少なくありません。
一番大事なことは、一刻も早く行動することです。
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さらに、あなたの状況にピッタリ合った売却に強い不動産会社を選ぶことができ、わからないことがあれば宅建士の資格を持った専門スタッフにいつでも相談できるので安心です。
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