不動産担保ローンとは、家やマンションなどの不動産を担保にしてお金を借りるというものです。
まとまった額を借り入れることができますが、不動産の評価額や住宅ローンの残額によっては借りられないこともあります。
こちらでは、不動産担保ローンのメリット・デメリットと利用の流れ、そして、急にまとまったお金が必要になった場合、不動産担保ローン以外にどのような対処法があるかについてわかりやすく説明します。
- 不動産担保ローンとはどのようなものかについてわかる
- 不動産担保ローンを利用する際の流れがわかる
- 急にまとまったお金が必要になった場合の対処法についてわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 急にまとまったお金が必要になった場合の対処法を知りたい人
- 持ち家を担保にお金を借りる方法を知りたい人
- 不動産担保ローンのメリットやデメリット、注意点を知りたい人
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1.不動産担保ローンとはどのようなものか?
- 不動産担保ローンとは、家に抵当権を設定して担保とし、まとまったお金を借り入れる商品のこと
- 不動産担保ローンは、比較的低い金利で借りられる点がメリットだが、審査に時間がかかる、返済が滞ると不動産を競売にかけられるといったデメリットやリスクがある
- 住宅ローンが残っている場合、残額が多すぎると不動産担保ローンを借り入れできない場合がある
まず、家やマンションなどの不動産を担保にしてお金を借りる「不動産担保ローン」とはどのようなものかをくわしく説明します。
不動産担保ローンについて、次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 不動産担保ローンのメリットとデメリット
- 担保と抵当権について理解しておく
- 住宅ローンの残額によっては借りられない
それぞれのポイントについて説明します。
1-1.不動産担保ローンのメリットとデメリット
不動産担保ローンのメリットとデメリットには、次のようなものがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・まとまった額を借り入れられる ・無担保ローンよりも金利が低い ・長期間の借り入れが可能 |
・すぐに借り入れることができない ・返済が滞ると競売にかけられる ・手数料がかかる |
1-1-1.不動産担保ローンのメリット
不動産担保ローンのメリットは、まとまった額のお金を長期間にわたって借り入れできる点です。返済期間も長めに設定することができます。
また、消費者金融のキャッシングやカードローンより低金利である点も、不動産担保ローンのメリットだと言えるでしょう。
1-1-2.不動産担保ローンのデメリット
不動産担保ローンのデメリットは、不動産の審査に時間がかかるため、すぐに借り入れができない点です。
早くても数週間、不動産の調査に時間がかかれば1ヵ月以上になることもあります。
また、無担保ローンよりも金利は安いですが、手数料が必要です。
金融機関や借入額によって手数料の額は変わりますが、一般的に2〜8%程度のことが多く、借入額が少ないほど手数料率が高くなることを踏まえておきましょう。
さらに、返済が滞れば、担保にしている不動産を競売にかけられてしまい資産を失うことになってしまう点も忘れてはいけません。
1-2.担保と抵当権について理解しておく
担保(たんぽ)とは、借金の返済が滞ったときのために物や人をあらかじめ差し出すことです。
単に「お金を貸してほしい」と頼まれても、本人が本当に借金を返済してくれるかわからないため、何もなしに貸すというのは、貸す側にとって大きなリスクがあります。
そこで物や人を担保にとり、いざというときに回収できるようにしてからお金を貸すのが担保の目的です。
物を差し出すパターンとしては、車や宝石、不動産などがあります。人を担保にする場合は「保証人」です。
家を担保にする場合は、「抵当権」を設定します。
抵当権というのは、家につける担保権の呼び名です。抵当権をつけると家の登記簿にも抵当権がついたことが記録されます。
家を担保に入れると、きちんと借金を返済できなくなった場合、家を差し押さえられて競売にかけられ、売却代金を借金の返済に充てられるという仕組みです。
ただし、きちんと返済している限りそのようなリスクはありません。また、完済したら抵当権設定登記も消してもらえます。
借金をきちんと返せる見込みがあるならば、家を担保に入れてもさほど恐れる必要はありません。
1-3.住宅ローンの残額が多いと借り入れできない
家を担保にして借り入れした場合、万が一、返済できないと家が競売にかけられ、その売却代金を返済に充てることになります。
そのため、住宅ローンが多く残っている家だと、一般的には不動産担保ローンを組めません。
なぜなら、住宅ローンを組んで購入した家には、すでに住宅ローンの抵当権が設定されており、競売にかけられた場合の売却代金は、まず住宅ローンの返済に充てられるため、担保ローンを返済することができないからです。
ただし、住宅ローンの残額が少なければ、不動産担保ローンを組むことができることもあります。まずは借入先の金融機関に相談してみると良いでしょう。
2.不動産担保ローンの利用の流れ
- 不動産担保ローンを利用する場合は、仮審査を通過後の本申込みを経て、本審査を通過する必要がある
- 契約の際には、「金銭消費貸借契約」と「抵当権設定契約」を締結することになる
- 不動産担保ローンの借り入れにかかる手数料は、融資金から清算される
不動産担保ローンを利用する際の流れは、次のとおりです。
- 仮審査の申込み
- 本申込み
- 不動産調査・本人の本審査
- 契約・融資実行
それぞれのステップについて説明します。
2-1.仮審査の申し込み
不動産担保ローンをする場合は、まず金融機関のサイトなどから仮審査の申し込みが必要です。
そして、担保にする不動産の簡単な査定結果をもとに、借り入れできる額などの回答が届きます。もし融資不可だった場合は、ほかの金融機関で仮審査を受けることもできますが、仮審査に落ちたという与信情報が残っていく点に注意が必要です。
仮審査に通れば、本申し込みと本審査に進むことができます。
2-2.本申込み
仮審査の通過後、本申込みに進みます。
その際、借入先との話し合いが必要です。借り入れる金額や返済条件(利息など)、返済方法、家に担保をつけることなどについてくわしく決めることになります。
本申込の際は、次のようなものが必要です。
th見出し | th見出し |
---|---|
本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) | ✅ |
実印と印鑑証明書 | ✅ |
納税証明書、固定資産税納付書 | ✅ |
収入証明書(源泉徴収票・確定申告書など) | ✅ |
不動産登記簿謄本(不動産権利証) | ✅ |
借入残高証明書(住宅ローンが残っている場合) | ✅ |
商業登記謄本、決算書類、事業計画書など ※法人の場合 | ✅ |
2-3.不動産調査・本人の本審査
担当者の面談後、担保にする不動産のくわしい調査が行われ、同時に本人の与信審査が行われます。不動産に価値があっても、本人の与信審査に問題があれば借り入れできません。
不動産の調査と本人審査が問題なく完了すれば、融資可能額や金利などが担当者から伝えられ、問題ないようであれば契約手続きに進みます。
2-4.契約・融資実行
契約日には、「金銭消費貸借契約」と「抵当権設定契約」を締結します。
金銭消費貸借契約とはお金を借りるための契約で、抵当権設定契約とは家を担保に入れるための契約です。
借入先が銀行などの金融機関であれば、契約書は借入先が作ってくれるので、自分で作成する必要はありません。
一方、個人の人から借金をして家に担保をつける場合には、自分達で契約書を作成する必要があります。
契約書が完成したら、法務局で「抵当権設定登記」を行います。
これについても借入先が金融機関であれば金融機関の方で手続きをしますが、個人から借り入れをする場合には、自分達で抵当権設定登記の申請を行わなければなりません。
ただし、抵当権設定にかかる費用については、抵当権を設定する債権者(貸す側)の負担にするのが通常です。
なお、借り入れにかかる手数料は、融資金から清算されるので、手数料分のお金を別途用意する必要はありません。
そして、融資実行日に資金が振り込まれて手続き完了となります。
3.不動産担保ローン以外でお金を工面する対処方法
- 急にお金が必要になった場合、不動産担保ローン以外の対処法として、親などから援助してもらう、生命保険を解約する、担保なしで借金するなどがある
- 不動産がある場合は、売却をしてまとまったお金を作るという手もある
- リースバックが利用できれば、家を売って売却代金を受け取ったあとも、賃貸として住み続けることができる
最後に、不動産担保ローン以外に、急にまとまったお金が必要なときの対処法を紹介します。
急にお金が必要になった場合の、おもな対処法は次のとおりです。
- 親などの親族に援助してもらう
- 生命保険を解約する
- 担保なしで借金する
- 家やマンションなどの不動産を売却する
それぞれ、どのような方法かを説明します。
3-1.親などの親族に援助してもらう
1つ目は、親や兄弟、親戚などに足りない分を援助してもらう方法です。
リストラされたり事故を起こしてしまったりなど、急にまとまったお金が必要になったときは、親などの親族に事情を説明してお金の援助をしてもらうという方法があります。
ただし、返済時のトラブルを避けるためにも、親族であってもきちんと借用書を作成しておくことが大切です。
3-2.生命保険を解約する
2つ目に考えられるのは、生命保険の解約です。
積立型の生命保険に加入している場合、生命保険を解約するとそれまでに支払った保険料に応じて「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」を払い戻してもらえる場合があります。
長年生命保険に加入していたケースなどでは、解約返戻金が数百万円になるケースもあるので、そこそこ大きな出費にも対応可能です。
3-3.担保なしで借金する
3つ目は、担保なしで借金をする、いわゆる無担保ローンと呼ばれるものです。
たとえば、銀行のフリーローンや消費者金融業者のキャッシングやカードローンを利用すれば、担保なしでお金を借りられます。
ただし、カードローンなどの場合、年収の3分の1以上の金額をすでに借り入れていたら、追加での融資は受けられない可能性が高いです。
また家や土地などの担保がないと借りられる額が限られるため、十分な額を工面できないことがあります。
3-4.家やマンションなどの不動産を売却する
4つ目は、家(マンション・戸建て・土地)を売却する方法です。
借金をしても、将来、返済できそうにない場合は、家などの資産を売却してお金を作るほうが賢明だと言えるでしょう。
3-4-1.買取なら即現金化できる
不動産の即現金化が必要な場合は、買取の利用がおすすめです。
家などの不動産を売ってお金にする場合、仲介での売却だと最短でも3〜6ヵ月かかるため、すぐにお金が必要な場合には向いていません。
買取を使えば、売却額は7割程度になってしまいますが、数日〜1週間程度で現金化できます。
買取については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3-4-2.リースバックなら住み続けながら売却できる
家を売却したお金は必要だけれども、引っ越しして子供を転校させたくない、周囲に家を売ったことを知られたくないといった場合があります。
そのような場合におすすめなのが、リースバックです。
リースバックを利用すれば、家の売却したあとも、賃貸としてこれまでと同じように住み続けることができます。
家を売っても住み続けられるリースバックについては、「【リースバックのまとめ】家を売っても住み続けられる!利用方法や注意点を詳しく解説」で説明しています。ぜひ一読してみてください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 不動産担保ローンとは、家やマンションといった不動産に抵当権を設定して担保とし、まとまった額の借り入れをするというもの
- 不動産担保ローンのおもなメリットとして、次のようなものがある
・まとまった額を借り入れできる
・長期間にわたって借り入れできる
・比較的安い金利で借り入れできる - 不動産担保ローンのおもなデメリットとして、次のようなものがある
・手数料がかかる
・融資が下りるまでに時間がかかる
・返済が滞れば不動産を競売にかけられる - 不動産担保ローン利用の流れは、次のとおり
・仮審査の申込み
・本申込み
・不動産調査・本人の本審査
・契約・融資実行 - 急にまとまったお金が必要になった場合、不動産担保ローン以外に次のような対処法がある
・親などの親族に援助してもらう
・生命保険を解約する
・担保なしで借金する
・家を売却する - まとまったお金が必要な場合は、家の売却を検討するのも一つの手。買取を利用すれば、すぐに家を現金化できる
- リースバックを使えば、家を売った売却代金を得てからも、今の家に住み続けることができる
不動産担保ローンは当初から不動産に担保を付けることを前提とした融資なので、契約書や登記なども借入先で全部やってくれるため、利用はとても簡単です。
申し込んだらすぐに仮審査が行われ、仮審査の通過後、本審査で家の担保価値の査定や融資の審査が行われてお金を借り入れることができます。
不動産担保ローンの利用を検討しているのであれば、あらかじめメリットやデメリット、利用の流れなどをしっかりと把握しておきましょう。
ただし、残っている住宅ローンが多い場合は、不動産担保ローンを利用できない場合があります。
そのような場合は、無担保ローンを利用する、住宅ローンが残っている状態で売却できるようにしてもらう「任意売却」をする、などの方法を検討してみても良いでしょう。
「オーバーローンでも家やマンションを売却できる?5つの対処法を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、もし不動産担保ローンを利用して借り入れをしても、将来的に返済ができそうにない場合は、思い切って売却するのも一つの手です。
家やマンションの売却を検討するのであれば、無料&秘密厳守で利用できるイクラ不動産にぜひご相談ください。
宅建士の資格を持ったイクラ不動産の専任スタッフが、あなたの状況をしっかりとお聞きしたうえで、中立な立場からどのようにすれば良いかを無料でアドバイスさせていただきます。
さらに、売却に強い地元の不動産会社を探したり買取やリースバックについて相談したりできるので、安心して売却を進めることができます。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。