古い家なので、解体して更地にしてから売却しようと思います。
家の解体費用は、どれくらいかかるのでしょうか?
注意点などはありますか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
建物が古い場合「解体してから売却しよう」と考えるのはよくあることですが、実は解体しないほうがいい場合もあるので注意が必要です。
ここでは解体する前に確認しておくべき事についてと、家(戸建の建物)の解体費用がどれぐらいなのかについてお伝えします。
もくじ
1.解体前に確認しておくべきポイント
家を解体するにあたっては、事前に確認しておくべきポイントがあります。
順に見ていきましょう。
1-1.自治体によっては補助金が出る
家の解体には自治体からの補助金制度が設けられています。補助金を受け取るためには自治体が示す基準を満たす必要がありますが、この基準は自治体によって異なります。
金額は20~100万円が相場ですが、金額も自治体によって異なるので確認をしましょう。
また補助金の申請には長い時間を要します。あとから慌てて申請を行い解体までに申請が間に合わないという事態にならないよう、家の解体を考えた時点でお住まいの自治体へ補助金について相談をしておくことが大切です。
1-2.更地にすると固定資産税・都市計画税が増える
固定資産税とは家や土地などの資産に対して課される税金のことをいいます。
一戸建てですと「家」と「土地」の両方に税金が課されることになりますが、家は「軽減措置」が適用されるので最大で6分の1にまで減税されることがあります。
この軽減措置は土地だけの固定資産税より、家と土地の両方の固定資産税のほうが安くなるように設定されています。家を解体すると軽減措置が受けられなくなります。
そのため固定資産税が上がってしまうということを覚えておきましょう。
都市計画税というのは都市計画区域に該当する物件に対して支払う税金です。固定資産税とは別で支払います。
この都市計画税も固定資産税と同じく家がある場合には減税措置がとられます。解体すると軽減措置が受けられなくなるため都市計画税も上がります。
1-3.再建築不可物件は建て替えできない
再建築不可物件は建て替えができません。再建築不可物件というのは解体後に新しい家を立てることができない「土地」のことをいいます。都市計画区域と準都市計画区域内だけにあります。
土地には建築基準法により「接道義務」というものが設けられています。接道義務とは都市計画区域内で建物を建てる場合原則として「幅員4メートルの道路に2メートル以上接した土地」でなければならないというものです。
なぜこの義務があるかというと、救急車や消防車などの緊急車両がかけつけたときに道路と家が基準通りに接していないと救助活動がスムーズにできなくなるからです。
しかし接道義務は「都市計画区域内の土地に対する義務」なので、都市計画区域ではない土地の場合は建て替えが可能です。また都市計画区域でも自治体によっては救済処置がとられている土地もあります。
自分の土地が再建築不可物件かどうか、解体前に自治体に確認しておきましょう。
2.解体費用の相場
実際に家を解体するとなると、おおよそこの程度の費用が必要になります。
・木造 2.5~6万円/1坪
・鉄骨造 3.4~7万円/1坪
・鉄筋コンクリート造 3.5~8万円/1坪
解体費用は「建物1坪の解体費用の単価×建物全体の床面積」で計算されます。
例)1坪の解体費用が4万円で30坪の床面積だった場合
4万円×30坪=120万円
解体費用は木造が一番安く、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に費用が上がります。
解体は建物を壊すだけでなく壊した廃材を処理しなければなりません。木造よりコンクリートのほうが廃棄処理の費用がかかるため、鉄筋コンクリート造の解体費用が一番高額となります。
1坪あたりの解体費用に幅がありますが、相場は住んでいる地域、家の構造(2階建てか平屋か)などで変わります。解体の際は業者に見積りを頼んで金額を確認しましょう。
2-1.解体費用の内訳
解体費用には以下のような費用が含まれています。
2-1-1.仮設工事費
仮設工事とは、解体工事を行う前の準備段階の工事です。
近隣にゴミが飛ぶのを防ぐために防塵シートを用意したり、音を緩和させるために防音シートで解体建築物を囲ったり(これを「養生:ようじょう」といいます)するほか、仮設トイレや電気、水道設備を設置したりします。
また解体現場はとても危険ですから、外部から子供などが不用意に入ってしまわないように、敷地をゲート付きのフェンスで囲うこともあります。
2-1-2.解体工事費
重機や手作業などで建物を解体します。
建物が密集している地域では、解体物が近隣にぶつかってしまう恐れがありますので、養生をしっかりと行うことはもちろん、非効率であっても手作業で行うことがあります。
解体工事費は解体費用のうち3~4割を占め、手間がかかればその分費用も増えていきます。
2-1-3.整地費用
建物の解体が完了したあとは、敷地内に細かな破片などが残されます。
ある程度の大きさならば拾い集めて処分することもできますが、小さくなってしまったものを拾いきることは難しく、このような破片は現地の土ごと入れ替えをしたり、混ぜ合わせたりします。
解体後の敷地をどのように活用するかによって整地の方法が変わることもあります。
2-1-4.廃材処分費
建物を解体したときに出る大量の建材などを、法律で決められた分類方法で処分します。
廃材処分は、解体費用全体の4~5割を占めるほど費用がかかるものです。廃材の種類ごとにしっかりと分類し、効率よく処分を進めていかなければ、たちまち費用が増えてしまいます。
また、不用意に安く済ませようとした場合、処分会社が不法投棄をしてしまう可能性も否定できないため、値下げ交渉には注意が必要です。
2-1-5.諸経費
諸経費は、解体工事を行うとき近隣にあいさつをしたり、工事保険に加入したりする費用や、工事車両の駐車代などを含みます。
解体場所の条件によって諸経費に差が生まれることがありますが、おおよそ解体費用の1割ほどとされます。
これらの費用は家の広さや構造・接道状況などで変動しますので、事前に複数の解体業者から見積りを取って費用を比較・確認しておきましょう。
3.解体の流れ
解体作業の流れは、大まかにこのようになります。
- ステップ.1①解体のための申請手続き
家の解体の際に重機やトラックを公道に停車させておく必要がある、また足場などを設置する際公道を使用する必要がある、という場合は警察や自治体に道路使用許可書、道路占用許可書を発行してもらわなければなりません。
これらの許可証の申請は解体業者に依頼した場合は解体業者が行ってくれるので個人で申請する必要はありません。ただし別途費用がかかります。
- ステップ.2②解体のための仮設工事
安全かつスムーズに解体するために養生シートの設置、足場の設置などの作業を行います。養生シートは粉塵が近隣へ飛び散るのを防ぐ、また騒音を防止するために使用します。
近隣住民への配慮、作業員の事故防止、トラブル回避のために必要なものになりますので解体準備の費用も確保しておきましょう。
- ステップ.3③解体工事・付帯工事
家本体の解体に加えて付帯工事費用が追加になります。付帯工事費用とは家以外を解体する際にかかる費用のことをいいます。付帯工事には、庭石・庭木・物置・花壇・バルコニー・フェンス・ブロック塀・門・ウッドデッキ・カーポート・土間などが該当します。
ただし付帯するものはそれぞれの家で異なるため金額も変わります。家の解体の費用と合わせて付帯工事費用の総額も確認しておきましょう。
- ステップ.4④整地工事
家本体と付帯物の解体が終了した後の土地は大きな石が転がっていたり、土が荒れていたりして表面がボコボコになっている状態です。このままでは土地を売却する際に買い手にいい印象を与えることができませんので、表面を綺麗にするために整地工事が必要になります。
真砂土(まさつち)を入れる、砂利を入れる、アスファルトを敷くなどさまざまな方法がありますが、解体後の土地の使用方法に応じて適した材料を使用することになるので、あらかじめ解体業者と相談しておきましょう。
解体の手順はこのようになりますが、家の状態や周辺の環境などによって、どの程度の工事期間を要するかはケースバイケースです。
4.解体費用は譲渡所得税の控除対象
建物を解体して売却したときに、利益を得た場合は「譲渡所得」という税金がかかります。売却したときの利益が大きいほど、かかる税金の額も大きくなります。
譲渡所得の計算方法は「収入金額-必要経費(取得費+譲渡費用)」です。
譲渡費用や手続き時にかかった費用などの必要経費を差し引いて算出された譲渡所得と物件の所有期間に応じて、所得税や住民税が計算される仕組みになっています。
必要経費を簡単に説明すると「取得費は購入代金などの購入時にかかった諸経費」「譲渡費用は不動産取引で発生した仲介手数料など売却時にかかった諸経費」が含まれます。建物の解体費用は売却時の諸経費となる譲渡費用のひとつとして扱われます。
そのため解体費用は譲渡所得税の控除対象となり、税負担の減少に役立ちます。
ただし、譲渡の予定がないにもかかわらず所有者都合で建物を解体したなどのケースでは、かかった解体費用を譲渡費用に含めることはできません。あくまで譲渡費用は「物件の譲渡のために必要となった経費」を計上できることになっています。
5.解体業者選びのポイント
家の解体費用は決して安い金額ではありません。ですので安心して解体を任せられる業者を選ぶためのポイントをご紹介します。
5-1.解体工事に必要な許認可を受けている
解体工事には解体作業が終了した後に廃棄物を運搬する作業も必要になります。
「建設業許可」という許可を取っていれば解体は可能ですが、解体業者が「産業廃棄物収集運搬許可」も取得していれば、運搬作業まですべてを解体業者に任せることができます。
・会社の経営状態が安定している
・不法投棄を行った場合は剥奪されるのでそのような不法行為は行わない
・収集運搬に必要な車両を確保している
2つの許可を取得しているということは解体業者の信頼と安心につながります。
業者選びに迷った際は「産業廃棄物収集運搬許可」を取得しているかどうかを確認してみましょう。
5-2.自社で解体工事を行っている
解体業者の中には解体工事を引き受けたあと、下請け業者に任せて仲介手数料だけを受けとるという業者も存在します。
そのような場合、解体費用に仲介手数料が追加される、下請け業者の作業が煩雑、解体業者とうまく連携が取れないなどのトラブルが発生する可能性があります。
請け負った会社がきちんと解体工事を行ってくれるかどうかを最初に確認しておくと安心です。
5-3.必要な書類を発行してくれる
解体工事がすべて完了してもそこで終わりではありません。家を解体したあとに「建物滅失登記申請書」という書類を法務局に提出しなければ、家が解体されたという扱いにならず家が存在し続けることになってしまいます。
滅失登記申請書は法務局のホームページで取り寄せることができ、自己所有の戸建ですと個人でも申請が可能です。滅失登記申請書を提出する際に、取り壊し証明書の提出が求められることがあります。
解体の見積もりの際に取り壊し証明書の発行についても応じてくれるか確認しておきましょう。
解体業者によって費用が異なることが多いです。価格・対応など自分に合う解体業者を見つけるために、ぜひ複数の解体業者に相談してみてください。
最安値の解体工事会社を探したい場合は、国内最大級の解体工事一括見積りサイト「クラッソーネ」がおすすめです。
解体工事の見積もり依頼から比較、工事依頼まで簡単にご利用いただけます。
まとめ
家の解体についてお伝えしましたが、そもそも解体せずに売ることができれば、解体費用は必要ありません。
売却に強い不動産会社であれば「古家付き住宅」として売却してくれることも考えられます。「解体しないと売却できない」と思わずに、一度不動産会社に相談することをお勧めします。
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