
買替え先の物件を探していて、お安い物件を見つけたんですけど『オーナーチェンジ』って書いてあるんです。
これってどういう意味なんですか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
物件を探していると「あれ、これって安くない?」という物件を見つけることがあります。
そのような物件は、「オーナーチェンジ物件」と記載されていることが多いです。
オーナーチェンジ物件とは、簡単にいうと「投資用物件」になります。一般的に、オーナーチェンジ物件は居住用の物件より安いとされていますが、それはなぜなのでしょうか。
ここでは「オーナーチェンジ物件の価格<居住用物件の価格」に理由ついてわかりやすく説明します。
だから!


オーナーチェンジ物件とは
オーナーチェンジとは、現在借りている賃借人をそのままにして、物件(マンション1室やマンション・アパートの1棟、一戸建、店舗、事務所など)を売買することをいいます。
賃貸の契約である「賃貸借契約」を引き継いで、オーナー(所有者)だけ替わるために「オーナーチェンジ」と呼ばれます。
つまり、賃借人がいる状態での投資用不動産売買を「オーナーチェンジ」と呼ぶのです。そしてその物件のことをオーナーチェンジ物件といいます。
もし、賃借人がいない空室の状態で売買する場合は、オーナーチェンジとは言いません。
オーナーチェンジ物件の売買によって、新所有者は、賃借人からの賃料を受け取る権利を得ますが、賃借人が出ていく際の敷金の返還義務も引き継ぎます。
オーナーチェンジによって所有者が代わっても、賃借人への通知(所有者の変更、新たな家賃の振込先、新たな連絡先など)は売買契約後であることが一般的です。
ただし、家賃の回収を不動産会社(管理会社)が代行している場合や、あるいは家賃保証で不動産会社(管理会社)による借り上げ契約となっている場合で、不動産会社(管理会社)との契約をそのまま引き継ぐときは、賃借人への通知をしないケースもあります。
メリットとデメリット
投資用に不動産を購入しても、空室の場合は新たに賃借人を募集し、入居するまでは賃料収入は入ってきません。
また、利回りも想定であり、実際のところ賃料がいくらになるのかわかりません。さらに、空室の場合は入居を募集するために、最低でもハウスクリーニング等のリフォームが必要となる場合が多いです。
しかし、オーナーチェンジ物件の場合は、すでに賃借人がいるのですぐに賃料収入が見込めます。
ただし、賃借人が居住しているため室内を実際に見ることが原則できません。室内の状況がわからないまま、外観および前オーナーが所有している賃貸借契約書などの書面のみで購入を決定する必要があります。
また、ローンを利用する際は、居住用ではなく投資用不動産のため通常の住宅ローンは使えず、金利は高くなります。
そして一般的に、空室よりも賃貸中(オーナーチェンジ)の不動産は安くで売買されます。いったいなぜでしょうか。
オーナーチェンジ物件の査定方法
オーナーチェンジの投資用物件と居住用物件の査定方法は大きく異なります。
居住用不動産は、文字通り「住むため」の家で、取引事例比較法を利用して不動産価格を計算します。
取引事例比較法とは、売却する不動産と条件が近い不動産(同じマンションならより良い)の過去の成約事例をいくつか選択し、平均坪単価をベースに間取り・方角・現状・角部屋などと経済状況等外的要因を考慮の上、査定価格を出す方法です。
一方、投資用不動産(オーナーチェンジ物件)は、物件自体にお金を稼ぐ力(収益力)がどれくらいあるかが求められるため、収益還元法を利用して不動産価格を計算します。
収益還元法とは物件自体が将来どれぐらいの稼ぎ出せるのか、収益力に基づいて不動産の価格を求める方法です。当然ですが、その物件の収益力が高ければ物件価格も高くなり、収益力が低ければ物件価格も安くなります。
LDK(間取り・面積)によって考えを分ける
オーナーチェンジ物件といっても、LDK(間取り・面積)によって、考えを分ける必要があります。
例えば、表面利回り10%の物件価格は下記のようになります。(表面利回りとは、管理費などの経費を考えず単純に家賃収入を計算して求める計算方法です。)
転勤や福利厚生で家賃の住宅補助がある人もいます。東証1部に上場している会社でも、家賃補助の上限の目安は18万円といわれており、18万円を超える賃貸の借り手は大きく数を減らすのが実情です。
原則、不動産の価格は「駅からの距離・面積・築年数」で決まります。駅からも近く、部屋も広く、築年数も浅い物件なんて、誰もが欲しいですよね。誰もが欲しいということは物件価格も高くなります。家賃の賃料相場も同様に高くなります。
こちらは、投資用不動産ポータルサイト楽待が、2017年2月に調査した区分マンション(1部屋)で新規掲載された物件の利回り、問い合わせのあった利回りを示した内容になります。
オレンジの折れ線グラフが新規掲載された物件の利回り、青い折れ線グラフが問い合わせのあった利回りを示しています。この表面利回り10%というのは、投資用不動産の利回りを考える上で、目安の数字となっているのがわかります。
しかし、月10万円の家賃収入を得たいと思っても、都心において、駅からも近く、部屋も広く、築年数も浅い1,200万円の物件など見つけることはできません。
こちらは、表面利回り10%における物件価格において、賃料と住宅ローンを比較したグラフです。
4LDKで月20万円の賃料を払うのであれば、月々返済64,716円の住宅ローンを組んで2,400万円の物件を購入しようと思うのではないでしょうか。
そもそも賃貸マンションは、1人暮らしやカップルなどを対象にしているため1LDKや2LDKの間取りが中心です。所有者も自分が住むためではなく、最初から誰かに貸すことを目的(投資目的)に所有しているため、マンション・アパート一棟まるごと全ての間取りが1LDKや2LDKになっているケースが多いのです。
それに対して、3LDKや4LDKなどのファミリータイプの賃貸は、元々は所有者が自分で住むために購入した分譲マンションであることが多く(居住目的)、所有者が住み替えや転勤などの理由で空き家になり、それなら他の誰かに貸そうとなって、賃貸しているケースが多いのです。
区分マンションにおける〜1LDKや2LDK(〜65㎡)は、投資目的の売買として収益還元法の相場が定着していますが、3LDKや4LDK(65㎡〜)は、居住目的の売買として取引事例法の相場が定着しています。
収益還元法と取引事例比較法の査定方法では、数値に大きな差が出てくることもしばしばです。そのため、収益還元法の計算方法で、3LDKや4LDKの相場価格を計算しても、相当低くなってしまうのです。
そのため、3LDK・4LDKのオーナーチェンジ物件は、およそ居住用相場価格の10%(1割)減の価格をつけることが不動産業界の慣習となっています。
このため「オーナーチェンジ物件の価格は居住用物件の価格よりも安い」となるのです。
まとめ
一般的にオーナーチェンジ物件は、借りている側の入居者の居住する権利(賃借権)によって、自己で使用する制限を受けるからという理由から安くなるといわれていますが、それは理由の半分です。
もう半分の理由は、取引事例比較法ではなく収益還元法を利用して不動産価格を計算することにより安くなる、ということでした。
もちろん、3LDKや4LDKでも収益還元法で割に合うほどの高収益物件であれば、高く売ることができますが、そのようなケースは極わずかです。
ここで大事なことは、3LDKや4LDKのオーナーチェンジ物件は、空き家の状態にして売却する方が高く売れるということです。だいたい、居住用不動産の相場の10%減で売っているにも関わらず、投資目的の観点から見ると、利回りもそれほど良くないため売りづらいのでメリットがあるとはいえません。
急いで売却する理由があるならともかく、そうでないのであれば賃借人が出て行くタイミングを待って売却するのも一つの方法でしょう。
オーナーチェンジ物件を売買したいけれども、どうしたらよいのかわからないという人は、まず「イクラ不動産」でご相談ください。簡単に素早く査定価格がわかるだけでなく、あなたにピッタリ合った不動産会社を選べます。