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親の家を代わりに売却する2つの方法!必要な手順や注意点を解説します

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親の家を代わりに売却する2つの方法!必要な手順や注意点を解説します

母親が1年前から施設に入っているのですが、その何年か前から家を売却したいと言っていました。
子どもの私が代わりに実家を売却するにはどうしたらいいのでしょうか?

こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。

実の子であっても、親名義になっている家は勝手に売却することができません。

そこで、親の家を子が代わりに売却する方法として、「代理人になる」または「成年後見制度を利用する」という2つの方法があります。

こちらでは、この2つの方法を利用して親の家を代わりに売却する方法についてわかりやすく説明します。

1.親名義の不動産を「代理」で売却する

親が同居することになった、施設に入ることになったなどで、親の家を売却したいと考えることがあります。親名義の不動産を売却する方法の一つが、親の「代理人」になることです。

ご主人様
親子なのだから、親の家を代理で処分できて当たり前では?

と考える方もいますが、「親子である」という理由だけで、別人格である親の家を子の勝手な判断で処分することは法的に認められていません。

子が親の家を売却するためには、きちんと「代理人」となる手続きを踏む必要があります。

1-1.代理とは

「代理」とは、本人以外の人間が、本人のために意思表示を行うことによって法律行為を行うことを指します。民法では、

代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる(民法第99条

とされています。

つまり子が代理人となった場合、親に代わって家の売却を行えますが、その契約は親と買主の間で直接結ばれるものであり、売却によって得られた金額は、親のものになります。

MEMO

代理と似たものに「使者」がありますが、使者は本人がどんな法律行為をするか決めたことを、相手側に伝達する人を指します。つまり本人の意思を伝えるだけで、意思表示や意思決定はできません

もし使者によって何かの契約が成立したとしても、それ自体は本人にとって無効とされる点が、代理とは異なります。

そのため、親の家を親の代わりに売却する場合には、「代理人」となる必要があるのです。

1-2.代理人になるには「委任状」が必要

子が代理人となって親の家を売却するためには、親から代理権を委任されていることを第三者に証明する「委任状」が必要になります。

不動産の売却には、買主はもちろん、不動産会社や司法書士など多くの人が関係してきます。子がいくら代理人であると主張しても、委任状がなければ取引を行うわけにはいきません。

もし実際は委任されておらず、子が勝手に売却しようとしているのであれば、契約が無効になる、手付金を持ち逃げされるなど大きなトラブルになる可能性があるためです。

委任状を作成するときには、代理権を付与する「委任の範囲」をできるだけ詳細に指定することがポイントです。子が代理人になると、親に相談することなく判断を下せるので、「不動産の売却を一任する」といった内容だと、望まない金額で売却してしまう心配があります。

具体的には、以下の項目をあらかじめ定めて記載しておきましょう。

  • 売却物件の情報
  • 売却価格や手付金の額
  • 振込先
  • 代理人の金額交渉権の有無や交渉金額の幅
  • 代理人と委任する人の情報(住所や氏名など)
  • 委任状の有効期限

なお、委任状は不動産会社で用意してくれることが一般的です。委任状には実印で押印し、印鑑証明書の添付が必要となります。

1-3.本人確認が必要

親の実印が押された委任状があっても、それが偽造されたものでないかどうかを確かめるため、不動産会社が本人の意思確認を行うのが一般的です。

親子であれば実印の場所を知っていても不思議ではなく、委任状は簡単に偽造できてしまいます。

委任状が偽造であった場合、リスクを負うのは買主側です。買主側としては、慎重を期す必要があり、そのために親に直接意思確認が行われるのです。

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2.認知症になった親の不動産を売却する

親の代理人になれば子が親の不動産を売却できることが分かりましたが、親が認知症などで売却の意思表示や、委任状の作成ができないこともあります。

そのような場合には、「成年後見制度」を活用するのが一般的です。成年後見制度とは、認知症や障がいなどによって判断能力が不十分な人を、法的に保護する制度のことです。

判断能力が衰えてしまった場合、悪意を持った人にだまされて不利な契約を結んでしまう可能性があります。

そのような場合に備えて本人をサポートする「後見人」などをつけ、不利益を受けないようにすることが制度の目的です。

成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」がありますが、法定後見制度では、子が親の後見人などになって不動産を売却することは困難なのが現状です。

それぞれどのような制度か、詳しく説明していきます。

2-1.任意後見制度を利用する

任意後見制度は、判断能力がまだ十分あるうちに、将来判断能力が落ちてしまう場合に備えてあらかじめ任意後見人を選んでおく制度です。任意後見人は、本人の生活や財産管理を委託されます。

任意後見制度では、本人と任意後見人が、公正証書によって委託する内容について任意後見契約を結びます。任意後見制度は、本人がどのように自分の財産管理を行うかを自由に決められるので、自分の子どもを任意後見人に選んでも問題ありません。

しかし任意後見制度は、親の判断能力があるうちに任意後見契約を結ぶ必要があるので、認知症になってしまった後では制度を利用できないことが問題です。

親の不動産をのちのち子が処分する必要があると考えられる場合には、家族でよく話し合い、制度の利用を検討するようにしましょう。

なお任意後見制度では、実際に制度を利用するときには家庭裁判所に任意後見の申し立てを行う必要があります。

詳しい手続きの流れについては「任意後見の申し立て手続き」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。

また実際に親の家を売却するときには、居住用不動産であれば裁判所と任意後見監督人の許可を得る必要があることも留意しておきましょう。

2-2.法定後見制度を利用する

法定後見制度では、家庭裁判所によって後見人などが選ばれ、本人が不利益を受けないように代理して契約行為を行ったり、またその代理権が与えられたりします。

法定後見制度は、さらに以下の3つに分かれ、不動産取引においてはそれぞれの役目が異なります。

  • 後見:判断能力が非常に衰えている人を支援します。本人が不動産取引をする場合には、法定代理人として後見人が行わなければなりません。
  • 補佐:判断能力にかなり衰えがある人を支援します。本人が不動産取引を行うときには、補佐人の同意が必要です。
  • 補助:判断能力に少し衰えがある人を支援します。補助においては本人の法律行為は制限されていません。本人が不動産取引を行うときには補助人の同意を要するとの審判がなされている場合に限り、補助人の同意が必要です。また特定の法律行為について補助人に代理権を付与するとの審判がなされている場合には、補助人が本人の代理人となり不動産取引を行えます。

法定後見制度では、申し立てを行うときに子を後見人などの候補者として推薦できます。しかし親に多額の預貯金などがある場合には、後見人として選ばれるのは難しく、弁護士や司法書士などが選ばれるのが現実です。

最高裁判所事務総局家庭局が発表した「成年後見関係事件の概要―平成31年1月〜令和元年12月」を見ても、配偶者や親、子などの親族が選任されたのは、全体の約21.8%しかありません。

成年後見制度が開始された平成12年には、親族が選ばれる割合が90%を超えていました。にもかかわらず親族が後見人に選任されなくなったのは、親族が後見人になると勝手に財産を使い込むなどの不正が行われる割合が高かったことが理由といわれています。

法定後見制度を利用する際のその他の注意点については「法定後見制度で注意すべき3つのこと!」も併せてご覧ください。

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まとめ

介護費用を捻出したいなど、たとえ親のために使う資金を確保するためであっても子が勝手に親名義の家を売却することはできません。

そのため子が親の家を売却する必要があるのなら、親の判断能力が落ちてしまう前に代理人となって売却するか、任意後見制度を利用して任意後見人になっておくのが現実的です。

とはいえ、親の家を売却してどのくらい資金が確保できるものなのか、気になるという方も多いです。

そのような場合は、ぜひ「イクラ不動産」にご相談ください。

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