一般的に、不動産(土地・一戸建て・マンション)が売れやすい時期は春と秋だと言われています。
ここでは、家が活発に売れる時期は本当に春と秋なのか、またそのように言われている理由について調べてみました。
- 不動産取引がもっとも活発になるのは春だが、必ずしも秋も活発であるとは言えないことがわかった
- 不動産取引が少なくなるのは1月と8月だが、1月は春に向けて物件を探し始める人が多くなる時期である
- 不動産取引が活発になる春の売却を目指すのであれば、12月ごろから売却活動を開始すべきである
- この記事はこんな人におすすめ!
- 不動産取引が活発な時期を狙って、家やマンションを売りたいと考えている人
- 不動産は春と秋に売れやすいというのは本当かを確認したい人
- 不動産の売却活動は、いつから始めるべきかを知りたい人
もくじ
1.そもそも不動産売買が活発な時期は本当にあるのか?
中古の家やマンションといった不動産の売買が活発になる時期は、本当にあるのでしょうか?また、あるとすれば、いつ頃なのでしょうか。
不動産屋さんにこの質問をすると、だいたい「春と秋ですね〜。新学期が始まったり人事異動があったりしますからね。」という返事がきます。しかし、本当に「春」と「秋」なのでしょうか。
そこで中古の不動産取引が活発になる時期を調べてみました。
1.不動産売買が活発になる時期の調査
こちらのグラフは「月ごとの中古マンションの売買契約(成約)件数」を示しています。
単年の場合だと、市況や天災地変によって契約数が大きく異なることがあるため、2013〜2015年までの3年間の平均で、また、地域によって偏りがないかも調べるため首都圏と近畿圏でそれぞれ調査しました。
このグラフをもとに検証していきます。
【月ごとの中古マンションの成約件数のグラフ】
(『東日本レインズREINSTOWER』『近畿レインズMonthlyReport』参照)
1-1.不動産取引は3月が圧倒的に多い
こちらを見ると、不動産取引は圧倒的に3月に多いことがわかります。続いて2月です。やはり、新学期や新年度前のシーズンに集中していることがわかります。
しかし、このグラフを見る限り、特段「秋」に多いとは言えません。
秋に取引が集中する理由として、不動産屋さんは「人事異動による転勤」をあげますが、一般的に人事異動の時期は3月・4月・6月・7月・9月・10月と、会社や業種によってバラバラです。
たまに「転勤が決まって、良い物件があればすぐに買いたい」というお客様もいることから、それが頭に残って「人事異動の時期=不動産取引が活発」となっているものと思われます。
1-2.不動産取引が活発でないのは8月と1月
こちらのグラフで注目すべきは、むしろ不動産取引が活発でない時期(閑散期)です。
不動産取引件数が一番少ない月は8月で、その次が1月ということがグラフからわかります。これが、不動産屋さんがよく口にする「一八(いっぱち)」です。この時期はお客様の動きが鈍く、何をしてもダメだと言われています。
8月は暑すぎるのが原因でしょう。中古物件で空き家の場合は、クーラーなどありません。熱中症になりそうなぐらい暑い中、何件もハシゴをしての物件の内覧となると、精神的に相当厳しく、真剣に物件を選ぼうという気になりにくいです。
また、慌ただしい年末年始の12月〜1月に家を購入しようという気持ちにもならないでしょう。年の瀬を迎える中で「家を買おう」という人が減るのは当然だと言えます。
そのようなことからも、1月と8月から外れた「春」と「秋」は、物件を見て回るのに季節的に良い時期なのでしょう。
1-3.購入希望者は1月に物件の検索を始める
1月は不動産取引件数が少ないのですが、8月とは違い、1月が少ないのは決して寒いからだけではありません。
ここに、興味深いデータがあります。
【Google検索人気動向】
こちらはGoogleトレンドです。Googleトレンドは、ある単語がGoogleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができるツールです。
こちらを使って「中古マンション」と「スーモ」という単語が、2015年の1年間のどの月に検索数が多いのかを調べてみました。(ホームズは単語が他の意味とかぶる可能性があるため、スーモを選びました)
こちらを見ると1月から2月前半に検索が集中しています。過去5年を見比べてもグラフの形はほぼ同じでした。
つまり、1月は「年も明けた。さぁ、不動産を探そう!」となり、物件を探し始める時期なのです。不動産の購入は賃貸と違い、決断までに時間がかかります。1月から本格的に探し始めた方が、2月、3月に契約(成約)するから成約件数が多くなるというわけです。
1-4.春に売るなら売却活動は12月スタートがおすすめ
購入希望者が1月に物件を探し始めるのであれば、12月中に売却活動をスタートした方が良いということになります。つまり、年内には準備万端にしておき、年明けからの3ヵ月間で売却する、というイメージです。
したがって、繁忙期の3月に売却活動をスタートした場合は少し遅いかもしれません。
もし、秋のシーズンに売却したいという方は、同じように8月中に売却活動をスタートし、9月、10月、11月の3ヵ月間で売却できるような計画を立てると良いでしょう。
不動産売却の流れについて、詳しくは「不動産売却の流れをイラスト解説!初めて売るなら何から始めるべき?」をご覧ください。
2.家が春(2〜3月)によく売れる理由
先ほども述べましたが、不動産取引が春に活発になるのは、「新学期」や「新学年」が大きな理由と考えられます。この「新学期」というキーワードを軽視すべきではありません。
不動産というのは面白いもので、すべて理想通りのお家を購入できる人など、世界でもほとんどいません。なぜなら、理想通りのお家を購入するには、かなりの費用が必要になるからです。
結果として、予算を踏まえてどの部分で妥協できるかという選択になります。そのため「もう少し待っていれば、理想に近づくもっと良い物件が出て来るのでは?」と購入に足踏みする人が多いのです。
そのような時に、強制的に背中を押すのが「時間的な成約=新学期・新学年」になります。子供が小学校に入る前に、中学校に入る前に、学年が変わる前に「購入しなければならない」と強制的に決断する時期が2月や3月なのです。
そのように考えると、年明け1月に「ああ、もう3月末までに物件を決めなければならない」と考えて、「中古マンション」や「スーモ」と検索している姿が思い浮かぶのではないのでしょうか。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 不動産取引は、春がもっとも活発になる。秋も活発だと言われているが、必ずしも取引が多いわけではない
- 不動産取引は、1月と8月が少なくなる。しかし、年が明けた1月は、春に向けて物件を探し始める人が多くなる
- 不動産取引が多くなる春の売却を目指すのであれば、売却活動は12月ごろから開始するのがおすすめ
不動産の購入というのは、普通の人にとって一番金額が大きい買い物であり、人生の中でもそう何回も経験するものではありません。購入の決断に慎重になるのは当然のことです。
しかし、それでも「新学期」や「新学年」というキーワードに強制的に背中を押されて、2月や3月に購入が集中します。
購入の集中する時期が2〜3月なのであれば、売れやすい時期も同じです。
もし、あなたが不動産(土地・一戸建て・マンション)を売ろうと考えていて、少しでも高く売るためにできるだけ多くの購入希望者に見てもらいたいと思っているのであれば、この時期に照準を合わせて、12月ごろから売却活動を始めると良いでしょう。
お家はすぐに売れるわけではありませんし、次の住み替え先のことも考えるとしっかりとした計画が必要です。
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