離婚時の財産分与は、基本的に贈与税はかかりません。ただし、例外的にかかるケースもあります。
こちらでは、離婚で家を財産分与したとき、贈与税などの税金がかかる場合とかからない場合について、わかりやすく説明します。
- この記事はこんな人におすすめ!
- 離婚で財産分与したとき、贈与税がかかるか知りたい人
- 離婚の際の財産分与でどのような税金がかかるのかを知りたい人
- 財産を渡す側に課せられる税金があるのかを知りたい人
もくじ
1.財産分与に贈与税はかからない
離婚の際の財産分与には、原則として贈与税はかかりません。
なぜなら、国税庁は、「離婚による財産の分与によって取得した財産については、贈与により取得した財産とはならない」と考えているからです。
財産分与とは、夫婦が結婚中に協力して築いた財産を、離婚時に夫婦それぞれ分け合うことをいいます。不動産も、財産分与の対象に含まれます。
割合としては、共働きの場合は半々、妻が専業主婦の場合は3割〜5割程度を目安として、話し合いによって決めるのが一般的でした。
しかし、時代の流れとともに、夫婦のどちらも財産形成に同じくらい貢献しているとして、現在では、基本的に「夫婦半分ずつ」となっています。
贈与税とは、財産を無償で譲り受けたときに発生する税金です。
たとえば、現金預金、生命保険、積立金、株式、投資信託、貴金属などの動産類、車、不動産などを譲り受けると、基本的に贈与税がかかります。
贈与税の税率は最高55%にもなり、非常に高額です。しかし、冒頭でお伝えしたとおり、財産分与で家を譲り受けた場合は贈与税がかかりません。
離婚して財産をもらったとき
離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。
これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。
(国税庁HP)
財産分与の対象となる家は「そもそも贈与にならない」ので、贈与税の支払いは不要なのです。
2.財産分与には不動産取得税もかからない
離婚の財産分与は贈与にはあたらないため、不動産取得税もかかりません。
一般的に、不動産を売買や贈与で取得すると、「不動産取得税(ふどうさんしゅとくぜい)」という税金が発生します。
通常は、不動産を取得してから数ヵ月が経過すると、都道府県の税事務所から計算書と納付用紙が送られてくるので、それを使って支払います。
しかし、離婚の財産分与では贈与税も不要なので、基本的には無税で不動産の名義を変えて所有者を変更できるのです。
2-1.財産分与は離婚届けを出してからにする
離婚時に家を妻に財産分与しても贈与税や不動産取得税がかかりません。しかし、婚姻中に妻に家を与えた場合は、贈与税や不動産取得税が課せられるため注意が必要です。
婚姻中に財産を移転すると「贈与」となるため、贈与税も不動産取得税も課税されます。
親子間や夫婦間の贈与の場合、贈与税の「軽減措置」はありますが、「そもそも贈与に当たらない」財産分与とは根本的に異なります。
そのため、近日中に離婚する予定がある場合、贈与ではなく財産分与によって家を妻名義にする為に、離婚届を提出して戸籍を分けてからにしましょう。
もし離婚前に贈与によって名義をかえると、国税庁や都道府県の税事務所から税金の支払いを要求されてしまいます。
3.家の取得後に支払う必要のある税金
妻が財産分与によって家を取得する際には、贈与税や不動産取得税を支払わなくてもよいのですが「取得後」にかかる税金もあります。
3-1.登録免許税
まずは「登録免許税(とうろくめんきょぜい)」がかかります。これは不動産の登記をするときに法務局に支払う税金で、税率は固定資産税評価額の2%です。いわゆる夫から妻に名義を変更するもので、司法書士に依頼します。
3-2.固定資産税・都市計画税
また不動産を所有していると毎年「固定資産税(こていしさんぜい)」がかかりますし、市街化区域内の不動産の場合には「都市計画税(としけいかくぜい)」も課税されます。
固定資産税の税率は、基本的に固定資産税評価額の1.4%、都市計画税の税率は0.3%となります。ただし宅地に家が建っている場合や新築の建物の場合などには軽減措置が適用されます。
4.財産分与でも贈与税がかかるケース
財産分与の際には基本的に贈与税がかかりませんが、例外的に課税されるケースもあるので注意が必要です。
4-1.過大と評価された場合
まず、「財産分与」にしては過大と評価されるケースです。
具体的にいくらが過大かという明確な基準があるわけではなく、個々の状況に応じて判断されます。
たとえば、夫婦共有財産の中に不動産がいくつもあり、さらに現金預貯金も多額で生命保険や株式などの資産もあり、それらの大半が夫の稼ぎによって得られたものであるとします。
そのようなときに、財産のずべてを妻に財産分与すると過大と評価され、妻が受けとるべき財産を超える部分に贈与税が課税される可能性があります。
4-2.離婚を偽装した場合
また、離婚を偽装して贈与を隠した場合にも財産分与が否定されます。
たとえば、妻に家の名義を移したいとき、婚姻中に贈与をすると高額な贈与税や不動産取得税が課税されてしまいます。
そこで、形式的に離婚届を提出して戸籍を分けて、離婚時財産分与として家の名義を妻に変更するといったものです。
しかし、実際には不仲になっていないので、離婚後も同居したり一緒に子供を育てていたりして、夫婦が協力して生活しているような場合には、離婚を偽装して贈与税の支払いを免れているだけなので、税務署に知られると贈与税を課税されます。
悪質な事案の場合、延滞税や不申告加算税、重加算税などが加算されて支払う税額が大きく膨らんでしまうケースもあるため注意しましょう。
離婚して財産をもらったとき
離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。
~中略~
ただし、次のいずれかに当てはまる場合には贈与税がかかります。
1 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合:この場合は、その多過ぎる部分に贈与税がかかることになります。
2 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合:この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。
(国税庁HP)
5.財産を渡す側の税金
離婚の財産分与で財産を渡す側は、「譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)」を支払わなければならない場合があります。
離婚して土地や建物などを相手方に渡したとき、実際には不動産を売却していなくても、税務上は相手に売却したことになります。
そのため、購入時と比較して譲渡した時の価格が高い場合には、不動産を譲渡した夫側に譲渡所得税がかかります。
ただし一定の要件の下、売却益からの3,000万円の特別控除(居住用財産の特別控除)の適用について、「離婚」によることが明らかである場合には、原則として適用可能です。
ところが、親族間または夫婦間での不動産売却では、これらの特例の要件を満たすことができないため、確実に適用を受けるためには離婚届を出してから財産分与をすることをおすすめします。
まとめ
離婚するときに夫婦の家がある場合、どちらに財産分与するのか、もしくは売却するのが良いのか迷ってしまう方が多いです。誰かに相談したり、どのくらいで売れる可能性があるのか知りたい人もいるでしょう。
離婚で家の売却を検討している方は「離婚が原因で家を売却する時の5つのポイント」も併せてご覧ください。
売却する、しないにかかわらず、そもそも、いくらぐらいで売れるのかというのは「財産分与」の観点からも必ず知っておく必要があります。
とはいえ、売るかどうか決まっていないのに「不動産会社に査定してもらう」ということにハードルを高く感じる人は少なくありません。
離婚が理由で自分のお家(マンション・戸建て)を売りたい場合は、まず「イクラ不動産」でご相談ください。
無料&秘密厳守で簡単に素早くお家の査定価格がわかるだけでなく、あなたにピッタリ合った売却に強い不動産会社を選ぶことができます。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。?
- 合わせて読みたい
- 【離婚×不動産売却まとめ】離婚時の不動産の扱いについて基本から解説
- 離婚で家やマンションの査定が必要なケースと査定書を無料でもらう方法
- 離婚で家を買取処分する方法とメリットとデメリットについてまとめた
- 家を建てたばかりや買ったばかり、新築の建築中で離婚をする場合について解説
- 離婚で家やマンションをどうする?いらない場合や手放すべき場合を解説
- 子供なしの夫婦が離婚する際の家の処分方法についてまとめた
- 離婚するとき、家を売って借金返済にあてることは可能なの?
- 離婚するとき、家を売るべきタイミングはいつなのか?
- 離婚時に家を売ることができない、なかなか売れない場合の対処法を解説
- 離婚で家やマンションを売る時の確認ポイント5つと売却後にやるべきことを解説!