離婚時の財産分与は、基本的に贈与税はかかりません。
しかし、ケースによっては贈与税や譲渡所得税が課税される可能性があるため、「税金がかからない!」と安心するのは早計です。
こちらでは、離婚で家を財産分与したとき、贈与税などの税金がかかる場合とかからない場合について、わかりやすく説明します。
また、離婚の財産分与で家を売却するかもしれない場合は、無料&秘密厳守で売却相談ができる「イクラ不動産」をぜひご利用ください。
この記事で具体的にわかる3つのポイント
- 家の財産分与で課せられる税金と課せられない税金についてわかる
- 家を受け取った側が贈与税を課せられるケースについてわかる
- 家を渡した側が譲渡所得税を納めなければならないケースについてわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 離婚で財産分与したとき、贈与税がかかるか知りたい人
- 離婚の際の財産分与でどのような税金がかかるのかを知りたい人
- 財産を渡す側に課せられる税金があるのかを知りたい人
もくじ
1.【まずは確認】家の財産分与で税金がかかるかをチェック!
原則として、離婚での財産分与には税金が課せられません。なぜなら、国税庁は、「離婚による財産の分与によって取得した財産については、贈与により取得した財産とはならない」と考えているからです。
しかし、状況によっては税金を納めなければならない場合があります。
まず、 あなたのケースはどのタイプかをフローチャートでチェックしてみましょう。
【フローチャートで確認!】
離婚で家をもらう or 渡す? | |||
家をもらう側 ↓ |
家を渡す側 ↓ |
||
財産分与額は適正? | 購入時より家が値上がりしている? | ||
適正 ↓ |
多すぎる ↓ |
値上がりしていない ↓ |
値上がりしている ↓ |
贈与税なし! | 贈与税の可能性あり! | 譲渡所得税なし! | 譲渡所得税の可能性あり! |
それぞれのケースについて、財産分与で「家をもらう側」と「家を渡す側」別に、贈与税などの税金がかかるかどうかをくわしく説明します。
2.【家をもらう側】税金はかかる?贈与税・不動産取得税の注意点
まず、離婚の財産分与で「家をもらう側」について、税金がかかるかどうかを確認していきましょう。
2-1.基本的に財産分与には贈与税はかからない
先に述べたとおり、原則として離婚による財産分与には税金が課せられないため、財産分与で家を受け取ったとしても、贈与税の課税対象にはなりません。
財産分与とは、夫婦が結婚中に協力して築いた財産を、離婚時に夫婦それぞれで分け合うことをいいます。したがって、財産分与の性質は「婚姻中に築いた財産の清算」という扱いになります。
一方、贈与税とは、無償で譲り受け財産に対して課せられる税金です。たとえば、現金預金、生命保険、積立金、株式、投資信託、貴金属などの動産類、車、不動産などを譲り受けると、基本的に贈与税がかかります。
財産分与は夫婦の共有財産を分けるもの → 贈与にはならない
離婚して財産をもらったとき
離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。
これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。
(国税庁HP)
2-2.例外的に財産分与に贈与税がかかるケース
財産分与に贈与税はかからないと説明しましたが、例外的に贈与税がかかるケースがあります。それは、次のようなケースです。
- 財産分与の額が多すぎると判断される場合
- 離婚前に名義変更を行った場合
- 税金逃れ目的で「偽装離婚」した場合
財産分与の割合は、基本的に夫婦で半分ずつが原則です。それを大きく超える額の財産分与があった場合は、超えた分に対して贈与税が課せられることがあります。家を財産分与した場合も同じです。
たとえば、夫婦の財産が、3,000万円の価値がある夫名義の家しかない場合、妻が財産分与として家の名義すべてを受け取ると、贈与税が課せられる可能性があります。
また、離婚前に家の名義を変更した場合も、財産分与ではなく贈与と見なされる場合があるため注意が必要です。
財産分与については、「離婚で家やマンションなどの不動産を財産分与する方法について解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-3.不動産取得税がかからない理由
離婚の財産分与は贈与にはあたらないため、不動産取得税もかかりません。
一般的に、不動産を売買や贈与で取得すると、「不動産取得税(ふどうさんしゅとくぜい)」という税金が発生します。
通常は、不動産を取得してから数ヵ月が経過すると、都道府県の税事務所から計算書と納付用紙が送られてくるので、それを使って支払うのが一般的です。
しかし、離婚の財産分与では、基本的には無税で不動産の名義を変えて所有者を変更できます。
2-4.家の取得後に支払う必要のある税金
財産分与によって家を取得した場合、支払わなければならない税金もあります。
それは、「登録免許税」と「固定資産税・都市計画税」です。
2-4-1.登録免許税
「登録免許税(とうろくめんきょぜい)」とは、不動産の登記をするときに法務局に支払う税金です。
財産分与で家を受け取った場合は、名義を変更する際に課せられます。
税率は固定資産税評価額の2%です。自分で手続きをするのがむずかしい場合は、司法書士に手数料を支払って依頼することもできます。
2-4-2.固定資産税・都市計画税
「固定資産税(こていしさんぜい)」とは、毎年、1月1日時点で不動産を所有している人が納めなければならない税金です。市街化区域内の不動産の場合は、同時に「都市計画税(としけいかくぜい)」も課税されます。
固定資産税の税率は、基本的に固定資産税評価額の1.4%、都市計画税の税率は0.3%です。ただし、宅地に家が建っている場合や新築の建物の場合などには、軽減措置が適用されます。
3.【家を渡す側】譲渡所得税が発生するケース&節税対策
次に、財産分与で家を渡す側に対して税金が課せられるケースと、節税するための対策を説明します。
3-1.財産分与で譲渡所得税が発生するケースとは?
離婚の財産分与で家を相手に渡す(名義を変更する)側は、「譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)」を支払わなければならない場合があります。
それは、次のような場合です。
- 家の価格が購入時よりも値上がりしている場合
- 住宅ローンが残っていて、相手がローンを引き継ぐ場合
譲渡所得税とは、家などの不動産を売却して利益が出た場合に、その利益に対して課せられる税金です。
離婚の財産分与として家を相手に渡すということは、実際には不動産を売却していなくても、税務上は相手に売却したことになります。
そのため、家を購入した時の価格と比較して相手に渡した時の価格が高い場合は、差分が利益として見なされ、譲渡所得税の課税対象になることがあるのです。
住宅ローンを引き継いだ場合も同様で、「対価(住宅ローンの残りの支払い分)を得て財産を譲渡した」とみなされ、譲渡所得税が発生する可能性があります。
3-2.譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税の額は、次の計算式で算出されます。
つまり、課税譲渡所得が少なければ少ないほど、譲渡所得税は安くなるというわけです。
その課税譲渡所得は、次の計算式で求められます。
課税譲渡所得 = 譲渡(売却)価額 – 取得費 – 譲渡費用
取得費とは、不動産の購入額と購入にかかった費用との合計で、譲渡費用とは、売却にかかった費用のことです。
したがって、取得費と譲渡費用とをしっかりと計上することで、課税譲渡所得を抑えることができます。
3-3.「3,000万円控除」を使って節税する方法
譲渡所得税には、「3,000万円控除」というものがあります。これは、マイホームを売却して売却利益(譲渡所得)が出た場合、3,000万円までは非課税にできるという控除です。
この控除は、一定の要件を満たせば、「離婚」による財産分与においても適用することができます。
ただし、親族間または夫婦間での不動産売却では、これらの特例の要件を満たすことができません。そのため、確実に適用を受けるためには、離婚届を出してから財産分与をすることをおすすめします。
【まとめ】離婚で家をもらう・渡すときに税金で損しないために
この記事のポイントをまとめました。
- 離婚の財産分与は「清算」であるため、原則として贈与税などの税金は課せられない
- 離婚の財産分与で家を受け取った場合、次のようなケースだと税金が課せられることがある
・財産分与として受け取る額よりも高い家を受け取った場合 - 家を受け取った側は、取得後に「登録免許税」と「固定資産税・都市計画税」は納めなければならない
- 離婚の財産分与で家を渡した場合、次のようなケースだと譲渡所得税が課せられることがある
・財産分与で渡した家が購入した時よりも値上がりしている場合
・住宅ローンを相手が引き継いだ場合 - 離婚の財産分与で家を渡した場合であっても、要件を満たせば「3,000万円の特別控除」を適用することができる
- 夫婦間では「3,000万円の特別控除」が適用できないため、離婚してから家を渡すようにする
離婚の財産分与には、原則として贈与税や不動産取得税などは課せられません。しかし、財産分与で受け取れる額以上の価値がある不動産を受け取った場合は、贈与税がかかることがあるため注意が必要です。
また、家を渡す側も、家を購入したときよりも値上がりしている家を相手に渡したり、相手が住宅ローンを引き継いだりした場合は、譲渡所得税が課せられることがあります。
いずれにしても、離婚の財産分与で家を受け渡す際は、離婚をしてからにしましょう。
もし、家を財産分与する際に揉めた場合は、売却した代金を分けるという方法もおすすめです。離婚での家の売却については、「【離婚×不動産売却まとめ】離婚時の不動産の扱いについて基本から解説」でくわしく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
売却する、しないにかかわらず、そもそも、いくらぐらいで売れるのかというのは「財産分与」の観点からも必ず知っておく必要があります。
とはいえ、売るかどうか決まっていないのに「不動産会社に査定してもらう」ということにハードルを高く感じる人は少なくありません。
離婚で家を売却する際に、どうすれば良いのかわからない場合は、ぜひ「イクラ不動産」にご相談ください。
無料&秘密厳守で、実際に売却したい物件がある地域で売却実績の多い不動産会社から、査定や売却を依頼したい会社を選ぶことができます。
さらに、不動産売却中に疑問や不安がある場合は、宅建士の資格を持ったイクラ不動産の専門スタッフに相談できるので安心です。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でもくわしく説明しています。ぜひ読んでみてください。
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