ここでは、家やマンションに住みながら売る時、いつまでに引っ越しすればよいのかについて、わかりやすく説明します。
買い替えや引っ越し時期が決まっているなど、住んだまま家を売却する予定のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 家やマンションに住んだまま売却する際に、いつまでに引っ越しをしなければならないのか
- 買い替えでの引っ越しと仮住まいの際の注意点
- 家を売ってから引っ越しするまでにやらなければならないこと
- この記事はこんな人におすすめ!
- 家やマンションに住みながら売却する予定がある人
- 家やマンションを売ったら、いつまでに引っ越ししなければならないのかを知っておきたい人
- 家やマンションを売って引っ越しする際に、やるべきことを確認しておきたい人
もくじ
1.引っ越しはいつまでにしなければならないの?
住んだまま家やマンションを売却する際の引っ越しは、原則として残代金決済(物件の引渡し)の前日までに済ませておかなければなりません。
家やマンションを売りに出して、買い手が見つかったあとの流れは次の通りです。
- 不動産購入申込書を受け取る
- 不動産売買契約を結ぶ
- 残代金決済と物件の引渡し
この流れの中で引っ越しをしておかなければならないのは「不動産売買契約を結ぶ」から「残代金決済と物件の引き渡し」までの間です。
それぞれの手続きについて、くわしく説明します。
1-1.①不動産購入申込書を受け取る
売りに出している物件の購入希望者が現れたら、購入希望者からの「購入したい」との申し出を正式に書類で受け取ります。これが不動産購入申込書です。
不動産購入申込書を受け取ってから、売主と買主の間で売買金額や引渡しの時期などの条件交渉が始まります。
条件交渉の際は、仲介を依頼している不動産会社が間に入って進めてくれるので、しっかりと希望を伝えていくことが大切です。
あらかじめ引っ越しの希望時期が決まっている場合は、条件交渉時に伝えておくようにしましょう。
1-2.②不動産売買契約を結ぶ
条件交渉があなたと買主の間でまとまれば、不動産売買契約を結びます。このとき買主から手付金を受け取ります。不動産売買契約を結ぶことは「正式に不動産を売却できる」ということです。
ただし、不動産売買契約と同じタイミングで不動産を引渡せるわけではありません。不動産売買契約から物件の引渡しまで、一般的に準備に約2ヶ月ほどかかります。
そのため、不動産売買契約を結んでから、売主は物件を引渡す準備(引っ越しやローンの返済手続き・抵当権抹消登記手続きの準備など)を、買主は物件を引受ける準備(正式な住宅ローンの契約など)を行います。
もちろん、売買契約前に引っ越しをして空き家の状態にしておいても問題ありません。
1-3.③残代金決済と物件の引渡し
あなたが不動産を引渡す準備と、買主側が不動産を引受ける準備ができれば、物件の引渡しが行われます。
物件の引き渡し時には、売買代金から手付金を除いた金額である残代金を買主から受け取り、物件の所有権を買主に移す手続きが必要です。
通常、所有権移転の登記手続きは、引き渡し時に立ち会う司法書士に依頼します。
引き渡し時には、物件の鍵などもすべて買主に渡すことになるので、それまでには引っ越ししておかなければなりません。
つまり、家を売るときは、残代金決済(物件の引渡し)の前日までに引っ越す必要があると言えるでしょう(ただし、売主の引渡し猶予がある場合は除く)。
なお、引っ越しまでにしなくてはならないことについては「家を売るとき引っ越しするまでにしなければいけないこと」で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。
1-4.引渡日までに引っ越しできない場合は?
さまざまな事情により、どうしても引渡日までに引っ越しできない場合があります。
あらかじめわかっている場合は、売買契約に「引渡し猶予特約」を付けてもらっておくと良いでしょう。
この特約を付けておいてもらえば、、買主から引渡時の売却代金を受け取っても、一定期間住み続けることが可能です。
ただし、引渡し猶予特約は買主にとっては不利な契約内容になります。なぜなら、売主の都合で買主に引渡しの延長をお願いするものだからです。
不動産会社の担当者とよく相談をしてから、買主にお願いするかどうかを決めるようにしましょう。
引渡猶予特約については、「自宅を買い替えるときに必要な「引渡し猶予」とは?」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2.買い替えでの引っ越しと仮住まいの注意点
引っ越しのタイミングで特に悩むのが、今の家を売却して新しい家を購入する「買い替え」の場合です。
ここでは、買い替えでの引っ越しと仮住まいの注意点について説明します。
2-1.「売り先行」だと仮住まいが必要な場合がある
買い替えの流れは、先に新しい住まいを購入してから今の家を売却する「買い先行」と、先に今の家を売却してから新しい住まいを購入する「売り先行」のどちらかになります。
ただし、今の家に住宅ローンが残っていて、売却代金でローンを完済しなければ新しい家を購入できない場合は、売り先行しか選べません。
売り先行で買い替えをする場合、今の家が売れてから新しい家を購入するまでの間、仮住まいが必要になる場合があります。
仮住まいをすることになると、今の家から仮住まいへの引っ越しと、仮住まいから新居への引っ越しが必要です。そのため、買い替えにかかる費用やスケジュールの管理をよりしっかりとすることが大切になります。
売り先行と買い先行については、「家の買い替えの流れを解説!売ってから買う?買ってから売る?」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-2.リースバックを使えば引っ越しの手間や費用を省ける
買い替えなどで仮住まいをすると、引っ越しの手間も費用も2倍かかることになります。
また仮住まいの場所によっては、通学や通勤などが大変になることもあるため、できれば避けたいという方も多いでしょう。
そのような場合におすすめなのが、リースバックを利用した買い替えです。
今の家を売ってローンを返済してから新しい家を探す「売り先行」であっても、リースバックを利用すれば、家の売却代金を得てから新しい家が見つかるまで賃貸として住み続けることができるため、仮住まいに引っ越しするわずらわしさがありません。
リースバックについては「【リースバックのまとめ】家を売っても住み続けられる!利用方法や注意点を詳しく解説」で詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
3.家を売ってから引越しするまでにしなければいけないこと
売主として、家やマンションを売却してから、引っ越しまでにしなければならないことを確認しておきましょう。
3-1.引越し決定~引越し1ヵ月前にしなければならないこと
引越しの1ヵ月前までにしておく、おもな手続きは次のとおりです。
3-1-1.引越し業者の手配
まず、引越し業者の手配をします。
「引越し侍」などのサイトを利用しても良いですし、売却を依頼した不動産会社の紹介を受けても良いでしょう。
引越しまでに余裕をもって手配すれば、希望日をおさえることや希望日よりお得に引越しができる日程が見つかる可能性が高くなります。
3-1-2.粗大ゴミの回収依頼
大型ゴミ(家具や大型電化製品など)は、通常のゴミ回収車では回収できません。市区町村の担当部署に連絡して、役所が許可した処理業者を紹介してもらいます。
回収は有料で、引き取りまで時間がかかる場合があります。
場合によっては、売却を依頼した不動産会社の紹介を受けても民間の回収業者を利用しても良いでしょう。
3-1-3.火災保険の住所変更手続き
火災保険は引越し元と引越し先の住居の形態によって、手続きする方法が変わります。
状況によって検討期間が長くなることもあるため、余裕を持って保険会社へ問い合わせるようにしましょう。
3-1-4.学校の転校手続き
公立の小中学校:現在通っている学校に転校の旨と新住所・転校先を伝え(学校によっては転校届を提出)、在学証明書と教科書給付証明書を発行してもらいます。
公立高校:現在通っている学校に転校の旨を伝え、引越し先の都道府県の教育委員会に問い合わせましょう。その後、転校希望校に受け入れ可能か電話で相談します。
受け入れ可能であれば、編入試験の日時と試験内容について確認しましょう。
私立の学校:現在の学校と、引越し先の学校に連絡して手続きを取ります。
3-1-5.インターネットの手続き
引越し先でも現在契約しているインターネット回線が使えるかどうか確認します。使えない場合は解約をして引っ越し先で新しく契約する必要があります。
契約によっては「解約の◯ヵ月前までに連絡」などの条件があるため、引越し先が決まり次第、早めに確認しましょう。
3-2.引越し2週間前~1週間前にしなければならないこと
引越しの2週間前~1週間前にしなければならないことには、次のようなものがあります。
3-2-1.転出届の提出
現在住んでいる市区町村と異なる市区町村へ引越しする時は、転出届を提出しなければなりません。
印鑑を持って引越し元の市区町村の役所へ行き、住民異動届を提出して転出証明書をもらいます。
3-2-2.印鑑登録証明書の発行・印鑑登録の抹消
家の売却では発行3ヵ月以内の印鑑登録証明書が必要となっているため、印鑑登録証明書を取得しておきましょう。
他市区町村へ引っ越す場合は、引越し元の市区町村役場で印鑑登録を廃止する手続きをします。
3-2-3.児童手当の住所変更手続き
同一市区町村内で引越しをする場合、特に手続きをする必要はありません。
他市区町村へ引っ越す場合、引越し元の市区町村役場で『児童手当受給事由消滅届』を提出し、前年度の住民税の課税金額や所得を証明する『所得課税証明書』を発行してもらいます。
3-2-4.電力会社とガス会社と水道会社へ転居連絡
現在、契約している会社と引越し先の営業所に連絡します。
電気と水道は、電話で連絡を取るだけで引越し先でも使用できますが、ガスは新居で「開栓」をしてもらう必要があります。引越し先のガス会社に開栓日の予約をしておきましょう。
3-2-5.固定電話の手続き
局番なしの116番に電話して手続きを行います。
インターネットで手続きすることも可能ですが、インターネットで手続きできるのはNTT東日本またはNTT西日本の、同一圏内での引越しのみです。
関東から関西などへの引越しの場合はそれぞれ別々に手続きが必要です。
3-2-6.郵便局へ転居届の提出
郵便局で転居届を出しておくと、届出日から1年間(転送開始希望日から1年間ではありません)、郵便物を新住所に転送してもらえます。
日本郵便株式会社「e転居」
3-3.引越し当日にしなければならないこと
引越し当日にしなければならないことは、次のとおりです。
3-3-1.旧居の電気・水道・ガス料金の精算
それぞれの係員が検針し、当日までの料金を精算します。
3-3-2.新居の電気・水道・ガスの使用開始手続き
電気:電気そのものはブレーカーを入れれば当日から使用できます。支払関係事項については「電気使用申込書」に記入して電力会社へ送付し、手続きをします。
大抵の場合「電気使用申込書」は新居のポストや玄関口、ブレーカーの近くなどに備え付けられていますが、それらの場所にないときは、電力会社に連絡しましょう。
ガス:係員が来てガスの開栓をします。
水道:係員の立ち会いが必要な場合と不要な場合がありますので、引越し先の水道局に確認しておきましょう。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 家やマンションを売却する際の引っ越しは、原則として残代金決済(物件の引渡し)の前日までに済ませておかなければならない
- 引渡し日までに引っ越しできない場合は、売買契約に「引渡し猶予特約」を付けてもらえるように買主にお願いする
- 買い替えでの引渡しと引っ越しは、スケジュール管理がむずかしくなるので注意する。必要に応じて仮住まいを用意するとよい
- 引っ越しまでにやらなければならないことは、次のとおり
(引越し決定~引越し1ヵ月前にしなければならないこと)
・引越し業者の手配
・粗大ゴミの回収依頼
・火災保険の住所変更手続き
・学校の転校手続き
・インターネットの手続き
(引越し2週間前~1週間前にしなければならないこと)
・転出届の提出
・印鑑登録証明書の発行・印鑑登録の抹消
・児童手当の住所変更手続き
・電力会社とガス会社と水道会社へ転居連絡
・固定電話の手続き
・郵便局へ転居届の提出
(引越し当日にしなければならないこと)
・旧居の電気・水道・ガス料金の精算
・新居の電気・水道・ガスの使用開始手続き
家を売却した際の引っ越しは、残代金決済の前日までに済ませれば大丈夫です。
売却した後の引っ越し先が決まっていない場合は、不動産売買契約を結んでから引渡しまでの間に、次の住まいを決めなければなりません。
不動産売買契約を結んでから引渡しまでの期間については、条件交渉の際に決めることができますが、買主にも「この期間までに移らなければならない」という都合があることもしばしばあります。
スケジュールに余裕を持つためにも、引っ越しを含めた売却後の予定を前もって立てておくことがおすすめめです。
一般的な不動産売却の流れについては「不動産売却の流れをイラスト解説!初めて売るなら何から始めるべき?」で詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
お家の売却というのは、一生の間に何度も経験することではありません。そのため、よく分からないまま売却を進めてしまうと、損をすることにもなりかねないので注意が必要です。
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