この記事では、全国の
- 中古マンションの売却成約までにかかった期間および売却価格・相場の動向
という中古マンションを売る際に知っておきたい基本情報に加えて、
- 高く売れる中古マンションの特徴
- 売れにくい中古マンションの特徴
- 売れにくい中古マンションを売るための対策方法
について知ることができます。
全国の「マンションの売却相場・動向データ」や「売却実績事例データ」を知りたい方は、「全国のマンション売却価格の相場と動向をやさしく解説」に掲載しているので、ぜひご覧ください。
もくじ
この記事のポイントまとめ
1.2023年現在の中古マンションの売却成約までにかかった期間および売却価格・相場の動向(全国)
2023年度の売却成約までにかかった期間は平均約4.3ヵ月、平均売却価格は約3,110万円です。
2023年現在の中古マンションの大まかな売却価格・相場の動向は次のとおりです。
- 成約件数は2年ぶりに前年を下回った
- 成約物件㎡単価は10年連続で上昇(首都圏では10年で76.1%上昇)
- 成約物件価格も10年連続で上昇
- 平均築年数は23.33年(前年22.67年)と経年化が進んでいる
くわしくは、「1.2023年現在の中古マンションの売却成約までにかかった期間および売却価格・相場の動向(全国)」をご覧ください。
2.高く売れる中古マンションの特徴(2023年度版)
高く売れる中古マンションの特徴は、一般的に以下のとおりです。
- 人気の沿線上である
- 角部屋である
- 管理体制が良い
- 上層階にある
- 大手デベロッパーによる開発
- 周辺環境が良い
上にあげたような特徴が多くあてはまり、、なおかつ「駅や生活に必要な施設が近くにある立地」に建っている中古マンションは査定額が高くなります。
くわしくは、「2.【チェックリスト付き】高く売れる中古マンションの特徴(2023年度版)」をご覧ください。
3.売れにくい中古マンションの特徴(2023年度版)
売れにくい中古マンションの特徴としてあげられるのは、一般的に次のようなものです。
- 築年数が古い
- 管理状態が悪い
- 周辺環境が悪い
- 敷地内に駐車場がない
- 人気のない間取り
くわしくは、「3.売れにくい中古マンションの特徴(2023年度版)」をご覧ください。
4.売れにくい中古マンションを売るための対策方法(2023年度版)
最後に、売れにくい中古マンションで一般的に問題になりやすい「築年数が古い」「使いにくい間取り」という点について、少しでも高く早く売るための対策方法をご紹介します。
その方法は、次のとおりです。
対策方法(例) | |
---|---|
築年数が古い | ・ハウスクリーニングやホームステージングをする |
人気のない間取り | ・リフォーム計画を提案する |
くわしくは、「4.【事例で解説】売れにくいマンションを売るための対策方法(全国・2023年度版)」をご覧ください。
1.2023年現在の中古マンションの売却成約までにかかった期間および売却価格・相場の動向(全国)
1-1.中古マンションの売却成約までにかかった期間(全国)
2023年度の中古マンションの売却成約までにかかった期間は、次のとおりです。
全国平均 | |
---|---|
マンションの売却成約までにかかった期間 | 約4.3ヵ月 |
不動産の売れやすさは「マンション>戸建て>土地」の順になります。
特にマンションは、住み替えや買い替えのケースが多く、不動産の中でも流動性が高いため、比較的早く売却できるケースが多いと言えるでしょう。
参考として実際に売却成約した売主へのアンケート結果を見てみると、80%に近いのケースで6ヵ月以内に売却できていることが分かります。
順位 | 売却にかかった期間 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 3ヵ月以内 | 42.4% |
2位 | 6ヵ月以内 | 36.2% |
3位 | 1年以内 | 15.3% |
4位 | 2年以内 | 4.5% |
5位 | 2年より長い | 1.6% |
※イクラ不動産の利用者アンケートより
1-2.中古マンションの売却価格・相場の動向(全国)
2023年度の平均売却価格は、次のとおりです。
全国平均 | |
---|---|
マンション売却価格・相場 | 約3,110万円 |
「不動産価格指数(住宅)」によると、2023年現在の中古マンションの売却価格・相場の動向(全国)は次のような傾向です。
- 成約件数は2年ぶりに前年を下回った
- 成約物件㎡単価は10年連続で上昇(首都圏では10年で76.1%上昇)
- 成約物件価格も10年連続で上昇
- 平均築年数は23.33年(前年22.67年)と経年化が進んでいる
【おもな要因】
- 首都圏や近畿圏でのマンション新築供給数の減少により、マンション全体の価格が上昇した
- 住宅ローンの低金利がなお続いていることが、マンション購入を後押ししている
- 円安とインバウンドの回復により、海外からのマンションの需要、購入が増加した
マンションをはじめとする住宅価格の上昇が継続している原因の一つとして、低金利が続いているため住宅ローンを借りて家を購入しやすくなっていることがあげられます。 日本の低金利政策は2013年頃から始まり、現在も継続中です。
また、マンションの需要が高い都市部では、マンション用の敷地確保がむずかしくなっています。そのため、新築マンションの供給数が減少しており、そのあおりで中古マンションの成約件数が軒並み上昇が続いている状態です。
さらに、コロナ禍が落ち着いたことによりインバウンドが回復し、円安と相まって海外からの不動産購入が増えていることも一因だと考えられるでしょう。
特に、次のようなエリアの住宅需要・地価が高まっています。
⇒駅から近く、オフィス街への通勤時間が1時間程度までのエリア
2.次のような条件に当てはまる地方エリア
⇒駅直結や駅近など、交通利便性の良いエリア
⇒大型商業施設の建設や再開発があったエリア
【おもな要因】
- コロナ禍が落ち着いて出社が増え、以前より通勤に便利な場所が選ばれるようになった
- 将来を見据えて、資産価値が下がりにくい駅近のマンションを選ぶケースが依然多い
- 大型商業施設や近隣の施設で休日や余暇を過ごす人が増加している
2.【チェックリスト付き】高く売れる中古マンションの特徴(2023年度版)
基本的に中古マンションは、建っている場所が「駅や商業施設などが近くにある生活しやすい立地」でなければ高くは売れません。
加えて、次に掲げた特徴に多く当てはまっているほど、査定額が高くなります。
チェック項目 | チェック | |
---|---|---|
人気の沿線上である | ・主要沿線上にある ・快速・急行が止まる 等 |
✅ |
角部屋である | ・複数の採光・通風面がある ・ほかの住人が部屋の前を通りにくい 等 |
✅ |
管理体制が良い | ・日常の管理が怠られていない ・大規模修繕がきちんと計画・実行されている ・管理費や修繕積立金の滞納がない 等 |
✅ |
上層階にある | ・眺望の良い上層階にある | ✅ |
大手デベロッパーによる開発 | ・ブランド力が強い ・共用部や内装、設備などが充実している |
✅ |
周辺環境が良い | ・商業施設、病院、銀行などが近い ・学校、幼稚園が近い 等 |
✅ |
これらの特徴についてくわしく解説します。
2-1.[特徴1]人気の沿線上である
東京であれば、山手線や東急東横線、東京メトロ沿線など、通勤や通学に便利で人気のある沿線の近くにあるマンションは高く売れます。
都心から離れた郊外であれば、主要沿線上にあって快速・急行が停まる駅や、始発駅などの近くにあると、査定額が高くなります。
2-2.[特徴2]角部屋である
マンションの角部屋には次のようなメリットがあるため、一般的に査定額が高くなります。
- 開口部を多く取ることができるため、採光や通風が良好
- ほかの住民が部屋の前を通りにくいためプライバシーが守られやすい
- ベランダやバルコニーが広い場合が多い
- 玄関の前に専用ポーチが設けられていることがある
- 隣接している部屋が少ないため、騒音問題を回避しやすい
2-3.[特徴3]管理体制が良い
マンションは管理次第で、耐用年数だけでなく資産価値が大きく違ってきます。
次にあげられるような管理の良いマンションは高く売れやすいです。
- 共用部の管理や清掃が行き届いている
- エレベーターや駐車場、駐輪場などの点検がきちんと行われている
- 約10年毎に実施する大規模修繕がきちんと計画、実施されている
- マンションを管理するための管理費用や修繕積立金の滞納がない
- 共用部……エレベータや廊下、階段など、マンションの住民が共通で使用する場所のこと。対して、個々の部屋は「専有部分」と呼ぶ
- 管理費……共用部の電気代や点検費用、管理人の人件費など、日々の管理に必要な費用としてマンションの住民が毎月支払うお金のこと
- 修繕積立費……大規模修繕の費用として、マンションの住民が毎月積み立てていくお金のこと
2-4.[特徴4]上層階にある
マンションでは上層階になるほど、人気も価格も高くなるのが一般的です。
特にタワーマンションをはじめとする高層マンションでは、上層階、中層階、下層階で価格が大きく異なり、ほとんどの場合1階が最も安くなります。
ただし開口部の方角や眺望によってはその限りではありません。人気のある方角は、日当たりの良い南向きや南東向きです。
マンションの1階については「マンション1階は安いし売れにくい?少しでも高く売却する方法を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-5.[特徴5]大手デベロッパーによる開発
大手デベロッパー開発によるマンションはブランド力が強く、そのイメージを守るために共用部や内装、設備などが充実していることが多いです。
また、人気のあるエリアや駅近の便利な場所に建てられることが多いため、資産価値が落ちることがあまりありません。
2-6.[特徴6]周辺環境が良い
ファミリー層向けのマンションは、周辺環境が良いエリアに建っていると高く売れます。
商業施設や病院、銀行といった生活に必要な施設が近くにあるほか、歩道が整備されていたり評判の良い学校区にあったりするマンションであれば、より購入意欲がアップする物件になります。
- 合わせて読みたい
- マンション売却でよくある後悔・失敗事例と失敗しないための対策を解説
- マンションを査定するときの注意点についてまとめた
- マンションの査定方法である「取引事例比較法」をわかりやすく解説!
- タワーマンションを高く売却するために!タイミングや特徴を掴もう
- マンションの内覧件数が少ない?3つの対処方法で売却を成功させよう
- マンションの耐用年数とは?価値はどれぐらい下がるの?
- マンションの管理費と修繕積立金を延滞していても売却できる?
3.売れにくい中古マンションの特徴(2023年度版)
売れにくい中古マンションの特徴としてあげられるのは、一般的に次のようなものです。
説明 | |
---|---|
築年数が古い | ・築30年以上 ・外観、室内の状態が良くない、設備が古い 等 |
管理状態が悪い | ・管理人が常駐していない ・共用部が汚れている ・管理費や修繕積立金の滞納が多い 等 |
周辺環境が悪い | ・墓地、廃棄物処理場などの嫌悪施設が近くにある ・大気汚染や騒音がなどがひどい場所にある 等 |
敷地内に駐車場がない | ・敷地内や建物の地下に十分な数の駐車場がない |
人気のない間取り | ・狭すぎる間取り ・広すぎる間取り ・リフォームしにくい間取り 等 |
これらの特徴についてくわしく解説します。
3-1.[特徴1]築年数が古い
一般的に、築年数が古いマンションは売れにくく、価格も安くなりがちです。
「見た目や室内の状態が悪い」「設備が古く水漏れの心配などがある」といった建物の不具合が多くなるというのが、一般的に古いと売れにくくなる理由です。
また、建築基準法が改定された1980年以前に建てられたマンションの場合、現在の耐震基準が満たされていない場合があるため買い手から敬遠されます。
3-2.[特徴2]管理状態が悪い
管理人が常駐してない、共有部の清掃や点検などの業務がきちんと行われていないなど、管理状態が悪いマンションは資産価値が下がるため、高く売ることがむずかしくなります。
また、管理費や修繕積立金の滞納が多いことも、管理組合がうまく機能していないことや住民の意識の低さの表れと捉えられることが多いです。
3-3.[特徴3]周辺環境が悪い
次のような施設が近くにあるマンションは、売り出してもなかなか買い手がつかないことがあります。
- 墓地・焼却場・暴力団事務所などの嫌悪施設
- 工場・ガソリンスタンドなど、においが強い施設
- 高速道路や幹線道路など、排気ガスによる大気汚染の影響がある場所
- 線路横や踏切など、騒音がひどい場所
- 嫌悪施設……一般的に、住んでいるところの近くにあると嫌な気持ちになりがちな施設や建物のこと。墓地、焼却場、廃棄物処理場、暴力団関連の建物、など
3-4.[特徴4]敷地内に駐車場がない
交通の便が良い都心部のマンションであればそれほど問題になりにくいですが、郊外にあるマンションだと、駐車場の確保は不可欠です。
なお、立体駐車場よりも自走式の方が人気があります。
立体駐車場は車の出し入れに時間がかかるだけでなく、点検やメンテナンスが必要なため、使えない期間があったり管理費が高くなったりするといったデメリットがあるからです。
3-5.[特徴5]人気のない間取り
購入層にとって狭すぎる・広すぎる間取りは売れにくいです。
たとえば都市部にある4LDKサイズのマンションは、単身者や夫婦と子どもだけといった都市部の購入層にとって広すぎるだけでなく価格も高すぎるため、敬遠されがちです。
また、個性的な間取りや、リフォームしにくい間取りのマンションもあまり人気がありません。
4.【事例で解説】売れにくい中古マンションを売るための対策方法(全国・2023年度版)
最後に、売れにくい中古マンションで一般的に問題になりやすい「築年数が古い」点について、少しでも高く早く売るための対策法をご紹介します。
その方法は、次のとおりです。
対策方法(例) | |
---|---|
築年数が 古い |
・ハウスクリーニングやホームステージングをする |
人気のない間取り | ・リフォーム計画を提示する |
〈事例1〉
築年数が古い場合の成功事例
〈概要〉
売主Tさんは、室内のデザインや設備が古い築30年超えのマンションの売却で悩んでいました。しかし、不動産会社が提案してくれたホームステージングを利用することで、無事、売却することができました。
〈高く売れたポイント〉
- ・ハウスクリーニングやホームステージングをする
- ハウスクリーニングを利用すれば、プロが室内をすみずみまできれいに清掃してくれます。
また、ホームステージングとは、家具の配置を変えたり小物を置いたりすることで室内の雰囲気をアップし、魅力的に演出してくれるというものです。買い手に良い印象を持たせやすくなるため、購入率アップが期待できます。
これらのサービスを自社で取り扱っていたり、専門の業者と提携したりしている不動産会社もあるので、売却を依頼する際には確認しておくと良いでしょう。
ホームステージングについては、「ホームステージングってなに?」で詳しく説明しています。ぜひ読んでみてください。
〈お客様の声〉
築年数が古く、外観も室内もあまり見栄えがしないマンションだったので、ちゃんと売れるだろうかと不安でいっぱいでしたが、プロのコーディネーターさんに家具の配置を変えてもらっていろいろと片付けたら、部屋が見違えるようにきれいになり、数回の内見で売却できました。費用もそれほどかからなかったので、本当に良かったです。
築年数が古いマンションの売却方法は「築年数が古いマンションは安くでしか売れない?高く売る方法をチェック」でも詳しく説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
〈事例2〉
人気のない間取りの場合の成功事例
〈概要〉
売主Hさんは、築20年で3LDKのマンションを売却したいと考えていました。しかし、3LDKのうち1室は窓が小さいサービスルームと和室から成る間取りだったため、なかなか売れませんでした。そこで、リフォームが得意な不動産会社に今風のリフォーム計画を作成してもらったところ、リフォーム前提で購入を考えているた買い手に売却することができました。
〈高く売れたポイント〉
- ・リフォーム計画を提示する
- 中古マンションを探している場合、リフォームすることを前提としている人も多いです。購入希望者が考えているようなリフォーム計画を内見時に提示することで、購入決定を後押しすることができます。
ただし、先に自分好みにリフォームしてしまわないようにしましょう。リフォームが購入希望者の好みに合わない、リフォーム費用を上乗せした額で売却できないなどのリスクがあるからです。
リフォームを前提とした売却活動をする場合は、リフォームを自社で取り扱っていたりリフォーム業者と提携したりしている不動産会社を選ぶことが大切です。売却を依頼する際に、確認しておきましょう。
リフォームについては、「家を売却するとき、リフォームって必要?リフォーム費用もご紹介」でくわしく説明しています。ぜひ読んでみてください。
〈お客様の声〉
和室のある間取りだったので、今の人には売れないのではないかと心配でした。そこで、リフォームも自社で扱っているという不動産会社に相談したところ、窓の小さい部屋をウォークインクローゼットにし、和室を一部残して広いリビングにするリフォーム計画を立ててくれました。リフォーム後の室内の様子もCGで作成してくれたことが功を奏して買い手が見つかったのだと思います。本当にありがとうございました。