古い空き家を所有しています。
もし台風で瓦が飛んで近隣に被害が出たり、地震で倒壊して通行人にケガをさせたりした場合、所有者に責任が発生するのでしょうか?
また、どう備えておけばいいのでしょうか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
家の建物が古くなると、地震や台風などの天変地異の際に、建物やブロック塀が倒壊したり、壁や瓦が落ちたりして周辺住民を傷つけてしまうおそれがあります。
そのような場合、所有者として責任を問われる可能性もあるので注意が必要です。
こちらでは、天変地異が起こったときの家の所有者の責任についてわかりやすく説明します。
もくじ
1.地震や台風が起こったときの所有者の損害賠償義務について
地震や台風などの天災が起こり、建物の倒壊などによって歩行者や隣家を傷つけてしまったたら、所有者に損害賠償責任が発生するのでしょうか。
この場合、賠償責任が発生する場合と発生しない場合があるので、それぞれみていきましょう。
1-1.所有者に責任が発生する場合
建物などの「工作物」の所有者には、民法上「所有者責任」が認められます。
所有者責任は、物件によって他人に被害を与えた場合に所有者に発生する損害賠償責任です。所有者に過失(かしつ:不注意や怠慢)がなくても物件を所有しているだけで発生します。
所有者責任が発生するのは、建物の「瑕疵(かし)」によって人に損害を与えた場合です。瑕疵とはなんらかの欠点や欠陥のあることを意味します。
つまり、家に何らかの問題があるのに所有者が放置しており、その結果、家が崩れたりして他人に損害を与えたら、所有者責任が発生します。家の抱える問題について、所有者に過失がなくても損害賠償しなければなりません。
実際、古い建物の場合、さまざまな不具合を抱えているものです。たとえば、一部腐食して弱くなっている場合、瓦が落ちかけている場合、壁が崩れかけている場合などもあるでしょう。
このようなケースでは、きちんと補強工事をしておかないと「建物の瑕疵」が認められて、天変地異の際に所有者責任を問われる可能性があります。
1-2.所有者に責任が発生しない場合
建物に瑕疵がない場合、台風や地震などの天変地異の際の建物倒壊などによって人に迷惑をかけても所有者責任は発生しません。
家が万全の状態であったのに、天変地異の強い力によって倒壊してしまったケースでは、賠償金を払う必要がないということです。
ただ、現実的には、家が万全の状態だったかどうかや建物に瑕疵があったかを証明することが難しいので、地震や台風などの天災地変の場合、責任を負うケースはほとんどありません。
2.耐震工事をすべきかどうか
古い家は「旧耐震基準」にしたがって建築されており、現在の耐震基準を満たしていないことも多々あります。
昭和56(1981)年の建築基準法改正で、家の耐震基準が引き上げられ、それまでの「震度5強で損傷しない」に加え、「震度6強〜7でも倒壊しない耐震性」を持つ建物が条件となりました。この昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物を旧耐震基準といい、昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物を新耐震基準といいます。
旧耐震基準の建物のとき、耐震補修工事をしないと「瑕疵」となって所有者責任が発生するのでしょうか。
2-1.耐震工事の法的な義務はない
旧耐震基準によって建築されている建物に対し、耐震補修工事をすべき法的な義務はありません。
現在も旧耐震基準の建物はたくさん残っていますが、何もしなくてもペナルティは課されていません。そのため、耐震補強工事をしていなかったことが「建物の瑕疵」とみなされる可能性は低いです。
2-2.建築基準法改正後に建築された建物について
ただし、建築基準法が改正された昭和56年(1981年)6月1日以降に建築された建物については状況が異なります。
この場合、改正後の建築基準法が適用され、新耐震基準を満たさないと違法建築となるためです。そこで昭和56年6月1日以降に建てられた建物が、新耐震基準を満たしていなかったために台風で崩れて被害を出したら、所有者責任が発生します。
3.法的な賠償義務が発生しなくても道義的な責任はある
天変地異が起こったときに古い家が崩れて、人に迷惑をかけたとしても、基本的には建物に「瑕疵」がない限り責任は発生しません。
ただ、天変地異で自分の家や塀が崩れて人や他人の物を傷つけると、被害者やその家族から恨まれるでしょう。地震によってブロック塀が倒壊し、人が亡くなったという話は記憶に新しいところです。
旧耐震基準の建物が倒壊して迷惑をかけたら「古い家なのに耐震補強工事もしていなかった、非常識」と責められる可能性もあります。
万一被害者が死亡してしまったら、たとえ法的な責任がなくても一生その重荷を抱えて生きて行かねばなりません。
法的な責任がなくても、道義的(どうぎてき:人としての正しい道を守るべき責任)な責任を負うことが問題です。
4.古い家を所有している場合の対処方法
日本では頻繁に災害が発生しており、あなたの物件もいつ災害に遭うかわかりません。リスクに備えるには、法的義務がなくても建物の補修工事を行って新耐震基準を満たすように改築する方が安心です。
ただ、耐震工事には数百万円単位とそれなりの費用がかかります。古い家の場合、耐震補強工事をするより建物を取り壊した方が安くなるケースもあります。また、耐震補強工事をしても、その後家を活用する予定がないなら工事費用だけがかかり、もったいないです。
もし、家が空き家になっていて、今後活用する予定がないなら、売却することをおすすめします。空き家でなくても、家が古くて心配ということであれば、同じく売却すべきでしょう。
売ってしまえば、その後に家が倒れても所有者責任を負うことはありません。
家が古くて天災地変などが心配だから売りたいけれど、どうしたらよいのかわからないという人は、まず「イクラ不動産」でご相談ください。
無料&秘密厳守で、簡単に素早くお家の査定価格を知ることができます。さらに、あなたの状況にピッタリ合った売却に強い不動産会社を選ぶことができます。
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