一戸建ては「敷地」と「建物」から成り立っているため、マンションや土地と比べて売却の際に考慮すべき点が多くなります。
さらに、築年数や立地条件、市場の需要によって売却のしやすさが左右されるため、一般的に「売却がむずかしい」と言われています。
しかし、事前にポイントを押さえておけば、スムーズな売却や希望価格での成約も十分可能です。
この記事では、一戸建ての売却を成功させるための重要なポイントをわかりやすく解説します。
この記事で具体的にわかる3つのポイント
- 一戸建ての売却が本当にむずかしいのかどうかがわかる
- 一戸建ての売却がむずかしい理由とその解決策がわかる
- 一戸建ての売却をスムーズに進めてくれる不動産会社の選び方がわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- はじめて一戸建てを売却する人
- 一戸建てが売れにくくなる理由と解決策を知りたい人
- 一戸建ての売却で不動産会社選びが大切な理由を知りたい人
1.一戸建ての売却は本当にむずかしい?
一戸建ては、マンションよりも売却に時間がかかることが多く、スムーズに売るためには「適切な戦略」が必要です。
まず、一戸建てがマンションよりも売れにくい理由や売却にかかる期間の目安、築年数による売却戦略の違いについて押さえておきましょう。
1-1.一戸建てがマンションよりも売れにくい理由
マンションは、同じ建物内に過去の売却データが豊富にあるため相場を把握しやすいという特徴があります。
一方、一戸建ては次のような理由から、マンションに比べて売却がむずかしくなりがちです。
- 個別性が強く比較対象となる過去の事例が少ない
- 立地や築年数による価格変動が大きい
- 土地の形状や道路付けによって評価が分かれる
- 買主が限られるため、地域によって大きく異なる
一戸建てを売却する際は、このような背景があることを理解しておきましょう。
1-2.一戸建ての売却期間の目安
不動産売却には早くても2〜3ヵ月程度、長くなれば6ヵ月以上の期間がかかります。
マンションだと売却期間の平均は3ヵ月程度ですが、戸建ての場合は、6ヵ月以上かかることも少なくありません。状況によっては、1年近く経っても売れない場合があります。
また、都市部にある戸建てであれば比較的早く売れやすいですが、地方の戸建ては需要が少なく買い手が現れにいため、さらに売れにくくなりがちです。
このように、一戸建てはマンションより流動性が低く売却期間が長くなりやすいため、適正価格の設定が重要です。
戸建ての売却期間については、「一戸建ての売却期間はどれくらい?特徴を掴んでスムーズに進めよう」でくわしく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
1-3.築年数による一戸建ての売れやすさの違い
一戸建ては、築年数ごとに「売れやすが」が違ってきます。この点にも注意が必要です。
1-3-1.新築から5年前後の一戸建ての場合
いわゆる「築浅の戸建て」は売れやすいと思われがちです。しかし、築浅物件は新築物件と比較されることが多いことに注意しましょう。
同じような家が同じような価格で売り出されていたら、当然ですが新築が選ばれてしまうからです。
また、「どうして築浅の戸建てを売るの?」と不信に思われる可能性もあります。売却理由を明確に伝えられるようにしておきましょう。
1-3-2.築10年前後の一戸建ての場合
築10年前後の戸建ての売却は、リフォーム歴によって売れ安さや売却額に差がでます。
しかし、売却するためにすぐにリフォームに踏み切るのはおすすめではありません。なぜなら、リフォーム費用を上乗せした額で売却できるとは限らないからです。
リフォームをするべきかの判断は自身ではせず、不動産会社に相談してからにしましょう。
1-3-3.築20年以上の一戸建ての場合
築20年以上の一戸建てになると、多くの場合、建物に価値がつかなくなることがほとんどです。
そうなると、建物を解体して「更地」として売るか、建物を残したまま「古家付き土地」として売るかを選択する必要があります。
価値のない建物を解体することで売れやすくはなりますが、解体のための費用がかかることと、更地にすることで固定資産税が大幅に上がってしまうことがデメリットです。
くわしくは「空き家や古い家付きの土地は更地にして売却すべき?判断基準をご紹介」で説明していますので、ぜひご覧ください。
2.一戸建てが売れにくくなる4つの理由と解決策
一戸建てがマンションよりも売れにくいことがわかったところで、次に、具体的な売れにくい理由と解決策について説明します。
一戸建てが売れにくくなるおもな理由としてあげられるのは、次の4つです。
- 価格設定が高すぎる
- 築年数が古く印象が悪い
- 不動産会社の販売戦略が弱い
- 売却のタイミングが悪い
それぞれの理由について、具体的な解決策を確認していきましょう。
2-1.価格設定が高すぎる
原因
- 近隣の売却相場と比較して価格が高すぎる
- 高額査定を出した不動産会社に依頼し、実際の市場価格と乖離している
- 「この価格で売れたらいいな」と希望額で設定している
解決策
「価格設定が高すぎる」場合の解決策は、周辺の戸建ての相場価格をしっかりと把握することです。
不動産ポータルサイトや成約事例をチェックして、市場価格と売出価格とが乖離していないかを確認します。
また、価格を決める際に、複数の不動産会社に査定してもらうことも大切です。3社以上の査定を取り、適正な売り出し価格を見極めましょう。
売り出してから2~3ヵ月が経過しても反響がない場合は、不動産会社に相談したうえで値下げの検討がおすすめです。
値下げについては、「【家の売却】値下げはどれくらいが妥当?損をしない値下げ方法とは」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-2.築年数が古く印象が悪い
原因
- 劣化や汚れが目立ち、内覧時の第一印象が悪い
- 設備や内装が古いため、購入希望者がリフォーム費用を考慮してしまう
- 外観や庭が荒れていることで、買主の印象が悪くなる
解決策
「築年数が古く印象が悪い」場合の解決策は、ハウスクリーニングや簡単なリフォームを実施することです。
特に、キッチン・トイレ・浴室といった水回りの清掃を徹底すると印象が良くなります。
可能であれば、ホームステージングを活用しても良いでしょう。家具の配置やインテリアを工夫して住みやすい雰囲気を演出すると、内覧時の印象がアップします。
ハウスクリーニングやリフォームができないほど古い場合は、「古家付き土地」として売り出すのも一つの手です。「リフォーム前提」物件として販売することで、買主が自由にリノベーションしやすくなります。
いずれの方法を取るにしても、まずは不動産会社に相談してからにしましょう。
売却前のハウスクリーニングについては、「家を売却するときにハウスクリーニングすべき?費用対効果は?」で、リフォームについては「お家を売る前にリフォームするべき?それともそのまま売却するべき?」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-3.不動産会社の販売戦略が弱い
原因
- 広告の出し方が不十分(物件情報が適切な場所に掲載されていない)
- 不動産会社の営業活動が弱く、購入希望者へのアプローチが少ない
- 売却の提案が消極的で、適切な販売戦略がない
解決策
「不動産会社の販売戦略が弱い」場合の解決策としておすすめなのが、不動産会社の変更です。
売却実績が豊富で販売戦略をしっかりと立ててくれる不動産会社を選んで乗り換えましょう。
乗り換えるタイミングは、媒介契約が満了した時点がおすすめです。
不動産会社の乗り換えをしないのであれば、販売戦略の見直しを依頼します。「どのポータルサイトに掲載するか」「どのようにPRするか」など、具体的な販売戦略の改善策を出してもらいましょう。
不動産会社や担当者の変更については、「不動産会社や担当者を変えたい!変更方法と注意点についてまとめた」でくわしく説明しています。ぜひ、一読してみてください。
2-4.売却のタイミングが悪い
原因
- 市場の需要が低い時期に売り出している(買主が少ない時期)
- 金利の影響で買い手が慎重になっている
- 他に多くの競合物件が売りに出されている
解決策
「売却のタイミングが悪い」場合、可能であれば売却に適した時期まで待つのがおすすめです。
一般的に、不動産が動くシーズンは春と秋だと言われています。なぜなら、異動や入学などで転居する人が増える時期だからです。
ただし、売却時期を変更できない場合もあるでしょう。そのような場合は、これまでに説明した解決策を取るか、売却を急ぐのであれば「買取」の利用を検討するのも一つの手です。
買取を利用して売却すれば、売却額は7割程度になりますが、すぐに売ることができます。
家の売却時期については、「家が売れる時期は春と秋?売買が活発な時期を調べてみた」で、買取については「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3.一戸建て売却成功のカギは「不動産会社選び」
「一戸建てが売れにくくなる理由」と「その解決策」からもわかるように、一戸建ての売却を成功させるカギは不動産会社選びにあると言っても過言ではありません。
最後に、不動産会社選びがなぜ重要なのかのおさらいをするとともに、不動産会社を選ぶ際のチェックポイントや、どうしても売れないときの最終手段について説明します。
3-1.不動産会社は「売却実績」で選ぶのがポイント
一戸建ての売却は、マンションと違って物件ごとの個別性が強いため、不動産会社の「売却力」が成功を左右します。
売却実績が豊富な会社を選ぶことのおもなメリットは、次のとおりです。
- 相場価格を正確に把握しているため、「売れやすい適正価格」を提案してくれる
- 過去の成功事例をもとに「この物件にはこの販売方法がベスト」といった戦略を提案してくれる
- すでに購入希望者を抱えていることが多いため、早期売却が期待できる
- 購入希望者の「購入決定」を後押しするポイントを熟知している
売却がむずかしい一戸建てを少しでも早く、高く売りたいのであれば、売却実績が豊富な不動産会社を選ぶようにしましょう。
3-2.不動産会社を選ぶ際のチェックポイント
一戸建ての売却を成功させるためには、「売却力のある不動産会社」を見極めることが重要であることがわかったところで、実際に不動産会社の選ぶ際のチェックポイントをまとめました。
不動産会社探しの際に、ぜひ役立ててください。
チェック項目 | 確認ポイント | 理想的な基準 |
---|---|---|
売却実績が豊富か | 過去の一戸建て売却実績を確認 | 「過去3年で○件以上売却」など具体的な実績がある |
地域の市場にくわしいか | そのエリアの成約事例や相場を把握しているか | 「近隣の最近の売却事例」を具体的に説明できる |
適正な査定額を出しているか | 高額査定で釣るのではなく、売れやすい価格を提示しているか | 「売れた事例」と比較して適正価格を提案できる |
販売戦略がしっかりしているか | どのように広告を出し、どんなターゲットに売るかを明確にしているか | 「どのサイトに掲載するか」など具体的な戦略を説明できる |
購入希望者を抱えているか | すでにそのエリアで購入を検討している客がいるか | 「この物件に興味を持ちそうな買主がいる」と具体的に話せる |
担当者の対応が信頼できるか | レスポンスの速さや説明の分かりやすさをチェック | 質問に対して明確な回答があり、提案力がある |
契約内容が明確か | 媒介契約の種類や手数料について丁寧に説明しているか | 「専任媒介」「一般媒介」などの違いをしっかり説明してくれる |
これらのポイントを満たす不動産会社を選ぶことで、スムーズな売却が実現しやすくなります。
「なんとなく」で選ぶのではなく、訪問査定の際に実際に話を聞き、複数の不動産会社を比較することが大切です。
一戸建ての売却を依頼する不動産会社の選び方については、「戸建てを高く売るにはどこがいい?売却に強い不動産会社の選び方とポイントを解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3-3. 一戸建てがどうしても売れないときの最終手段
売却活動を続けてもなかなか売れない場合は、売り方を見直したり、別の選択肢を検討することが重要です。
どうしても一戸建てが売れないときは、次のような手段を取ることも検討してみましょう。
- 売却価格を見直す→ 最新の成約事例を参考に適正価格へ調整
- 販売戦略を変更する→ 広告の見直し・ターゲット層の変更・写真の改善
- 不動産会社を変更する→ 売却実績のある会社に依頼し、販売力を強化
- 買取による売却を利用する→ 価格は下がるが、短期間で確実に売却可能
状況に応じて適切な方法を選び、柔軟に対応することで、一戸建ての売却を成功させましょう。
家が売れないときの対策については、「家が売れない3つの問題点と5つの対策!値下げをしない方法も紹介」で説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 一戸建ての売却期間はマンションの売却期間よりも長くなりがち。地方の戸建てだと6ヵ月〜1年以上かかる場合もある
- 一戸建てがマンションよりも売れにくくなる理由は次のとおり
・個別性が強く比較対象となる過去の事例が少ない
・立地や築年数による価格変動が大きい
・土地の形状や道路付けによって評価が分かれる
・買主が限られるため、地域によって大きく異なる - 一戸建てが売れにくい理由と解決策
・価格設定が高すぎる→周辺の相場価格を調べて適正価格にする
・築年数が古く印象が悪い→ハウスクリーニングや不動産会社に相談してリフォームをする
・不動産会社の販売戦略が弱い→不動産会社を変更する
・売却のタイミングが悪い→売却時期を待つか買取を利用する - 一戸建ての売却を成功させるためには、売却実績が豊富で売却力のある不動産会社を選ぶことが大切
- 売却力のある不動産会社を選ぶためのチェックポイントは次のとおり
・売却実績が豊富か地域の市場にくわしいか
・適正な査定額を出しているか
・販売戦略がしっかりしているか
・購入希望者を抱えているか
・担当者の対応が信頼できるか
・媒介契約の内容が明確か - 一戸建てがどうしても売れない場合は、不動産会社の変更や買取の利用を検討するのも一つの手
一戸建ての売却は、一般的にマンションや土地よりもむずかしいと言われています。そのため、売却を始める前に、失敗しないための注意点をしっかりと確認しておくことが大切です。
また、一戸建ての売却がスムーズに進むかどうかは、どの不動産会社に売却を依頼するかにかかっています。売却したい戸建てがある地域で、売却実績が豊富な不動産会社を選ぶようにしましょう。
しかし、自分だけの力と時間で不動産会社を1社ずつ調べていくのは大変です。
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イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。