不動産を購入すると効果的に相続税を節税って聞いたのですが本当でしょうか?
また、相続不動産の家の評価は売却金額と同じと見なされるのでしょうか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
そもそも、相続する財産より借金の方が多いと相続税はかかりません。
こちらでは、不動産と借金を使った効果的な相続税対策の方法を説明します。
もくじ
1.相続税の計算方法
相続税の節税方法の前提として、まず相続税計算の仕組みを簡単に理解しておきましょう。
相続税の課税対象となる遺産からは「負債(借金)」や「葬儀費用」を差し引くことができます。また、そこから「基礎控除額」を引くことも可能です。
たとえば、法定相続人が妻と子ども2人の場合の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×3人)で4,800万円となります。
遺産総額から負債や葬儀費用と基礎控除額を引いて0以下であれば、そもそも相続税はかかりません。
この課税対象遺産額がプラスになっている場合には、課税対象遺産額を法定相続人の法定相続分に分割します。
- 妻 1億円×1/2(法定相続分)=5,000万円
- 長男 1億円×1/4(法定相続分)=2,500万円
- 次男 1億円×1/4(法定相続分)=2,500万円
分割した金額、それぞれに以下の相続税の税率をかけ算し、控除額を差し引きます。
取得価格 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | 0万円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4.200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
- 妻 5,000万円×20%-200万円=800万円
- 長男 2,500万円×15%-50万円=325万円
- 次男 2,500万円×15%-50万円=325万円
そして計算されたそれぞれの相続税額を合計します。その合計額が、そのケースでかかる相続税の総額です。
その相続税総額を、遺産分割協議によって決まったそれぞれの相続人の実際の相続割合に割り当てます。このようにして最終的に配偶者控除などを適用して実際に支払う相続税を確定します。
相続税の計算方法について、さらに詳しい説明は「相続したお家に相続税がかかるかどうか簡単にわかる方法」をぜひ読んでみてください。
2.借金が残されていたら相続税が減る
相続税を計算するときは、遺産の総額から「借金」などの負債を引き算するので、負債が大きい場合に相続税が低くなることは事実です。
事業を行っていた父親が、莫大な事業用の借金を残して死亡した場合などには、それを上回る資産がない限り相続税を払わなくて良くなります。
ただ、あまりに多額の借金があると、相続人が払えなくなるおそれもあるので「相続放棄(そうぞくほうき)」を検討すべきです。
相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったことになるので負債の支払いから免れます。父親が税金を滞納していた場合には、滞納税も相続放棄によって放棄できます。
ただし、不動産が残っている場合、全員が相続放棄してしまうと問題が発生します。詳しくは、「借金で家を相続放棄!それでも残る家の管理責任と免れるための方法」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
3.相続放棄したら相続税を払わなくて良いのか
いったん相続すると相続税を払わなければなりませんが、前述したとおり、相続放棄したらはじめから相続人ではなかったことになるので、その人は相続税を支払う必要がなくなります。
ただし、生命保険金や死亡退職金を受けとった場合などには、相続放棄したとしても相続税が発生する可能性があります。
3-1.相続放棄すると非課税枠が使えない
生命保険金や死亡退職金には、「500万円×法定相続人の数」の金額が非課税になります。全ての相続人が受け取った生命保険金や死亡退職金の合計額が非課税限度額以下であれば、相続税は課税されません。
たとえば、妻と子ども2人であった場合、1,500万円以下であれば課税はありません。
ただし、非課税額の算出の際には、「法定相続人の数」に相続放棄した人を含めることができますが、非課税枠が適用されるのは相続人だけであり、相続放棄した人は適用されません。
そのため、相続放棄したとしても相続税が発生する可能性があるのです。
4.相続税節税のために借金するのは無意味?
相続税を計算するときに借金を差し引けるのであれば、「相続税対策のために借金すれば良いのではないか?」と考える方がおられます。
しかし単純に借金をしても節税にはなりません。借金をするとその分、現預金(資産)が増えてしまうからです。
借金して増えた現預金は相続財産として相続税課税の対象になります。つまり借金でマイナスになった分がそのままプラスになるので、プラスマイナスゼロになって何の意味も持たないのです。
そればかりか、借金すると利息がかかりますので、ただ単に借金をするだけでは、利息分損してしまうことになります。
5.効果的な方法は不動産などを借金で購入する
借金を相続税対策にするには、ローンによって「不動産」を購入する方法が有効です。
不動産の相続税評価額(相続税を計算するときの不動産価格)は、実際に取引されている実勢価格(相場価格)よりも低くなっているからです。
まず、土地に適用される「相続税路線価」は、実勢価格の8割程度です。また、建物に適用される「固定資産税評価」は、実勢価格の7割程度になっています。
さらに土地(宅地)の条件があえば「小規模宅地等の特例」により、一定面積までの相続税評価額が50%減や80%減となります。
土地や建物を賃貸に出した場合には、借地権価格や借家権価格が引かれるので、2割やそれ以上の評価減となるケースが多数です。
つまり不動産を購入、建築するときにローンを組むと、実際に投入する現金よりも得られた不動産の相続税評価額が大きく下がるので、相続税を大きく節税できます。
実際に相続した家の評価額を調べる方法については「相続した家の評価額の計算方法をわかりやすく説明する」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
5,000万円の現金を持っている人が1億円を借り入れて、1億円の賃貸マンションを購入しました。このマンションの相続税評価額は、4,000万円です。
すると被相続人の手元に残っている資産は4,000万円分のマンションと5,000万円の現金になります。
4,000万円 + 5,000万円 = 9,000万円
1億円の借入があるのでそれを引き算すると、
9,000万円 − 1億円 = −1,000万円
相続税評価額としては−1,000万円となります。この場合、マイナスなので相続税はかかりません。
一方、マンションを購入しなければ、手元の現金5,000万円がそのまま残るので、基礎控除を超える分に相続税がかかってしまいます。
賃貸マンションを所有していると賃料収益も得られます。贈与税の基礎控除内で子供達に生前贈与したり将来の相続税の納税資金として貯めたりもできます。
まとめ
ただ単に借金をするだけでは、意味がなく、不動産などの、評価を必要とするものを借金で購入した場合に相続税が節税できます。
相続税対策としての不動産活用にはさまざまな手法があるので、税理士や不動産会社などに相談してみると良いでしょう。
とはいえ、冒頭でも述べたとおり、相続する財産より借金の方が多いと相続税はかかりません。そのため、まずは家の価値を調べる必要があります。
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