空き家を売りに出したものの、なかなか売れずに困っている人は少なくありません。
なかなか売れない空き家を売るためには、なぜ売れないのかを理解したうえで対策を立てることが大切です。
こちらでは、空き家の売却で売れない理由やケース別の解決策などについてわかりやすく説明します。
この記事で具体的にわかる3つのポイント
- 空き家が売れない原因や理由がわかる
- 空き家が売れない場合の解決策がわかる
- どうしても空き家が売れない場合の対策がわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 売りに出した空き家がなかなか売れずに困ってる人
- 空き家が売れない場合の解決策を知りたい人
- 空き家がどうしても売れずどうすれば良いのかわからない人
1. 空き家が売れない5つの理由とは?
空き家を売りに出しているのに、なかなか買い手が見つからず困っているケースは少なくありません。
なぜ空き家が売れないのか、その理由を正しく理解することで、適切な対策が見えてきます。
ここでは、空き家が売れない代表的な5つの原因について解説していきます。
1-1. 売却価格が相場より高すぎる
空き家が売れないもっとも多い理由のひとつが、「価格設定のミス」です。
売主としては「できるだけ高く売りたい」という気持ちは当然ですが、相場よりも明らかに高い価格で売りに出してしまうと、買い手の候補から外されやすくなります。
特に地方や郊外のエリアでは、同じような条件の物件が多数並んでいることが多く、価格差があるだけで「条件が悪い」「割高」といったマイナスイメージを持たれやすくなりがちです。
また、一度売り出して長期間売れ残ると、「売れない物件」「問題があるのでは?」といった印象を与えてしまい、さらに売れにくくなる悪循環に陥ることも少なくありません。
【簡単な対策】
- 複数の不動産会社に査定を依頼して、現実的な価格帯を把握する
- 地域の過去の売却事例を参考にする
- 「希望価格」ではなく「売れる価格」でスタートする意識が重要
「売却価格が相場より高すぎる」場合の対策については、2-1.「【価格設定の見直し】で売却成功した事例とポイント」でくわしく解説しています。
1-2. 立地や周辺環境が買い手のニーズと合わない
空き家がある場所の立地や周辺環境が、買い手の希望と合わない場合も、売れにくい原因となります。
駅から遠い、バスの便が悪い、周辺に商業施設がないといった条件は、「不便そう」という印象を与えやすく、敬遠されがちです。
また、地方や山間部など、もともと人口が少ないエリアでは、そもそも物件を探している人の数自体が少なく、買い手が現れにくいという現実もあります。
買い手側からすると、「住みたい場所」や「収益が出せる物件」でなければ購入の決断には至らないため、需要が乏しい立地にある空き家は売却までに時間がかかる傾向があります。
【簡単な対策】
- 地元密着型の不動産会社や、空き家の買取に特化した業者に相談する
- 自治体の「空き家バンク」などの制度を活用する
- 収益化やセカンドハウス利用など、用途提案を変える
「立地や周辺環境が買い手のニーズと合わない」場合の対策については、2-2.「【立地に難がある空き家】を売るために有効だった方法」でくわしく解説しています。
1-3. 建物の老朽化が進んでいて印象が悪い
築年数が古く、劣化が進んだ空き家は、購入希望者から見た目だけでも敬遠されやすくなります。
さらに、雨漏り・カビ・ひび割れ・傾きなどがあると、「修繕費がかかりそう」「住める状態にない」と判断されがちです。
このような空き家は、内覧まで至らず、ポータルサイトで写真を見た段階で「検討の余地なし」とされてしまうケースも多くあります。
とはいえ、すべてをリフォームする必要はなく、最低限の修繕や掃除で印象を変えられることもあります。
また、「古民家」「DIY物件」などの価値提案を工夫することで、買い手を引き付けることも可能です。
【簡単な対策】
- 外観や水回りだけでも最低限のクリーニング・修繕を行う
- 「古民家再生」「DIY可」といったキーワードで差別化する
- 場合によっては、解体して更地にしてから売却する
「建物の老朽化が進んでいて印象が悪い」場合の対策については、2-3.「【老朽化・築古物件】を売却するための現実的アプローチ」でくわしく解説しています。
1-4. 登記や法的手続きが未完了で売却できない
空き家が売れない原因として意外と多いのが、名義変更が済んでいない、相続登記をしていない、共有名義になっているなど、法的な手続きが未完了であることです。
このような状態では、そもそも買い手が見つかっても売買契約を締結することができません。
また、再建築不可の土地や接道義務違反など、建築基準法や都市計画法に抵触しているケースもあり、買い手が融資を受けられないため、購入が成立しない場合もあります。
【簡単な対策】
- 司法書士に依頼して相続登記や名義変更を済ませる
- 再建築の可否や越境問題は、土地家屋調査士などの専門家に調査を依頼
- 訳あり物件に強い不動産会社や買取業者を検討する
「登記や法的手続きが未完了で売却できない」場合の対策については、2-4.「【登記や法的な問題】をクリアして売れたケース」でくわしく解説しています。
1-5. 不動産会社の売却力が不足している
空き家がなかなか売れない理由のひとつに、依頼している不動産会社の売却力が足りないケースがあります。
たとえば、物件写真が暗くて少ない、ポータルサイトへの掲載が遅い、価格や戦略の提案がないなど、「買い手に届く工夫」がされていない場合は要注意です。
また、空き家に慣れていない不動産会社だと、特徴的な訴求や活用提案ができず、競合物件と差別化できないまま埋もれてしまうこともあります。
【簡単な対策】
- 空き家売却の実績がある不動産会社に乗り換える
- 複数の会社に相談し、「掲載実績」や「対応スピード」を比較する
- 買取にも対応している会社を選ぶと選択肢が広がる
「不動産会社の売却力が不足している」場合の対策については、2-5.「【不動産会社の見直し】で売却がスムーズに進んだ実例」でくわしく解説しています。
2.売れない空き家を売るための原因別対策と実例解説
空き家が売れにくくなる代表的な5つの原因についてわかったところで、次に、それぞれの原因に対してどのような対策を取ればよいのか、実際に売却に成功した事例をもとにご紹介していきます。
2-1. 【価格設定の見直し】で売却成功した事例とポイント
空き家が売れない原因としてもっとも多いのが、「売り出し価格が相場より高すぎる」ケースです。
購入希望者は、エリアや築年数などの条件を比較して検討するため、明らかに高い物件は避けられがちになります。
このような場合の対策としておすすめなのが、複数の不動産会社に査定を依頼して、地域の相場価格を把握することです。その結果、大幅に値下げせざるを得ないこともあります。
空き家の売り出し価格を見直す際は、「ただ下げる」だけでなく、写真や紹介文なども刷新して印象を変えることが効果的です。
相場価格の調べ方については、「不動産の相場価格とは?自分でネットで調べる方法をわかりやすく解説!」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
【事例】
埼玉県内の住宅地にある築30年の空き家を2,500万円で売り出すも、半年間反響ゼロ。
地元の別会社に切り替え、1,980万円に見直し+プロによる写真撮影で再出発。
その結果、3週間で内覧5件、1ヵ月以内に成約。
【この対策のポイント】
- 価格は「希望」ではなく「売れる」基準で設定する
- 価格見直しとビジュアル改善をセットで行う
- 査定は1社でなく、3社以上を比較するのがおすすめ
2-2. 【立地に難がある空き家】を売るために有効だった方法
駅から遠い、バスが通っていない、人口が少ない地域など、立地に難がある空き家は購入希望者がそもそも少なく、売却しづらいことが多いです。
このような物件は、「仲介」よりも「買取」や「空き家バンク」を活用するほうがスムーズな売却につながることがあります。
また、セカンドハウスや移住希望者向け物件として見せ方を変えることも効果的です。ターゲットの幅が広がるため、売却につながりやすくなるでしょう。
買取については「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
【事例】
山間部にある築40年の空き家。駅から車で30分、掲載1年で問い合わせゼロ。
空き家バンク+地元業者による紹介で、移住希望者とマッチングし、3ヵ月で売却成功。
【この対策のポイント】
- 地域密着の不動産会社や行政制度を活用する
- 「買取」も視野に入れてスピーディーに動く
- 空き家の使い方の提案も差別化の鍵
2-3. 【老朽化・築古物件】を売却するための現実的アプローチ
築年数が経過して老朽化している空き家は、第一印象が悪く、内覧すらされないことも多いです。
しかし、大規模なリフォームをしなくても、最低限の改善によって見た目を良くすることで売却につながる可能性を上げることができます。
対策としては、壁紙や床の補修、清掃など「見た目」の印象を良くする工夫が効果的です。
また、「古民家再生」「DIY可」として物件の個性を打ち出すことで、新たな需要を掘り起こすことができます。
古い物件の売却については、「築年数50年超えの家を売却したい!少しでも高く売るポイントを確認」で説明しているので、参考にしてみてください。
【事例】
築45年、空き家歴5年の住宅。外壁劣化・残置物あり。
クリーニング+一部補修で印象改善。
「DIY向け」として売り出したところ、若年層投資家に売却成功。
【この対策のポイント】
- 「古さ」を個性として活かす売り方を検討
- 大がかりなリフォームより、印象の改善が優先
- 「そのまま住む人」ではなく「再生する人」に訴求
2-4. 【登記や法的な問題】をクリアして売れたケース
相続登記がされていない、再建築不可、借地に建てられている(底地)といった法的な問題がある空き家は、「売却したくても売れない」状態になります。
法的なトラブルがある場合、売れるようにする対策としては、司法書士や土地家屋調査士などの専門家に依頼して調査・登記整理を行うのが第一歩です。
不動産会社に依頼すれば、適切な専門家を通して対策を立ててもらえます。
また、再建築不可や違法建築などの「訳あり」物件を確実に売りたい場合は、専門の買取業者に相談するのがおすすめです。
再建築不可物件については、「再建築不可物件は売却できる?相場は?再建築を可能にする方法」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
【事例】
祖父の代からの再建築不可の空き家。相続未登記で兄弟3名の共有名義。
司法書士に依頼し登記整理後、訳あり物件買取業者に相談。
売却額は安くなったが、1ヵ月以内に現金化。
【この対策のポイント】
- 相続登記未了のままでは売却できないため、早急に整理をする
- 再建築不可などの制限付き物件は「訳あり専門」に強い業者が最適
- トラブルの放置は将来的なコスト増につながる
2-5. 【不動産会社の見直し】で売却がスムーズに進んだ実例
空き家が売れない原因として、意外と多いのが「不動産会社選びのミス」です。
広告写真の質が低い、販売戦略が弱い、対応が遅いといった要因で、せっかくの物件も埋もれてしまいます。
対策としては、まず、空き家の売却に強い会社かどうかを見極めることが大切です。反響が少ない場合は、思い切って不動産会社を乗り換えることも検討してみましょう。
さらに、買取やリノベーションも提案できる業者なら選択肢が広がります。
不動産会社や担当者の変更については、「不動産会社や担当者を変えたい!変更方法と注意点についてまとめた」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
【事例】
築20年の空き家。半年間売り出すも反響ゼロ。
物件情報の写真が少なく、ポータル掲載内容も薄かった。
空き家専門業者に切り替え、写真・文言を刷新し、リスティング広告も実施。
2週間で内覧3件、4ヵ月で売却。
【この対策のポイント】
- 売却力のある不動産会社かどうかをチェックする
- 空き家に特化しているか、提案力があるかが重要
- 相談だけでも他社にしてみると道が開けることもある
3.空き家が売れないときによくある質問(FAQ)
ここでは、空き家を売却に出したものの、なかなか売れないときによくある質問と回答を紹介します。
3-1.Q1. 空き家が売れ残ったままだと、どうなりますか?
空き家が売れずに売れずに長期間放置されたままになると、次のようなリスクがあります。
- 経年劣化による資産価値の下落
- 固定資産税や管理費の負担が蓄積される
- 近隣トラブルや不法侵入、倒壊、火災などのリスクがある
特に、倒壊の危険性があり、周囲に危害をおよぼす恐れがあると見なされて「特定空き家」に指定されると行政から指導が入り、強制的に解体される場合もあります。
空き家は放置せず、早めに売却・処分の方向性を決めておくのがおすすめです。
3-2.Q2. 空き家をリフォームせずにそのまま売ることはできますか?
はい、空き家をそのままの状態で売ることも可能です。
ただし、次のように、売却価格や売れるまでの期間に影響する場合があります。
- 築古物件や修繕が必要な物件は「リフォーム前提」で安めの価格になる傾向がある
- 見た目が悪い・設備が壊れていると、内覧すら敬遠されがちになる
- 売主が手間をかけたくない場合は、「そのまま買い取る」業者の利用が現実的
とは言え、リフォームをしたからといって高く売れる保証はありません。むしろ、リフォームにかける費用分を値下げするほうが売れやすいケースもあります。
無理に高額なリフォームをするよりも、「状態に合った売り方」を選ぶ方ことが大切です。
3-3.Q3. 地方や山間部の空き家でも売れますか?
売れます。ただし、仲介での売却だと、次のような理由から売却に時間がかかることが多いです。
- 地方はそもそも需要が少ないため、問い合わせや購入希望者が少ない
- 買い手は投資家や地元の方に限られやすい
- 駅や商業施設が遠いとさらに難航する傾向にある
そのため、地方や山間部にある空き家を早く売却したいのであれば、「空き家買取専門業者」に買い取ってもらうのがおすすめです。
3-4.Q4. 空き家を解体して更地にすると売れやすくなりますか?
ケースによります。解体して更地として売る方が買い手が見つかりやすくなることもあります。
【解体した方が良いケース】
- 建物が著しく老朽化している
- 再建築目的の買い手が多いエリアにある
- 傷みが激しく、内見すら敬遠されている
- 建物が無くなることによる固定資産税の増額を避けたい場合
【解体しない方が良いケース】
- 建物の価値が残っている空き家
- 古民家やリノベーション向きで売却できそうな空き家
- 更地にしてもすぐに売却できそうにない場合(年をまたぎそうな場合)
まずは「そのままでの売却」と「更地にしてからの売却」の査定を比較してみるのがベストです。
3-5.Q5.空き家がどうしても売れない場合、どうすればいいですか?
空き家がどうしても売れない場合は、買取を利用するほか、隣地の所有者に購入を持ちかけてみるのも一つの手です。
隣地と合わせることで土地の活用がしやすくなったり資産価値が高まったりすることがあるため、購入してくれる可能性があります。
空き家の売却が得意な不動産会社に依頼すれば、隣地の所有者に上手に購入の話をもちかけて、話をまとめてもらいやすいです。
また、自治体によっては、空き家を売りたい人と買いたい人とをつないでくれる「空き家バンク」を運営しているところがあります。調べて登録しておいても良いでしょう。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
-
- 空き家がなかなか売れないおもな理由と解決策5つ
①価格が相場よりも高すぎる
→相場に合わせた価格を設定する
②立地が不便・需要が少ない
→買取の利用を検討する
③建物の老朽化・状態が悪い
→修繕や解体してからの売却、買取の利用を検討する
④法的・物理的な問題がある
→専門家と連携して売却可能な形を整える。または「訳あり物件」として売り方を変える
⑤不動産会社の売却力不足
→売却に強い会社を見極めて選び直す、または買取専門業者へ相談 - 売れ残った空き家をそのままにすると、次のようなリスクがある
・維持・管理費用、固定資産税などがかさむ
・周囲に迷惑をかける恐れがある
・「特定空き家」に指定されると、強制的に解体される場合がある
- 空き家がなかなか売れないおもな理由と解決策5つ
- 空き家をリフォームや解体してからの売却は、物件の状態や状況によって選ぶことが大切
- どうしても空き家が売れない場合は次のような方法も検討してみると良い
・買取の利用を検討する
・隣地の所有者に購入を持ちかけてみる
・自治体の「空き家バンク」に登録してみる
空き家を売りに出したものの、なかなか売れないと「本当に売れるのだろうか」と不安になります。早めに売却できるように、まずは「売れない原因」を理解することが重要です。
価格が高い、見た目が悪い、不動産会社の売却活動が不十分など、売れない原因が明確になれば、対策を立てることができます。原因と解決策をひとつずつチェックしてみましょう。
空き家がなかなか売れず、どうしたらよいのかわからない人や、空き家の売却が得意な不動産会社に乗り換えたい人は、ぜひ「イクラ不動産」でご相談ください。
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さらに、空き家の売却でわからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフにいつでも売却相談ができるため安心です。
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