人が亡くなった家を売却したいのですが、過去に殺人事件として取り上げられまして…
何年も前のことなのですが黙って売ることはできますか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様のご相談内容です。
自宅で目も当てられないような事件が起こってしまった場合、ご家族はその家で以前と変わらぬ生活を送るのはむずかしいでしょう。
また、マンションなどの集合住宅内の廊下や駐車場などで事件が起こり、売却で困っている方もいるかもしれません。
この記事では、殺人事件があった家の売却方法について、わかりやすく説明します。
- この記事はこんな人におすすめ!
- 殺人事件のあった家やマンションをどうしたら良いかわからない
- とにかく殺人事件のあった事故物件を手放したい
- 殺人事件のあった家を少しでも高く売りたい
もくじ
1.殺人事件を隠して家を売却することはできない
殺人事件があった家やマンションなどを売却する場合、できれば購入希望者に殺人事件があったことを伝えたくないと考える方がいるかもしれません。
殺人事件があったことを購入希望者に伝えると、買ってもらえなくなったり大幅に値引きされたりする恐れがあるからです。
しかし、殺人事件があったことを伝えずに売却すると、あとで発覚した際にトラブルが生じて殺人事件のことを伝えた以上の損害を被ることがあるので注意が必要です。
ここでは、売却予定の家やマンションで殺人事件があったことをなぜ告げないといけないかを詳しくみてみましょう。
1-1.殺人事件は告知義務があるので事故物件となる
不動産の取引きにおいて、殺人事件や自殺などは買主に必ず伝えないといけない「告知義務(こくちぎむ)」の対象です。そして、殺人事件や自殺が起きた物件は、告知義務のある「事故物件」として取引きされることになります。
告知義務として買主に伝えなければならないのは、その物件で自殺や殺人などがあった場合以外に、火災や水害などの被害をうけたことがある、周辺に火葬場や墓地といった施設があるなどです。
このような、その物件に住む人が嫌な気持ちになる恐れがあるものを心理的瑕疵(しんりてきかし)と言います。売りに出している物件に心理的瑕疵がある場合、売主や不動産業者は、買主や入居者に伝えなければならないと法律で定められているのです。
この告知義務に伝えずに売却し、あとから心理的瑕疵があることがわかった場合は、売主や不動産会社が買主から訴えられて、損額賠償を支払ったり契約解除になったりするケースがあります。
殺人事件があった家などを売るときは、そのことを隠さずに購入希望者に伝えることが必要です。
事故物件の相場や売却方法については「事故物件は売却できる?相場や売却方法をわかりやすく説明する」で説明していますので、ぜひご覧ください。
1-2.家を取り壊しても殺人事件の告知義務は残る
一戸建ての家の場合だと、家を取り壊して更地にすれば、殺人事件の告知義務を免れると考える方もいるかもしれません。
しかし、家を取り壊したとしても、殺人事件があったことを隠して売却すると告知義務違反に問われることがあるのです。
実際の判例として、8年前に殺人事件があった家を取り壊した更地の取引きにおいて、売主が購入した買主に対して損害賠償の支払いを認めたという事例があります(大阪高等裁判所 平成18年12月19日判例)。
同様のケースであっても、自殺があった家を取り壊して更地にして取引した場合は、告知義務違反にならなかった事例もあるため、事故物件の中でも殺人があった家はやはり特別視されてしまうのです。
事故物件の取り壊しについては「事故物件を建て替えたり取り壊して土地にしたりすれば大丈夫なの?」で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
1-3.人の死すべてに告知義務があるわけではない
人の死があった物件を告知義務のある事故物件にするかしないかは、これまでの判断基準では曖昧になっていました。
そこで、国土交通省はトラブルの未然防止の観点から、2021年に宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインを公示しました。これは、物件内における人の死についての一般的な基準をとりまとめたガイドラインです。
こちらのガイドラインでは、人が亡くなった物件の売買について、告知義務があるかないか次のような基準が設けられています。
この基準からわかるように、人の死すべてに告知義務があるわけではありません。
しかし、買主から告知義務違反だと訴えられて裁判になった場合、その程度や時期などによって判例が異なるため、上記の基準で判断すれば必ず告知義務違反にならないとは限らないので注意が必要です。
いずれにせよ、殺人事件の場合は必ず告知義務になること、一戸建てであれば建物を取り壊しても告知義務は残る場合が多いことを把握しておきましょう。
このガイドラインや事故物件の売却方法については「事故物件は売却できる?相場や売却方法をわかりやすく説明する」で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
1-4.マンションなどの集合住宅での殺人事件の場合
マンションなどの集合住宅で殺人事件が起きた場合は、殺人がどこで起きたか、いつ起きたかが重要なポイントになります。
殺人事件が起きた部屋そのものについては、いつ起きたかにかかわらず告知義務事項が必要となる事故物件です。
しかし、同じ建物内のほかの部屋や、廊下やエントランスといった共有部分については、その場所を利用する頻度や事件の内容、いつ事件が起きたかなどによって、告知義務があると見なされる場合と見なされない場合があります。
殺人事件があったことを売主や不動産会社が知っていたにもかかわらず買主に伝えず、買主が告知義務違反だと訴訟を起こすケースもあるので注意が必要です。この場合、告知義務が必要だったかは裁判で判断することになります。
告知義務かどうか迷ったとしても、殺人事件の場合は伝えておく方が良いでしょう。
マンションで飛び降り自殺があった場合の売却については「飛び降り自殺があったマンションは売却するとき事故物件になるの?」で詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
2.殺人があった家やマンションを売却する方法
では、殺人事件があった家やマンションを売却するにはどのような方法があるのでしょうか。
と思うかもしれませんが、いくつかの対処法を実践すれば、決して「売れない」というわけではありません。
2-1.殺人があった家の売却額の目安は?
事件の内容やいつ起こったのかにもよりますが、殺人があった家(マンション・一戸建て・土地)は、仲介で売却できる額の50%程度かそれ以下になることが多いです。
仲介というのは、買い手が一般消費者である場合の売却方法で、高く売れる分、出してみないと売れるかわからない売却方法です。
例えば、仲介であれば2,000万円で売却できる物件だと、事故物件の場合は1,000万円程度になるということです。
また、事件を思い起こさせないためにも、ハウスクリーニングやリフォームをするための費用が必要になることも考えられます。
事故物件のリフォーム費用については「事故物件のリフォーム費用はいくらかかる?売却でもリフォームは必要?」で詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
後ほど説明する買取だと、買い手が不動産会社なので、確実に売れますが、最終的な事故物件の買取価格は仲介での相場価格の35%程度になってしまいます。
相場価格で2,000万円であれば、700万円程度になります。
殺人事件のあった家なら、無料に近い形での買取になる可能性や、買取をしてくれない恐れもあることを踏まえておきましょう。
もし、殺人があった家がいくらなのか知りたい場合は「イクラ不動産」を利用すれば無料でわかります。
2-2.不動産会社に買取してもらう
ということであれば、不動産会社買取してもらうことを検討しましょう。
ここでは、仲介で一般の人に向けて売却するのではなく、不動産会社に家(マンション・一戸建て・土地)を買い取ってもらう方法を説明します。
2-2-1.①買取ならそのまま売却できる
買取とは、一般消費者に向けて販売活動をするのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。
買取業者はリフォームや解体を前提として買い取るので、売却前のハウスクリーニング等は不要です。また仲介でも売却時に必要となる仲介手数料もかかりません。
買取の流れについては「不動産買取の流れについてわかりやすく解説!」で詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
2-2-2.②買取さえ断られる可能性も
買取業者が買い取る目的は、買い取ってリフォームした上で再販売し、消費者に購入してもらうことで、利益を得るためです。そのため、利益が保証できない物件は、買取を断られることもあります。
買取ができるかできないかは、殺人事件の凄惨さや、家の立地条件なども影響すると考えられます。
また、年数が経つのを待つというのも一つの手です。事件から年数が経てば、買い取ってくれる会社も出てきます。
2-2-3.③買取してもらうときはオークション形式で行う
買取は「周囲にバレずに早く売れる」のメリットがありますが、どうしても金額が安くなってしまうのがネックです。
家を高く買ってもらうコツは、複数の不動産会社に依頼し、手取りの金額が一番高い不動産会社を選ぶことです。
これが1円でも高く買取してもらう方法です。
不動産会社に
と言えば大丈夫です。
家がある地域を「買取エリア」としている、複数の不動産会社に依頼します。
ただ、買取している不動産会社はHPがないことも多く、インターネットだけで調べることはほぼ不可能です。
「イクラ不動産」であれば無料で知ることができます。不動産会社から買取した実績(どの物件を、いつ、いくらで買取したのか)をデータとして集めているからです。
高く買取してもらうコツについて詳しく知りたい方は「「家を高く買取ってもらう方法」を元不動産屋が教えます!」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
2-3.シェアオフィスや店舗などの用途で売る
殺人事件のあった家に住みたいと思う人は、当然ですが多くはありません。しかし、買主の購入理由が居住以外の用途であれば、検討してくれる可能性があります。
居住以外の用途といっても、賃貸目的の投資先としては同じように需要は見込めないでしょう。やはり殺人事件があった物件は、「人が住む」ことには不向きだといえるからです。
「人が住む」以外の用途としては、オフィスや店舗、倉庫としての使い道が考えられます。そのため、経営者に向けて売却活動するのも1つの選択肢です。
という方もいます。
少ないですが、事故物件を購入したいという買い手もいるため、
と、まずは、不動産会社に相談してみましょう。
まとめ
「殺人があった事故物件」といっても、周囲の認知の具合や事件の凄惨さによっても需要は異なります。しかし、殺人事件があったことは心理的瑕疵として告知義務があるので、必ず不動産会社や購入希望者に伝えることが大切です。
殺人事件があったような事故物件の売却では、不動産買取という選択肢を選ぶ方が多いですが、まずは殺人がなかったとして、普通に市場で売却するといくらぐらいになるのか知る必要があります。そこから、事件の程度によって7割の価格になるのか、5割になるのか、3割になるのか、などの検討と相談が必要です。
家やマンションを探している人の中には、とにかく安い物件を求めている場合もあります。
殺人事件のあった家やマンションであっても、取り扱いしている不動産会社を見つけることができれば売ることは可能です。
殺人のあった家やマンションの売却を考えているという方は、「イクラ不動産」をご利用ください。売却事情に応じて「売却に強い」不動産会社を選ぶことができます。