空き家を手放したいと考えたとき、最も気になるのは「いくらで売れるのか」という点ではないでしょうか。
空き家の相場価格や査定額、買取額が決まる要因はさまざまです。
本記事では、空き家の売却を検討している人に向けて、空き家を売却する際の相場価格や買取額がどのように決まるのかについてわかりやすく解説します。
また、イクラ不動産独自の価格シミュレーターを使えば、無料&秘密厳守で簡単に素早く空き家の相場価格を自分で調べられます。ぜひ活用してみてください。
【この記事で具体的にわかること】
- 空き家の相場価格や買取額がどう決まるのかがわかる
- 空き家の査定方法がわかる
- 空き家の買取価格を高くするコツがわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 相続した空き家や放置した空き家がある人
- 空き家の相場価格や買取額がどう決まるのかを知りたい人
- 空き家を少しでも高く売るコツを知りたい人
もくじ
1.空き家の相場価格・買取額はどう決まる?知っておくべき5つの評価ポイント
空き家の相場価格や買取額は、単に築年数や広さだけで決まるわけではありません。
不動産会社や買取業者は、複数の要素をもとに総合的な査定を行い、その物件の「市場価値」を判断します。
ここでは、査定時に特に重視される5つのポイントを確認していきましょう。
1-1.① 空き家の立地とエリア(交通・生活の利便性など)
立地は、空き家の査定額に大きく影響します。
特に重視されるのは「最寄駅までの距離」「商業施設や病院との距離」「周辺エリアの将来性(再開発予定など)」などです。
同じ築年数でも、都市部や利便性の高いエリアであれば、買取価格が数十万円〜数百万円単位で変わることもあります。
反対に、生活の利便性が良くない場所や市街化調整区域にある空き家、再開発が進んでいないエリアにある空き家は価格が伸びにくく、安くなる傾向があります。
1-2.② 空き家の敷地(土地)の面積と形状(整形地/不整形地)
空き家の敷地である土地の広さはもちろん、土地の形状も重要です。
正方形や長方形に近い「整形地」は建て替えや再利用がしやすいため評価が高くなります。
一方で、三角形や旗竿地などの「不整形地」や、極端に狭い土地は活用が難しく、査定額が下がることが多いです。
また、土地が広すぎても管理や活用にコストがかかるため、場所によっては必ずしも高値になるとは限りません。
1-3.③ 空き家の状態と築年数
空き家の築年数が古くても、メンテナンスやリフォームなどを施して、しっかりと管理されていればプラス評価につながります。
逆に、雨漏り・シロアリ・傾きなどがあり、劣化が進んでいる空き家だと、解体費用を見越して査定額が下がるケースも多いです。
一般的に、築30年を超えると木造の建物の評価はほとんどゼロに近くなりますが、買主が建物を再利用できると判断すれば価値が残ることもあります。
1-4.④ 再建築不可かどうか
空き家が再建築不可の物件かどうかは、査定において非常に重要なポイントになります。
特にチェックされるのが「接道条件」です。空き家が、幅4m以上の道路に2m以上接していなければ再建築が認められず、「再建築不可物件」として評価が大きく下がります。
再建築不可の空き家でも買取してくれる専門業者は存在しますが、通常より査定額は低くなりやすい傾向にあります。
1-5.⑤ 周辺の過去の成約事例や市場相場データ
空き家をはじめとする不動産の価格は、周辺エリアでの過去の成約事例や現在の売出し価格といった「市場の相場感」によっても左右されます。
査定時には、近隣の物件と比較され、「このエリアでこの状態ならいくらくらい」という水準がベースになります。
そのため、同じような空き家がいくらで売れたのかを把握することで、自分の物件の相場もある程度イメージできます。
2.空き家はどのように査定されるのか?
空き家の査定額は、「建物」と「土地」それぞれの価値について算出されます。
ただし、築年数の古い空き家では建物の評価額がほとんどゼロとなり、実質的には土地の価値だけで評価されるケースが多いのが実情です。
ここでは、空き家がどのように査定されるのかを、建物と土地に分けて解説します。
2-1.空き家の建物部分の査定
通常、戸建ての空き家の建物部分の査定は、「原価法」という査定方法で行われます。
「原価法」を簡単に説明すると、今、同じ建物を建てた場合にいくらかかるかをまず算出し、そこから経年分の減価修正をして査定額を出すというものです。
経年分の減価修正がされるため、建物の築年数が古いと、建物の査定額はどんどん減っていきます。
一般的には、木造住宅で築30年以上経っていると、建物の価値はほとんどなく、場合によっては解体費用がかかる分、マイナスになると見なされることも少なくありません。
原価法については、「原価法とは?一戸建て売却する際の建物部分の査定方法をわかりやすく解説!」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-1-1.空き家の建物に価値があるケースとは?
築20年未満程度の築浅で管理状態が良好な空き家であれば、建物にも一定の評価がつくことがあります。
特に、リフォームやメンテナンスが適切に施されている空き家で、そのまま住める状態であれば、買取価格に反映される可能性が高いです。
ただし、住宅ローンが使えない築年数(例:木造なら築25〜30年超)を超えると、買主からの需要が減るため、価格は伸びづらくなります。
さらに、築年数が浅くても、雨漏り・傾き・シロアリ被害などの状態が確認されれば、買主が再利用することは困難になるため、「土地のみの査定額」が提示される可能性が高まります。
2-2.空き家の土地の部分の査定
建物にほとんど価値がない場合、空き家の査定評価は、ほぼ「土地の評価額」です。
土地の査定価格は、一般的に「取引事例比較法」という査定方法が用いられます。これは、近隣の似たような土地が取引された際の成約価格を参考にして査定価格を算出する方法です。
さらに、周辺の土地の売却事例や成約価格だけでなく、次のような要因も考慮されます。
- 土地の広さと形状(整形地が好まれる)
- 接道状況(公道に面しているか、幅員は十分か)
- 法的条件(再建築可否、都市計画区域など)
- 用途地域、建ぺい率・容積率の制限
特に、都市部や駅に近いエリアにある空き家だと、土地だけでも高額査定になることもあります。しかし、地方の空き家やアクセスの悪い土地では、査定額が大きく下がりやすいです。
土地の査定については、「土地の査定方法である「取引事例比較法」をわかりやすく解説!」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-3.空き家がゴミ屋敷や事故物件の場合は査定価格が下がる
次のような特殊な事情がある空き家の場合、通常よりも査定額や買取額が下がるケースがほとんどです。
- ゴミ屋敷・残置物が多い空き家:撤去費用がかかるため、査定からその費用が差し引かれる
- 事故物件(自殺・放置された孤独死など):心理的瑕疵のある空き家になると市場価値が大きく下がる
- 違法建築・再建築不可物件:法的に再利用が難しく、買取額は大幅に低くなる
また、これらの空き家は仲介での売却が難しいため、買取に頼らざるを得ないことも多いのが実情です。
ゴミ屋敷の売却については「ゴミ屋敷の物件を売却、買取する方法と売却にかかる費用について解説」で、事故物件の売却については「事故物件を売るには?売却方法を徹底解説!相場価格や買取のコツも紹介」で説明しているので、ぜひ一読してみてください。
3.買取と仲介の違いで空き家の価格はどう変わる?
空き家を売却する方法には、大きく分けて「仲介」と「買取」の2つがあります。
どちらを選ぶかによって、最終的に手元に入る金額は大きく変わるため、それぞれの特徴と価格差を理解しておくことが大切です。
3-1.「仲介」だと、相場価格に近い金額で売れやすい
「仲介」とは、不動産会社に売却を依頼する方法で、一般の人から購入希望者(買主)を見つけるかたちになります。
時間はかかりますが、需要があるエリアや状態の良い空き家であれば、相場価格に近い金額での売却も可能です。
ただし、売却までに数カ月かかるケースも多く、内覧対応や価格交渉、契約手続きなどに一定の手間がかかります。
仲介での売却については、「不動産仲介とは?家を希望に近い価格で高く売却できる方法を解説!」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3-2.「買取」だと、価格は安くなるが「即現金化」できる
「買取」とは、不動産会社や専門業者が空き家を直接買い取る方式になります。
最大のメリットは、「すぐに現金化できる」「手間がかからない」ことですが、価格は相場の70%前後になるのが一般的です。
買取業者は、買い取った物件をリフォームして再販したり、土地として再活用したりするため、そのぶんの費用やリスクを見込んだ価格が提示されます。
買取については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」で説明しています。参考にしてみてください。
4.空き家の買取額を高くするコツ
空き家を不動産会社や買取業者に買取してもらう場合、基本的には、早く、手間なく売れる代わりに、売却価格は安くなることが一般的です。
しかし、ちょっとした工夫や準備によって、買取額を数十万円〜百万円単位で引き上げられるケースもあります。
ここでは、空き家の買取額を少しでも高くするための具体的なコツを5つご紹介します。
4-1.①複数の買取業者に空き家の査定を依頼する
もっとも基本かつ効果的なのが、複数の買取業者に査定を依頼することです。
業者によって得意とする物件や査定基準は異なり、提示される金額に数十万円〜大きい場合で100万円以上の差が出ることもあります。
仲介での査定額とは異なり、買取の査定額はそのまま売却額(買取額)につながるため、諸経費を差し引いて、手元に残る額が1円でも多くなるところを選びましょう。
イクラ不動産を利用すれば、売却したい空き家がある地域で、買取を得意とする不動産会社を探すことができます。
4-2.②空き家の片付け・残置物の撤去を行う
空き家に不要になった家具や家電、日用品などの「残置物」が多いと、処分費用を見越して査定額が下げられることがあります。
特に、ゴミ屋敷化している場合や、何年も空気の入れ替えがされていない状態では、業者側の手間が増えるため減額されがちです。
可能であれば、最低限の片付けと残置物の撤去、換気などを行い、第一印象を良くするだけでも評価は変わってきます。
すべて片付けられない場合は、一部だけでも整理した状態で査定を受けるのがおすすめです。
4-3.③空き家買取に特化した専門業者を選ぶ
通常の不動産会社では、空き家の取り扱いに慣れておらず、再建築不可物件や築年数が古い空き家、地方の空き家などの買取に対応できない場合も多いです。
一方で、空き家買取を専門に扱っている業者は、解体や再販、再活用のノウハウを持っているため、柔軟に対応してくれやすい傾向があります。
こうした専門業者であれば、状態が悪い物件でも適正に評価してくれる可能性があるため、「他社で断られたけど、専門業者なら買い取ってくれた」というケースも少なくありません。
4-4.④売却時期を見極める
可能であれば、空き家の売却や買取のタイミングを見極めることも価格アップのポイントです。
不動産市場が動きやすい「春(3〜4月)」や「秋(9〜11月)」は、相場がやや高めに推移する傾向があるため、少しでも高く売りたい場合はこのタイミングを狙うのも一手です。
ただし、空き家は放置すると劣化が進みやすいため、「売るか迷っている間に査定額が下がる」こともあります。タイミングは慎重に判断しましょう。
家が売れやすい時期については、「家が売れる時期は春と秋?売買が活発な時期を調べてみた」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
4-5.⑤固定資産税や管理コストなどを考慮して早めに動く
空き家の売却を後回しにしていると、固定資産税をはじめ、草刈り・清掃といった管理コストが積み重なってくるため、早めに動くことがおすすめです。
さらに、空き家を放置し過ぎてて「特定空き家」に指定されると、固定資産税の軽減措置が外れることもあり、余計な出費になる可能性があります。
そのため、「まだ売らない」という判断にもコストが発生する点を踏まえ、早めの査定・比較を行うことが、結果的に得につながるケースが多いです。
5.空き家の相場価格・買取額に関するよくある質問(FAQ)
空き家を売却・買取してもらうにあたって、初めての方ほど不安や疑問を抱えているものです。
ここでは、よく寄せられる質問をピックアップし、簡潔にお答えします。
5-1.Q1.築年数が古く、ボロボロでも買い取ってもらえますか?
空き家が古くてボロボロの場合でも、買い取ってもらうことは可能です。
築年数が古くても、土地の価値が残っていれば買い取ってもらえるケースは多くあります。
ただし、建物の状態が悪い場合は「解体前提」となり、建物の評価はゼロ、もしくは解体費用分を差し引かれることがあるため、査定をしてもらう際に確認しておきましょう。
5-2.Q2.修繕やリフォームはしておいた方が高く売れますか?
一概に、修繕やリフォームがおすすめとは言えません。自己判断で修繕やリフォームをしないように注意しましょう。
一般的な買取では、業者が自社でリフォームを行うことを前提にしているため、事前の修繕は不要なケースがほとんどです。
むしろ費用をかけて改修するより、そのままの状態で早く売却した方がコストを抑えられる可能性があります。
5-3.Q3.買取の査定は本当に無料ですか?依頼したら売ることになりますか?
不動産会社や買取業者は無料で査定を行っており、査定後に契約を強制されることはありません。
むしろ、複数社から見積もりを取って比較検討することがおすすめです。
査定時には「どこまで無料か(訪問までOKか・オンラインのみか)」も確認しておくと安心です。
5-4.Q4.相場より買取額が高くなることもある?
空き家の状態やケースによっては、相場よりも高く買い取ってもらえる可能性もあります。
例えば、狭小地や変形地でも「隣地の所有者」が買いたがっている場合など、特定のニーズがあると相場より高くなりやすいです。
また、空き家を活用したい個人投資家や法人などが見つかれば、価格にプラスアルファが上乗せされるかもしれません。
空き家の価値やニーズをしっかりと見極めてくれる不動産会社や買取業者を選ぶことが大切です。
5-5.Q5.相続したばかりで名義変更が済んでいません。買い取ってもらえますか?
相続した空き家の名義を亡くなった人から相続人に変更する「相続登記」がなされていないと売却はできません。したがって、名義を変更していないと買い取りもできません。
しかし、名義変更(相続登記)と同時並行で査定や相談を進めることは可能です。
2024年4月から相続登記が義務化されたため、売却しない場合であっても、早めに手続きをするようにしましょう。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 空き家の相場価格や買取額が決まるポイントは、おもに次の5つ
① 空き家の立地とエリア(交通・生活の利便性など)
② 空き家の敷地(土地)の面積と形状(整形地/不整形地)
③ 空き家の状態と築年数
④ 再建築不可かどうか
⑤ 周辺の過去の成約事例や市場相場データ - 空き家は、「建物」と「土地」それぞれについて査定額が算出される
- 築年数が古い空き家だと、建物の価値はほとんどないか、マイナスになることもある
- 空き家がゴミ屋敷や事故物件の場合は査定価格が下がる
- 「仲介」だと、相場価格に近い金額で売れやすいが、売却期間が長くかかる
- 「買取」だと、価格は安くなるが「即現金化」できる
- 空き家の買取価格を高くするコツは次の5つ
①複数の買取業者に空き家の査定を依頼する
②空き家の片付け・残置物の撤去を行う
③空き家買取に特化した専門業者を選ぶ
④売却時期を見極める
⑤固定資産税や管理コストなどを考慮して早めに動く - 空き家の修繕やリフォームは、買取前に自己判断でしないようにする
- 相続した空き家の場合、「相続登記」がなされていないと買取で売却はできないので、空き家の名義を相続人に変更しておく
空き家の相場額や買取額は、さまざまな要因によって決まります。
通常、戸建ての空き家は、建物の部分と土地の部分に分けて査定されることが多いです。しかし、築30年以上になる古い木造の空き家は、建物の価値がゼロに近くなるため、ほとんど土地の価値だけになります。
空き家を買取で売却する際、少しでも高く買い取ってもらうための一番のコツは、複数の不動産会社や買取業者に査定してもらうことです。
その中から、買取にかかる諸経費を差し引いたうえで、最終的に手元に残る額が1円でも高くなるところを選ぶようにしましょう。
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さらに、空き家の売却に強い不動産会社や買取業者を選ぶことができるだけでなく、空き家の売却でわからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフにいつでも相談できるので安心です。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。