マンションの耐用年数ってどれくらいなんですか?
年数が経つと、マンションの価値はどれくらい下がるものなんでしょうか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
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マンションのような鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物の法定耐用年数は、事業用で47年、非事業用で70年となっています。
しかし、この年数は減価償却の目安にするためのものであり、この期間を過ぎたら住めないというわけではありません。
一概に何年とは断定できませんが、マンションの構造自体は100年以上持つとも言われています。マンションの寿命や価値を左右するポイントは、管理が行き届いているかどうかです。
実際のマンションの寿命はどのくらいなのか、築年数によって価値がどのくらい下がるのか見ていきましょう。
もくじ
1.マンションの耐用年数とは
耐用年数とは、建物が利用に耐えられる年数や価値を維持する期間などの総称です。
耐用年数には色々な考え方がありますが、ここでは次の3種類を取り上げます。
・法定耐用年数
・物理的耐用年数
・経済的耐用年数
マンションにおいて、これらの耐用年数がどのように決められるのかを解説します。
1-1.法定耐用年数
法定耐用年数とは、税法上で価値がゼロになるまでの年数です。
建物や大掛かりな機械など、10万円以上の耐久性がある資産を「減価償却資産」といいます。減価償却資産は、経理上、取得にかかった費用を一度に処理せずに、毎年少しずつ処理していきます(減価償却)。
毎年計上する費用(減価償却費)を計算するために使用するのが、法定耐用年数です。
つまり、法定耐用年数があらわしているのは、税法上マンションに資産価値がある年数です。
マンションの建築に採用されることが多い鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)・鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数は、事業用だと47年になります。
法定耐用年数はあくまで税法上で決められた年数なので、耐用年数が過ぎた後、住むことができなくなるというわけではありません。
1-2.物理的耐用年数
物理的耐用年数は、建物が実際の利用に耐えられる年数です。
鉄筋コンクリートのマンションは、その名の通り鉄筋の骨組みとコンクリートの壁で造られた建物で、耐久性に優れています。
築年数の浅い鉄筋コンクリートの建物は、コンクリートが内部の鉄筋を保護することで、鉄筋がさびるのを防ぎ強度を保ちます。
しかし、築年数とともにコンクリートにひびが入り、その隙間から水や酸素が入り込むことで中の鉄がさびつき、次第に強度が弱まります。
コンクリートにひびが入る原因の1つに、コンクリートの質が関係しています。コンクリートの主な成分は水とセメントですが、セメントに対して水が多い場合、コンクリートが収縮してひび割れを起こします。
強靭なイメージの鉄筋コンクリートですが、建材の質が悪ければコンクリートにひびが入り、劣化が早まります。
またコンクリートの材質はアルカリ性ですが、築年数が経つと酸化して中性へ変化し、中の鉄筋ををさびさせることも、老朽化の原因の1つです。
1-3.経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、その建物が市場で売買できる価値があるとされる年数です。
また、富山県黒部市の「計画保全(長寿命化)に対する考え方」によると、“継続使用するための補修・修繕費その他費用が、改築費用を上回る年数“と記載があります。
たとえば、築古のマンションの中には、配管が内部に埋設されているため簡単に交換できない場合があります。
排水管が古くなればマンションが住居として機能しなくなり、経済的な価値がなくなりますが、大規模な修繕が必要で建て替えた方が費用を抑えられる場合、このマンションは経済的寿命を迎えたことになります。
また、エレベーターが無いなどの理由で入居者が集まらず、管理費、修繕費を賄うことができずに取り壊しとなる場合も、経済的寿命を迎えたことになります。
以上のようなさまざまな要因から、マンションの建物自体の寿命を迎える前に経済的寿命を迎え、取り壊しとなることがあります。
日本の住宅が取り壊された時の築年数は32.1年と、諸外国のアメリカ66.6年、イギリス80.6年と比較して短いです(出典:国土交通省 我が国の住生活をめぐる状況等について「滅失住宅の平均築年数(国際比較)」)。
耐用年数について詳しくは「住宅の寿命は何年くらい?寿命を伸ばす方法もチェック」も併せてご覧ください。
2.実際の寿命はもっと長い
前章では、建物の耐用年数には経済的な理由、税法上の価値などが影響すると解説しました。しかし、鉄筋コンクリート造は建物自体の寿命が長く、耐久性が高いです。
そのため、経済的な事情などが影響しなければ、マンションの寿命は100年を超えるというデータもあります。
2-1.RC造の寿命は100年超
国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介によれば、鉄筋コンクリート(RC造)の寿命は117年です。
鉄筋コンクリートで造られたマンションは、100年以上の耐久性があります。日本のマンションの寿命がこれよりも短くなる理由に、前章で解説した経済的な事情の他、耐震性や構造の質が関係しています。
1960年〜1970年の日本は高度経済成長期で、多くのマンションが建てられました。短期間で多くのマンションが建設されたため、品質の悪いコンクリートで建てられたものも多く、老朽化が早く、建物の寿命が来る前に建て替えられているのです。
また、1981年には耐震基準が新しくなり、政府はそれ以前に建築されたマンションに補強工事を推奨しました。しかし、マンションの補強工事は費用が高額になり、建て替えに至ったものもあります。
3.マンションの価値はいつまであるのか
耐用年数の章で解説したように、マンションの価値は経済的耐用年数や、法定耐用年数などにより異なります。
売買の観点からすると、経済的耐用年数を長くすることが大切です。経済的耐用年数を長くするには、適切なメンテナンスが必要です。
3-1.適切なメンテナンスで価値を維持
建築技術や建築材料の品質が向上したことによって住宅の寿命は伸びていますが、長期間メンテナンスをしなければ建物はどんどん劣化してしまいます。
定期的に点検や修繕を行い、建物の経済的耐用年数や寿命を伸ばすことが大切です。マンションでは、全体のメンテナンスを行うのは管理会社になります。あなたのマンションでも管理会社がしっかりと修繕計画を立てているか、確認するとよいでしょう。
3-2.いつまで価値があるのか
築年数が経てば経つほど、マンションの価値は下がっていきます。一般的にマンションの価格は築20年頃まで一定の割合で値下がりしたあと、下げ止まります。
そしてマンションの価値がいつまであるのかは、売りに出したときに買い手がつくかどうかで決まります。
不動産会社に査定を依頼すると査定価格を出してもらえますが、「購入希望者に買ってもらえる価格」がそのマンションの価値だと言えるでしょう。
立地がよく、管理が行き届いているマンションであれば、築年数が経っていてもそれなりの価格で売買されます。
4.耐用年数が気になるなら売却も検討
マンションの耐用年数は
・管理状況
・構造
・立地条件
が鍵となります。
管理会社がしっかりと修繕計画を立てていない、構造に問題があるなど、上記の項目の条件が悪い場合、マンションの価値を維持しにくいです。その場合、価値は大きく下がっていきます。
マンションは所有しているだけで固定資産税や管理費が毎月かかるので、売却を検討することをおすすめします。
4-1.管理状況
マンションは12年〜15年ごとに外壁や共用部分などの大規模な修繕が必要です。また、給排水設備やエレベーターなど定期的な点検や修繕も必要となります。
そのため、マンションの管理会社は国土交通省のガイドラインに沿って、修繕計画を立てて居住者から修繕積立金を徴収します。
しかし、築年数が古いマンションの場合は修繕計画を立てておらず、定期的な修繕をしていない場合もあるため注意が必要です。
4-2.構造
マンションの構造が安全かどうかは、一般の人にわかりくいです。そこで、住宅の性能を評価するための共通ルールが定められました。この制度を住宅性能表示制度といいます。
この制度は国土交通省により施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(「品確法」2000年4月1日施行・10月運用開始)に基づいて作られました。
国土交通大臣は、住宅の性能を評価するために第三者機関を登録。第三者が住宅の性能を客観的に評価することで、一般の人も住宅の性能を比較できるようになりました。
住宅性能表示制度で定められている具体的な基準には、以下のような項目があります。
・維持管理、更新への配慮
・劣化の軽減に関すること
・構造の安定に関すること
・火災時安全に関すること など
たとえば、劣化の軽減に関することの項目で、鉄骨造では、水分などで鋼材がさびないように塗料やメッキに工夫がされているかなどを評価します。
第三者に住宅性能を評価してもらうことで、その住宅がどれくらいの性能を持っているのか各項目で等級を確認可能です。
評価が低ければ、マンションの価値を維持するのは難しいということになります。
4-3.立地条件
立地条件は、建物の劣化を早める場合があります。
たとえば、海からの潮風に当たっていると塩害の影響を受けて、鉄部分の錆が進行しやすいです。
また西日が強く当たる場所は他と比べて劣化しやすく、特に玄関ドア周りに関しては西日による紫外線で扉が日焼けしてしまってダメになってしまいます。
逆に日が当たらなすぎても、湿気がこもって結露してしまいます。
定期的なメンテナンスで寿命や経済的耐用年数を伸ばすことは可能ですが、あまり立地条件がよくない場合は、売却も視野に入れることをおすすめします。
まとめ
鉄筋コンクリートで建てられたマンションは100年以上の耐久性がありますが、実際のところマンションの寿命には管理状況が大きく影響しています。
管理が行き届いているマンションは築年数が経っていても比較的高値で売買されますが、管理不十分であれば築浅物件であっても購入希望者からは敬遠されてしまいます。
購入希望者から敬遠されるということは、価格を下げないと買ってもらえないということになります。
もし売却をご希望であれば、その地域で売却に強い不動産会社に任せることをおすすめします。売却に強い不動産会社は、そのマンションのセールスポイントをきちんと把握していて、上手に売却してくれるからです。
そのような不動産会社をお探しであれば、イクラ不動産がおすすめです。
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