うちのマンションが「大島てる」に出てるんです。
長年住んでますが、事故物件になるようなことはなかったのですが……
この情報って削除してもらえるんでしょうか?
こちらはイクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容です。
「大島てる」とは、事件や事故があったマンションやビルなどの情報が掲載されているウェブサイトです。「大島てる」に出ている情報がまちがっている場合、そのことを伝えれば削除してもらえます。
ただし、事故物件になるような事実が本当にあった場合は、削除を依頼しても応じてくれません。
こちらでは「大島てる」に出ている情報を削除してもらう際の依頼方法と、もし実際に事故物件である場合どうすべきかについてわかりやすく説明します。
- この記事はこんな人におすすめ!
- 大島てるのサイトに自分のマンションが掲載されて困っている人
- 事故物件の情報を消せるかどうか知りたい人
- 事故物件の売却を考えている人
事故物件の売却については、「【事故物件×不動産売却まとめ】告知義務や売却相場と併せて売り方の基本を解説」でも詳しく説明しています。
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1.「大島てる」とは
不動産を所有している方や、売却・購入を検討している方は「大島てる」というサイト名を聞いたことがあるかもしれません。
「大島てる」とは、事件や事故などのあった事故物件の情報を共有するサイトです。サイトを開くと地図が表示され、気になるエリアの事故物件をひと目で見つけることができます。
1-1.誰でも情報をあげられる
「大島てる」のサイトは、誰でも事故や事件の情報をサイトにあげられるシステムになっています。
サイトの地図上で右クリックをして、表示された投稿フォームに事故や事件の内容を入力するだけです。
誰でも投稿できますが、その情報が正しいかどうか必ずしもチェックされているわけではありません。そのため、間違った情報や不確かな情報が投稿されることもあります。
デマやウソの情報があげられることで、売り手にとっては売りたい物件の価値が下がることになり、買い手にとっては気に入っていた物件をあきらめることにもなりかねません。
事故物件の情報を利用する人がいる一方で、売り手と買い手、どちらにもデメリットが発生する恐れのあるサイトです。
そのため、間違った情報が掲載されていないか不動産の所有者はこまめにチェックして、デマやウソの情報が出ている場合は、削除依頼をしてまちがった情報を消してもらう必要があります。
1-2.情報の削除を依頼する方法
「大島てる」では、デマや間違った情報は削除依頼をすれば消してもらうことができます。
削除を依頼する場合は、「大島てる」のサイト上で削除したい物件情報を開くとコメントフォームが表示されるので、次の4つの内容を入力するだけです。
・削除を要請するコメント(「この情報は間違っているので消してください」など)
・名前
・メールアドレス
・パスワード
削除依頼は数分で完了しますが、間違いを指摘しても、消される情報と消されない情報があるようです。
いつまでも削除されないような場合は、郵送で削除依頼をしてみましょう。
郵送で依頼する場合は、「株式会社大島てる」の法人登記住所に、削除の依頼する手紙を簡易書留、または内容証明郵便で送ります。
ただし、削除してもらえるのはデマや間違った情報だった場合のみです。
1-3.事実の場合は削除要請やクレームに応じてくれない
「もし、掲載されている情報が事実の場合は、削除要請やクレームに一切応じない」と「大島てる」のサイトを運営している株式会社大島てる代表取締役会長の大島てるさんがインタビューで答えています。
理由は、売主や家主、不動産会社には「告知義務」を果たす必要があるからだとしています。
──裁判では勝ったということですが、それ以外にもクレームを受けたり、情報の削除を要求されたりすることは多いのではないですか?
てる:削除を要望してくるのは大家が多いです。事実に反する情報や、公園での殺人事件などの事故物件とは無関係の情報は削除しますが、そうでなければ一切応じません。
──どうしてですか?
てる:私がビジネスをやる上で最も大切にしているのは法令遵守です。不動産業には宅地建物取引業法という法律があって、「大事なことはお客さんに伝えなさい」といったことが定められています。「もしお客さんが知っていたら契約しなかったような事実は告知しておきなさい」という意味です。「大島てる」という事業は、この告知義務を果たさないヤツを叩くという新しいビジネスなんです。
──どういうことでしょうか。もう少し詳しく教えてください。
てる:告知義務をきちんと果たそうと考えているなら、「大島てる」に情報が載ってもまったく問題ないわけです。それに対して、掲載情報の削除を要望してくるのは、情報を隠蔽(いんぺい:かくすこと)しようと考えているからです。そうしたルール違反の行為を潰すのが「大島てる」の役割であり使命と考えています。
(『東大卒、経済学者を目指した大島てるは、なぜ事故物件サイトを作ったのか|大島てるインタビュー』Dybe!より転載)
ちなみに、大島てるさんは、ある事故物件の大家から営業妨害と訴えられて、情報の削除と損害賠償、さらに謝罪広告を出せと裁判になりましたが、裁判所は大家の訴えを棄却し、大島てるさんが勝訴しました。
大島てるさんが言う「告知義務を果たす」について、次で詳しくみてみましょう。
2.「告知義務」のある事故物件とは?
「告知義務」とは何だろう、告知義務と事故物件との間にはどのような関係があるのだろうと思っている方もいるかもしれません。
ここでは、告知義務と事故物件の関係についてわかりやすく説明します。
2-1.告知義務とは
告知義務とは、売り手や大家、不動産会社は、買い手や借り手に対して、物件の情報をきちんと伝えなければならないことを意味します。
告知義務となっている情報とは、知っていたら買ったり借りたりしないかもしれないといったものです。
たとえば、屋根が雨漏りする、シロアリの被害があるといった家を好んで買う人はまずいません。このような、建物自体の不具合や欠陥などを「物理的瑕疵(ぶつりてきかし)」と言います。
また、建物に欠陥や不具合がなくても自殺や殺人事件があった場合、ほとんどの人はそこに住むことでイヤな気持ちになるでしょう。
このような、住む人がイヤな気持ちになるものを「心理的瑕疵(しんりてきかし)」と呼びます。
もし、物理的瑕疵や心理的瑕疵があれば、売り手や不動産会社は買い手や借り手に伝えなければなりません。これが告知義務です。
宅建業法第47条では、第1号に列挙されている事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為が禁止されています。
第47条第1号とは「事実の不告知」のことを指しています。事実の不告知とは、購入するかどうかの判断に重要な影響がある事項について、不動産会社(宅建業者)が故意に嘘をついたり、隠し事をすることを意味します。
宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 宅地もしくは建物の売買、交換もしくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、またはその契約の申込みの撤回もしくは解除もしくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為
イ 第三十五条第一項各号または第二項各号に掲げる事項
ロ 第三十五条の二各号に掲げる事項
ハ 第三十七条第一項各号または第二項各号(第一号を除く。)に掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地もしくは建物の所在、規模、形質、現在もしくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額もしくは支払方法その他の取引条件または当該宅地建物取引業者もしくは取引の関係者の資力もしくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
2-2.事故物件になる場合の心理的瑕疵とは?
心理的瑕疵(しんりてきかし)とは、先に説明したように、そこに住む人の多くがイヤな気持ちになるような事柄のことです。
自殺や他殺といった事件や事故だけでなく、近くに暴力団の施設がある、ゴミ屋敷が隣接しているなども心理的瑕疵になります。
そして、自殺や他殺などといった人の死に関わる心理的瑕疵のある物件が事故物件です。
しかし、人の死がすべて事故物件になるわけではありません。
どのような場合が事故物件になるかについて、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を2021年に公示しました。
このガイドラインの大まかな内容は、自殺や殺人といった不自然な死があった家は事故物件とし、病死や老衰、すぐに発見された孤独死などについては、事故物件ではないというものです。
また、マンションでの飛び降り自殺などは、いつ、どこで起きたかによって事故物件になる場合とならない場合があります。
よって、大島てるのサイトに掲載されていたとしても、事故物件にならない出来事であれば削除依頼をすることができるでしょう。
国土交通省の事故物件のガイドラインや事故物件の売却については「事故物件は売却できる?相場や売却方法をわかりやすく説明する」でも詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
2-3.事故物件はいくらで売れる?
事故物件を売却する場合、いくらぐらいになるのか気になる方も多いでしょう。
心理的瑕疵がある事故物件の場合、どのような事件や事故があったかによって、売却できる価格は違ってきます。
孤独死などの場合は、発見時の状況にもよりますが相場価格から1割程度安くなり、自殺であれば3割程度、殺人などであれば5割程度安くなることが多いです。
例えば、事故物件でなければ相場価格が2,500万円ほどの物件であれば、売却できる目安の額は、孤独死の場合だと2,250万円程度、自殺の場合だと1,750万円程度、殺人の場合だと1,250万円程度になります。
ただし、事故物件は買い手がどのように感じるかが重要です。
人によって感じ方はさまざまなので、相場よりどれだけの値下げが必要かはケースバイケースになります。
どのような事故や事件があったのかを不動産会社に伝え、しっかり相談して売出価格を決めるようにしましょう。
事故物件の売却を任せられる不動産会社がわからない方や、事故物件を買取してくれる不動産会社を探したいという方は「イクラ不動産」をご利用ください。
売却事情に応じて、自分にピッタリ合った不動産会社を選べます。
3.事故物件の売却方法と高く売るコツ
と不安になる方もいるかもしれませんが、安心してください。ちゃんと売れます。
事故物件は相場より安くなることがありますが売ることは可能です。さらに、少しでも高く売るコツはあります。
3-1.事故物件の売却方法
事故物件を売却する場合、売却方法は3つあります。
3-1-1.仲介で一般の消費者に買ってもらう
相場価格より値段を下げることになりますが、普通の不動産と同じように仲介で一般の方に買ってもらうこともできます。
仲介で売却するメリットは、少しでも高く売れるチャンスがある点です。一方で、買ってくれる人が現れるまで売れないので、売却に時間がかかることがあります。
仲介での売却方法については「不動産売却の流れをイラスト解説!」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
3-1-2.事故から期間を空けてから売る
相場価格より安くしているのに売れない場合は、しばらく期間を空けてから売るという方法もあります。
事故や事件が起こった直後はどうしても売れにくくなりますが、ある程度月日が経っていれば、イヤだと感じる人が少なくなる可能性があります。
すぐに売れなかったからといってあきらめず、売却を急いでいなければ期間を空けてから売るという方法も検討すると良いかもしれません。
ただし、どれだけ期間を空けたとしても、事故物件であることが消えるわけではありません。告知義務が残っていることを忘れないようにしましょう。
時間が経っても、告知義務の内容はきちんと伝えることが必要です。
3-1-3.不動産会社に直接買ってもらって売る
少しでも早く処分をしたい場合は、不動産会社の「買取」を利用するのも一つの方法です。買取とは、一般の消費者ではなく、不動産会社に直接買い取ってもらうことになります。
ただし、不動産会社に買取をしてもらうと、事故物件としての相場よりさらに3割ほど価格が下がってしまうというデメリットがあります。
例えば、相場価格2,500万円の物件が、事故物件の価格だと3割安い1,750万円ほどになる場合、買取だとそこからさらに3割安くなるので1,225万円ほどになってしまうのです。
しかし、買取にはすぐ現金化できるだけでなく、周囲の人に知られずに売却できるというメリットもあります。周囲に知られずにすぐ売却したい場合は、利用を検討してみると良いでしょう。
3-2.事故物件を高く売るコツ
事故物件になってしまったとしても、手を尽くすことで少しでも高く売ることができる場合もあります。
ここでは、どのような手を打てばよいのかをみていきましょう。
3-2-1.特殊清掃をする
孤独死で発見までに時間がかかったようなケースでは、売却前に家の中をきれいに回復する必要があります。
そのような事故物件を売る場合、査定を依頼する前に状況に応じた特殊清掃を済ませておくことがおすすめです。専門業者に依頼して、プロの手で原状回復をしてもらいましょう。
特殊清掃でもきれいにならないような場合は、リフォームの検討が必要です。
どの程度のリフォームが必要になるかは、自己判断せず、売却を依頼する不動産会社に相談するようにしましょう。
3-2-2.自己判断のリフォーム&解体は禁物
事故物件であること隠すために、跡形も残さずリフォームをしたい、建物を解体して更地にしたいと考える方もいるかもしれませんが、あまりおすすめではありません。
リフォームをしたり、更地にしたりしても、事故物件である事実は変わらないので相場と同価格で売れることはありません。
そうなると、相場より値下げしているにも関わらずリフォーム費用や解体費用までかかってしまうことになります。
また、事件があったことを隠すために家を解体し、更地にして売却した後で発覚したため買主から訴えられて裁判となり、告知義務違反の判決を受けた例もあります。
自己判断でリフォームや解体はせずに、まずは不動産会社に相談しましょう。
3-2-3.買取の場合は複数の買取会社に依頼する
買取を利用する場合は、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
不動産会社一社だけに買取を依頼すると、不動産会社によっては言い値で買い叩かれてしまう可能性があります。
少しでも高く売却するためには、複数の不動産会社に買取を依頼して、一番高く買ってくれるところを選ぶようにしましょう。
しかし、買取価格が高くても、そこからさまざまな費用が引かれることもあります。売却後に話が違うとならないように、
と質問しておくようにしましょう。
買取で一番高く売るためのコツは、必ず複数の不動産会社に買取査定を依頼し、比較をするときは買取金額ではなく、諸経費を差し引いた手取り金額で比較をすることです。
まとめ
事故物件であるという情報は「告知事項」になるため、売却時には不動産会社や購入希望者にその事実を伝えなければなりません。
不動産の所有者として、事故物件であることは隠しておきたくなるかもしれませんが、告知義務を守ることで売却後のトラブルを防ぐことができます。
例えば、売却後に事故物件であることを買主が知ったとします。そうなると、
と契約解除や損害賠償を請求されるような事態になる可能性があります。このようなことを避けるためにも、告知義務を守るようにしましょう。
「告知事項」になる事故や事件であるかどうかは、国土交通省の事故物件ガイドライン案に従って、仲介の責任を持つ不動産会社が判断してくれます。
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