離婚するとき、夫婦の財産に家やマンションがあれば、財産分与の対象です。
財産分与では、家の「評価額(ひょうかがく)」が非常に重要になります。
こちらでは、離婚で家を財産分与するときの「評価額」についてわかりやすく説明します。
- 離婚で家を財産分与する際、家の評価額が計算の基準になるため、あらかじめ調べておく必要がある
- 離婚で家を財産分与するときは、実勢価格や公示地価を使って評価額を算出する
- 離婚で家を財産分与する際に揉めたときは、不動産鑑定を行って不動産の価家を出し、家庭裁判所の審判手続きによって決定することになる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 離婚で家の財産分与を考えている人
- 財産分与における家の評価額を調べたい人
- 離婚時の家の評価額で争いになった場合の対処法を知りたい人
もくじ
1.家の評価額とは家の価値のこと
家の評価額とは、家の「価値」になります。わかりやすく言うと、今、家を売ったらいくらで売れるかの金額のことです。
ただし、家の評価額にはいくつかあり、すべてが「今、家を売ったらいくらで売れるか?」という額を指すわけではありません。
たとえば、相続税を課税するときの家の評価額は「路線価」という方法で算出され「相続税評価額」と呼ばれますが、この価格は不動産の市場価格とは異なるものです。
土地や建物などの不動産には複数の評価方法があり、どの評価方法を利用するかによって評価額が異なるため、価格が変わってきます。
そのため、離婚時の家の財産分与でも、どの評価方法で計算すべきかが問題となるのです。
2.財産分与において家の評価額が重要な理由
財産分与とは、夫婦が結婚中に協力して築いた財産を、離婚時に夫婦それぞれ分け合うことをいいます。不動産は、財産分与の対象に含まれます。
財産分与する際の家の価値ですが、まず、夫婦間の同意があれば、その合意内容に従い評価額を決めることができます。
しかし、最初からお互いの主張がいきなり合意するというケースは少ないです。
なぜなら、離婚の財産分与の際、家の評価額が重要となる理由は、家の評価額が財産分与の計算の基準になるからです。
財産分与では、夫婦が2分の1ずつ財産を取得するのが基本です。
たとえば、夫婦の財産として「家」と「3,000万円の預貯金」があるケースでは、家の評価額と3,000万円の合計を夫婦が2分の1ずつします。
すると、家の評価額がいくらになるかによって、それぞれが取得できる額が異なってきます。
【家と「3,000万円の預貯金」がある財産分与の例】
家の評価額が3,000万円の場合
3,000万円+3,000万円=6,000万円
→夫婦1人の取得分は3,000万円
家の評価額が4,000万円の場合
3,000万円+4,000万円=7,000万円
→夫婦1人の取得分は3,500万円
このように、家の評価額によって受け取れる金額は大きく変わります。
家をどちらかが所有する代わりに、相手に代償金を支払うケースでは、家の評価額が大きく財産分与に影響します。代償金(だいしょうきん)とは、一方が家を全部もらう代わりに、もう一方にお金で弁償することです。
家の評価額が上がると代償金の金額が高額になるので、家を取得する側に不利となり、代償金をもらう側には得になります。家の評価が下がると反対の結果(家をもらう側が得、もらわない側が損)となります。
3.離婚の場合の家の評価額の調べ方
財産分与するとき、家の評価額の計算方法には、次の4種類があります。
- 実勢価格(じっせいかかく)
- 公示地価(こうじちか)
- 路線価(ろせんか)
- 固定資産税評価額(こていしさんぜいひょいうかがく)
離婚で財産分与するときは、不動産を実際の取引で活用したり、売買したりすることが予定されているので、①の実勢価格や②の公示地価を使うべきです。
相手が代償金を支払うケースなどでは、評価額を下げるために路線価や固定資産税評価額による評価を持ち出してくることもあるため、注意が必要です。
それぞれの価格を詳しく説明します。
3-1.① 実勢価格
実勢価格とは、実際に不動産の市場で取引されている金額で、最もよく利用されているものです。
不動産の実勢価格を調べたいときは、次の3つの方法があります。
3-1-1.A:類似の取引事例を調べる
まず、自分で自宅と類似の取引事例を調べてみる方法です。
近隣の同じような条件の家が最近売れていないかを調べれば、その金額と同じくらいの金額で売れることが予想できます。
取引事例は、インターネット上で調べることが可能です。
参考 不動産の取引価格情報国土交通省土地総合情報システム 参考 成約価格を基にした不動産取引情報レインズしかし、自分で取引事例を調べるには限界があり、また、そもそもマンションや一戸建て、土地はそれぞれ査定方法が異なります。
そのような場合におすすめなのが、イクラ不動産です。イクラ不動産に相談すれば、無料&秘密厳守で相場価格を知ることができます。
3-1-2.B:不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する
不動産鑑定士に依頼するという方法もあります。鑑定評価を行うことは不動産鑑定士の独占業務です。
正確な評価額を出してもらうことができますが、費用がかかることがネックになります。
【不動産鑑定士の業務の一例】
鑑定が必要となるのは、どちらかというとオフィスや大規模な開発を要する土地などを売買するときです。
このような場合は、最低でも数億円の取引になります。お金を借り入れて売買することが多いため、貸す銀行としても、不動産としての正確な価値がいくらなのか評価(担保)しておく必要があるからです。
鑑定の費用は、不動産や鑑定の目的によって大きく異なりますが、数十万円かかります。
3-1-3.C:不動産会社に査定を依頼する
不動産会社であれば、無料で査定してもらうことができます。
無料の理由は、鑑定士資格を持っていない不動産会社が査定価格の費用を有料ですることは、法律違反になるからです。
ただし、不動産会社は、売却(仲介)を前提としていない価格査定は行ってもらえません。
仲介とは、売り手(貸し手)と買い手(借り手)の間に入って話をまとめ、契約を成立できるように両者を結びつける仕事のことです。
したがって、不動産会社に査定依頼すると、売却するかどうか決まっていなくても
と言われます。
イクラ不動産なら、まだ売却するかどうか決まっていない段階で査定価格を知りたい場合でも、実勢価格を教えてもらうことができます。
3-2.② 公示地価
毎年、国土交通省が主体となって調査している、全国のポイントとなる地点における地価です。3月中旬ごろに、全国の主要な新聞紙面で公表されるので、目にしたことがある人も多いでしょう。
実勢価格を参考に鑑定や調査などによって国が決定しており、土地取引の指標とされています。
3-3.③ 路線価
路線価は、土地の相続税や贈与税を計算するときに使われる評価額です。全国の宅地に面した道路の1㎡当たりの単価を基準に計算します。
路線価は、公示地価の8割程度です。そのため、路線価を1.25倍すればおよその公示地価がわかります。
3-4.④ 固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税や建物の相続税と贈与税を計算するときに使われる評価額です。
市町村が3年に1回改定して決定しており、公示地価の7割程度の金額になります。つまり、固定資産税評価額を1.43倍すれば、おおよその公示地価がわかります。
4.家の評価額で争いになった場合の対処法
夫婦間で家の評価額について争いになった場合は、売却することも考慮に入れて、それぞれが自分の信頼する不動産会社で査定書を取得して、平均値をとることをおすすめします。
その際、明らかに突出して高い査定額や低い査定額のものは外すようにしても良いでしょう。
4-1. 最終的には裁判所に決めてもらう
どうしても離婚協議において夫婦で評価額の折り合いがつかない場合は、家庭裁判所の調停を利用することになります。
その際、家を取得したい方が相手に相当額を支払って代償分割をしたいと希望する場合は、代償期の支払い能力が必要です。
代償金を支払う資力がない場合は、売却か競売手続きで家を売り、その売却代金を夫婦で分けることになります。
家を取得する方に代償金の支払い能力があり、かつ夫婦で評価額について合意しない場合は、最後は不動産鑑定を行って審判手続きによって不動産の価格が決まります。
ただし、不動産鑑定費用をはじめ、裁判にかかる費用や弁護士費用などが必要です。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 離婚で家を財産分与する際は、家の価値となる「評価額」を基準にして計算することになるので、あらかじめ調べておき夫婦で同意しておく
- 不動産の価値の評価方法はいくつかあるが、離婚で家を財産分与する場合は、実勢価格や公示地価を用いる
- 離婚で家を財産分与する際に揉めたときは、不動産鑑定を行って不動産の価値を出し、家庭裁判所の審判手続きによって決定する。ただし、不動産会社が売却のために行う査定とは異なり、不動産鑑定には費用がかかる
離婚の際、家の評価額が決まらないと財産分与の話がまとまらないため、双方がどこかの点で妥協して、話合いを進めていくことになります。
どうしても納得できず、不動産会社の査定では家の評価額を決められない場合は、家の「鑑定」をして裁判所で決めてもらうしかありません。
しかし、鑑定は査定とは異なり、何十万円もの費用がかかってしまうことを踏まえておく必要があります。
とはいえ、離婚の財産分与の話し合い時点で、まだ売却することを決まってもいないのに、いきなり不動産会社に査定を依頼したり、相談するということにハードルを高く感じてしまうのは普通のことです。
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イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。