「相続した不動産が田舎にある」「田舎から引っ越ししたが、家をそのままにしている」など、今住んでいる場所から遠く離れた田舎に空き家を持っている人は少なくありません。
田舎にある空き家の売却を考えていても、どうしても通いにくいことから放置したままになりがちです。
こちらでは、田舎に空き家がある場合の売却方法や売却する際のポイントについてわかりやすく説明します。
- なぜ田舎にある空き家は売れにくいのかがわかる
- 田舎の空き家を放置していると、どのような問題が発生するのかがわかる
- 田舎にある空き家の売却方法や売却のポイントがわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 田舎に空き家を所有していて放置したままにしている人
- 田舎の空き家を放置したままだと何が問題なのかわからない人
- 田舎の空き家を売却する際のポイントを知りたい人
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1.田舎の空き家は売れにくい?
田舎にある空き家は、都会にある空き家と比べて売れにくいのは事実です。
田舎や地方にある空き家が売れにくい理由として、次のようなものがあげられます。
- 人口減少により家の需要が下がっている
- 対応できる不動産会社が少ない
- 築年数が古い物件が多い
1-1.人口減少により家の需要が下がっている
田舎の空き家が売れにくい理由として、まず地方の人口が減少傾向にあり、家の需要が減っていることがあげられます。
総務省統計局「人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)」によると、2022年よりも人口が増加しているのは東京都のみです。全国的に出生数から亡くなった人の数を引いた数値がマイナスになる「自然減少」傾向ではありますが、それに加えて、東北地方や北陸地方、中国地方などでは、「社会減少(転出による人口の減少)傾向に歯止めがかかりません。
つまり、田舎や地方では人口や世帯数が減少によって家の需要も減っているため、売れにくくなっていると言えます。
全国の戸建ての売却動向については、「【2023年度版 詳細解説】全国の中古戸建て売却価格相場・動向」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
1-2.対応できる不動産会社が少ない
田舎の空き家を売却しようとしても、対応できる不動産会社が少ないことも売れにくくなる原因の一つです。
不動産会社がしっかりと情報を把握して対応できるエリアは限られています。そして、一般的には、物件数が多いエリアに店舗を構えることがほとんどです。
そのため、物件数が少ない田舎や地方には不動産会社が少なく、対応してくれるところを探しにくい点が問題としてあげられます。
1-3.築年数が古い物件が多い
田舎や地方にある空き家は、全体的に古い物件が多いことも、売れにくい原因の一つだと言えます。
最近まで人が住んでいた物件は、古くてもきちんと修理やリフォームがされていることがほとんどですが、空き家のまま放置されていた物件だと、古いだけでなくあちこちに修繕が必要なケースがほとんどです。
リフォームやリノベーションを前提に物件を探している買い手もいますが、どちらかと言えば古い物件を敬遠する買い手が多いため、田舎にある物件は売れにくくなっていると考えられます。
2.空き家の放置で発生する問題とは?
田舎の空き家が売れにくいのであれば、売ることをあきらめて放置したままにしようと考える人もいるでしょう。
しかし、田舎に限らず、空き家を放置すると、次のような問題が発生する恐れがあります。
- 固定資産税や管理費がかかる
- 防犯面や衛生面の心配がある
- 特定空き家に指定される場合がある
2-1.固定資産税や管理費がかかる
空き家を所有したまま放置する問題点としてまずあげられるのが、空き家を維持するための費用や税金がかかる点です。
一つひとつの額は大したことがないと思われるかもしれませんが、それらを合計し、さらに何年も支払い続けるとかなりの額になります。
空き家のまま所有する年数によっては、数十万円、数百万円になるかもしれません。
空き家の維持、管理費などについては、「空き家の売却費用は?売らない場合の維持管理の費用と比較してみた」で説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
2-2.防犯面や衛生面の心配がある
空き家のまま放置していると、防犯面や衛生面でも心配です。
雑草が生い茂って害虫や害獣が住み着いたり、犯罪に利用されたりする恐れがあります。
また、近隣住民とのトラブルにもなりかねません。
2-3.特定空き家に指定される場合がある
「特定空き家」とは、2014年に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、適切な管理がなされず危険な状態にあると判断された空き家のことです。
空き家を放置し続けて特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇などが受けられなくなってしまいます。
そして、自治体からの注意や勧告を無視し続けて放置していると、最終的には解体されてしまう恐れがあります。もちろん、解体費用を負担するのは所有者です。
これらの問題が発生する前に、放置している田舎の空き家がある場合は売却を検討するほうが良いでしょう。
3.田舎の空き家の売却方法と売却のポイント
田舎や地方にある空き家は売れにくいですが、だからといって決して売れないわけではありません。
売却方法を選んで売却のポイントを押さえれば、売却できる可能性が高くなります。
田舎の空き家を上手に売却するおもなポイントは、次のとおりです。
- 空き家のある地域で売却実績がある不動産会社を選ぶ
- 仲介ではなく買取の利用を検討する
- 隣地の所有者に購入を持ちかけてみる
田舎にある空き家であっても、不動産を売却する際の流れは、基本的に通常の物件売却と同じになります。
不動産売却の流れについては、「不動産売却の流れを徹底解説!売却にかかる平均期間と早く売るコツも紹介」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3-1.空き家のある地域で信頼できる不動産会社を選ぶ
田舎にある空き家を売ったあとに「失敗した」と後悔をしないためにも、まずは売却を依頼する不動産会社選びが大切になります。
不動産会社を選ぶ際、「自分が住んでいるエリアの不動産会社」「空き家がある田舎の不動産会社」のどちらにしようか迷うかもしれませんが、空き家が所在している地元の不動産会社を選ぶようにしましょう。
3-1-1.空き家がある田舎の不動産会社を選ぶ理由
売主としては、相談や打ち合わせがしやすい自宅近くの不動産会社に依頼したくなるものです。
しかし、売却対象の空き家から離れた不動産会社だと、売却活動をスムーズに行うことができません。たとえば、物件の調査や写真撮影、購入希望者の内覧対応などのたびに、現地に出向くことになります。
何よりも、不動産会社が物件が所在する街のことをよく知っていないのに、その地域や不動産の魅力を伝えることができない点が一番の問題です。このような状態で、高く売ることはむずかしいでしょう。
空き家が田舎にある場合は、そのエリア内で売却に強い不動産会社を選ぶのがおすすめです。
売却に強い、つまり現地での販売実績が多い地元密着型の不動産会社に売却を依頼すれば、エリアの不動産事情に合った適切な価格設定や提案・集客をしてくれます。
また地域情報にも精通しているため、購入希望者の背中を押すポイントも心得ています。不動産会社にカギを預けておけば、見学希望の人が現れれば随時対応してもらえるため売却のチャンスを逃しにくいです。
不動産会社の選び方については、「不動産会社の口コミは参考にならない?7つの理由と失敗しない選び方も解説」で説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
3-1-2.複数の不動産会社に実際に会って比較する
不動産会社を選ぶ際は、売却に強い複数の不動産会社を比較することが大切です。
現地で実際に訪問査定(ほうもんさてい)をしてもらい、査定額や説明などとあわせて、会ったときの話しぶりや第一印象から信頼できる不動産会社を選びましょう。
信頼できそうな不動産会社を選ぶことができれば、今後のやり取りが電話やメールなどでも安心です。
不動産会社の選び方については「不動産会社の営業担当者の見極め方を解説!売却を任せられる担当者とは?」でくわしく説明しています。ぜひご覧ください。
3-2.何度も現地に行かなくても売却は可能
不動産売買契約や物件の引渡しは、売主にとっても買主にとっても重要なイベントです。細かい説明を受けながら契約書にサインしたり、手付金の受け渡しが発生したりと、基本的には、売主、買主、不動産会社が集まって行われます。
ただし、田舎の空き家を売却するケースでは、スケジュールの都合で立ち会えないことが多いです。そのような場合は、所有者本人が現地に行かなくても、次のような方法で売却を進めていくこともできます。
3-2-1.親戚や知人を「代理人」として売却する
空き家の近くに住んでいる自分の兄弟など親戚や知人を代理人にして、代理契約をする方法があります。
代理人の選定には、正式な委任状が必要です。口頭で「代理人をお願いしています」という簡単なものでは成立しませんので注意しましょう。
代理契約をする場合は、不動産会社が法的に有効な委任状の作成を手伝ってくれます。
代理人による売買契約については、「所有者以外が家などの不動産売却を代理でする方法と委任する際の注意点」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3-2-2.司法書士へ依頼する
司法書士に、代理人をお願いすることもできます。
司法書士は、不動産登記の専門家です。不動産取引や登記の専門家である司法書士を代理人にすれば、売主としても安心感があります。
ただし、依頼には費用がかかるため、この方法はあまり選ばれません。司法書士に代理人を依頼する場合は、事前にどのくらいの金額でお願いできるかを確認しておくようにしましょう。
3-2-3.「持ち回り契約」にする
「空き家がある田舎には出向けないけれど、契約書面には自分で署名や押印したい」という希望がある人もいるかもしれません。このようなときには、持ち回り契約という方法があります。
持ち回り契約とは、売主、買主、不動産会社が一同に集まらず、買主と売主がそれぞれ別日や別場所において不動産売買契約を結ぶ方法です。不動産会社の担当者が、契約書を「持ち回って」署名捺印をし、契約を締結します。自宅に来てもらうことも可能です。
ただし、売主・買主のどちらかが「対面しないで契約を結ぶのは不安」だと、持ち回り契約を了承しない場合は、この方法を利用することができません。
3-3.仲介で売れなければ買取を検討する
田舎の空き家がなかなか売れない場合は、仲介ではなく不動産会社に直接買い取ってもらう買取の利用を検討しても良いでしょう。
買取であれば、仲介のように売却活動をして購入希望者を見つける必要がないため、すぐに田舎の空き家を現金化することが可能です。
ただし、買取での売却価格は仲介での売却価格より3割程度安くなってしまいます。また、物件によっては買取をしてもらえない場合もあります。
買取による売却については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
3-3-1.隣地の持ち主に購入を持ちかけてみる
仲介の売却で売れない場合や不動産会社に買取を断られた場合であっても、隣地の持ち主に購入を持ちかけてみると売却できる場合があります。
特に、隣接している土地だと敷地を広げることができるので、購入に至るケースも多いようです。
この場合も、不動産会社の担当者の手腕がポイントとなります。上手に話をまとめてくれそうかどうか、しっかりと見極めて不動産会社を選びましょう。
3-4.相続した空き家であれば「相続登記」を確認する
田舎にある空き家が相続したものである場合は、相続登記をしているかどうかを必ず確認しておきましょう。
なぜなら、相続登記をしていないと、相続した物件を売却することができないからです。
相続登記については、「相続した家の売却に必要な相続登記とは?手順と義務化についても解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 田舎の空き家が売れにくい要因として、次のようなものがあげられる
・人口減少により家の需要が下がっている
・対応できる不動産会社が少ない
・築年数が古い物件が多い - 空き家のまま放置していることのおもな問題点として、次のようなものがあげられる
・固定資産税や管理費がかかる
・防犯面や衛生面の心配がある
・特定空き家に指定される場合がある - 田舎にある空き家の売却方法や売却のポイントは次のとおり
・空き家のある地域で信頼できる不動産会社に売却を依頼する
・現地に足を運ばなくても、代理人を立てたり持ち回り契約にしたりすることで売却は可能
・仲介で売れない場合は、売却価格が安くなるが買取の利用を検討してみる
・隣地の所有者に購入を持ちかけてみるという手もある - 相続によって取得した不動産の場合、相続登記をしていないと売却できないので必ず確認しておく
田舎にある空き家が売れにくいのは事実です。しかし、売却のポイントを上手に押さえれば、決して売却できないわけではありません。
そして、田舎にある空き家を売却する際は、物件の相場価格や周辺の情報がわからないことにつけこまれて、不動産会社に安く買い叩かれないように注意することが大切です。
空き家のある地域で信頼できる不動産会社を選んだうえで、売却前にいくらぐらいで売れそうなのかを知っておくと、不当に安く買い叩かれるという失敗を防ぐことができます。
田舎にある空き家が、いったいいくらぐらいで売れるのか、そして空き家のある地元で信頼できる不動産会社はどこなのか知りたい人は、まず「イクラ不動産」でご相談ください。
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さらに、田舎にある空き家の売却でわからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフにいつでも相談できるので安心です。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。