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実家の売却完全ガイド!売却方法や手順、税金などを生前、相続後、空き家別に解説

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実家の売却完全ガイド!売却方法や手順、税金などを生前、相続後、空き家別に解説

実家の売却は、適切なタイミングと方法を選ぶことが最終的な家族の利益につながります。

ここでは、実家の売却について、相続してからの売却、親の生前の売却、空き家のまま放置していた実家の売却といったケース別に、売却方法や手順、費用や税金、注意点などをわかりやすく解説します。

この記事で具体的にわかる3つのポイント

  • 実家を相続後に売却する、親の生前に売却する、空き家の実家を売却するなど、ケース別に実家の売却方法がわかる
  • 実家の売却と実家での暮らしを続けたい親の希望を両立させる方法についてわかる
  • 実家を売却する期間や費用、手続きなど、実家の売却でよくある質問とその回答がわかる
この記事はこんな人におすすめ!
実家の売却を検討している人
親の生前に実家を売却する方法について知りたい人
実家の売却を検討しているけれど、親が亡くなるまでは実家で生活させてあげたい人

もくじ

1.実家を売却する理由と目的を明確にする

実家の売却を考えたとき、まず、なぜ実家を売却するのか、実家の売却によってどのような問題を解決したいのかを明確にすることが大切です。

実家を売却する理由や目的によって、売却の流れや取るべき方法が変わってきます

まずは、実家を売却する理由と目的を明確にしましょう。

1-1.親が亡くなって相続した実家を売却するケース

実家の売却を考えるケースとして、まずあげられるのが、親が亡くなって実家を相続したときです。

相続した実家の処理方法として、次の3つの方法があります。

  • 自分で使用する
  • 賃貸に出す
  • 売却する

この中から「売却する」を選ぶ理由として、おもに次のようなものがあげられます。

  • 維持管理が大変なため
  • 相続税の負担を軽減するため
  • 複数の相続人で分割するため

特に、相続した不動産が遠方にある場合、管理にかかる手間や費用、固定資産税などが大きな負担になりやすいことから、売却が選ばれることが多いです。

また、複数の相続人で実家を相続した際に、ほかの相続財産がなければ、実家を分割するために売却するというケースもあります。

相続した不動産の売却については、「相続した不動産を売却するときの流れや手続き、やるべきことを解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

1-2.空き家のまま放置していた実家を売却するケース

親が亡くなったあと、実家を空き家にしたまま放置しているケースもあります。特に実家が遠方にある場合、どうしても空き家にしたままになりがちです。

また、相続人が複数人いる場合、誰が実家を相続するかの話し合いがつかず、そのままにしているという場合もあるでしょう。

実家を空き家のまま放置していると、家が傷むだけでなく、敷地が雑草だらけになったり害虫が発生したりして近隣に迷惑をかけることになりかねません。

また、空き家条例で特定空き家等の指定を受けると、最終的には強制的に取り壊しされる恐れもあります。

空き家になっている実家を今後も利用する予定がない場合は、できるだけ早急に相続の手続きをして売却するなどの処分を考えるのがおすすめです。

遠方に空き家がある場合の売却については、「空き家が田舎にあるとき失敗しない売却方法についてまとめた」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

1-3.親の生前に実家を売却するケース

実家の親が高齢になり、長期の入院や介護施設への入居が必要になった場合も、実家をどうするかが問題になります

このケースで実家を売却する理由は、親の介護費用や施設利用料の捻出のためが多いです。

また、親が施設に入るなどで空き家になったままの実家は維持管理が困難になり、放置しておくことで建物が劣化したり固定資産税がかさんだりするため、早めに売却を検討するケースもあります。

ただし、親の生前に実家を売却することになるため、売却には親の承諾が必要です。

親の代わりに不動産を売却する方法については、「親の家を代わりに売却する2つの方法!必要な手順や注意点を解説します」で、親が認知症になった場合については「認知症になった親の家を売却できる?成年後見制度についてわかりやすく解説」で説明しているので、参考にしてみてください。

1-4.親と同居することになり実家を売却するケース

親を子供の家に呼び寄せて同居するケースでは、二重の住宅費を避けるために、親が住んでいた実家を売却することが多いです。

また、新たに二世帯住宅を建てたり購入したりする際は、資金を確保する意味でも実家を売却するケースもあるでしょう。

親子が同居することで、親の日常的なサポートがしやすくなるとともに、家族の絆を深める機会にもなりますが、そのためには住環境を整えることが不可欠です。

同居による不動産売却については、「同居が理由での家の売却方法(マンション・戸建て・土地編)」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

1-5.相続後の売却か生前の売却かがポイント

これらのケースを分けると、実家の売却は「親が亡くなって相続後」か「親の生前」かがポイントだと言えます。

また、場合によっては、実家の売却代金がすぐに必要だけれども、親が生きているうちは実家に住み続けさせてあげたいという、実家の売却と親の生活を両立させたいケースもあるでしょう。

それぞれの場合における売却方法や売却の流れについては、後ほどくわしく説明します。

2.実家の売却前に準備、確認しておくこと

実家の売却をスムーズに進めるためには、次の3つの事前の準備と確認をしておきましょう。

  • 実家の資産価値を調べる
  • 登記や法的な要件の確認
  • 売却を依頼する不動産会社の選び方

これらは、相続後に実家を売却するか、生前に売却するかにかかわらず必要です。

それぞれのポイントについて、くわしく説明します。

2-1.実家の資産価値を調べる

実家の資産価値を把握しておくことは、売却の際の適切な価格設定のために不可欠です。

不動産の資産価値は、物件の種類に合わせて、おもに次の3つの方法で評価されます。

【不動産の資産価値評価方法】
評価する物件 特徴
取引事例比較法 マンション
土地
戸建ての敷地部分
近隣における似たような物件の過去の成約事例から、資産価値を算出する
原価法 戸建ての建物部分 今、同じ建物をもう一度建てた場合の費用を算出し、そこから経年劣化分を差し引いて資産価値を出す
収益還元法 投資用物件 現在と将来において、その物件でどのくらいの収益を得られるかを計算して資産価値を出す

一般的に、戸建ての土地の部分とマンションの評価には取引事例比較法が用いられ、戸建ての建物部分の評価には原価法が用いられます。

ただし、実家が木造の戸建ての場合、建てられてから数十年で資産価値はゼロに近くなるため、ほぼ敷地だけの価値で評価されることが多いです。

取引事例比較法で土地やマンションを評価する際に必要となる「過去の成約事例」は、不動産流通機構が運営している「レインズマーケットインフォメーション」や、国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」を使えば自分で調べることができます。

しかし、得られる情報が限られているだけでなく、適切な事例を選んで計算するのは大変な作業です。

とは言え、売却するかどうか決まっていないうちに、不動産会社に査定を依頼するのも気が引ける方も多いでしょう。

不動産会社に査定を依頼する前に、自分で実家の資産価値を調べたい場合は、ぜひ、無料&秘密厳守の「イクラ不動産」をご利用ください。

イクラ不動産では、不動産会社が過去実際に売却した物件(マンション・一戸建て・土地)の価格を掲載しています。

また、イクラ独自の価格シミュレーターを利用すれば、簡単に相場価格を調べることができるだけでなく、自分で調べるのがむずかしい場合は、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフに無料で調べてもらえるので安心です。

2-2.登記や法的な要件の確認

実家に限らず、不動産を売却する際には、さまざまな登記や法的要件の確認が必要です。

特に実家だと築年数が古い場合があるため、あらかじめ登記情報や法的要件を調べておくとスムーズに売却活動に入れます。

登記簿や購入時の売買契約書などで、売却前に次のような点を確認しておくと良いでしょう。

  • 土地の面積、隣地や道路との境界
  • 抵当権が設定されていないか
  • 現在の建築基準法を満たしているか
  • 固定資産税や都市計画税の額

登記された時期が古いと、隣地や道路との境界があいまいになっていることも多いです。そのような場合は、売却前に測量が必要になることがあります。

また、実家が古い戸建ての場合、現在の建築基準法を満たしていなかったり、違法な増改築が行われていたりする場合も多いです。土地については登記情報で、建物については登記情報や建築確認済証、検査済証などで確認できます。

しかし、ほどんどの人にとって登記情報や法的な要件の確認はむずかしい作業です。わからない場合は、不動産会社に査定を依頼する際に相談すると良いでしょう。

2-3.売却を依頼する信頼できる不動産会社の選び方

実家をはじめとする不動産売却において、信頼できる不動産会社を選ぶことは非常に重要です。

不動産会社選びで失敗しないためにも、あらかじめ不動産会社を選ぶ際の注意点やポイントを把握しておきましょう。

売却を依頼する不動産会社の選定基準として、次のようなポイントがあげられます。

  • 地元の不動産市場に対する深い知識があるか
  • 売却実績が豊富か
  • 売却活動を積極的に行っているか
  • 査定や販売戦略の説明がわかりやすいか
  • こまめに連絡するなど顧客サービスが優れているか

また、実家が遠方にある場合、実家近くの不動産会社を選ぶか、自宅や職場の近くにある不動産会社を選ぶかで悩む人も多いです。

結論から述べると、売却したい物件の近くにある不動産会社を選ぶのがおすすめだと言えます。

なぜなら、不動産会社が市場動向や情報を把握しているエリアはそれほど広くないため、自社の管轄エリア外にある物件だと、適切な売り出し価格を設定したり売却活動を展開したりするのがむずかしいからです。

また、会社選びの際は、複数の不動産会社に相談して、見積もりや提案を比較することも重要なポイントになります。できれば、3〜5社程度の不動産会社に査定を依頼すると良いでしょう。

不動産会社の選び方については、「戸建てやマンションの売却はどこがいい?売却に強い不動産会社の探し方、選び方を解説!」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

実家の近くで信頼できる不動産会社を探したい場合は、「イクラ不動産」」が便利です。

宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフが、あなたの状況や売却したい物件にマッチした不動産会社を無料でご紹介いたします。不動産会社選びで迷ったときは、ぜひご利用ください。

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3.親が亡くなって実家を相続してから売却するケース

親が亡くなって相続が発生してから実家を売却するケースについて、売却の流れや手順、売却時に必要となるもの、税金などについて説明します。

3-1.相続が発生した実家を売却する流れ

親が亡くなって相続が発生した実家を売却する場合、大まかなと流れとやるべきことは次のとおりです。

【相続が発生してから不動産を売却するまでの大まかな流れ】

実家の相続人を確定する:遺言書の有無を確認する。遺言書がなく複数の相続人がいる場合は遺産分割協議をする

相続登記をする:実家の名義を亡くなった親から相続人に移す

相続した実家を売却する:売却方法(仲介か買取)を選び、実家を売却する

3-1-1.実家の相続人を確定する

遺言書があれば、その内容に従って実家の相続人が決まります。

遺言書がなければ、実家を相続するのは法定相続人全員です。誰が実家を相続するのか、どのように実家を分けるのかについては、遺産分割協議を開いて決めることになります。

兄弟で実家などの不動産を分ける方法については、「兄弟で家を相続!住んでいる場合はどうする?4つの分割方法を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

3-1-2.相続登記をする

相続した実家を売却する際に重要なのが「相続登記」です。相続登記をしなければ、実家を売却することはできません。

相続登記の手続きで必要な書類は、次のとおりです。

【相続登記に必要となる書類】
取得場所
亡くなった不動産所有者の戸籍謄本 居住していた市区町村役場
亡くなった不動産所有者の住民票の除票 居住していた市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本 居住している市区町村役場
相続人全員の住民票 居住している市区町村役場
相続人全員の印鑑登録証明書 居住している市区町村役場
登記事項証明書(登記簿の写し) 不動産所有者(または法務局)
不動産の固定資産評価証明書 不動産所有者(または市区町村役場)
遺産分割協議書または遺言書(検認を受けたもの) 相続人で作成したもの・不動産所有者

これらの書類と相続登記の申請書とを合わせて法務局に提出し、相続登記の手続きをします。

また、相続登記で名義人を変更する際は、「登録免許税」が必要です。

【登録免許税の計算方法】

登録免許税 = 固定資産税評価額 ✕0.004( 0.4%)

たとえば、固定資産税評価額が1,500万円の実家であれば、6万円の登録免許税を納めることになります。

ただし、土地の固定資産評価額が100万円以下の場合や、土地を相続した人が相続未了のまま亡くなった場合の登録免許税は、免税措置を受けることが可能です。

くわしくは、法務局のホームページで確認してみてください。

法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」

相続登記の手続きが大変な場合は、司法書士に依頼するのもおすすめです。

相続登記については、「相続した家の売却に必要な相続登記とは?手順と義務化についても解説」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。

3-1-3.相続した実家を売却する

相続登記が完了すれば、通常の不動産売却と同じ流れで相続した家を売ることができます。

家の売却方法はいくつかありますが、大きく分けると「仲介」「買取」の2種類です

売却期間がかかっても少しでも高く売りたい場合は仲介、売却期限が迫っているなど、売却額が安くなってもすぐに現金化したい場合は買取を選ぶと良いでしょう。ただし、仲介で売却するよりも、3割程度、売却額が安くなります。

複数の相続人で家の売却代金を分ける場合は、売却代金から売却にかかった費用を差し引いた残りの額を分けます。

実家の相続人が複数いる場合、売却時には全員の同意と売買契約書への署名、捺印が必要です。遺産分割協議の際に相続人の代表を決めておくと、売買活動時や売買契約時に相続人全員が揃う必要がなく、スムーズに売却を進めることができます。

相続した家の売却については、「相続した不動産を売却する流れや手続き、やるべきことをわかりやすく解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

3-2.空き家のまま放置していた実家を売却する流れ

親が亡くなってから、空き家の状態で放置していた実家を売却する流れについて説明します。

3-2-1.相続登記を確認をする

親が亡くなってから実家を空き家のまま放置していて、相続登記が済んでいるかどうかがわからない場合は、まず実家の「登記事項証明書」で登記情報を調べて確認します。

「登記事項証明書」の取得方法は、次の3つです。

  • 法務局の窓口で申請して取得する
  • 郵送で申請して取得する
  • インターネットで申請して取得する

登記事項証明書に記載されている情報だけ知りたい場合は、インターネットで閲覧のみすることも可能です。

法務局「登記情報提供サービス」

3-2-2.相続登記をする(相続登記されていなかった場合)

相続登記がまだされていない場合は、相続登記申請の手続きをします。

相続登記の手続きや申請に必要な書類などは、親が亡くなって相続が発生した場合と同じです。

3-2-3.空き家になっていた実家を売却する

相続登記が完了すれば、通常の不動産売却と同じように売却することができます。こちらの流れも、相続した実家の売却と同じです。

ただし、長く空き家になっていた場合、家がひどく傷んでいることが多いです。そのような場合は、中古住宅としてではなく、古家付きの土地として売りに出すという方法もあります。

古い建物の解体は、勝手に判断して行うのではなく、売却を依頼する不動産会社に相談してからのほうがおすすめです。

また、空き家になっていた実家をすぐに現金化したい場合は、仲介ではなく買取を利用して売却すると良いでしょう。

4.親の生前に実家を売却するケース

ここでは、親の生前に実家を売却するケースについて説明します。

親が亡くなって相続が発生してから実家を売却するケースよりも、親の生前の売却には、さまざまな問題や手続きが必要になることが多いです。

親の生前に実家を売却するケースとして、次のようなものがあげられます。

  • 判断能力のある親の代わりに実家を売却する
  • 認知症などで判断能力が低下した親の代わりに実家を売却する

それぞれ、確認していきましょう。

4-1.判断能力のある親の代わりに実家を売却する

判断能力のある親の代わりに実家を売却する場合は、親の代理人になる必要があります。

子供が親の代理人となって実家を売却するためには、親から代理権を委任されていることを第三者に証明する「委任状」が必要です。

委任状に記載する内容は、次のとおりです。

  • 売却物件の情報
  • 売却価格や手付金の額
  • 売却代金の振込先
  • 代理人の金額交渉権の有無や交渉金額の幅
  • 代理人と委任する人の情報(住所や氏名など)
  • 委任状の有効期限

委任状には委任する人(親)と代理人(子)が実印で押印し、印鑑証明書の添付が必要となります。

また、委任状があっても、実際の売買契約時には、本人に売買の意思を確認することがほとんどです。

親の代わりに子供が実家を売却する方法については、「親の家を子供が代わりに売却する2つの方法!必要な手順や注意点を解説」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。

4-2.認知症などで判断能力が低下した親の代わりに実家を売却する

認知症などで判断能力が低下した親の代わりに実家を売却する場合は、「成年後見制度」を利用します。成年後見人になった人であれば、所有者でなくても売却することが可能です。

成年後見制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」があります。

任意後見制度は、判断能力があるうちに後見人を指名申請しておかなければなりません。そのため、認知症で判断能力がなくなっている場合には、「法定後見制度」を利用することになります

法定後見制度を利用する流れは、次のとおりです。

①「後見開始の審判」を申し立てる
②家庭裁判所の調査官が調査を行う
③成年後見人等の選定を受ける

法定後見制度は、判断能力のない本人に代わって、家庭裁判所が本人の判断能力に応じて、サポートしてくれる人を選ぶ制度です。

任意後見制度とは異なり、本人が自由に選ぶことはできないため、必ずしも子供や親族が後見人になれるとは限りません。

最高裁判所事務総局家庭局が発表した「成年後見関係事件の概要―令和4年1月〜令和4年12月」を見ても、配偶者や親、子などの親族が後見人に選任されたケースは、全体の約19%です。

親族 合計7,560件
親族以外 合計32,004件 弁護士 8,682件
司法書士 11,764件
社会福祉士 5,849件
市民後見人 271件

(参考:成年後見関係事件の概況-令和4年1月~令和4年12月)

子供である自分が後見人に選ばれなかったからといって、法定後見制度の利用をやめることはできないため、この制度を使うかどうかは慎重に判断する必要があります。

また、もし弁護士や司法書士などの専門家が後見人として裁判所から指名されれば、後見人に対する報酬が継続的に必要になります。

それらを踏まえたうえで、制度の利用を検討することが大切です。

認知症になった親の代わりに家を売却する方法については、「認知症になった親の家を売却できる?成年後見制度についてわかりやすく解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

5.実家の売却にかかる費用や税金

実家の売却にかかる費用や税金は次のとおりです。

相続後の売却 空き家の売却 親の生前の売却
相続税 ◯(不要な場合もある) ◯(不要な場合もある)
贈与税 ◯(不要な場合もある)
譲渡所得税 ◯(不要な場合もある) ◯(不要な場合もある) ◯(不要な場合もある)
相続登記の費用 ◯(相続登記がすんでいれば不要)
売却にかかる費用(仲介手数料など)

5-1.相続税

相続税は、相続した財産すべての合計に対して課せられます。

また、相続税には相続人の人数に応じた基礎控除があり、相続額が基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も必要ありません

基礎控除額の計算式は、次のとおりです。

3,000万円+法定相続人の人数✕600万円

国税庁「相続税のしくみ」

つまり、相続財産が実家だけで、さらに実家を相続した人数が2人の場合は、実家の価額が4,200万円以内であれば、相続税がかからないことになります

もし、同じケースで実家の価額が5,200万円で、2人の相続人で半分ずつにする場合だと、5,200万円から基礎控除分4,200万円を差し引き、それを半分にした1人あたり500万円が相続税の課税対象額です。

相続税の税率と控除額は、次のようになっています。

【相続税の速算表】
課税される額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

国税庁「No.4155 相続税の税率」

今回のケースだと、1人あたり、500万円✕10%=50万円の相続税を納めることになります。

相続税については、「相続した不動産に相続税がかかるかが簡単にわかる!節税方法も解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

5-1-1.小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人の自宅を含めた330㎡までの土地において、相続税評価額が80%減額されるというものです。たとえば、相続税評価額が5,000万円の土地だと1,000万円の評価額になるため、かなり相続税が減額されます。

この特例を適用するための主要件として、相続の直前まで亡くなった人と相続人とが同居していたことなどが必要となりますが、場合によっては同居していなくても受けることが可能です。

くわしくは、国税庁のサイトで確認してみてください。

国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

5-2.贈与税

親の生前に実家を売却し、その売却代金を子供が自分のものにした場合は、受け取った額に応じて贈与税が課せられます

一般的に贈与税のほうが相続税よりも税額が高くなるため、どちらにするか迷っている場合は、十分な注意と計算が必要です。

たとえば、子供1人が1億円を相続した場合と贈与を受けた場合の税金を比較すると、次のようになります。

子1人が1億円を相続した場合の税金
1億円-基礎控除3,600万円)✕30%-700万円=1,220万円

子供1人が1億円の贈与を受けた場合の税金
(親・祖父母から成人した子・孫への贈与の場合(特例贈与))
(1億円-110万円)✕55%-640万円=4,799万5,000円

ただし、次のような制度を利用すれば、贈与税が課税されずに最大3,610万円までの贈与が可能です。

5-2-1.住宅取得等資金贈与の非課税制度

令和4年1月1日以降に、親などから住宅取得等資金を贈与されて家を新築、購入、増改築等した場合、省エネ等住宅では1,000万円、一般の住宅では500万円まで贈与税が非課税となるという制度です。

5-2-2.相続時精算課税制度

60歳以上の父母または祖父母から、子供または孫への贈与の場合、最大2,500万円まで贈与税が非課税となるという制度です。

これらの制度について、くわしくは国税庁のサイトで確認してみてください。

国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」

5-3.譲渡所得税

実家をはじめとする不動産を売却して売却益を得た場合、その額に応じた譲渡所得税が課せられます。

ただし、売却益すべてに課せられるわけではなく、譲渡所得税の対象となるのは、その不動産を取得した際や売却した際ににかかった費用を差し引いた額です。

【課税される譲渡所得額の計算式】

課税される譲渡所得 = 売却額 – (取得費 + 譲渡費用)

5-3-1.3,000万円の特別控除の特例

相続した不動産が居住用として用いられていた場合、適用要件を満たしていれば、譲渡所得税の計算時に「居住用財産を売却したときの3,000万円特別控除」が適用されます。

この特例が適用されると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できるため、課税される譲渡所得が3,000万円までであれば、譲渡所得税が課税されません。

国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

5-3-2.相続した空き家を売却したときの特例

相続や遺贈などで取得した居住用の空き家を売却する際に、一定の要件を満たせば、譲渡所得の金額から最高3,000万円までを控除することができます。

この特例を適用するためのおもな要件は、次のとおりです。

  • 被相続人が一人暮らしをしていた
  • マンションなどの区分所有物件でない
  • 1981年5月31日以前に建築された(旧耐震基準である)
  • 売却金額が1億円以下

実家に住んでいた親が高齢者施設に入っていた場合や、家を取り壊して更地にしてから売却した場合でも、適用できる場合があります。

そのほかの細かい適用要件については、国税庁のサイトで確認してみてください。

国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

5-3-3.取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続税の一部を取得費として加算して譲渡所得を減らすことで、譲渡所得税を減額することができるというももです。

小規模宅地等の特例と併用できますが、小規模宅地等の特例で減額した額が基準となるため、取得費加算の特例を適用して計算するメリットが減る場合があります。

事前に療法のケースを計算してしっかりと比較し、適用を検討すると良いでしょう。

くわしくは、国税庁のサイトで確認してみてください。

国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

5-4.相続登記の費用

相続した不動産の名義を被相続人から相続人に変更する際は、相続登記の登録免許税がかかります。

登録免許税の計算式は、次のとおりです。

【登録免許税の計算方法】

登録免許税 = 固定資産税評価額 ✕0.004( 0.4%)

相続登記申請の手続きが大変な場合は、司法書士に依頼しても良いでしょう

その場合の相場費用の目安は、次のとおりです。

【司法書士への報酬の目安】

  • 相続登記申請手続きだけの場合:数万円〜10万円程度
  • 遺産分割協議書の作成なども含む:10万〜15万円程度

5-5.実家の売却にかかる費用

実家の売却にかかる費用は、相続後、生前、いずれの場合であっても同じです。

不動産会社に依頼して仲介で売却した場合、次のような費用がかかります。

  • 仲介手数料(400万円以上の取引額の場合、取引額の3%+6万円+消費税)
  • 印紙税(取引額による。1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円)
  • 抵当権抹消登記の費用(住宅ローンが残っている場合に必要。2〜5万円程度)
  • 住宅ローン返済事務手数料(住宅ローンが残っている場合に必要。金融機関によって異なる)

買取の場合であれば、基本的に不動産会社に支払う仲介手数料は不要ですが、土地の測量費用や建物の解体費用などがかかる場合があります。

不動産の売却にかかる費用については、「家やマンションの売却にかかる費用を解説!手元に残るのは結局いくら?」で説明しています。ぜひ参考にしてみてください。

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6.実家の売却と親の生活を両立させたいケース

親の介護費用や生活費のために、実家の売却代金がすぐに必要だけれども、できれば親が生きている間は実家に住み続けさせてあげたいというケースも多いでしょう。

このような、実家の売却と親の生活を両立させたい場合におすすめなのが、「リバースモーゲージ」と「リースバック」です。

それぞれについて、どのようなものかを説明します。

6-1.リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、家を担保にすることで、住み続けながらお金が借りられる不動産ローンのことです。

具体的には、担保にする実家の価値に見合ったお金を借りて、住んでいる親が亡くなったときに実家を売却することで一括返済することになります。

リバースモーゲージを利用すれば、実家を担保にしてまとまったお金を借りることができ、さらに実家に住んでいる親は、亡くなるまで住み続けることが可能です。

お金の受け取り方は、まとめて受け取る方法や分割して受け取る方法が選べるので、リバースモーゲージを取り扱っている金融機関を比べてみると良いでしょう。

リバースモーゲージについては、「リバースモーゲージとは?家に住み続けながら老後資金を借りられる」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

6-2.リースバック

リースバックとは、家を売却して売却代金を受け取ったあと、賃貸として今までと同じように住み続けられるという売却方法です。

リースバック会社に家を買い取ってもらって売却代金を受取り、新たに賃貸借契約を結んで賃貸を支払いながら住み続けることになります。

たとえば、親が施設に入居することになって初期費用がすぐに必要だけれども、実際に入居できるのは数ヵ月してからになるといった場合に便利です。

リースバック利用の流れは、次のようになります。

【リースバック利用の流れと期間、売主がやるべきこと】
リースバックの流れ 具体的な内容 売り手がやるべきこと 期間
①買取額の査定 金融機関や不動産会社、リースバック業者が家の査定を行い、買取額(売却代金)を提示する
  • リースバックを取り扱っている金融機関や不動産会社を探す
  • 買取の査定額を出してもらう
数日〜数週間程度
②売買契約の
締結
買取額や諸条件が合えば売買契約を結び、所有権が売主から金融機関やリースバック会社に移る
  • リースバックの条件と売買契約の内容を確認する
  • 売買契約を結ぶ
査定〜数日(即日の場合もある)
③賃貸借契約の締結 金融機関やリースバック会社が貸主、売主が借り主となり、家の賃貸借契約を結ぶ
  • 内容を確認してを賃貸借契約結ぶ
  • 家賃を支払い住み続ける
即日(売買契約と同時)
〜住み続けている間
④リースバック終了(以下のどちらかになる)
買い戻す場合 リースバックの契約時に取り決めていた買戻し額を支払えば、所有権を売主に戻すことができる
  • 買戻し額を支払い、家を買い戻す(所有権を得る)
数年(契約時に定められた期間内)
退去する場合 あらかじ定められた賃貸期間が過ぎた場合、買戻しをしなければ退去となる
  • 転居先を探す
  • 引っ越しをする
数年(契約時に定められた期間内)

リースバックについては、「【リースバックのまとめ】家を売っても住み続けられる!利用方法や注意点を詳しく解説」で説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

また、イクラ不動産でリースバック会社をご紹介することも可能です。どこに相談すれば良いかわからない場合は、ぜひお問い合わせください。

5.実家売却のQ&A

最後に、実家の売却に関するよくある質問とその回答を紹介します。

Q1: 実家の売却にかかる期間はどのくらいですか?

A: 売却期間は物件の状態、市場状況、価格設定によって大きく異なりますが、一般的には数ヵ月から半年程度を見積もると良いでしょう

Q2: 実家売却時の仲介手数料はどれくらいかかりますか?

A: 仲介手数料は売却価格に応じて設定されます。 取引額が400万円を超える場合は、売却価格の3%+6万円に消費税が加わるのが一般的です。

Q3: 親が亡くなって実家を売却する際は、相続人全員の同意が必要ですか?

A: はい、法的には相続人全員の同意が必要です。全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所に申し立てて調停や裁判を行うことになります。

Q4: 実家を売却する際に、リフォームすべきですか?

A: 物件の状態や市場の要求によりますが、リフォームによって売却価格を向上させることができる場合もあります。ただし、リフォームの費用と期待される価格上昇を慎重に評価することが重要です。まずは、売却を依頼する不動産会社に相談することをおすすめします。

Q5: 実家の売却で得た利益にはどのような税金がかかりますか?

A: 実家が売れて利益が出た場合は、利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税が課税されます。ただし、マイホーム売却時の3,000万円の特別控除や住宅ローンの残高控除など、さまざまな控除や特例が適用されることがあるため、あらかじめいくらで売れそうかを調べたうえで、確認しておくと良いでしょう。

Q6: 実家を売却する際に、どのような書類が必要ですか?

A: 不動産売買契約書、登記簿謄本、固定資産税評価証明書、身分証明書など、多くの書類が必要です。詳細は、売却を依頼する不動産会社に確認してください。

Q7: 実家の売却を依頼する不動産会社は、実家の近くと自宅の近く、どちらを選ぶべきですか?

A: 実家の売却を依頼する場合、実家の近くにある不動産会社を選ぶのがおすすめです。不動産会社が把握しているエリアはそれほど広くありません。実家の近くにある不動産会社を選べば地域の不動産市場にあった売却価格を設定することができるため、早期売却が実現しやすくなります。

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まとめ

この記事のポイントをまとめました。

  • 実家の売却を検討する場合、まず目的や解決したい問題を明確にすることが大切
  • 実家の売却は、大きく相続後の売却と生前の売却に分けられる
  • 実家の相続が発生してから売却する大まかな流れは次のとおり
    ①遺言の有無を確認して相続人を確定する
    ②相続登記をする
    ③実家を売却する
  • 空き家のまま放置されていた実家の場合は、まず登記情報で相続登記済みかどうかを確認する
  • 相続登記する際には、登録免許税が必要。登録免許税の計算式は、固定資産税評価額✕0.004(0.4%)
  • 相続税の基礎控除額は、3,000万円+相続人の数✕600万円。相続した家の価値がこの額以下であれば、相続税の申請や納付は不要
  • 相続した実家の売却で得た利益には、利益の額に応じた譲渡所得税が課せられるが、次のような特例を適用すれば税額を減額することができる
    ・相続した空き家を売却したときの特例
    ・小規模土地の特例
    ・取得費加算の特例
  • 判断能力のある親の代わりに実家を売却する場合は、委任状を作成して親の代理人になる
  • 認知症などで判断能力がない親の代わりに実家を売却する場合は、成年後見制度の法定後見人の申請をする
  • 法定後見制度は任意後見制度とは異なり裁判所が後見人を選定するため、必ずしも子供や親族がなれないことに注意が必要
  • 親の生前に実家を売却した代金を子供が受け取った場合は、受け取った額に応じた贈与税が課せられるが、住宅取得等資金贈与の非課税制度や相続時精算課税制度を利用すれば、税額を減らすことができる
  • まとまったお金が必要だけれども、親を実家に住み続けさせて上げたい場合は、リバースモーゲージやリースバックの利用を検討すると良い

実家の売却は、相続してから売却するか親の生前に売却するかで、売却方法ややるべきことなどが大きく異なります。

どのような目的で実家を売却するのかを明確にしたうえで、状況にあった方法を選ぶことが大切です。

実家を売却したいけれども、どうしたらよいのかわからないという人や、どの不動産会社を選べば良いのかわからないという人は、まず「イクラ不動産」でご相談ください。

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イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。

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