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空き家を手間をかけずに売却する方法!委任売却や費用・手続きもまとめて解説

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空き家を手間をかけずに売却する方法!委任売却や費用・手続きもまとめて解説

この記事では、空き家の売却で悩んでいる人に向けて、できるだけ手間をかけずに空き家を売却する方法や、売却にかかる費用・手続きについてわかりやすく解説します。

買取や仲介だけでなく、委任売却など売主の負担を減らす売却方法も紹介しているので、空き家の売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

【この記事で具体的にわかること】

  • 空き家をできるだけ手間をかけずに売却する方法がわかる
  • 空き家の状況や売却目的に合った売却方法の選び方がわかる
  • 空き家を売却する時のさまざまな手続きや準備についてわかる
この記事はこんな人におすすめ!
放置している空き家や相続した空き家の売却を検討している人
できるだけ手間や時間をかけずに空き家を売却したい人
空き家を売却するときの手続きや準備を知りたい人

もくじ

1.空き家の売却方法を手間がかからない順に徹底解説!

3つのポイント

  • 「現状のまま買取」が、もっとも手間や時間をかけずに空き家を売却できる方法
  • 不動産会社にすべてを任せる「委任売却」も、手間をかけずに売却できる有効な方法
  • 空き家の状態や売却希望額に応じて、リフォームや解体してからの売却、空き家バンクの利用なども検討すると良い

空き家を売却する際、「できるだけ早く」「できるだけ高く」「できるだけラクに」など、人によって重視するポイントはさまざまです。

ここでは、特に「手間がかからない順」に、空き家の売却方法を整理しています。

まずは、次の一覧をご覧ください。

【空き家売却方法の種類と特徴まとめ(手間がかからない順)】
売却方法 特徴 おすすめの人
そのまま買取で売却 現状のまま不動産会社に直接買い取ってもらう。スピード重視だが安くなる とにかく早く売りたい/遠方で対応がむずかしい人
仲介の委任売却 不動産会社に売却活動のすべてを丸投げできる。価格も市場価格に近づく できるだけ手間をかけずに売却しつつ、買取より高く売りたい人
そのまま仲介で売却 不動産会社に仲介を依頼し、現状のまま一般の買い手を探して売却する。相場価格で売れやすい 少しでも高く売りたいが、修繕まではしたくない人
修繕・リフォームして仲介で売却 建物を整備して魅力を高めたうえで仲介で売却。高く売れる可能性がある 売却にある程度の費用と時間をかけられる人
解体・更地にして売却 建物を壊して更地にしてから売却。土地目的の買い手も狙える 築年数が古く再利用が難しい空き家の所有者
番外編:空き家バンク・親族間売買・隣地への売却 目的や相手が明確な売却。時間はかかるが特定ニーズ向け 「利益よりも有効活用してほしい」想いがある人

それぞれの売却方法について、具体的に解説していきます。

1-1.手間をかけずに売るなら「そのまま買取で売却」

買取」とは、不動産会社や専門の買取業者に、直接、空き家を買い取ってもらう方法です。

一般の買い手を探す必要がないため、手続きが非常にスピーディで、すぐに空き家を現金化できます。

また、不動産会社や買取業者によっては、不用品や残置物の処分もまとめてしてくれるので、空き家の片付けの手間も省くことも可能です。

  • メリット:早ければ数日〜数週間で売却完了。鍵を渡すだけでもOK
  • デメリット:売却価格は市場の相場価格より3割ほど安くなる

【そのまま買取で売却が向いている人】

  • 空き家の売却に手間や時間をかけたくない人
  • 空き家に残っている不用品処分もまとめてしたい人
  • 遠方にある空き家を売却したい人

買取については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」で説明しています。ぜひ読んでみてください。

1-2.手間をかけずに少しでも高く売るなら「仲介の委任売却」

仲介」とは、不動産会社に売却を依頼して買い手を探してもらう売却方法で、「委任売却」とは、専属専任媒介契約+委任契約を結んで、不動産会社に仲介の売却活動を丸ごと任せる方法です。

査定・広告・内見対応・交渉など、仲介での売却に伴う作業をすべて不動産会社が代行してくれるため、売主の負担を大幅に減らすことができます。

また、買取に比べて市場価格に近い価格で売却できる可能性も高くなります。

  • メリット:売却活動の負担がほぼゼロ。買取より相場価格に近い額で売れる可能性がある
  • デメリット:買い手が見つかるまでに多少時間がかかる場合がある

【委任売却が向いている人】

  • できるだけ手間をかけずに売却したい人
  • 買取よりも高めの価格で売りたい人
  • 売却に関する調整・対応が難しい(遠方在住など)人

1-3.相場価格で売りたいなら「そのまま仲介で売却」

相場価格に近い額で、できるだけ空き家を高く売りたいのであれば、「仲介」での売却がおすすめです。

空き家がそれほど古くない場合や住めないほど傷んでいない場合は、そのまま仲介で売却すれば、相場価格に近い額で売れる可能性が高くなります。

  • メリット:市場価格に近い価格で売却できる可能性がある
  • デメリット:買い手が見つかるまでに時間がかかることもある

【そのまま仲介での売却が向いている人】

  • そのままでも住める状態の空き家を売りたい人
  • 多少時間がかかっても少しでも高値で売りたい人
  • 最低限の清掃や書類準備はできる人

仲介については、「不動産仲介とは?家を希望に近い価格で高く売却できる方法を解説!」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

1-4.高く売りたいなら「修繕・リフォーム後に仲介で売却」

空き家を少しでも高く売りたい場合は、修繕やリフォームをしてから売却するのも一つの手です。

築年数が古い空き家や傷んでいる空き家でも、一定の修繕やリフォームを加えることで買い手の印象が大きく向上し、高く売れる可能性がアップします。

ただし、修繕やリフォームにかけた費用を売却額で回収できるかを不動産会社に相談、確認してからにしましょう。

  • メリット:需要が高まる可能性があり、価格アップにつながる
  • デメリット:修繕費用や期間の負担がある

【修繕・リフォーム後に仲介で売却が向いている人】

  • 老朽化が進んでいるが再利用可能な空き家を売りたい人
  • ある程度のコストをかけてでも、空き家を高く売りたい人

リフォームしてからの売却については、「お家を売る前にリフォームするべき?それともそのまま売却するべき?」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。

1-5.建物の老朽化が激しい場合は「解体・更地にして売却」

空き家があまりにも老朽化していて修繕やリフォームができないような場合は、建物を解体して更地にしてから売却するほうが売れやすくなる場合があります。

ただし、建物をそのままにした状態で「古家付き土地」として売却するという方法もあるので、まずは不動産会社に相談してから解体するかどうかを決めると良いでしょう。

また、空き家の解体には、10日〜数週間程度かかりますが、前後の準備や片付けなどを考慮すると、一般的に、1〜2ヵ月程度の期間が必要です。解体してから売却するのであれば、この期間も含めてスケジュールを立てる必要があります。

  • メリット:土地の利用用途が広がり、買い手の層が広がる
  • デメリット:解体費用(50〜200万円前後)がかかる。解体時期によっては固定資産税の増額リスクがある

【解体・更地にして売却が向いている人】

  • 築50年以上などで、ボロボロの空き家を売りたい人
  • 土地の価値が高い立地にある空き家を売りたい人

空き家の解体については、「空き家や古い家付きの土地は更地にして売却すべき?判断基準をご紹介」で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてみてください。

1-6.【番外編】空き家バンク・親族間売買・隣地への売却

空き家の売却には、一般的な買取や仲介以外にも、条件次第で活用できる「特殊なルート」が存在します。

ここでは、自治体を活用する方法や親族への売却、隣地所有者への売却といった、番外的な方法について詳しく解説します。

1-6-1. 空き家バンクを活用して売却する方法

「空き家バンク」とは、各自治体が運営するマッチング制度で、空き家を地域内外の希望者に紹介する仕組みです。

特に地方の空き家や、価格よりも活用目的を重視する人に向いています

  • 特徴:行政が間に入り、移住希望者・地域住民とマッチングを図るシステム
  • メリット:リフォーム補助金や解体費補助などの制度と併用可能な場合もある
  • 注意点:登録には物件情報の詳細や写真提出、条件付き掲載が必要なケースがある

【空き家バンクが向いている人】

  • 地方にある空き家の有効活用を望んでいる人
  • 価格よりも「誰かに住んでほしい」という思いが強い人

1-6-2. 親族間での売買(身内に空き家を売る)

親や兄弟、親戚など、身内に空き家を売却する方法です。

相続を見据えて、事前に所有権を移しておきたいケースなどでも使われます。

  • 特徴:スムーズな引き継ぎができるが、税務上の注意が必要
  • メリット:売買条件を柔軟に調整できる(ローンなし、支払い猶予など)
  • 注意点:不当に安い価格だと「贈与」と見なされる可能性あり。書面契約と適正価格が必要

【親族間売買が向いている人】

  • 親族内で物件を有効に活用したい人
  • 相続対策として事前に所有権を移したい人

1-6-3. 隣地の所有者へ売却する方法

隣地の所有者に売却する方法は、狭小地や接道義務を満たしていない土地でも、隣地と合わせれば価値が上がるというメリットがあります。

  • 特徴:一般市場では売れにくい土地でも、隣地所有者にとっては「使える土地」になることがある
  • メリット:購入意欲が高く、価格交渉がしやすいケースも
  • 注意点:事前に所有者の情報確認と交渉が必要。不動産会社に依頼するのが安全

【隣地所有者への売却が向いている人】

  • 市場では買い手がつかないような変形地や狭小地の空き家を売りたい人
  • 周辺の土地と一体利用されると活用価値が高まるような空き家を売りたい人

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2.空き家の売却にかかる費用

3つのポイント

  • 仲介で空き家を売却する際に必ずかかる費用としては、不動産会社への仲介手数料や印紙税などがある
  • 空き家の売却でかかる場合がある費用としては、相続登記費用や解体費用、土地の測量費用などがある
  • 空き家の売却にかかる費用は、物件の状態や売却方法によって異なるので、事前に確認しておくことが大切

空き家を売却する際に、どれくらい費用がかかるのかが気になる人も多いでしょう。

ここでは、空き家を仲介で売却するときの費用について、必ずかかるものとかかる場合があるものに分けて説明します。

2-1.空き家の売却で必ずかかる費用

空き家を不動産会社の仲介で売却する場合、次のような費用は原則として必ず発生します。

【空き家の売却で必ずかかる費用】
内容 目安の額
仲介手数料 仲介で売却した場合、不動産会社への報酬として支払う(買取時は原則不要) 売買価格の3% + 6万円(税別)※上限
印紙税 売買契約書に課せられる税金 売買価格1,000万円超〜5,000万円以下で1万円(※軽減税率適用中)
登記費用 所有権移転登記を司法書士に依頼した場合の報酬と登録免許税 3万〜5万円程度
印鑑登録証明書 売買契約書に押印する実印の証明に必要 数百円

※2027年(令和9年)3月31日までは軽減税率適用
国税庁HP「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

「買取」の場合は、直接、不動産会社や買取業者に空き家を買い取ってもらうのであれば、仲介手数料は不要です。

また、売主側分の売買契約書が買主側の契約書のコピーでよければ、印紙税もかかりません。

2-2.空き家の売却でかかる場合がある費用

空き家の状況や売却方法によって、以下のような費用が発生する場合もあります。

【空き家の売却でかかる可能性がある費用】
内容 目安の額
相続登記費用 相続した空き家を売却する場合、相続人への名義変更の登記が必要 評価額の0.4%+司法書士報酬(5〜11万円程度)
不用品処分費 家具・家電・日用品など残置物の処理 10万〜100万円程度(量による)
測量費用 土地の境界の確定が必要な場合 10万〜30万円程度(土地の用途や広さによる)
解体費用 建物の老朽化が激しく、更地にして売却する場合に必要 50万〜200万円程度(建物の大きさや構造による)
リフォーム費用 建物の印象をよくするための修繕・改修 数万〜200万円程度
譲渡所得税 売却益が出た場合の所得税・住民税 利益の約15%(長期譲渡所得税の場合)

相続した空き家を売却する場合は、相続登記にかかる費用が必要です。相続登記の手続きについては、次の章で詳しく説明します。

これらの費用は、空き家の状態や立地、売却方針などによって大きく異なるため、不動産会社に相談しながら、必要なコストを見積もっておくことが重要です。

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3.空き家を売却する流れと必要となる手続き

3つのポイント

  • 空き家を仲介で売却する流れは、通常の不動産売却とほぼ同じ
  • 買取で空き家を売却する場合は、買い手を探す売却活動が不要
  • 空き家を売却した翌年に「譲渡所得税」を確定申告する際は、特例や控除が適用できるかを確認する

空き家を売却する流れは、大きく6つのステップに分かれます。

次の表で、ステップごとに必要な手続きと注意点を整理しました。

【空き家売却ステップ別・手続き早見表】
ステップ 具体的な手続き・やること 注意点・ポイント
ステップ1:空き家の現状確認・売却準備 ・登記簿謄本や納税通知書の準備
・空き家の名義・境界・ライフラインの確認
・必要に応じて相続登記
・相続未登記だと売却不可
・境界未確定やインフラ未整備も要注意
ステップ2:不動産会社に査定依頼・売却方法を決定する ・信頼できる不動産会社の選定
・売却方法(仲介・買取)の相談
・媒介契約の締結(一般・専任・専属専任)
・リフォームや解体の相談
・査定額と対応力を比較して決定
・必要に応じて複数社に相談して見積もり取得
ステップ3:不用品の処分・清掃など ・残置物や不用品の処分をする
・破損箇所の確認をする
・不動産会社や不用品処分業者に任せることもできる
ステップ4:売却活動(広告・内見・交渉) ・売却活動スタート(広告・内見対応) ・空き家が遠方の場合は、不動産会社に鍵を預けておく
・媒介契約の種類に応じた売却活動の報告を受ける
ステップ5:売買契約・決済・登記移転・引き渡し ・売買契約書の締結・実印押印
・買主からの残代金受領
・所有権移転登記の申請
・物件・鍵・書類の引き渡し
・登記申請は司法書士に依頼するのが一般的
・引き渡しまでの設備最終チェックも忘れずに
ステップ6:売却後の税務手続き・確定申告 ・譲渡所得税の計算と確定申告
・取得費・経費の領収書整理
・各種特例の活用検討
・譲渡所得が出たら翌年2〜3月に確定申告が必要
・相続空き家なら税制特例の確認を
・申告に必要な資料は事前に整理

売却方法によって必要な作業や注意点が少しずつ異なるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.ステップ1:空き家の現状確認・売却準備

まず、空き家を売却するための準備が必要です。

【売却方法別ここが違う!】

  • すべての売却方法で共通して必要

3-1-1.必要書類の準備と相続登記

空き家の売却には、いくつかの重要な書類が必要です。

事前にこれらを揃えておくことで、不動産会社とのやりとりや売買契約時の手続きをスムーズに進めることができます。

【おもな必要書類】

  • 登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 土地・建物の固定資産税納税通知書
  • 間取り図、建築確認済証など(あれば)
  • 身分証明書、印鑑登録証明書

名義、地番、面積などの登記情報に間違いがないかも合わせて確認しておきましょう。

3-1-2.水道・電気・ガスなどライフラインの確認と整理

売却前の空き家でも、ライフラインは状況に応じて適切に対応する必要があります。

次のような点を確認して、整理しておきましょう。

  • 内見がある場合は「通電・通水状態」が望ましい
  • 長期空き家であれば、不要な契約は一時停止・解約の検討をする
  • 冬季は水抜きなど凍結防止策も必要

空き家が遠くにあって管理がむずかしい場合は、不動産会社や管理代行サービスとの連携も視野に入れておくと安心です。

空き家の管理会社については、「空き家を管理する会社はどこが良いのか比較してみた」で説明しています。

3-1-3.「相続登記」の手続き

相続によって取得した空き家は、「相続登記」が済んでいなければ売却することができません

また、相続した空き家を売却しない場合でも、2024年から相続登記が義務化されたため、未登記のまま放置していると過料が科される可能性があります。

空き家の所有者を亡くなった人から相続した人に変更していない場合は、速やかに相続登記の手続きをしましょう。

相続登記の手続きには、次のような書類が必要です。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍・住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書(複数の相続人がいる場合)

相続登記は自分で行うこともできますが、相続登記を司法書士に依頼する場合は、別途、司法書士への報酬として数万円〜10万円程度が必要です。

法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」

また、相続した空き家を売却する場合は、相続登記をして空き家の所有者の名義を正しく変更しておかなければなりません。

相続登記が済んでいないと、売買契約を結ぶことができないので注意が必要です。

【注意点】
2024年4月から相続登記が義務化されています。放置すると過料(罰金)が科されるリスクもあるため、早めに対応しましょう。

3-2.ステップ2:不動産会社に査定依頼・売却方法を決定する

次に、信頼できる不動産会社に相談し、物件査定を依頼します。

この段階で「買取にするか」「仲介にするか」「リフォーム・解体をするか」など売却方法の方向性も決めましょう。

【売却方法別ここが違う!】

  • そのまま買取の場合:「買取査定」に切り替えれば媒介契約は不要。あとの売却活動もすべて省略できる。
  • 委任売却の場合:「専属専任媒介契約+委任契約」で不動産会社に丸投げできる。
  • リフォーム・解体の場合:この時点で工事計画もあわせて相談しておく。
【注意点】
査定は1社だけでなく、複数社に依頼して比較するのがおすすめ。特に地方の空き家や特殊な条件がある場合は、空き家がある地域で売却に強い不動産会社を選ぶようにすることが大切。

3-2-1.媒介契約の種類と選び方

空き家を仲介で売却する場合は、不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれの特徴は、次の表のとおりです。

【媒介契約3種類の違いと特徴】
一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 できる できない できない
自分で買主を見つけること できる できる できない
媒介契約期間 特に決まりはない
(3ヵ月以内が望ましい)
3ヵ月以内 3ヵ月以内
レインズ(※)への登録義務 特に決まりはない 7日以内 5日以内
売主への報告義務 特に決まりはない
(任意で定めることも可)
2週間に1回以上 1週間に1回以上

※レインズ:不動産流通機構が運営している不動産情報システム。レインズに登録した物件情報は、全国の不動産会社が閲覧できる

空き家の売却では、一般媒介契約よりも、不動産会社がじっくりと売却に取り組むことができる「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を選ぶのがおすすめです。便利な立地の空き家で人気が高いと思われる場合は、一般媒介契約を結んで複数の不動産会社に競わせても良いでしょう。

委任売却の場合は、専属専任媒介契約を選びます。

媒介契約については、「【媒介契約とは?】3種類のうちどれがいい?失敗しない選び方も解説!」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

3-3.ステップ3:不用品の処分・清掃など

売却活動を開始する前に、空き家に残っている不用品処分や簡易清掃を行います。

リフォームや解体をする場合は、この段階で工事を進めます。

【売却方法別ここが違う!】

  • そのまま買取の場合:原則、不要(残置物があっても対応可能な場合が多い)。
  • 委任売却・通常仲介の場合:簡易清掃や最低限の整理はしておくと印象アップ。
  • リフォームして売却の場合:このタイミングで工事実施。
  • 解体して売却の場合:このタイミングで解体工事着手。
【注意点】
遠方に住んでいる場合は、不動産会社に「残置物撤去サービス」や「清掃代行サービス」があるか確認しておくと安心です。

3-3-1.不用品の処分と片付け

空き家には、不要になった家具や家電、日用品などの残置物がそのままになっているケースがよくあります。

これらが残った状態では、内見時の印象が悪くなり、査定額が下がる原因にもなりかねません。

  • 自力で片付ける場合:時間と体力が必要ですが、コストは抑えられます。分別や処分方法には各自治体のルールを確認しましょう。
  • 業者に依頼する場合:費用はかかりますが、短期間で確実に片付きます。買取の場合、処分もあわせて依頼できる場合も多いです。

整理整頓された状態にすることで、空き家のスムーズな売却活動につながります。

3-3-2.老朽化・破損部分の修繕や清掃

築年数が古い空き家でも、適切な清掃とちょっとした修繕で印象は大きく変わるものです。

たとえば、壁紙のはがれ、ドアの不具合、水回りのカビなど、小さな改善でも購入希望者への印象が良くなり、価格交渉を有利に進められる可能性があります。

3-3-3.空き家の解体が必要な場合の手続き

空き家の解体費用は、思ったよりもかかるものです。

多くの自治体では空き家解体に対して補助金・助成金制度があるので、解体するのであれば調べてみると良いでしょう。

また、空き家を解体したあとは、「建物滅失登記」をしなければなりません。

これは「建物がなくなった」ことを法務局に届け出るもので、売却や新築時に必須の登記です。

解体業者や不動産会社を通して、司法書士や土地家屋調査士に依頼することが多いですが、自分で申請することもできます。

法務局「建物を取り壊した」(建物滅失の登記をオンライン申請したい方)

3-4.ステップ4:売却活動(広告・内見・交渉)

仲介で売却する場合は、売却活動をして買い手を見つけなければなりません。

広告掲載、内見対応、購入希望者との交渉などを行います。

【売却方法別ここが違う!】

  • そのまま買取の場合:このステップ自体が不要。
  • 委任売却の場合:不動産会社がすべて代行。売主は対応不要。
  • 通常仲介・リフォーム売却・解体売却の場合:内見対応や条件交渉に売主も関与が必要。
【注意点】
売却活動のスピードや広告内容は、不動産会社のやる気次第で大きく差が出ます。専任媒介契約なら進捗報告をきちんと受けて確認しましょう。

3-5.ステップ5:売買契約・決済・登記移転・引き渡し

買主が決まったら売買契約を締結し、売却した空き家を引き渡します。

残代金の受け取りと所有権移転登記も同時に行います。

【売却方法別ここが違う!】

  • すべての売却方法で契約・引き渡し作業は必要。
  • 買取の場合は手続きがスムーズで、簡易なケースも多い。
【注意点】
空き家が遠方にある場合、郵送での契約や代理人対応が可能なケースもあります。不動産会社に事前確認をしておきましょう。

3-5-1.売買契約締結時に売主が準備するもの

売買契約の際に、必要となるものは、次の表のとおりです。

【不動産売買契約時に売主が用意すべきもの】
用意するもの 何に使うか どのように用意するか
①印鑑登録済みの実印 売買契約書に押印するときに使う 市区町村役所で実印を印鑑登録する
②印鑑登録証明書
(3ヵ月以内に発行したもの1通)
売買契約書に押印した印鑑の証明に使う 印鑑登録すれば発行できるようになる(役場窓口、コンビニなど)
③印紙税額分の収入印紙 印紙税として売買契約書に貼付する 郵便局・法務局などで購入できる
④本人確認書類 売主本人である証明に使う 運転免許証やマイナンバーカードなど写真付のもの
⑤登記済証(権利証)または登記識別情報通知 不動産の所有者である証明に使う 不動産取得時に受け取ったもの
⑥仲介手数料の半金 仲介した不動産会社への報酬 半額を契約時に、残りを引渡時に支払う
⑦固定資産税納税通知書 固定資産税や都市計画税の精算に使う 4月頃に市区町村役所から送付されてくる
⑧土地測量図や境界確認書 土地の境界確定に使う 測量図は法務局で取得する
ない場合は土地家屋調査士などに測量を依頼する

事前に不動産会社からリストを受取り、確認しながら準備しましょう。

売買契約をはじめ、あとで説明する決済や引き渡しについては、不動産会社の指示に従って進めれば問題はありません。

売買契約の締結時に必要となるものについては、「不動産売買契約で売主が用意する必要書類などをわかりやすく解説」で説明しているので、一読してみてください。

3-5-2.決済と引き渡しの流れと手続き

一般的な決済と引き渡しの流れは、次のとおりです。

  1. 買主が残代金を振り込む
  2. 登記申請書類を司法書士が提出する
  3. 売主が鍵や書類を引き渡す
  4. 領収証の発行・完了確認
  5. 鍵の引き渡しチェックリスト/設備の最終確認
  6. 諸費用の支払い(不動産会社や司法書士へ)

決済と物件の引渡しの流れについては、「残代金決済・物件の引渡し当日の流れと売主が用意すべきものを解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

3-6.ステップ6:売却後の税務手続き・確定申告

空き家の売却で利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年の確定申告で「譲渡所得税」の申告と納税をします。

譲渡所得税とは、不動産を売却して出た利益に対して課せられる所得税と住民税のことです。

【売却方法別ここが違う!】

  • すべての売却方法で共通して必要(利益が出た場合)。
【注意点】
相続した空き家を売却した場合は「3000万円特別控除」などの税制優遇が使えることもあります。早めに確認しておきましょう。

3-6-1.「譲渡所得税」の計算と税額を抑える方法

空き家の売却で得た利益に課せられる「譲渡所得税」は、売却益の全額に課せられるわけではありません。

実際に課税される「課税譲渡所得税」は、次の計算式で算出されます。

課税譲渡所得額 = 空き家の売却で得た利益の額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額

つまり、空き家の取得にかかった費用(取得費)が多ければ多いほど、課税譲渡所得の金額が低くなるため、節税できるというわけです。

取得費を証明するためには、空き家の売買契約書や仲介手数料などの領収書が必要です。「取得費」が証明できない場合は、売却した金額の5%相当額が取得費となります。

ほとんどの場合、売買契約書などで取得費を証明できるほうが、課税譲渡所得額を低くできます。あらかじめ探しておきましょう。

3-6-2.相続した空き家の売却で税額を抑える方法

相続した空き家を一定期間内に売却した場合は、相続税や譲渡所得税の特例や控除を受けられます

そのため、いずれ売却するのであれば、適用できる期間内に売るのがおすすめです。

相続した空き家を売却する際に適用できる控除や特例として、次のようなものがあります。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続した不動産を一定期間内(相続が発生した日から3年10ヵ月以内(相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)に売却するなどの要件を満たせば、相続税として支払った額の一部を取得費として計上できる特例。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続して売却した不動産が住まいとして使われていた場合、そこに住まなくなってから3年が経過する年の12月末までに売却するなどの要件を満たせば、譲渡所得額から最高3,000万円まで控除できるという特例。空き家を解体してから更地にして売却する際であっても、一定の要件を満たすと適用できる。

これらの特例は、適用できる期限が決まっているため、早めに行動を起こすことが大切です。

相続した空き家を売却する際の節税方法については、「相続した家を売るときにかかる税金を節税する方法についてまとめた」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。

3-6-3.確定申告の時期と必要書類

譲渡所得税の確定申告をする場合は、売却した翌年の2月16日〜3月15日が原則的な申告期間です。

確定申告の際には、確定申告の申請用紙以外に、次のような書類が必要になります。準備しておきましょう。

  • 売買契約書の写し
  • 登記簿謄本
  • 仲介手数料や登記費用の領収書
  • 譲渡所得計算書など

税理士への相談や、国税庁サイトの「確定申告書作成コーナー」活用も検討してみると良いでしょう。

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4.よくある質問(Q&A)

4-1.Q1. 空き家を手間をかけずに売りたい場合、ベストな方法は?

もっとも手間をかけずに売却できるのは、「現状のまま買取」してもらう方法です。査定後すぐに売買契約を結び、数日〜数週間で現金化できることが多く、不用品の処分も業者に任せられるケースがほとんどです。

また、売却価格をできるだけ下げたくない場合は、「仲介の委任売却」を選び、不動産会社に丸ごと任せる方法もおすすめです。

4-2.Q2. 相続登記をしていない空き家でも売却は可能ですか?

いいえ。相続登記(名義変更)が完了していないと、売買契約を結ぶことができません。空き家を売却するには、まず相続登記を済ませて、名義を相続人に変更する必要があります。

2024年から相続登記は義務化されているため、放置すると過料(罰金)が科されるリスクもあります。早めの対応をおすすめします。

4-3.Q3. 空き家に残っている家具や荷物の処分に困っています。どうすればいい?

「そのまま買取」で売却する場合は、不用品や残置物があってもそのまま買い取ってもらえることが多いです。

「仲介」で一般の買い手に売却する場合は、最低限の清掃・片付けをしておくことで、内見時の印象が良くなり、売却しやすくなります。不用品処分は、自力または専門業者への依頼で対応可能です。

4-4.Q4. 買取と仲介のどちらにするか迷ったらどうしたらいい?

売却にかけられる「時間」と「手間」と「希望金額」のバランスで選ぶのがポイントです。

  • できるだけ早く・ラクに売りたいなら「買取」
  • 多少時間がかかっても高く売りたいなら「仲介(委任売却含む)」

迷う場合は、信頼できる不動産会社に査定を依頼し、両方の方法について提案してもらったうえで比較するのが安心です。

4-5.Q5. 空き家を売った後の確定申告は必要ですか?

はい、必要です。

空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、売却した翌年に確定申告を行い、「譲渡所得税」の申告と納税をしなければなりません。

また、相続した空き家を売却した場合には、「3000万円特別控除」などの特例が使える可能性があるため、節税できる場合もあります。確定申告の前に、必要書類を整理しておきましょう。

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まとめ

この記事のポイントをまとめました。

  • 空き家を「そのままの状態で買取してもらう」のが、もっとも手間をかけずに売却できる方法
  • 「仲介」での売却は、時間がかかっても少しでも高く空き家を売りたい人におすすめ
  • 買取より高く売りたいけれども手間をかけたくない場合は、不動産会社に委任売却するという方法もある
  • 空き家の状態や売却希望額によっては、解体やリフォームしてから売却するのも一つの手
  • 「買取」や「仲介」以外に、空き家バンクを利用する、親族間売買する、隣地の所有者に売却するなどの方法がある
  • 空き家の売却の流れや売却にかかる費用は通常の不動産売却とほぼ同じだが、相続した空き家を売る場合は相続登記の手続きが必須
  • 空き家の売却益に「譲渡所得税」が課せられる場合は、特例や控除が適用できるかを確認する

空き家の売却方法は、大きく「仲介」と「買取」の2つに分けられますが、手間をかけずに売却したいのであれば、買取での売却がおすすめです。

一方で、時間がかかっても少しでも高く売りたい場合は、仲介での売却を選ぶと良いでしょう。

仲介と買取のどちらを選べば良いのかわからない場合や、信頼できる不動産会社を探したい場合は、ぜひ、無料&秘密厳守イクラ不動産でご相談ください。

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