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相続した家を売るときにかかる税金を節税する方法についてまとめた

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相続した家を売るときにかかる税金を節税する方法についてまとめた

相続した家を売却する予定なのですが、3年以内であれば節税する方法があると聞きました。
具体的にどういった内容のものなのでしょうか?

こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。

家を売ったときにかかる税金は、一般的に相続した日から3年10ヵ月以内に売却することで節税できる特例があります。

こちらでは、相続した家の売却にともなう税金の節税方法について説明します。

1.家を売るときにかかる税金

相続した家であっても、家を売るときには通常の売却と同じ税金がかかります。

家の売却でかかる税金は、印紙税と売却利益に対して課せられる所得税と住民税です。

1-1.印紙税

相続した場合に限らず、家を売るときの売買契約書には印紙税がかかります。

2022年3月31日までは印紙税の税率が軽減される措置がとられています。軽減後の税率は、売買金額に応じて次の通りです。

売買金額 印紙税額
100万円超〜500万円以下のもの 1,000円
1,000万円以下のもの 5,000円
5,000万円以下のもの 10,000円
1億円以下のもの 30,000円
5億円以下のもの 60,000円

(国税庁のHPより転載)

ただし、売主は写し(コピー)を保有することにすれば、印紙税を節約することもできます。

1-2.所得税と住民税(譲渡所得税)

家を売ったときに売却益(簡単に言えばもうけ)が出た場合は、所得税と住民税が課税されます。

有償か無償かに関わらず、資産を誰かに譲ることを譲渡といいますが、譲渡した資産で得た所得、つまり「売却益」は「譲渡所得」といわれるので、所得税と住民税はまとめて「譲渡所得税」といわれることもあります。

譲渡所得は、次の計算式で算出します。

譲渡所得の計算方法

譲渡価格 -(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

補足

譲渡価格:売却金額のこと。
取得費:売却した不動産の購入代金と仲介手数料や購入にかかった諸費用の合計額。建物は減価償却相当額を控除する。
譲渡費用:仲介手数料や売却にかかった諸費用の合計額のこと。

例えば、2,000万円で購入(仲介手数料60万円)した土地を、3,000万円で売却(仲介手数料90万円)した場合の譲渡所得は次のようになります。

なお、売買にかかった諸費用は仲介手数料のみとして計算します。

3,000万円 -{(2,000万円+60万円)+90万円}= 850万円

この850万円に対して、所得税と住民税が課税されますが、税率は不動産を所有していた期間によって異なります

不動産を売った年の1月1日時点で、その不動産の所有期間が5年を超える場合は次の「長期譲渡所得」の税率が、5年以下の場合は「短期譲渡所得」の税率がそれぞれ課税されます。

亡くなった方がその不動産を取得した日から、相続した方が売却した年の1月1日までの所有期間です。

所有期間
長短区分 短期譲渡所得 長期譲渡所得
期間 5年以下 5年超 10年超所有軽減税率の特例
居住用 39.63%
(所得税30.63%・住民税9%)
20.315%
(所得税15.315%・住民税5%)
課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%
(所得税10.21%・住民税4%)
課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315%
(所得税15.315%・住民税5%)
非居住用 39.63%
(所得税30.63%・住民税9%)
20.315%
(所得税15.315%・住民税5%)

(国税庁のHPより転載。※上記税率には、復興特別所得税(〜2037年)として所得税の2.1%相当が上乗せされています)

先ほどの例のように、850万円の譲渡所得が出た不動産の所有期間が5年以下だった場合、納税額は以下のようになります。

所得税:850万円×30.63%=2,603,550円

住民税:850万円×9%=765,000円

譲渡所得税合計:3,368,550円

注意

購入当時の売買契約書や建築請負書などを紛失してしまって取得費がわかならい場合は、取得費を「売却金額の5%」とする決まりがあります。

この方法を利用すると譲渡所得が引き上がり、結果として納税額が跳ね上がる可能性が高いです。

相続の場合は当時の資料を探すのに手間がかかるものです。お手元にない場合は、遺品整理などして必ず購入時の資料を見つけ出すようにしましょう。

2.相続した家を売るときの特例や控除を利用して節税する方法

家を売ったときにかかる税金は高額になることもありますが、相続した家を売る際には次の2つの特例や控除を利用することで節税できます。

ただし、適用の条件や期限には注意が必要です。また、この2つの特例と控除は併用ができないので、その点にもご注意ください。

2-1.①相続税の取得費加算の特例

名前の通り、取得費(不動産の購入金額とかかった費用の合計額)に何かを加算してくれるという特例です。

「相続税」も取得税に加算できます。

売却する家の相続時に相続税を納税した場合、その分を取得費に加算できるのが「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」、別名「相続税の取得費加算の特例」です。

この特例を使うことで、相続した人が支払った相続税のうち、売却したものに対応する部分の一定額の相続税を取得費に加算することができます。

]譲渡所得は、譲渡価格 -(取得費+譲渡費用)で求められるため、所得費が増えれば、その分、譲渡所得が減りますので、支払う税金も減るということになります。

2-1-1.取得費加算の特例を受けるための3つの要件

取得費加算の特例を受けるためには、次の要件をみたす必要があります。

  1. 相続や遺贈によって財産を取得した人
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年以内に売却していること

相続税の申告は、原則として被相続人(亡くなった方)が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっていますが、特殊な事情がある場合は、2ヶ月の範囲内で期間延長が認められています。

そのため、期間を延長した人としてない人で猶予期間の長さが異なるので、「相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年以内」となっています。

ただ、大半の方は「相続発生後3年10ヶ月以内」に売却すればよいと考えておけば問題ありません。

2-1-2.取得費加算する相続税額の計算方法

具体的な取得費加算額の計算方法は以下の通りです。

取得費加算額の計算方法

相続税額×{相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額÷(相続税の課税価格+債務控除額)}=取得費加算額

この計算で出た金額を取得費(不動産の購入金額とかかった費用の合計額)に加算する事で、特例を反映させた譲渡所得がわかります。

特例を反映させた計算は複雑になりますので、詳しくは税理士に相談するようにしましょう。

2-2.②相続空き家の3000万円特別控除

続いては、譲渡所得そのものを控除してくれる特例です。

相続した人が被相続人(亡くなった方)の住んでいたマイホームを売却する場合に譲渡所得から最大3000万円まで控除することができるのが、2016年に新設された「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。

この特例は、「相続空き家の3000万円特別控除」とも呼ばれます。

この控除の主な適用要件は次の通りです。

  • 昭和56年3月31日以前に建築された戸建
  • 売却の時点で一定の耐震基準を満たすこと、あるいは上記の条件の戸建を取り壊して更地にして売却すること
  • 相続開始から3年後の年末までの売却

まず、マンションは適用外になります。築年数とともに耐震基準や取り壊しが条件として指定されているのは、そもそも放置されたり、劣化していて危険だったりする空き家を減らすために作られた特例だからです。

適用までのイメージは、下記のイラストをご参照ください。

相続空き家の3000万円特別控除の適用条件

(出典:国土交通省)

この特例については「相続空き家の3000万円特別控除をわかりやすく説明する」でさらに詳しく説明していますので、併せてご覧ください。

まとめ

相続した家を売るときに節税するには、概ね「3年以内」に売却する必要があります。

とくに相続税が高かったり、売却益が多かったりする場合の節税効果は高いので、相続した家の売却時期については慎重に考える必要があります。

相続した家の売却については「相続した家の売却方法」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。

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