「買取」とは、家やマンション、土地などを不動産会社に直接買ってもらう不動産の売却方法です。
すぐに不動産を現金化できる便利な方法ですが、仲介で売却するよりも安くなるというデメリットもあります。
ここでは、買取とはどのような売却方法か、なぜ安くなるのか、どのような場合に買取がおすすめなのかなどについてわかりやすく説明します。
- 買取とはどのような売却方法なのか、仲介での売却との違いについて
- 不動産をすぐに現金化できるという買取のメリットと、価格が安くなってしまうという買取のデメリットについて
- 家やマンションを少しでも高く買取で売却するためのポイントと注意点について
- この記事はこんな人におすすめ!
- 家やマンションの売却予定があり、買取の利用を考えている人
- 買取の仕組みや買取を利用するときの注意点を知りたい人
- できるだけ高く家やマンションを買取してもらうためのコツを知りたい人
1.買取とはどのような売却方法か
買取とは、不動産会社を介して一般の人に売却する「仲介」と違って、不動産会社が直接あなたのお家を買い取る売却方法です。
まず、買取の仕組みやメリット、デメリットなどについて説明します。
1-1.買取では売る相手が不動産会社になる
買取では、家やマンションを売る相手が不動産会社になります。これに対して、仲介で売却する際の売る相手は一般の消費者です。
読み終わった本を売る場合、古本屋さんに買い取ってもらう方法とフリマアプリなどで自分で売る方法がありますが、買取と仲介とは、ちょうどそのようなイメージになります。
古本屋さんに買い取ってもらうのが「買取」、フリーマーケットで一般の買い手を探すのが「仲介」です。
仲介については、「不動産仲介とは?家を希望に近い価格で高く売却できる方法を解説!」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
1-2.買取のメリット
不動産買取には、仲介で売却するのとは異なる特徴やメリット、デメリットがあります。
まず、買取を利用するメリットについてみてみましょう。
1-2-1.すぐに不動産を現金化できる
買取の場合、買主を探す必要がないのですぐに現金化できます。
仲介で売りに出したら、売れるまで数ヵ月~半年程度かかってしまう物件でも、買取なら最短数日〜1週間程度で売ることも可能です。
1-2-2.周りに知られずに売れる
買取を利用すれば、SUUMOやLIFULL HOME’Sなどの物件情報サイトにお家の情報を公開せずに、直接不動産会社に買い取ってもらうことができます。
そのため、お家を売りに出していることや、売買が成立したことを周囲に知られることがありません。
1-2-3.契約不適合責任(瑕疵担保責任)が免除される
仲介で一般の買い手に売却した場合は、家に不具合や問題があれば契約不適合責任を問われますが、買取での売却は買主が業者になるため、売却後の売主の責任が免除されます。
もし、売った家に雨漏りなどや傾きなどの不具合が生じた場合でも、修繕費などの費用を売主が負担する必要がありません。
そのため、古い家を売る場合など、安心です。
1-2-4.見学(内見)対応が不要
仲介の場合は、購入希望者が室内を内見をする際に、その都度対応しなければなりません。
しかし、買取の場合であれば、査定のとき一度だけ不動産会社に見てもらうだけで済むため、手間もかからず気が楽です。
1-2-5.仲介手数料がかからない
不動産会社や買取業者に直接買い取ってもらう場合は、仲介手数料がかかりません。
3,000万円の家を仲介で売却した場合、上限額が100万円近くの仲介手数料がかかりますが、一般的な買取であれば不要です。
ただし、不動産会社から買取業者を紹介してもらった場合には仲介手数料がかかる場合もあるため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
1-3.買取のデメリット
買取のデメリットについても、確認しておきましょう。
1-3-1.売却価格が安くなる
買取のデメリットとしてまずあげられるのが、仲介で売却するよりも価格が安くなる点です。
不動産会社は、マンションや家を買い取ったあとに市場価格で売却するためにリフォームなどを施すため、買取価格がどうしても安くなってしまいます。
物件の状態によって異なりますが、一般的には仲介で売却する場合の6〜7割ぐらいです。つまり、仲介だと2,500万円程度で売却できる物件が、1,700〜1,800万円程度になってしまうのです。
買取の価格の仕組みについては、後ほどくわしく説明します。
1-3-2.物件によっては買い取ってもらえない場合がある
もう一つの買取のデメリットは、物件によっては買い取ってもらえない場合がある点です。
仲介で売り出した場合は、一人でも「買いたい」という購入希望者が現れれば取引が成立しますが、買取の場合は、不動産会社や買取業者が「買い取れない」と判断すれば売ることができません。
「どのような物件でも買取します」と謳っている不動産会社や買取業者もありますが、買い取っても再販できる見込みがない物件の場合は、買取額よりも高い手数料がかかることもあります。
2.買取の価格について
次に、買取で売るとなぜ安くなるのか、不動産会社によって買取の査定額がぶれるのはなぜかなど、買取の価格についてくわしく説明します。
2-1.なぜ買取は仲介での売却より安くなるのか
不動産会社や買取業者による買取は、購入した家やマンションなどの不動産を再販して利益を出すことを目的としています。
たとえば、不動産の相場価格が3,000万円とした場合、買取価格のイメージは次のとおりです。
相場価格とは、現時点で「仲介」で売りに出した場合、一般消費者に売却できると考えられる価格です。
相場価格から、買取にかかる経費と不動産買取の利益分を差し引いた金額が買取価格となるため、買取価格の方が仲介価格よりも安くなってしまうのです。
買取にかかる経費としては、次のようなものがあげられます。
- 登記費用(登録免許税)【税金】
- 不動産取得税【税金】
- 印紙代(印紙税)【税金】
- 固定資産税・都市計画税→【税金】
- 管理費・修繕積立金→【マンションの場合】
- 仲介手数料→【かかる場合とかからない場合がある】
- リフォーム代・解体費用等→【築年数が古い場合】
- 金利→【不動産会社が銀行にお金を借りて買取する場合、金利が発生する】
不動産会社の再販による利益の目安は、大手不動産買取会社で相場価格の10〜20%です。つまり、利益と経費を差し引くと、相場価格の60%〜70%が買取価格のおおよその目安になります。
不動産会社に査定してもらうと、相場価格を出してもらえるので買取額の目安をつけることが可能です。
また、不動産会社に行かなくても、イクラ不動産の価格シミュレーターを使えば、無料&秘密厳守で簡単に素早く相場価格を調べることができます。
2-2.不動産会社によって買取の査定額がぶれる理由
買取の査定額は、物件の築年数や状態、不動産会社によって大きくぶれます。
相場価格と買取価格の差のイメージは、次の図のとおりです。
一般的に、築年数が古くなるほど再販のためにかける費用が多くなるため、相場価格と買取価格の差のブレは大きくなります。
そのため、買取価格が相場価格に比べてどれくらい安くなるかは、不動産会社が買い取って再販する際の費用をいくらかけるかによって変わってくると言えるでしょう。
3.買取による売却がおすすめの場合
具体的には、次のようなケースだと買取による売却がおすすめです。
- 急いで現金化する必要がある方
- 周囲に売ることを知られたくない方
- 築年数が相当古い物件
これらの中でも買取がおすすめのケースは、すぐ家やマンションを現金化したい場合です。
3-1.買取は今すぐお金が必要な人におすすめ
「買取」がおすすめなケースとして、まず「今すぐにどうしてもお金が必要だから」という場合があげられます。
「仲介」を選んだ場合、売り出してから3ヵ月程度で売買契約を結ぶことができれば早いほうです。しかも、契約のときに売却代金を受け取れるわけではなく、売買契約締結後、買主の住宅ローンの契約等を行い、決済の時に手付金を除く売却代金をやっと受け取ることができます。
売買契約のときに受け取れるお金については、「家を売ったらお金はいつもらえる?」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
そのため、「仲介」での売却を選んだ場合、売却活動がスタートしてから、早くても現金化におよそ3〜4ヵ月ぐらいかかると考えておく必要があります。
しかし、「買取」であれば、直接不動産会社が購入するので、早ければ数日で現金を手にすることが可能です。
3-2.周囲に知られずに家を売りたい人にもおすすめ
「家やマンションの売却を周囲に知られたくない」という場合も、買取金額に納得できるのであれば買取がおすすめだと言えます。仲介だと、どうしてもインターネットやチラシによる売却の広告や宣伝が必要になるからです。
売却活動だけでなく、購入希望者による内見が何度も行われることもないため、近所の人に売却を知られることもほとんどありません。
3-3.築年数が古くリフォームが必要な場合もおすすめ
「築年数が相当古く、リフォームやリノベーションが必要」な場合も「買取」がおすすめです。
築年数が古い物件を購入してリノベーションすることを検討している一般の購入希望者の場合、実際に古い物件を見たとしても、なかなかリフォーム後の室内をイメージすることはできません。
その結果、不動産会社が買い取ってきれいにした家やマンションを購入するケースが多いのです。
このように考える方もいるかもしれませんが、売却する家に何百万円もかけてリフォームするのは考えものです。さらに、リフォームしても、何ヵ月も不動産が売れない状況が続くこともあるため、あまりおすすめではありません。
リフォームすべきかについては、「お家を売る前にリフォームするべき?それともそのまま売却するべき?」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
4.できるだけ高く買い取ってもらうためのコツと注意点
最後に、家やマンションを少しでも高く買い取ってもらうためのコツと注意点について説明します。
4-1.複数の不動産会社に買取査定を依頼して競わせる
まず、大切なのは「複数の不動産会社に買取査定を依頼する」ことです。
「仲介」での売却額と同じ額で買取してもらうことはまず不可能ですが、複数の不動産会社や買取業者に査定を依頼し、オークション形式で不動産会社を競わせることで、できるだけ高く買取してもらうことができます。
つまり、1円でも一番高く買取価格を提示してくれた会社に買ってもらえば良いのです。
そのためにも、複数の不動産会社に査定をしてもらって比較しましょう。
4-2.最終的に手元に残る額で判断する
もう一つのコツは、「最終的に手元に残る額で判断する」ことです。
買取をしている不動産会社には、先に述べたように「仲介手数料がかかる会社」と「仲介手数料がかからない会社」があります。しかし、もし仲介手数料が発生したとしても、最終的に手元に残る額が多くなれば、結果としては良いと言えるでしょう。
そのため、不動産会社や買取業者に買取査定を依頼した場合は、必ず次の3つの質問をするようにしてください。
- 買取価格はいくらなのか?
- 仲介手数料は必要なのか?
- 結局、手取りはいくらになるのか?
できるだけ高く買取してもらう方法については、「買取で家を高く買い取ってもらうコツとは?元不動産屋が教えます!」でよりくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
買取を利用して少しでも高い価格で家やマンションを売却するコツは、1社でも多くの不動産会社に買取価格を提示してもらうことです。
イクラ不動産を使えば、無料&秘密厳守でお家の相場額がわかるだけでなく、売却に強い不動産会社や買取が得意な不動産会社を選べます。ぜひご利用ください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 買取とは、不動産会社が直接あなたのお家を買い取る売却方法で、一般の消費者から買い手を探す仲介とは異なり、買い手が不動産会社になる
- 買取のメリットは、すぐに売却して現金化できる点。一方、デメリットは、仲介で売却するよりも3割程度安くなってしまう点
- 買取がおすすめなのは、次のようなケース
・急いで現金化したい
・周囲に売ることを知られたくない
・家の築年数がかなり古い - 少しでも高く買い取ってもらうコツは、次の2点
・オークション形式で複数の不動産会社を競わせる
・最終的に手元に残る額で不動産会社を決める
買取は、不動産をすぐに現金化できる便利な売却方法ですが、売却額が安くなるというデメリットがあります。買取を選ぶ場合は、まずそのことを踏まえておくことが大切です。
また、売却方法として「買取」を選ぶにしても「仲介」を選ぶにしても、重要なポイントがあります。
それは、相場価格を知っておくことです。
「買取」にしても「仲介」にしても、基準となっているのは相場価格です。
相場価格と予想している価格が大きく違うと、「買取」か「仲介」かを選ぶことができません。
すぐに現金化を急ぐあまり、相場価格を知らないまま、不動産会社に不当に安い金額で買取されてしまうといったことも起こり得ます。
自分のお家の相場価格がいくらなのかを先に知っておくことは、とても重要です。
相場価格や買取価格を知りたい場合は、ぜひ、無料&秘密厳守で簡単にお家の査定価格がわかる「イクラ不動産」を利用してみてください。
買取してくれる不動産会社を複数選ぶことができ、さらに不動産売却でわからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフにいつでも相談できるので、安心して売却を進めることができます。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
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