「相続した実家が空き家になっているけど、このままでいいの?」「空き家を売りたいけど、どうやって進めればいいのか分からない…」こうした悩みを抱える方は少なくありません。
空き家の売却は一般の不動産売買とは異なる注意点があり、特に不動産売却が初めての方にとってはハードルが高いものです。
この記事では、空き家の売却で悩んでいる方に向けて、空き家売却方法の基本から実践的なノウハウまで、やさしく解説しています。
【この記事で具体的にわかること】
- 空き家の売却方法と選び方、売却の流れなどがわかる
- 売れやすい空き家と売れにくい空き家の特徴がわかる
- 空き家の売却や売却方法について、よくある疑問とその回答がわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 相続した空き家や放置した空き家がある人
- 空き家をどう売却すれば良いかわからずに困っている人
- 空き家の売却で失敗したくない人
不動産売却について基本から解説
- 田舎にある空き家の放置を何とかしたい!失敗しない売却方法についてまとめた
- 空き家や古い家付きの土地は更地にして売却すべき?判断基準をご紹介
- 空き家管理サービスの比較と選び方を紹介!空き家は売却がおすすめの理由も解説
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もくじ
1.空き家の売却方法は「仲介」と「買取」の2つ
3つのポイント
- 「仲介」とは、不動産会社に買い手を探してもらう売却方法
- 「買取」とは、不動産会社や買取業者に直接買い取ってもらう方法
- 時間がかかっても高く売りたい場合は「仲介」、安くなってもすぐに現金化したい場合は「買取」を選ぶのがおすすめ
空き家を売却する方法は、大きく分けると「仲介」と「買取」の2つです。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選ぶことがスムーズな空き家売却への近道です。
ここでは、仲介と買取の特徴やメリット、デメリットを比較しながら、選び方のポイントを解説します。
1-1.「仲介」と「買取」の違い
まず、仲介での売却と買取での売却の違いを確認しましょう。
1-1-1.「仲介」で売却するとは?
「仲介」とは、不動産会社に売却を依頼して買い手を探してもらい、物件を売却する方法です。
【仲介の特徴】
- 売却価格は市場価格に近くなりやすい(高く売れる可能性あり)
- 広告・内見・価格交渉などが必要
- 売却完了までに時間がかかる(数ヶ月〜半年)
【仲介が向いている人】
- 少しでも高く売りたい
- 売却を急いでいない
- 建物や立地にある程度の魅力がある
仲介については、「不動産仲介とは?家を希望に近い価格で高く売却できる方法を解説!」でくわしく説明しているので、参考にしてみてください。
1-1-2.買取で売却するとは?
「買取」とは、不動産会社や専門の買取業者が、直接空き家を買い取る方法です。
一般の買い手を探す必要がないため、手続きが非常にスピーディで、すぐに空き家を現金化できます。
【買取の特徴】
- 売却までが早い(最短1〜2週間で現金化も可能)
- 内見対応や瑕疵担保責任が不要
- 買取価格は市場相場より2〜3割程度低くなることが多い
【買取が向いている人】
- 早く売却したい・現金化したい
- 建物が傷んでいて仲介では売りにくい
- できるだけ手間をかけずに売りたい
買取については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」で説明しています。ぜひ読んでみてください。
1-2.仲介と買取との比較と選び方
仲介と買取を比較してまとめたものが、次の表です。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
売却価格 | 高く売れやすい(相場価格に近い額) | 安くなりやすい(相場価格の7割程度) |
売却スピード | 数ヵ月〜半年程度(買い手が見つかるまで) | 数日〜数週間程度 |
手続きの手間 | やや多い | 少ない |
仲介手数料 | 必要 | 不要 |
瑕疵担保責任(※) | 基本的に必須 | 免責できる場合が多い |
向いている人 | 時間に余裕があり、少しでも高く売りたい人 | 少しでも早く、確実に売りたい人 |
※瑕疵担保責任:売却した不動産に不具合や欠陥(瑕疵)があった場合、売主が買主に対して負う責任のこと
仲介か買取かで迷ったときは、次のポイントで選ぶと良いでしょう。
- 売却価格を重視したい → 仲介
- 早さ・手間を重視したい → 買取
- 築年数が古く、買い手がつきにくい空き家 → 買取がおすすめ
- 立地や状態に自信がある空き家 → 仲介がおすすめ
また、「まず仲介で売り出して、一定期間売れなければ買取に切り替える」という柔軟な方法を取ることも可能です。
2.空き家の売却の流れと売却にかかる費用
3つのポイント
- 空き家の売却の流れや売却にかかる費用は、通常の不動産売却とほぼ同じ
- 相続した空き家を売却する場合は、相続登記の手続きと費用が必要
- 空き家の売却にかかる費用を抑えるには、特例や控除、助成金を上手に活用すると良い
空き家の売却は、基本的には通常の不動産売却と変わりません。ただし、相続した空き家の場合だと、登記名義人の確認や相続登記が必要です。
ここでは、空き家を売却する際の流れと売却にかかる費用を確認しましょう。
2-1.空き家売却の流れを6ステップで解説
不動産会社の仲介で空き家を売却する際の流れを大まかに分けると、次の6つのステップになります。
空き家売却の流れ | 必要な期間 | 売主がやるべきこと |
---|---|---|
①空き家の状況を確認 | 数週間〜数ヵ月程度 | ・空き家の登記名義人を確認する(必要に応じて相続登記をする) ・空き家の境界やインフラを確認する |
②情報収集・不動産会社選び | 1ヵ月程度 | ・相場価格や不動産会社の情報を調べる ・不動産会社を選んで媒介契約を結ぶ |
③売却活動・買い手探し | 〜数ヵ月(買い手が現れるまで) | ・内見の対応をする(不動産会社に任せることも可能) |
④売買契約・手付金受け取り | ・買い手と売買契約を結ぶ ・手付金を受け取る |
|
⑤引き渡し・残金の受け取り | 契約締結〜1カ月程度 | ・残代金を受け取る ・引き渡しをする |
⑥税金処理と確定申告 | 売却した翌年の2月〜3月ごろ | ・空き家を売却して利益が出た場合は、確定申告をする |
基本的な流れは、通常の不動産売却と変わりません。
空き家の場合だと、③の売却活動においては、不動産会社に鍵を預けておけば、内見対応をしなくても大丈夫です。
特に、空き家が遠方にある場合などは、信頼できる不動産会社に売れるまでの管理とあわせて任せておくと良いでしょう。
2-1-1.相続した空き家の売却には「相続登記」が必要
相続した空き家の場合は、空き家の名義と現状の確認が不可欠です。空き家の名義を亡くなった人から相続した人に変更する「相続登記」を済ませていないと、相続した空き家を売却できません。
売却の予定がなくても、相続登記は義務化されたため、まだの場合は、すみやかに手続きをしましょう。
相続登記については、「相続した家の売却に必要な相続登記とは?手順と義務化についても解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
2-1-2.「買取」だと、買い手探しが不要
買取で売却する場合は、③の「売却活動・買い手探し」が不要です。
不動産会社と買取の条件さえ整えば、すぐに売買契約を締結して空き家を現金化できます。
ただし、先に説明したとおり、売却額は相場価格の7割程度になってしまうことが多いです。売却スピードと売却額、どちらを重視するかで仲介と買取を選ぶようにしましょう。
2-2.空き家の売却でかかる費用
空き家を売却する際は、通常の不動産売却と同じように費用がかかります。
まず、必ずかかる費用としてあげられるのは、次の表のとおりです。
内容 | 目安の額 | |
---|---|---|
仲介手数料 | 仲介で売却した場合、不動産会社への報酬として支払う。買取の場合は不要 | 仲介手数料の上限額:売買価格の3% + 6万円(税別) ※売買価格が400万円を超える場合 |
印紙税 | 売買契約書に課せられる | 売買額が1,000万円を超え〜5,000万円以下だと軽減税率で1万円(※2027年3月末まで) |
登記費用 | 所有権移転登記を司法書士に依頼した場合の報酬 所有権移転登記の登録免許税は買主が負担することが多い |
3万〜5万円程度 |
印鑑登録証明書の発行費用 | 売買契約書に押印する印鑑の証明用 | 数百円 |
※2027年(令和9年)3月31日までは軽減税率適用
(国税庁HP「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」)
かかる場合がある費用としてあげられるのは、次の表のとおりです。
内容 | 目安の額 | |
---|---|---|
相続登記費用 | 相続した空き家を売却する場合は、相続した人への名義変更が必要 | 相続登記の登録免許税は、空き家の評価額×1000分の4 司法書士への報酬として、5万〜11万円程度 |
測量費用 | 空き家の敷地の境界線を確定するために必要な場合ある | 空き家の規模や評価額によるが、10万〜30万円程度のことが多い |
解体費用 | 建物が古すぎるため、売却前に解体して更地にする際に必要 | 建物の大きさや立地により異なるが、50万〜200万円程度のことが多い |
修繕・リフォーム費用 | 売却前に物件の状態を改善する場合に必要 | 修繕やリフォームの規模によるが、数万〜200万円程度のことが多い |
譲渡所得税 | 空き家の売却で利益が出た場合、次の年に確定申告をして納税する | 売却益の約15%程度(長期譲渡・短期譲渡で税率が異なる) |
これらの空き家の売却にかかる費用は、物件の状態や売却方法によって異なりますので、売却前にきちんと把握し、計画的に準備を進めることが大切です。
2-3.空き家の売却で税金や費用を減らす方法
空き家を売るときにかかる費用や税金は、少しでも減らしたいものです。
ここでは、空き家の売却にかかる税金や費用を抑える方法を紹介します。
2-3-1.空き家の売買契約書などを探しておく
先の表で説明したとおり、空き家を売却して利益(譲渡所得)を得た場合は、翌年に確定申告をして「譲渡所得税」を納める必要があります。
用語解説
- 譲渡所得税とは……不動産を売却して出た利益に対して課せられる所得税と住民税のこと。売却額に対して課せられるのではなく、売却額からその不動産の取得額や売買にかかった費用などを差し引いた額(利益額)に、所有年に応じた税率を乗じて算出される。
しかし、「譲渡所得税」は、売却益の全額に課せられるわけではありません。
実際に課税される「課税譲渡所得税」は、次の計算式で算出されます。
課税譲渡所得額 = 空き家の売却で得た利益の額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額
つまり、空き家の取得にかかった費用(取得費)が多ければ多いほど、課税譲渡所得の金額が低くなるため、節税できるというわけです。
取得費を証明するためには、空き家の売買契約書や仲介手数料などの領収書が必要です。「取得費」が証明できない場合は、売却した金額の5%相当額が取得費となります。
ほとんどの場合、売買契約書などで取得費を証明できるほうが、課税譲渡所得額を低くできます。あらかじめ探しておきましょう。
2-3-2.「空き家特例」や「取得費加算の特例」を活用する
相続した空き家を売却して利益が出た場合も、譲渡所得税を支払わなければなりません。
また、相続した空き家の価値によっては、相続税が課せられる場合もあります。
しかし、相続した空き家を一定期間内に売却した場合は、相続税や譲渡所得税の特例や控除を受けられます。
そのため、いずれ売却するのであれば、適用できる期間内に売るのがおすすめです。
相続した空き家を売却する際に適用できる控除や特例として、次のようなものがあります。
相続した不動産を一定期間内(相続が発生した日から3年10ヵ月以内(相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)に売却するなどの要件を満たせば、相続税として支払った額の一部を取得費として計上できる特例。
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
相続して売却した不動産が住まいとして使われていた場合、そこに住まなくなってから3年が経過する年の12月末までに売却するなどの要件を満たせば、譲渡所得額から最高3,000万円まで控除できるという特例。空き家を解体してから更地にして売却する際であっても、一定の要件を満たすと適用できる。
これらの特例は、適用できる期限が決まっているため、早めに行動を起こすことが大切です。
相続した空き家を売却する際の節税方法については、「相続した家を売るときにかかる税金を節税する方法についてまとめた」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
空き家を相続して、「いつまでに売るべき?」「何をしておけばいい?」「なるべく税金がかからないように売りたい」などのお悩みがある場合には、相続物件の売却に強い不動産会社に依頼するのがおすすめです。
イクラ不動産では、不動産会社の売却実績だけでなく、その不動産会社が相続物件の売却に強いかどうかも確認できます。
さらに、売却前や売却中にわからないことや不安なことがあれば、イクラ不動産の専門スタッフにいつでも無料で相談できるので安心です。
2-3-3.空き家を解体する場合は補助金や助成金を探してみる
空き家を解体する場合は、空き家がある自治体の補助金などを申請することで、費用の負担を減らせることがあります。
たとえば、群馬県高崎市では「高崎市空き家緊急総合対策」として、周囲に危険を及ぼす恐れのある空き家の解体費用の5分の4(100万円まで)の助成金を申請できます。
多くの場合、手続きや対象要件が細かく決められているので、空き家がある自治体のホームページなどで補助金や助成金について確認してみると良いでしょう。
3.売れやすい空き家、売れにくい空き家とは?
3つのポイント
- 売却しやすい空き家の特徴は、立地が良い、建物の劣化が少なくリフォームしやすい、きちんと管理されている、など
- 売却しにくい空き家の特徴は、再建築不可、劣化が激しく解体が必要、境界トラブルや未登記部分がある、など
- 空き家の売れやすさは、登記の名義人、土地の境界、立地、再建築不可でないか、などをチェックする
空き家の売却をためらっている人の中には、「こんな家でも買い手が見つかるのか?」と不安に感じている方も多いでしょう。
結論から言えば、ほとんどの空き家は売却可能です。
ただし、いくつかの条件や状況によって「売れやすい空き家」と「売れにくい空き家」に分かれます。
ここでは、空き家の売却が可能かどうかを見極めるためのポイントを確認していきましょう。
3-1.売却しやすい空き家の特徴とは?
次のような条件が揃っている空き家は、比較的スムーズに売却しやすい傾向があります。
- 立地が良い(駅からの距離・生活利便性など)
- 土地が広く整っている(建て替えしやすい)
- 建物の劣化が少なくリフォームしやすい状態
- 再建築不可などの法的な問題がない(登記・境界・接道要件がクリア)
- 定期的に管理されており、荒れていない
最近では、空き家をリノベーションして活用したいという需要も高まり、築古物件にも一定のニーズがあります。
3-2.売れにくい空き家の傾向とは?
一方、次のような条件に当てはまる空き家は、売却が難航する可能性があります。
- 接道義務を満たしていない(再建築不可※)
- 建物が老朽化しすぎていて解体費用が高額になる
- ゴミや家財が大量に残されている
- 境界トラブルや未登記部分がある
- 地盤や災害リスクなど、土地そのものに課題がある
※再建築不可:現在の建築基準法を満たしていないため、建物を取り壊すと、新しい建物を建てることができない物件のこと
ただし、これらに該当する場合でも、売却が不可能というわけではありません。
あとで説明する「買取専門業者に依頼する」「解体して更地にして売る」「空き家バンクを活用する」など、売却の道は複数あります。
3-3.空き家の売れやすさをチェックするポイント
次の表にあげている点をまず確認しておくことで、自分の空き家が売れるかどうかを判断しやすくなります。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
空き家の登記の名義は誰になっているか? | 相続登記が未了など、登記の名義人でないと売却できない |
空き家の境界は明確になっているか? | 隣地の所有者などとのトラブルの原因になることも |
接道条件を満たしているか? | 再建築の可否に直結する |
空き家の周辺環境・立地はどうか? | 買い手のニーズに影響大 |
これらのチェックポイントを確認したうえで、空き家が売れやすい状態かどうかを冷静に確認しましょう。
「空き家の売れやすさ」を客観的に見極めることが、空き家の売却方法を選ぶ最初の一歩としてとても大切です。
4.空き家の売却で得られる4つのメリット
3つのポイント
- 空き家を売却すると管理にかかる維持費や労力、税金がかからなくなる
- 空き家を売却すると防犯面や衛生面などの心配がなくなる
- 経年劣化で資産価値が下がる前に売却すると手元に入るお金が少しでも多くなる
ここでは、空き家を売却することで得られるメリットについて説明します。
4-1. 固定資産税や管理費用がかからなくなる
空き家を売却するメリットとして、まず、空き家の固定資産税や管理にかかる費用が不要になる点があげられます。
どのような不動産であっても、毎年1月1日時点での所有者に対して、固定資産税が課せられます。空き家であっても同様です。
さらに、空き家を適切に管理するためには、定期的に空気を入れ替えたり清掃をしに行ったりしなければなりません。庭がある場合には、草刈りなども必要でしょう。
これらの管理を自分でする場合は、交通費や手間がかかるだけですが、管理業者に委託するとそれなりの費用が必要です。
空き家を売却すれば、これらの出費や労力を抑えることができます。
空き家の売却にかかる費用については、「空き家の売却費用は?売らない場合の維持管理の費用と比較してみた」でくわしく説明しています。ぜひ読んでみてください。
4-2. 防犯面、衛生面での不安がなくなる
2つ目の空き家売却のメリットとしてあげられるのは、防犯面や衛生面での不安がなくなり、近隣住民とのトラブルが避けられる点です。
適切な管理や清掃を怠ると、雑草がはびこって害虫や害獣が住み着きかねません。それにより、隣家や周囲に迷惑が及ぶこともあります。
また、不審者が侵入したり犯罪に使われたりするなどの防犯面でも心配です。
空き家で何か問題が生じた場合は、所有者の責任になります。
空き家を売却すれば、このような防犯面や衛生面での不安を払拭することができるのでおすすめです。
4-3. 特定空き家に指定される心配がなくなる
3つ目の空き家売却のメリットとして、特定空き家に指定される心配がなくなる点があげられます。
「特定空き家」とは、2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」により、次のいずれかに該当すると見なされた空き家のことです。
- 倒壊などの危険がある状態
- 著しく衛生上に問題がある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- 放置することが不適切である状態
参考:国土交通省「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」
特定空き家になると、宅地に適用されていた「住宅用地の軽減措置」が適用されなくなるため、固定資産税の額が上がります。
さらに、行政から指導や勧告を受けても改善が見られない場合は、行政代執行により強制的に建物を解体されることもあり、強制解体された場合の費用の請求先は、当然、所有者です。
空き家を売却すれば、このような特定空き家に指定される心配がなくなります。
空き家になる前にできることについては、「空き家予備軍とは?「空き家」になる前にとるべき対策を解説!」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
4-4. 経年劣化と共に価値が下がる前に処分できる
4つ目の空き家売却のメリットは、経年劣化で資産価値が下がる前に、少しでも高く売ることができる点です。
空き家であっても、築年数が経てば経つほど資産価値が下がっていきます。そのため、いざ売ろうとしたときに、思っていた以上に安くなっていたという場合もあるため注意が必要です。
「いずれ売るつもりだけど、今すぐ売るのは面倒だ」と放置し続けていると、資産価値はどんどん下がってしまいます。
さらに、その期間の固定資産税や維持、管理費がかかるため、結果として大きく損をすることになりかねません。
将来的に売却予定があるならば、放置期間を短くするためにも、できるだけ早めに売却するほうが良いでしょう。
イクラ不動産を利用すれば、不動産会社の売却実績だけでなく、その不動産会社が空き家の売却に強いかどうかもわかります。さらに、イクラ不動産独自の価格シミュレーターを使えば、無料&秘密厳守で、簡単に相場価格を調べることが可能です。
さらに、売却前や売却中にわからないことや不安なことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラ不動産の専門スタッフにいつでも無料で相談できるので、安心して売却を進めることができます。
5.空き家の売却と売却方法の疑問を解決!
最後に、空き家の売却や売却方法でよくある疑問と、その疑問に対する回答を紹介します。
5-1.空き家は解体して更地にしてから売却すべきなの?
古くて傷みが激しい空き家の場合、解体して更地にしてから売却するケースも多いです。
ただし、自己判断ですぐに解体するのは禁物です。「古家付き土地」として売却できる場合もあるので、必ず売却を依頼する不動産会社と相談してからにしましょう。
5-1-1.更地にしてから売却するメリットとデメリット
空き家を解体して更地として売却する場合のメリットとデメリットをまとめました。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
古い建物があるよりも更地のほうが、活用の幅が広がるため売れやすくなる場合があります。ただし、解体には費用がかかるため、その分で損にならないように試算しておくことが大切です。
また、家が建っている宅地の固定資産税は、「住宅用地の軽減措置」という制度によって安くなっており、建物を取り壊してしまうとこの制度が適用されなくなり、固定資産税が上がります。
そのため、空き家を解体して更地にしてから売却する場合は、いつ取り壊すかを不動産会社と相談してから決めるようにしましょう。
5-1-2.空き家を解体して更地にする流れと費用
空き家を解体して更地にする大まかな流れは、次のとおりです。
空き家を解体する流れ | やるべきこと |
---|---|
①現地確認 | 解体業者に現地を確認してもらう |
②見積書の作成 | 解体にかかる費用の見積もりを出してもらう |
③解体工事準備 | 足場を組立てたり、近所にあいさつをしたりする |
④解体工事開始 | 解体工事開始。入居者が決まれば、賃貸借契約を締結する |
⑤工事完了・整地 | 解体工事後、整地をして完了 |
解体工事にかかる期間は10日〜数週間ですが、前後の準備や片付けなどを考慮すると一般的に、1〜2ヵ月程度の期間が必要になります。
また、解体にかかる費用は、建物の構造や大きさ、解体方法などによりますが、おおよその目安は、次の表のとおりです。
建物の構造 | 1坪あたり | 40坪の家の場合 |
---|---|---|
木造 | 4〜5万円程度 | 160〜200万円程度 |
鉄骨造 | 6〜7万円程度 | 240〜280万円程度 |
鉄筋コンクリート造 | 6〜8万円程度 | 240〜320万円程度 |
ただし、次のような場合は、さらに費用がかかります。
- 解体工事がやりにくい立地に家が建っている
- 地中に埋蔵物がある
- 地盤改良が必要
このように、空き家の解体にはかなりの費用がかかります。
解体費用と売却費用とをしっかりと試算して、更地にして売却するほうが得になることを確認してから空き家を解体するようにしましょう。
5-2.空き家を売却せずに賃貸に出すほうが得になる?
空き家の売却で迷っている人の中には、賃貸に出すほうが良いのでは?と思っている人もいるかもしれません。
しかし、結論から述べると、空き家を賃貸に出すのは手間や費用がかかるため、あまりおすすめできません。
空き家を賃貸に出すと、次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
所有者自身で賃貸物件の管理や手続きをするのは大変なため、不動産会社や管理会社に委託するのが一般的です。
しかし、管理会社に依頼すると、委託費として家賃の5〜10%がかかります。さらに、物件の管理費用や固定資産税などの税金も必要です。
また、入居者が常にいる状態とは限りません。空室の期間は、当然ですが家賃収入は得られず、費用や税金がかかるだけのマイナス資産になってしまいます。
そのため、空き家になっている物件を売却できない理由があったり賃貸用として有望な物件だったりする以外は、賃貸に出さずに売却するほうが良いでしょう。
5-3.空き家が遠方にある場合の売却方法は?
遠方にある空き家を売却する際は、空き家の近くにある不動産会社に売却を依頼するのがおすすめです。
その理由は、次のとおりです。
- 空き家がある地域の不動産事情にくわしい
- 空き家の周辺に購入見込み客を抱えている場合がある
- 購入希望者の内見にすぐに対応してもらえる
売却活動の状況をこまめに把握できるように、電話をはじめ、メールやオンライン対応をしてくれる不動産会社を選ぶと良いでしょう。
空き家が遠方や田舎にある場合の売却方法については、「空き家が田舎にあるとき失敗しない売却方法についてまとめた」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。
5-4.「再建築不可」の空き家の売却方法は?
「再建築不可物件」とは、売れにくい空き家の説明で述べたように、接道義務を満たしていないなど、現在の建築基準法では建物を建てられない土地に家が建ってるため、一度、建物を取り壊すと、新しく家を建てることができない物件を指します。
家の建て替えができないだけでなく増改築もしにくいことが多いため、売りに出してもなかなか売れにくく、売れたとしても安くなることが多いです。
しかし、再建築不可の空き家でも、決して売れないわけではありません。
仲介での売却がむずかしい場合は、不動産会社の買取を利用しても良いでしょう。また、接道義務を満たすために、セットバックをする、隣地の所有者に協力をあおぐ、但し書き道路(通路)を利用するなどをすれば、建て替えができる物件として売却できる場合があります。
空き家の売却が得意な不動産会社に相談することで、再建築不可の空き家を売却できる道がひらけることも多いです。まずは、不動産会社選びをしっかりとしましょう。
再建築不可物件の売却については、「再建築不可物件は売却できる?査定相場価格や再建築を可能にする方法を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
5-5.空き家が売れない場合はどうすればいい?
空き家を売りに出したものの、なかなか売れない場合の対処法として、次のようなものがあります。
- 価格を下げる
- 不動産会社を変更する
- 買取を利用する
- 「空き家バンク」を利用する
地方や田舎にある空き家の場合、価格を下げてもなかなか売れない場合があります。
そのような場合は、不動産会社を変更するか、買取の利用を検討がおすすめです。
空き家がある地域に密着した不動産会社であれば、近隣で買い手を探したり、空き家の隣家に購入を持ちかけたりできる場合があります。
すぐに現金化したい場合は、買取を利用するのも一つの手です。仲介で売却する場合よりも売却額が3割程度安くなってしまいますが、不動産会社や買取業者が直接買い取ってくれるため、すぐに空き家を現金化できます。
また、自治体によっては、空き家を売りたい人(貸したい人)と、空き家を買いたい人(借りたい人)とをつなぐ「空き家バンク」を運営しているところもあるので、調べてみると良いでしょう。
売りに出した空き家がなかなか売れない場合については、「空き家の売却で売れない理由と解決策についてまとめた」で、不動産買取については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 空き家の売却方法は、大きく分けると、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」の2つ
- 「仲介」での売却は、時間がかかっても少しでも高く空き家を売りたい人におすすめ
- 「買取」での売却は、少し安くなってもすぐに空き家を売りたい人におすすめ
- 空き家の売却や売却にかかる費用は、通常の不動産売却をほぼ同じだが、相続した空き家の場合は、相続登記の手続きや費用がかかる
- 売れやすい空き家の特徴は、次のとおり
・立地が良い(駅からの距離・生活利便性など)
・土地が広く整っている(建て替えしやすい)
・建物の劣化が少なくリフォームしやすい状態
・再建築不可などの法的な問題がない(登記・境界・接道要件がクリア)
・定期的に管理されており、荒れていない - 売れにくい空き家の特徴は、次のとおり
・接道義務を満たしていない(再建築不可)
・建物が老朽化しすぎていて解体費用が高額になる
・ゴミや家財が大量に残されている
・境界トラブルや未登記部分がある
・地盤や災害リスクなど、土地そのものに課題がある - 空き家を売却すると、次のようなメリットがある
・固定資産税や管理、維持費用がかからなくなる
・防犯面や衛生面での不安がなくなる
・特定空き家になることを回避できる
・経年劣化で資産価値が下がる前に現金化できる - 空き家を解体して更地にしてから売却するかどうかは、不動産会社に相談してからにする
- 空き家が遠方にある場合は、空き家がある地域で売却力のある不動産会社に売却を依頼するのがおすすめ
- 空き家がなかなか売れない場合のおもな対処法は、次のとおり
・価格を下げる
・不動産会社を変更する
・買取を利用する
・「空き家バンク」を利用する
空き家の売却方法は、大きく分けると「仲介」と「買取」の2つです。
時間がかかっても少しでも高く売りたい場合は仲介、安くなってもすぐに現金化したい場合は買取を選ぶと良いでしょう。
使っていない空き家を放置すると、防犯面や衛生面で近隣の家に迷惑をかけることがあります。
さらに、経年劣化と共に資産価値が下がり、所有している期間の固定資産税や維持、管理費用もかかるため、利用予定がなければ早めに売却するのがおすすめです。
特に相続した空き家の場合、節税できる特例や控除を適用するためには、一定期間内に売却しなければならないため、早めに行動するようにしましょう。
空き家が遠方にある場合は、空き家の近くにある不動産会社に売却を依頼するのがおすすめです。
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イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。