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空き家の売却方法と手続きはこれで安心!準備や必要書類などもわかりやすく解説

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空き家の売却方法と手続きはこれで安心!準備や必要書類などもわかりやすく解説

空き家の売却や処分で悩んでいる人に向けて、この記事では空き家の売却方法と売却時の手続きについてわかりやすく解説します。

空き家の売却方法と選び方、売却の手続き、スムーズに進めるためのポイントなどをわかりやすく説明していますので、空き家の売却を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で具体的にわかること】

  • 空き家を売却する際の流れや売却にかかる費用、売却方法と選び方がわかる
  • 空き家の売却で必要となる手続きとやるべきことについてわかる
  • 空き家の売却方法や手続きについて、よくある疑問とその回答がわかる
この記事はこんな人におすすめ!
放置している空き家や相続した空き家がある人
空き家をどう売却すれば良いかわからずに困っている人
空き家の売却で失敗したくない人

もくじ

1.まず押さえたい!空き家売却の流れと売却にかかる費用

3つのポイント

  • 空き家の売却の流れや売却にかかる費用は、通常の不動産売却とほぼ同じ
  • 空き家の売却で必ずかかる費用としては、仲介手数料や印紙税などがある
  • 空き家の売却でかかる場合がある費用としては、相続登記費用や解体費用、土地の測量費用などがある

空き家を売ろうとしても、全体の流れや売却にかかる費用がわからないと、なかなか売却への一歩を踏み出せないものです。

まずは、空き家売却の流れと売却にかかる費用を押さえておきましょう。

1-1.空き家を売却する流れと6つのステップ

不動産会社の仲介で空き家を売却する際の流れを大まかに分けると、次の6つのステップになります。

【空き家売却の流れ・必要な期間・やるべきこと】
空き家売却の流れ 必要な期間 売主がやるべきこと
①空き家の現状確認 数週間〜数ヵ月程度 ・売却に必要な書類を揃える
・空き家の登記名義人を確認する(必要に応じて相続登記をする)
・空き家の土地の境界やインフラを確認する
②不動産会社に相談・査定を依頼する 1ヵ月程度 ・相場価格や不動産会社の情報を調べる
・不動産会社を選んで媒介契約を結ぶ
③媒介契約を結んで売却活動を開始する 〜数ヵ月(買い手が現れるまで) ・内見の対応をする(不動産会社に任せることも可能)
④買主と条件交渉し、売買契約を締結する ・買い手と売買契約を結ぶ
・手付金を受け取る
⑤代金の決済と所有権移転、引き渡し 契約締結〜1カ月程度 ・残代金を受け取る
・引き渡しをする
⑥税金処理と確定申告 売却した翌年の2月〜3月ごろ ・空き家を売却して利益が出た場合は、確定申告をする

1-1-1.ステップ1:空き家の状況を確認する

まずは空き家の現状を確認します。築年数や老朽化の程度、土地の名義などをチェックし、必要書類(登記簿謄本や固定資産税納税通知書など)を揃えることが売却の第一歩です。

相続物件であれば「相続登記」が済んでいるかの確認も重要です。

1-1-2.ステップ2:不動産会社に相談・査定を依頼する

信頼できる不動産会社に相談し、空き家の査定を依頼します。

仲介で売るか、買取にするか、空き家バンクを使うかなど、売却方法の選択肢をこの時点で検討しましょう。

1-1-3.ステップ3:媒介契約を結んで売却活動を開始する

仲介で売却する場合は、不動産会社と「媒介契約」を結びます。査定価格や対応内容を比較して、3種類ある媒介契約のうち、自分の状況に合ったものを選ぶことが大切です。

仲介を選んだ場合はこのあと売却活動(広告・内見など)が始まります。

1-1-4.ステップ4:買主と条件交渉し、売買契約を締結する

売却活動により購入希望者が見つかれば、価格や引き渡し時期などの交渉を経て、売買契約を結びます。

契約時には手付金の授受や重要事項説明など、慎重な確認が必要です。

1-1-5.ステップ5:代金の決済と所有権移転、引き渡し

売買契約を締結したら、残代金の受領、所有権の移転登記、鍵の引き渡しを行います。この時点で正式に「売却完了」となります。

1-1-6.ステップ6:税金処理と確定申告

必要に応じて、相続税の納税や翌年の確定申告などの税務手続きを行います。


買取で売却する場合は、③の「売却活動による買い手探し」が不要です。不動産会社と買取の条件さえ整えば、すぐに売買契約を締結して空き家を現金化できます。

また、空き家の場合だと、不動産会社に鍵を預けておけば、売却活動中の内見対応をしなくても問題はありません。

不動産の売却の流れについては、「不動産売却の流れを徹底解説!売却にかかる平均期間と早く売るコツも紹介」で詳しく説明しています。ぜひ一読してみてください。

1-2.空き家の売却でかかる費用

空き家を売却する際は、通常の不動産売却と同じように費用がかかります。

1-2-1.空き家の売却で必ずかかる費用

空き家の売却において、必ずかかる費用は次の表のとおりです。

【空き家の売却で必ずかかる費用】
内容 目安の額
仲介手数料 仲介で売却した場合、不動産会社への報酬として支払う。買取の場合は原則不要 仲介手数料の上限額:売買価格の3% + 6万円(税別)
※売買価格が400万円を超える場合
印紙税 売買契約書に課せられる税金 売買額が1,000万円を超え〜5,000万円以下だと軽減税率で1万円(※2027年3月末まで)
登記費用 所有権移転登記を司法書士に依頼した場合の報酬と登録免許税。登録免許税は買主が負担することが多い 3万〜5万円程度
印鑑登録証明書の発行費用 売買契約書に押印する印鑑の証明用 数百円

※2027年(令和9年)3月31日までは軽減税率適用
国税庁HP「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

1-2-2.空き家の売却でかかる場合がある費用

空き家の売却において、かかる場合がある費用は次の表のとおりです。

【空き家の売却でかかる場合がある費用】
内容 目安の額
相続登記費用 相続した空き家を売却する場合は、相続した人への名義変更が必要 相続登記の登録免許税は、空き家の評価額×1000分の4
司法書士への報酬として、5万〜11万円程度
測量費用 空き家の敷地の境界線を確定するために必要 土地の広さや評価額によるが、10万〜30万円程度のことが多い
解体費用 建物が古すぎるなど、売却前に解体して更地にする際に必要 建物の大きさや構造により異なるが、50万〜200万円程度のことが多い
修繕・リフォーム費用 売却前に物件の状態を改善する場合に必要 修繕やリフォームの規模によるが、数万〜200万円程度のことが多い
譲渡所得税 空き家の売却で利益が出た場合、次の年に確定申告をして納税する 売却益の約15%程度(長期譲渡・短期譲渡で税率が異なる)

これらの空き家の売却にかかる費用は、物件の状態や売却方法によって異なりますので、売却前にきちんと把握し、計画的に準備を進めることが大切です。

不動産の売却費用については、「家やマンションの売却にかかる費用を解説!手元に残るのは結局いくら?」で説明しているので、ぜひ一読してみてください。

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2.空き家の売却方法にはどんな種類がある?

3つのポイント

  • 空き家を少しでも高く売りたい人には、「仲介」での売却がおすすめ
  • 空き家を手間なく早く売りたい人には、「買取」での売却がおすすめ
  • 自治体の「空き家バンク」を利用した売却や親族間売却といった方法もある

空き家を売却するには、いくつかの方法があります。

売却の目的や空き家の状態によって最適な方法は異なるため、自分に合った売却方法を選ぶことが大切です。

ここでは代表的な4つの方法をわかりやすく解説します。

2-1.「仲介」で空き家を売る方法(高く売りたい人向け)

仲介」とは、不動産会社に売却を依頼して買い手を探してもらい、物件を売却する方法です。

【仲介の特徴】

  • 売却価格は市場価格に近くなりやすい(高く売れる可能性あり)
  • 広告・内見・価格交渉などが必要
  • 売却完了までに時間がかかる(数ヶ月〜半年)

【仲介が向いている人】

  • 少しでも高く売りたい
  • 売却を急いでいない
  • 建物や立地にある程度の魅力がある

【注意点】

  • 売却までに時間がかかる(数ヵ月〜1年以上かかることも)
  • 仲介手数料(最大で、売買価格の3%+6万円+税)が発生する

仲介については、「不動産仲介とは?家を希望に近い価格で高く売却できる方法を解説!」でくわしく説明しているので、参考にしてみてください。

2-2.「買取」で空き家を売却する方法(早く売りたい人向け)

買取」とは、不動産会社や専門の買取業者に、直接、空き家を買い取ってもらう方法です。

一般の買い手を探す必要がないため、手続きが非常にスピーディで、すぐに空き家を現金化できます。

【買取の特徴】

  • 売却までが早い(最短1〜2週間で現金化も可能)
  • 内見対応や瑕疵担保責任が不要
  • 買取価格は市場相場より2〜3割程度低くなることが多い

【買取が向いている人】

  • 早く売却したい・現金化したい
  • 建物が傷んでいて仲介では売りにくい
  • できるだけ手間をかけずに売りたい

【注意点】

  • 仲介での売却よりも売却額が安くなる
  • 信頼できる業者選びが特に重要となる
  • 買取を断られる場合がある

買取については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」で説明しています。ぜひ読んでみてください。

2-3.空き家バンク(自治体の制度)を使って売却する方法

自治体が運営する「空き家バンク」に登録し、地域住民や移住希望者への売却を目指すという方法もあります。

物件登録や紹介、手数料補助などの支援制度があることもあり、特に地方の空き家で有効です。

【空き家バンクの特徴】

  • 地域活性化の一環として、行政が売主と買主のマッチングをサポート
  • リフォーム補助金・解体費補助などがセットで用意されている場合もある
  • 条件付き(移住者向け、居住用限定など)の場合がある

【空き家バンクが向いている人】

  • 地方にある空き家を売却したい
  • 利益よりも「誰かに使ってもらいたい」という思いが強い
  • 補助金を活用して費用負担を減らしたい

【注意点】

  • 登録には写真や物件情報の提出が必要
  • 売却価格が相場より安めになる傾向がある
  • 条件に合致する購入者が現れるまで時間がかかることがある

2-4.その他の売却や処分方法(親族間売買や隣地所有者への売却など)

上記の方法以外にも、状況によって選べる売却・処分の選択肢があります。

【親族間売買】

  • 相続前に兄弟間や親族間で売買するケース
  • 税務リスクがあるため、適正価格での売却と書面契約が必須贈与とみなされないよう、専門家のアドバイスを受けるのが安全

【隣地所有者への売却】

  • 隣地の所有者に売却するケース
  • 接道義務を満たしていないなど、通常では売りづらい空き家でも売れる場合がある

【相続放棄】

  • 「売れない」「維持できない」などの理由で相続自体を放棄するケース
  • 相続開始から3ヶ月以内に手続きが必要
  • 財産全体(他の資産含む)の放棄となる点に注意

親族間売買については「身内に家を売却するには?親族間売買の注意点を知っておこう」で、相続放棄については「家や土地などの相続不動産がいらない場合の相続放棄や処分方法をわかりやすく解説」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

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3.空き家の売却で必要な手続きとは?

3つのポイント

  • 相続した空き家を売却する場合は、相続登記の手続きをしなければならない
  • 仲介で空き家を売却する場合は、不動産会社との媒介契約の手続きが必要
  • 空き家を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税を納めるために確定申告をしなければならない

空き家を売却するには、不動産会社との契約や登記関連だけでなく、事前の準備や実務的な対応といった数多くの手続きが必要です。

ここでは、売却前から売却完了後までに必要な空き家売却の手続きをわかりやすく解説します。

3-1.空き家の売却前にやっておきたい準備と手続き

まず、空き家を売却する前に、売主としてやっておきたい事務的な準備と手続きについて確認していきましょう。

3-1-1.空き家売却の必要書類の準備

空き家の売却には、いくつかの重要な書類が必要です。

事前にこれらを揃えておくことで、不動産会社とのやりとりや売買契約時の手続きをスムーズに進めることができます。

【おもな必要書類】

  • 登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 土地・建物の固定資産税納税通知書
  • 間取り図、建築確認済証など(あれば)
  • 身分証明書、印鑑登録証明書

また、名義、地番、面積などの登記情報に間違いがないかも合わせて確認しておきましょう。

特に、相続した空き家のケースでは、登記されている名義人が旧所有者のままになっていることが多いため注意が必要です。

3-1-2.不用品の処分と片付け

空き家には、不要になった家具や家電、日用品などの残置物がそのままになっているケースがよくあります。

これらが残った状態では、内見時の印象が悪くなり、査定額が下がる原因にもなりかねません。

  • 自力で片付ける場合:時間と体力が必要ですが、コストは抑えられます。分別や処分方法には各自治体のルールを確認しましょう。
  • 業者に依頼する場合:費用はかかりますが、短期間で確実に片付きます。特に遠方に住んでいる場合や量が多い場合は便利です。

整理整頓された状態にすることで、空き家のスムーズな売却活動につながります。

3-1-3.老朽化・破損部分の修繕や清掃

築年数が古い空き家でも、適切な清掃とちょっとした修繕で印象は大きく変わるものです。

たとえば、壁紙のはがれ、ドアの不具合、水回りのカビなど、小さな改善でも購入希望者への印象が良くなり、価格交渉を有利に進められる可能性があります。

3-1-4.水道・電気・ガスなどライフラインの確認と整理

売却前の空き家でも、ライフラインは状況に応じて適切に対応する必要があります。

次のような点を確認して、整理しておきましょう。

  • 内見がある場合は「通電・通水状態」が望ましい
  • 長期空き家であれば、不要な契約は一時停止・解約の検討をする
  • 冬季は水抜きなど凍結防止策も必要

空き家が遠くにあって管理がむずかしい場合は、不動産会社や管理代行サービスとの連携も視野に入れておくと安心です。

空き家の管理会社については、「空き家を管理する会社はどこが良いのか比較してみた」で説明しています。

3-2.相続した空き家の場合の手続き【相続登記の手続き】

相続によって取得した空き家は、「相続登記」が済んでいなければ売却することができません

また、相続した空き家を売却しない場合でも、2024年から相続登記が義務化されたため、未登記のまま放置していると過料が科される可能性があります。

空き家の所有者を亡くなった人から相続した人に変更していない場合は、速やかに相続登記の手続きをしましょう。

3-2-1.相続登記に必要な書類

相続登記の手続きには、次のような書類が必要です。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍・住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書(複数の相続人がいる場合)

複雑な手続きが多いため、司法書士への依頼を検討するのが一般的です。

3-2-2.相続登記にかかる費用の目安

相続登記の際の登録免許税は、「固定資産税評価額の0.4%」が基本です。

たとえば、相続登記をする空き家の評価額が1,000万円であれば、登録免許税額は4万円になります。

自分で行うこともできますが、相続登記を司法書士に依頼する場合は、別途、司法書士への報酬として数万円〜10万円程度が必要です。

法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」

3-3.空き家の解体が必要な場合の手続き

空き家の売却において、そのままでは売れないほど建物が老朽化している場合は、解体して更地にしてからの売却を選ぶケースもあります。

ただし、解体せずに売るほうが良い場合も多いので、解体するかどうかは、必ず不動産会社に相談してからにしましょう。

3-3-1.自治体の補助金制度を確認する

空き家を解体するとなると、建物の大きさにもよりますが、解体費用は木造で80〜150万円前後、鉄骨や鉄筋コンクリートの場合はさらに高額になります。

多くの自治体では空き家解体に対して補助金・助成金制度があるので、解体するのであれば調べてみると良いでしょう。

たとえば、次のようなものがあります。

東京都空き家家財整理・解体促進事業(家財整理:上限額5万円、解体:上限額10万円)

大阪府八尾市 木造住宅除却補助制度(上限額40万円)

補助を受けるには「解体前の申請」が必要で、着工後では対象外になることが多いため、必ず事前に自治体に確認しましょう。

3-3-2.「建物滅失登記」の手続き

空き家を解体したあとは、「建物滅失登記」をしなければなりません。

これは「建物がなくなった」ことを法務局に届け出るもので、売却や新築時に必須の登記です。

解体業者や不動産会社を通して、司法書士や土地家屋調査士に依頼することが多いですが、自分で申請することもできます。

法務局「建物を取り壊した」(建物滅失の登記をオンライン申請したい方)

3-4.不動産会社との媒介契約の手続き(仲介で売却する場合)

「仲介」で空き家を売却する場合、不動産会社との媒介契約の締結が必要です。

媒介契約では、不動産会社がどのような売却活動をしてくれるのか、また成約した場合の報酬(仲介手数料)はいくらかなどを取り決めます。

媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれの特徴は、次の表のとおりです。

【媒介契約3種類の違いと特徴】
一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 できる できない できない
自分で買主を見つけること できる できる できない
媒介契約期間 特に決まりはない
(3ヵ月以内が望ましい)
3ヵ月以内 3ヵ月以内
レインズ(※)への登録義務 特に決まりはない 7日以内 5日以内
売主への報告義務 特に決まりはない
(任意で定めることも可)
2週間に1回以上 1週間に1回以上

※レインズ:不動産流通機構が運営している不動産情報システム。レインズに登録した物件情報は、全国の不動産会社が閲覧できる

空き家の売却では、一般媒介契約よりも、不動産会社がじっくりと売却に取り組むことができる「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を選ぶのがおすすめです。

媒介契約については、「【媒介契約とは?】3種類のうちどれがいい?失敗しない選び方も解説!」で詳しく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

3-5.売買契約締結時の手続きと必要書類の準備

売買契約締結の前に、不動産会社の宅地建物取引士から買主に対して「重要事項説明」が行われます。

重要事項説明とは、不動産会社が宅地建物取引士を通じて、買主に物件の権利関係・法令制限・契約条件などを説明する手続きです。

売主が立ち会う必要はありませんが、内容に誤りがあると売却後のトラブルや損害賠償の原因になります。正確な情報提供をしましょう。

そして、売買契約の際に必要となるものは、次の表のとおりです。

【不動産売買契約時に売主が用意すべきもの】
用意するもの 何に使うか どのように用意するか
①印鑑登録済みの実印 売買契約書に押印するときに使う 市区町村役所で実印を印鑑登録する
②印鑑登録証明書
(3ヵ月以内に発行したもの1通)
売買契約書に押印した印鑑の証明に使う 印鑑登録すれば発行できるようになる(役場窓口、コンビニなど)
③印紙税額分の収入印紙 印紙税として売買契約書に貼付する 郵便局・法務局などで購入できる
④本人確認書類 売主本人である証明に使う 運転免許証やマイナンバーカードなど写真付のもの
⑤登記済証(権利証)または登記識別情報通知 不動産の所有者である証明に使う 不動産取得時に受け取ったもの
⑥仲介手数料の半金 仲介した不動産会社への報酬 半額を契約時に、残りを引渡時に支払う
⑦固定資産税納税通知書 固定資産税や都市計画税の精算に使う 4月頃に市区町村役所から送付されてくる
⑧土地測量図や境界確認書 土地の境界確定に使う 測量図は法務局で取得する
ない場合は土地家屋調査士などに測量を依頼する

事前に不動産会社からリストを受取り、確認しながら準備しましょう。

売買契約をはじめ、あとで説明する決済や引き渡しについては、不動産会社の指示に従って進めれば問題はありません。

売買契約の締結時に必要となるものについては、「不動産売買契約で売主が用意する必要書類などをわかりやすく解説」で説明しているので、一読してみてください。

3-6.決済・登記移転・引き渡しの実務と手続き

売買契約を締結したら、実際に売却代金を受け取って物件を引き渡す「決済・登記移転・引き渡し」が行われます。

通常の決済と引き渡しの流れは、次のとおりです。

  1. 買主が残代金を振り込む
  2. 登記申請書類を司法書士が提出する
  3. 売主が鍵や書類を引き渡す
  4. 領収証の発行・完了確認
  5. 鍵の引き渡しチェックリスト/設備の最終確認
  6. 諸費用の支払い(不動産会社や司法書士へ)

決済と物件の引渡しの流れについては、「残代金決済・物件の引渡し当日の流れと売主が用意すべきものを解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

3-7.売却後の手続き(確定申告による譲渡所得税の納税)

空き家を売却して利益(譲渡所得)を得た場合は、翌年に確定申告をして「譲渡所得税」を納める手続きが必要です。

用語解説

  • 譲渡所得税とは……不動産を売却して出た利益に対して課せられる所得税と住民税のこと。売却額に対して課せられるのではなく、売却額からその不動産の取得額や売買にかかった費用などを差し引いた額(利益額)に、所有年に応じた税率を乗じて算出される。

しかし、「譲渡所得税」は、売却益の全額に課せられるわけではありません。

実際に課税される「課税譲渡所得税」は、次の計算式で算出されます。

課税譲渡所得額 = 空き家の売却で得た利益の額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額

つまり、空き家の取得にかかった費用(取得費)が多ければ多いほど、課税譲渡所得の金額が低くなるため、節税できるというわけです。

取得費を証明するためには、空き家の売買契約書や仲介手数料などの領収書が必要です。「取得費」が証明できない場合は、売却した金額の5%相当額が取得費となります。

ほとんどの場合、売買契約書などで取得費を証明できるほうが、課税譲渡所得額を低くできます。あらかじめ探しておきましょう。

3-7-1.「空き家特例」や「取得費加算の特例」を活用する

相続した空き家を売却して利益が出た場合も、譲渡所得税を支払わなければなりません。

また、相続した空き家の価値によっては、相続税が課せられる場合もあります。

しかし、相続した空き家を一定期間内に売却した場合は、相続税や譲渡所得税の特例や控除を受けられます

そのため、いずれ売却するのであれば、適用できる期間内に売るのがおすすめです。

相続した空き家を売却する際に適用できる控除や特例として、次のようなものがあります。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続した不動産を一定期間内(相続が発生した日から3年10ヵ月以内(相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)に売却するなどの要件を満たせば、相続税として支払った額の一部を取得費として計上できる特例。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続して売却した不動産が住まいとして使われていた場合、そこに住まなくなってから3年が経過する年の12月末までに売却するなどの要件を満たせば、譲渡所得額から最高3,000万円まで控除できるという特例。空き家を解体してから更地にして売却する際であっても、一定の要件を満たすと適用できる。

これらの特例は、適用できる期限が決まっているため、早めに行動を起こすことが大切です。

相続した空き家を売却する際の節税方法については、「相続した家を売るときにかかる税金を節税する方法についてまとめた」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。

3-7-2.確定申告の時期と必要書類

譲渡所得税の確定申告をする場合は、売却した翌年の2月16日〜3月15日が原則的な申告期間です。

確定申告の際には、確定申告の申請用紙以外に、次のような書類が必要になります。準備しておきましょう。

  • 売買契約書の写し
  • 登記簿謄本
  • 仲介手数料や登記費用の領収書
  • 譲渡所得計算書など

税理士への相談や、国税庁サイトの「確定申告書作成コーナー」活用も検討してみると良いでしょう。

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4.空き家の売却方法と手続きの疑問を解決!

3つのポイント

  • 空き家を解体してから売却するかどうかは、状況に応じて不動産会社に相談して決める
  • 空き家が遠方にある場合は、空き家の近くにある不動産会社に売却を依頼するのがおすすめ
  • 空き家がなかなか売れない場合の対策として、価格を下げる、不動産会社を変更する、買取を利用するなどがある

最後に、空き家の売却方法と手続きでよくある疑問と、その疑問に対する回答を紹介します。

4-1.Q1.空き家は解体して更地にしてから売却すべきなの?

古くて傷みが激しい空き家の場合、解体して更地にしてから売却するケースも多いです。

ただし、自己判断ですぐに解体するのは禁物です。「古家付き土地」として売却できる場合もあるので、必ず売却を依頼する不動産会社と相談してからにしましょう。

4-1-1.空き家を解体して売却するメリットとデメリット

空き家を解体して更地として売却する場合のメリットとデメリットをまとめました。

【空き家を解体して更地として売却するメリットとデメリット】
メリット
  • 更地のほうが活用の幅が広がり売れやすくなることがある
  • 空き家放置によるトラブルの心配がなくなる
  • 建物の管理や固定資産税が不要になる
デメリット
  • 解体費用がかかる
  • 建物としての資産がなくなる
  • 売却までの期間があると土地の固定資産税が高くなる場合がある

古い建物があるよりも更地のほうが、活用の幅が広がるため売れやすくなる場合があります。ただし、解体には費用がかかるため、その分で損にならないように試算しておくことが大切です。

また、家が建っている宅地の固定資産税は、「住宅用地の軽減措置」という制度によって安くなっており、建物を取り壊してしまうとこの制度が適用されなくなり、固定資産税が上がります。

そのため、空き家を解体して更地にしてから売却する場合は、いつ取り壊すかを不動産会社と相談してから決めるようにしましょう

4-1-2.空き家を解体する流れと費用

空き家を解体して更地にする大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 現地確認:解体業者に現地を確認してもらう
  2. 見積書の作成:解体にかかる費用の見積もりを出してもらう
  3. 解体工事準備:足場を組立てたり、近所にあいさつをしたりする
  4. 解体工事開始:解体工事が始まる
  5. 工事完了・整地:解体工事後、整地をして完了

解体工事にかかる期間は10日〜数週間ですが、前後の準備や片付けなどを考慮すると一般的に、1〜2ヵ月程度の期間が必要になります

また、解体にかかる費用は、建物の構造や大きさ、解体方法などによりますが、おおよその目安は、次の表のとおりです。

【構造別、家の解体費用の目安】
建物の構造 1坪あたり 40坪の家の場合
木造 4〜5万円程度 160〜200万円程度
鉄骨造 6〜7万円程度 240〜280万円程度
鉄筋コンクリート造 6〜8万円程度 240〜320万円程度

ただし、次のような場合は、さらに費用がかかります。

  • 解体工事がやりにくい立地に家が建っている
  • 地中に埋蔵物がある
  • 地盤改良が必要

このように、空き家の解体にはかなりの費用がかかります。解体費用と売却費用とをしっかりと試算して、更地にして売却するほうが得になることを確認してから空き家を解体するようにしましょう。

空き家の解体判断基準については、「空き家や古い家付きの土地は更地にして売却すべき?判断基準をご紹介」で説明しています。ぜひ読んでみてください。

4-2.Q2.空き家が遠方にある場合の売却方法は?

遠方にある空き家を売却する際は、空き家の近くにある不動産会社に売却を依頼するのがおすすめです。

その理由は、次のとおりです。

  • 空き家がある地域の不動産事情にくわしい
  • 空き家の周辺に購入見込み客を抱えている場合がある
  • 購入希望者の内見にすぐに対応してもらえる

売却活動の状況をこまめに把握できるように、電話をはじめ、メールやオンライン対応をしてくれる不動産会社を選ぶと良いでしょう。

空き家が遠方や田舎にある場合の売却方法については、「空き家が田舎にあるとき失敗しない売却方法についてまとめた」で説明しているので、ぜひ読んでみてください。

4-3.Q3.売れやすい空き家と売れにくい空き家の特徴とは?

次のような条件が揃っている空き家は、比較的スムーズに売却しやすい傾向があります。

  • 立地が良い(駅からの距離・生活利便性など)
  • 土地が広く整っている(建て替えしやすい)
  • 建物の劣化が少なくリフォームしやすい状態
  • 再建築不可などの法的な問題がない(登記・境界・接道要件がクリア)
  • 定期的に管理されており、荒れていない

一方、次のような条件に当てはまる空き家は、売却が難航する可能性があります。

  • 接道義務を満たしていない(再建築不可※)
  • 建物が老朽化しすぎていて解体費用が高額になる
  • ゴミや家財が大量に残されている
  • 境界トラブルや未登記部分がある
  • 地盤や災害リスクなど、土地そのものに課題がある

※再建築不可:現在の建築基準法を満たしていないため、建物を取り壊すと、新しい建物を建てることができない物件のこと

ただし、これらに該当する場合でも、売却が不可能というわけではありません。

空き家の状態に合った売却方法を選べば、売却の道は開けます。空き家の売却や買取が得意な不動産会社に相談してみると良いでしょう。

4-4.Q4.「再建築不可」の空き家の売却方法は?

再建築不可物件」とは、売れにくい空き家の特徴で述べたように、現在の建築基準法では建物を建てられない土地に家が建っており、一度、建物を取り壊すと、新しく家を建てることができない物件を指します。

家の建て替えができないだけでなく増改築もしにくいことが多いため、売りに出してもなかなか売れにくく、売れたとしても安くなることが多いです。

しかし、再建築不可の空き家でも、決して売れないわけではありません。仲介での売却がむずかしい場合は、不動産会社の買取を利用しても良いでしょう。

また、接道義務を満たすために、セットバックをする、隣地の所有者に協力をあおぐ、但し書き道路(通路)を利用するなどをすれば、建て替えができる物件として売却できる場合があります。

空き家の売却が得意な不動産会社に相談することで、再建築不可の空き家を売却できる道がひらけることも多いです。まずは、不動産会社選びをしっかりとしましょう。

再建築不可物件の売却については、「再建築不可物件は売却できる?査定相場価格や再建築を可能にする方法を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

4-5.Q5.空き家がなかなか売れない場合はどうすればいい?

空き家を売りに出したものの、なかなか売れない場合の対処法として、次のようなものがあります。

  • 価格を下げる
  • 不動産会社を変更する
  • 買取を利用する

地方や田舎にある空き家の場合、価格を下げてもなかなか売れない場合があります。

そのような場合は、不動産会社を変更するか、買取の利用を検討がおすすめです。

空き家がある地域に密着した不動産会社であれば、近隣で買い手を探したり、空き家の隣家に購入を持ちかけたりできる場合があります。

すぐに現金化したい場合は、買取を利用するのも一つの手です。仲介で売却する場合よりも売却額が3割程度安くなってしまいますが、不動産会社や買取業者が直接買い取ってくれるため、すぐに空き家を現金化できます。

売りに出した空き家がなかなか売れない場合については、「空き家の売却で売れない理由と解決策についてまとめた」で、不動産買取については、「不動産買取とは?なぜ安くなる?相場額や注意点、おすすめの場合を解説」でくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。

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まとめ

この記事のポイントをまとめました。

  • 空き家の売却の流れや売却にかかる費用は、通常の不動産売却とほぼ同じ
  • 「仲介」での売却は、時間がかかっても少しでも高く空き家を売りたい人におすすめ
  • 「買取」での売却は、少し安くなってもすぐに空き家を売りたい人におすすめ
  • 空き家の売却前に、必要な書類を揃えておく、空き家の現状を確認しておくなどの事前準備が大切
  • 相続した空き家の場合は、相続登記の手続きが必須
  • 仲介で売却する場合は、不動産会社と媒介契約を結ぶことになる
  • 空き家を売却する際に必要な書類や手続きなどは、不動産会社の指示に従えば大丈夫
  • 空き家を解体して更地にしてから売却するかどうかは、不動産会社に相談してからにする
  • 空き家が遠方にある場合は、空き家がある地域で売却力のある不動産会社に売却を依頼するのがおすすめ
  • 空き家がなかなか売れない場合のおもな対処法は、次のとおり
    ・価格を下げる
    ・不動産会社を変更する
    ・買取を利用する

使っていない空き家は、防犯面や衛生面、管理費用の面からも、利用予定がなければ早めに売却するのがおすすめです

特に相続した空き家の場合、節税できる特例や控除を適用するためには、一定期間内に売却しなければならないため、早めに相続登記を済ませて行動するようにしましょう。

空き家の売却方法は、大きく「仲介」と「買取」の2つに分けられます。時間がかかっても少しでも高く売りたい場合は仲介、安くなっても、少ない手続きですぐに現金化したい場合は買取がおすすめです。

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