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隣地と高低差のある土地を売却するには?売却が難しい理由を解説

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隣地と高低差のある土地を売却するには?売却が難しい理由を解説

土地を売りたいのですが、隣地との高低差がある土地です。
高低差のある土地は売れにくいと聞いたのですが…

こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。

一般的に土地は平地にある方が需要があり、資産価値も高くなります。そのため、高低差のある土地の売却を検討している場合、売れるだろうかと心配している方も多いかもしれません。

この記事では、高低差のある土地のメリット・デメリットや、どのような規制や制限があるのかについて詳しく解説します。売却する際の注意点も併せて説明するので、高低差のある土地の売却を検討している場合は、ぜひ参考にしてみてください。

1.高低差のある土地とは

道路や隣地よりも高い場所にあったり、ひな壇状に造成されていたりする「高低差のある土地」には、平坦な土地にはない特徴やメリット・デメリットがあります。

そのため高低差のある土地を売却するには、その土地の特徴やメリット・デメリット、利用条件などを把握しておくことが大切です。

1-1.高低差のある土地のメリット

他の土地よりも高い場所にある土地のメリットとして、次のような点があげられます。

  • 敷地内や家の中を覗かれにくいので、プライバシーが守られやすい
  • 日光や風を遮るものが少ないので、日当たりや風通しが良い
  • 高い場所にあるので、眺望がよい場合が多い
  • 家の下の部分を掘り込み車庫などに活用できる

同じ高さで真横に並んでいるような土地に比べて、高低差がある土地には上記のようなメリットがあるため、あえてそのような土地を探している人もいるほどです。

高低差のある土地を探している人に向けてメリットを上手にアピールすることで、売れやすくすることも可能だと言えるでしょう。

1-2.高低差のある土地のデメリット

先述したようなメリットがある一方で、高低差のある土地にはデメリットも存在することは事実です。

例えば、家に到着するまでに坂道や階段を上がらないといけない点や、道路との高低差がある場合だと、工事や荷物の運び込みなどが大変になる点などがあげられます。

若いうちや車での移動が多い場合は生活面での不便を感じることは少なくても、高齢になったり交通手段が変わったりした場合には、高低差のあることが大変になるかもしれません。

また、生活面でのデメリットだけでなく、高低差のある土地には法的な規制や制限などもあるため、売買の際には注意が必要です。

高低差のある土地の制限や規制については、次の項目以降で詳しく説明します。

2.がけ条例の制限を受ける

道路や隣地よりも高い場所にある土地近くにがけがある土地は、建築基準法などに基づいて各都道府県によって定められている「がけ条例」の制限を受けることがあります。

「がけ条例」とは、がけに近接した土地に建物を建てる際の安全性を確保するために設けられている条例の通称です。各都道府県や自治体、政令指定都市などによって正式な名称や条例内容は異なります。

一般的には、土地の高低差が2メートルまたは3メートル以上で、傾斜角度が30度を超えている土地を「がけ」とみなし、がけ条例の制限や規制の対象にしている地域が多いです。

がけの上にある土地だけでなく、がけの下にある土地もがけ条例の対象となり、対象範囲に含まれる区域には、原則として建物を建てることができません。

東京都のがけ条例を例にみてみると、2メートルを超える高さで角度が30度以上ある斜面をがけとみなされ、がけの下の端からがけ側とがけの反対側それぞれに向かって、がけの高さの2倍分の水平距離の範囲までが、がけ条例の制限を受ける区域としています。

つまり、がけの高さが2.5メートルある場合だと、がけの下からがけ側に向かって5メートル、がけの反対側に向かって5メートル、がけを挟んだ合計10メートル幅の範囲には建物が建てられないということです。

しかし、次のような条件を満たした場合は、がけ条例による建築の規制が緩和されます。

  • がけが崩壊しないように擁壁を設置する(または、設置されている)場合
  • がけのある地盤が、地質調査等により強固であると認められる場合
  • がけの上に建てる建物が、がけの崩壊により損壊や転倒、沈下などしない造りであると認められる場合
  • がけの下に建てられる建物が、がけの崩壊による土砂の流入に対して、居室の部分の安全性が確保されていると認められる場合

従って、これらの条件を満たせば、がけの上や下に位置する高低差のある土地であっても、建物を建てられる場合があります。

高低差のある土地に家を建てるための条件について、詳しくみていきましょう。

2-1.擁壁が必要

一般的には、家を建てる土地が道路や隣地よりも2メートル以上の高低差がある場合は、がけ(斜面)部分が崩壊したり崩れ落ちたりしないようにする「土留め」の役割を果たす「擁壁」を築かなければなりません。

現在の建築基準法では、2メートルを超える高さの擁壁を造る際には、建築主事による確認を受けた上で確認済証を交付してもらい、建築基準法に定められた構造計算基準に沿って工事することになっています。

よって、各自治体の建築事務所で擁壁の造成履歴を調べたり、検査済証が交付されているかを調べたりすれば、その擁壁が安全かどうかを確認することが可能です。

しかし、そのような基準がなかった頃に造られた古い擁壁だと、安全性を保証することが難しい場合があります。

安全性に不安のある擁壁が付帯している土地だと、家の改修工事をしたり建て替えたりする際に、擁壁を作り直したり補強したりしなければならない場合があるため、購入希望者が現れにくくなるかもしれません。

擁壁が付いている高低差のある土地を売却する際は、あらかじめ擁壁の安全性を確認しておき、万が一安全性が保証できない場合は、補強や補修をしておく方がよいでしょう。

2-2.法令により建築が規制される

高低差があり擁壁が付帯している土地の場合、現在の建築基準法に適合していない既存不適格建築のため、一旦、建物を解体してしまうと新しい建物を建てられないことがあります。

ヒグチ(宅地建物取引士)
既存不適格建築とは、その建物が建てられた当時の法律に沿った建築であるものの、現在の法律だと認められない建築のことです。

既存不適格建築については、現在の建築基準法に則って、今の建物を改善したり建て替えをしたりする必要は差し当ってありませんが、建て替えをする場合は、現在の建築基準法に則って建てなければなりません。

そのため、今、建っている建物と同じような大きさの建物を同じ場所に建てることができなかったり、同じような家に建て替えをするためには、新しく擁壁を造らなければならなかったりする場合があります。

建て替えを前提に高低差のある土地を売却する際には、不動産会社や建築士などに法令を確認してもらった上で、既存不適格建築でないかどうかを調べておくようにしましょう。

2-3.重要事項説明に盛り込まなければならない

売却する土地に高低差があり、がけ条例などの規制に該当しているような場合は、その土地を売却する際に買主が受ける「重要事項説明書」に、がけ条例の適用があることや擁壁が必要な旨などを記載しなければなりません。

重要事項説明とは、不動産の売買や賃貸を仲介する業者に対して、契約成立までの間に書面(重要事項説明書)を買主(または借主)に対して交付し、宅地建物取引主任者による取引の重要な事項の説明を行うことが義務付けられているというものです。

がけ条例が適用される土地であることや、がけ条例や現在の建築基準法により建て替えや増、改築ができないことを重要事項説明書に記さずに説明していない場合は、それを補う費用を請求されたり契約解除になったりすることもあり得ます。

高低差のある土地の売却の際、売れにくくなるような事柄については、買主に対して隠しておきたくなるかもしれませんが、売主、買主、業者のすべてにとって不利にしかなりません。

正しい情報を不動産会社にきちんと伝えた上で、記載漏れや虚偽のない重要事項説明書を作成してもらうようにしましょう。

まとめ

高低差のある土地は、日当たりや風通しが良いといったメリットがある一方で、条例の制限を受けたり擁壁を設置しなければならなかったりするので売却しにくい場合があります。

そのため、高低差のある土地を売却する際は、その地域での売却に強い不動産会社に依頼するのがおすすめです。また、買取してもらうという方法もあります。

土地の立地や状態によって最適な方法は異なるので、どうすればよいのかわからない場合はイクラ不動産をご利用ください。

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