家を売却したいのですが、隣家の屋根が越境しています。
今まで気にしてなかったのですが、売却するとなると買い手がつくのかどうか不安です…
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
越境物がある家を売却するには、隣家と越境について協議し、事実確認をしっかりとしておくことが重要です。
また、越境物が関わっているすべての所有者との協議は必要となるため、越境の範囲が広い場合は、売却に時間を要する可能性も出てくることがあります。
こちらでは、越境物にはどういったものがあるのか、また、越境物がある家をスムーズに売却するための対処についてわかりやすく説明します。
もくじ
1.越境とは
越境(えっきょう)とは、建物や建物の付属物が、敷地境界線を越えて隣合う土地の持ち主の所有権を侵害していることを言います。
越境は、塀など地上で境界線を越えているものだけでなく、
- 樹木の根や枝、屋根
- 地中にある給排水管
など空中や地中も対象です。
売却予定の家または隣家が越境している家を売却する場合、将来的に大きな問題になることがあるため、売却前に対処しておくことが大切です。
まずは、どのような状態が越境となるのか、どのように対処すればよいのか解説していきます。
1-2.塀の越境がある場合の注意点
塀の越境とは、木やコンクリートの塀、フェンスなどが隣の家との境界線を越えて、建設されている状態です。
塀の越境は目視でわかる場合もありますが、測量士に計測を依頼しないと判明しないこともあります。
注意が必要なのは築年数が建っている家です。
新しく建てられた家は境界線を明示されていることが多いですが、数十年前は塀などを建てることで境界を示していました。
しかし、第三者に売却されたり、世代交代された家の場合、塀のみでは境界線が不明確です。
塀を建てた時の当事者がすでに亡くなっていたり、第三者に売却されていたりすると、隣家との境界に認識のずれが生じます。
そのため、建て替えで塀を取り壊す時などにトラブルになりやすいのです。
1-3.樹木の越境は「枝」か「根」で異なる
樹木の越境は、樹木の枝または根のどちらが隣家から出ているのかで規定が異なります。
枝があなたの敷地まで伸びている場合は、無断で切ることができません。
勝手に切ってしまうと不法行為になり、最悪の場合、損害賠償請求される可能性があるので注意が必要です。
また、剪定(せんてい:枝の一部をはさみ切ること)を要求する際も
- 枝の越境で玄関などの出入り口が使えなくなる可能性が高い
- 越境している枝からの落ち葉で排水口が詰まった
- 枝が越境していることが原因で、屋根や外壁に傷がついた
など明確な被害がない限り、認められないケースもあります。そのため、勝手に切ることはせず、まずは隣家へ剪定を依頼しましょう。
一方で隣家の樹木の根が、土の中であなたの敷地に伸びている場合、
と定められています。
しかし、あなたが樹木の所有者だった場合、越境しているからという理由で勝手に切られてしまったらどうでしょうか。
たとえ法律に根拠があったとしても、一度樹木の所有者へ相談することで、大きなトラブルを避けることができます。
万が一、越境している根を勝手に切ってしまい、樹木が枯れてしまった場合も、損害賠償請求されてしまう可能性があるので、枝の場合も根の場合もまずは樹木の所有者に相談しましょう。
1-4.地中にある給排水管の越境
隣家に囲まれて道路に面していない袋地にある家や、私道に面している家などは、給排水管が越境している可能性があります。
給排水管は地中にあるため、目視で確認することはできません。水道局から配管図などを取得して、初めて事実を知るケースも多いです。
ただしこの場合、配管工事の際に敷地の所有者に許可を得ている可能性が高いので、当時の書類がないか確認してみましょう。
中古住宅の売却であれば、やむを得ない場合が多く、新たに給排水管を引き直す必要がない可能性が高いです。
一方、新築を建設する場合は、基礎工事で地面を掘り起こすなど大がかりな工事となるため、隣家との協議が必要です。
1-5.建物の越境
建物の越境とは、屋根や出窓の一部など、建物自体が越境している状態のことです。
売却するあなたのお家が隣に越境している場合は、現状はこのままにしておき、建て替えの際に敷地内に建てることで、隣地の所有者・売主・買主で承諾できればそれほど問題にはなりません。
1-5-1.越境されている場合は、売却が不利になる可能性も
一方、隣の家の建物があなたの敷地に侵入している場合は、売却する上で不利になる可能性もあります。
たとえば、買主が売買契約後、家を取り壊して新築を建てる場合、隣家の建物が越境していると、敷地内に2つの建物が存在している状態になります。
建築基準法では、1つの敷地に1つの建物という「一敷地一建物」の原則があり、2つの建物がある場合は、建築確認申請や完了検査に合格しない可能性があります。
完了検査に合格していない物件は、住宅ローンの審査に通らないだけでなく、越境部分を敷地面積から除いて建設しなければならないため、家を小さくしなければならないケースもあるのです。
2.越境物のある家をスムーズに売却する方法
越境している家をスムーズに売却するには、どのように対処しておく必要があるのか確認しておきましょう。
2-1.売却前に境界確認しておく
境界確認は、専門家に測量を依頼し、どこからどこまでがあなたの所有物なのかを隣地所有者(民・官)立会いのもとに境界を確定させます。この時に作成される図面が境界確定図です。
仮に、家を購入した当時の境界確定図がある場合でも、売却時に再度確認しておくことをおすすめします。理由は、古い境界確定図の場合、当時と測量技術に差がある可能性があるからです。
万が一、売却後に買主が建て替えする際に、当時の境界と大きな差があったことが判明し、測量した土地の面積が小さくなってしまった場合、予定していた大きさの家を建てられないことも考えられます。
契約で説明を受けた内容と実態が違う場合、契約解除だけでなく損害賠償請求される可能性もあるため十分に注意が必要です。
売却前に境界確認と越境確認を依頼し、越境の状況や敷地面積を正確に買主へ説明することが必要です。
正確な境界確認ができていれば、越境している家でも買主が安心感を抱いて、短期間で売却できる可能性も高まります。
2-2.越境問題をできるだけ解決しておく
売却する家に越境の問題がある場合、買い手にとっては不安要素です。
そのため、可能な限り売却前に越境状態を解消しておくと、スムーズな売却につながります。
しかし、越境状態の解消には隣家の協力が必要です。越境している屋根部分の切断工事を依頼したり、樹木の剪定を依頼するなど、手間がかかることも多いです。
そのため、日ごろから隣家とコミュニケーションを取っておくと、協議もスムーズになります。
2-2-1.すぐに解決できない場合は「覚書」を交わす
覚書とは、互いに合意した内容を確認したり、結んだ契約についての補足や変更などについて記載した書類のことです。
覚書を作成しておくことで、当事者間で越境を認識し、現状のままで良いという合意がされた証拠となります。
覚書には以下の内容などを記載しておきましょう。
- 屋根や樹木などが越境していること
- 境界線を示すこと
- 将来建て替えを行う時などに越境を解消すること
- 所有者が第三者に変わった場合でも記載内容を継承すること
覚書があることで、認識のずれによるトラブルを防ぐことができます。売却前には必ず覚書を作成し、内容を買主へ継承することが大切です。
まとめ
越境物がある場合、なかなか今すぐに解消するのは難しいことが多いです。その際は、必ず関わる所有者全員との現状確認と越境物をどうするのか話し合い、覚書を交わす必要があります。
覚書の交付や境界確認などは、売却を依頼した不動産会社が間に入って行ってくれますが、
など、隣地の協力が得られないケースや関わる所有者が多ければ多いほど調整がうまくいかず、なかなか売却がスムーズに進まないというケースも決して珍しくありません。
越境や境界は、非常にデリケートな問題ですので、しっかりと対応してくれる不動産会社を選ばなければ、売却に大きな影響を受けてしまうので注意が必要です。
越境物がある家の売却の対応をしっかりとしてくれる不動産会社を探したい方は、ぜひ「イクラ不動産」にご相談ください。
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