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区画整理地だけど売却できる?事業段階ごとの売却の傾向と注意点

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区画整理地だけど売却できる?事業段階ごとの売却の傾向と注意点

売却しようと考えていた土地が、区画整理地に入ってしまいました…
このような土地でも売却できますか?
また、何か注意することはあるのでしょうか。

こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。

奥様
土地が区画整理地になったら、安くなってしまうのかしら…

区画整理地に入っていても、売却を禁止されるわけではないため、売却自体は可能です。

「売却できても安くなってしまうのでは?」と思うかもしれませんが、必ずしも安くなるとは限りません。なぜなら、区画を整理し街並みが整えば、一般的に地価は上昇するためです。

ここでは、区画整理地に入った土地の売却について詳しく説明します。

1.区画整理地とは

区画整理地とは、土地区画整理事業によって整理される土地のことです。土地区画整理事業とは、道路や公園などの公共施設を整備・改善し、土地の区画を整えて宅地として使いやすくすることを意味します。

土地区画整理事業においては、事業の進み具合により以下の4つの土地が存在します。

  • 従前地
  • 保留地
  • 仮換地
  • 換地

それぞれどのような状態の土地なのかを説明します。

1-1.従前地とは

従前地とは、区画整理事業が開始される前の、整理されていないもともとの土地のことです。

区画整理事業では、対象地区内の土地Aは、造成や区画整理などを終えた土地Bに換地されます。換地される前の土地Aが従前地、土地Bが換地にあたります。

1-2.保留地とは

保留地とは、区画整理後の換地を保留した土地を指します。

区画整理後に換地されつ土地は、従前地よりも狭くなるのが一般的です。面積が狭くなった分の土地は、道路や公園などの整備に使われるほか、この「保留地」に充てられます。

保留地は、区画整理で必要となる資金をまかなうために、売却することを前提に新しく生み出される土地です。

ヒグチ(宅地建物取引士)
保留地を売却することで、地権者が大きな負担を負うことなく、区画整理事業が実施できることになります。

1-3.仮換地とは

区画整理事業は、開発から完了まで、長い時間がかかることが特徴です。区画全部を同時に開発し、一斉に換地が行われることはありません。

そのため、開発が終了した場所から順次、換地が済んだと仮定して土地を使うのが一般的です。その土地のことを仮換地と呼びます。

ほとんどのケースで、仮換地がそのまま換地とされ、区画整理事業完了後もそこに住み続けることになります。

1-4.換地とは

区画整理された後の土地は、換地と呼ばれます。換地は区画整理で道路や公園などが整備されることによって、従前地よりも面積が小さくなるのが一般的ですが、まれに広くなることもあります。

従前地よりも面積が減ったら損をするのでは、と思うかもしれませんが、事業完了時の換地処分(※)で清算されるので心配する必要はありません。

換地処分とは

土地区画整理事業において、土地の権利変動などを関係者に通知する行政処分のこと。換地処分されることにより、従前の土地の権利が換地後の土地に移行し、面積の増減により発生する清算金の額が確定する。

土地の価格が下がった場合には差額を受け取り、価格が上がったなら差額を支払いが必要です。

一般的には、区画整理することで区画全体の価値が上昇することから、坪単価も高くなります。そのため面積が狭くなったとしても、換地の価値は従前地と同程度になることがほとんどです。

1-4-1.保留地と仮換地の違い

保留地と仮換地は、どちらも土地区画整理事業によって生まれる土地ですが、次のような違いがあります。

【保留地と仮換地の違い】

保留地 土地区画整理事業で新しく生み出された土地

事業完了後に換地処分されない

仮換地 土地区画整理事業前からあった従前地を整備してできた土地

事業完了後に換地処分される(金銭により差額精算する)

保留地は土地区画整理事業前にはなかった土地で、区画整理することで新しく発生した余剰地になります。従前地がないため、事業が完了したときに換地処分はされません。

これに対して仮換地は、従前地の土地を区画整理して整えられた土地のことです。区画を整理する都合上、場合によっては形が変わり、その結果面積が増減するケースがほとんどです。

そのため事業完了後に換地処分が実施され、金銭によって差額を清算します。

2.区画整理事業の流れ

土地区画整理事業は、次のような流れで進むのが一般的です。

【区画整理事業の流れ】

段階 事業 内容
1 都市計画決定 土地区画整理事業を行うことを決定する。
2 仮換地指定 新しく作る区画(換地)の予定地を、工事の施工前に仮に指定する手続き。仮換地指定が行われると、原則、従前地の使用は禁止される。
3 (建物移転・補償金受領) 仮換地指定後、建物が移転対象となった場合には補償金が支払われる。
4 換地処分 換地処分が実施され、清算金を確定する。
5 事業完了  

3.事業段階ごとの売却の傾向と注意点

土地区画整理事業の対象となっている土地は、事業のどの段階であっても売却が可能です。しかし、どの段階にあるのか、また事業の進捗具合などによりそれぞれ注意点が異なります。

3-1.都市計画決定前

都市計画が決定する前には、通常の土地と同様に売却が可能です。

ただし、事業が正式決定する前でも、進捗状況によっては重要事項説明書に計画が持ち上がっていることを記載したほうがいいケースもあります。売却を依頼する不動産会社に、記載が必要かどうかを相談するようにしましょう。

3-2.都市計画決定後〜仮換地指定前

都市計画が決定し、仮換地が指定されるまでの間は、売却価格が安くなる可能性が高くなります。

区画整理事業で割り当てられる仮換地が決まるまでは、今ある土地より広くなるのか狭くなるのか、今の価格とどれくらい変動するのかなどがわかりません。

ヒグチ(宅地建物取引士)
買主にとってはある意味冒険となるため、大幅な値下げ交渉をもちかけられる覚悟が必要です。

仮換地が決まり、建物が移転対象となれば補償金を受け取れるうえ、土地区画整理事業が完了すれば価格が上がると買主にアピールもできます。安く売りたくない場合には、仮換地が確定するまで待ったほうがいいでしょう。

3-3.仮換地指定後〜換地処分前

仮換地が指定されると、区画整理地であっても問題なく売却を進めることが可能です。

ただし、買主が実際に購入するのは仮換地となりますが、契約書面上では従前地を売買したことになります。契約書には従前地の住所や面積を記載し、登記も従前地で行わなければなりません。

契約の面からいえば、売主は従前地についての情報を正確に伝えておけば問題ないことになります。しかし、買主は購入するのは仮換地と認識していることがほとんどです。

そのため実際に取引するときには仮換地の場所や形状などが示された、「仮換地指定証明書」をもとに売買を進めるのが一般的です。

3-3-1.清算金について

土地区画整理事業が実施されると最終的に換地処分が行われ、従前地と換地の面積の差分について清算することになります。

一般的に換地は従前の土地より狭くなることがほとんどですが、区画整理されることによって一帯の地価が上昇するため、土地の価格自体が上がって清算金を支払うケースも少なくありません。状況によっては、清算金を受け取るパターンもあります。

事業の完了まで土地の正確な面積や価格が確定しないケースでは、契約書に「面積の差分については事業完了後に清算する」と明記しておくようにしましょう。

ヒグチ(宅地建物取引士)
区画整理地を売却するときには、清算金も含めて売却価格を決めることが重要です。

3-3-2.賦課金について

事業の資金として確保した保留地が売却できなかったり、なんらかの理由で事業継続が困難になったりした場合には、賦課金(ふかきん)の支払いが発生します。

土地区画整理は、対象区域内の土地の地権者(土地所有者と借地権者)が組合を作って行う場合がほとんどです。

組合は対象区域内の7人以上の地権者が定款や事業計画を定め、区域内の3分の2以上の同意を得ることで設立します。組合が設立されれば、区画整理に反対した地権者も、必ず組合員にならなければなりません。

そして賦課金が発生したときには、組合員が平等に負担しなければならないのです。賦課金が発生するかどうかは、売買の時点では予測できません。

しかし、買主には賦課金が発生する可能性を伝えておかないと、万一事業が頓挫した場合、契約不適合責任を問われて損害賠償を求められる可能性があります。

のちのちのトラブルを防ぐためにも、賦課金の支払いが発生する可能性があることは、重要事項説明書に記載しておくと良いでしょう。

3-4.換地処分・清算金確定・事業完了後

換地処分で清算金が確定し、事業が完了していれば、通常と変わらず売却が可能です。

土地売却査定価格

区画整理前よりも区画全体の地価は上がっていることが多いため、坪単価は高く売却できます。ただし、従前前の土地よりも、面積自体は狭くなっていることがほとんどであることから、売却総額自体は必ずしも高くなるとは限りません。

また、土地区画整理事業の内容によっては、街づくり設計を目的として、区画整理地の自由な売買を禁止されたり、使用目的を制限されたりするケースがあります。

制限があるのか、あるとすればどのような内容なのかは、土地区画整理事業の施行規則に記載されています。

知らずに売却してしまうと規約違反となり、のちのち買主との間で大きな問題になることも起こり得ます。施行規則については必ず事前に確認し、買主にも理解を得ておくことが大切です。

まとめ

区画整理区域に入った土地を売却する場合は、計画の進捗具合や状況によって売却額や条件が変わる可能性があります。

そのため、売却するタイミングを見計らうことが大切です。区画整理地の売却を成功させるためには、その地域での土地の売却に強い不動産会社に任せることをおすすめします。

そのような不動産会社をお探しの場合は、ぜひイクラ不動産にご相談ください。

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