「埋蔵文化財包蔵地」とは、遺物が埋まっていたり遺跡があったりする土地のことです。一般的に、掘り返す工事をする際にさまざまな規制を受けることがあるため、売却がむずかしいとされています。
しかし、そのような埋蔵文化財包蔵地であっても、まったく売却できないわけではありません。
ここでは、埋蔵文化財包蔵地や埋蔵文化財包蔵地に建っている家を売却する方法についてわかりやすく説明します。埋蔵文化財包蔵地の売却で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- 「埋蔵文化財がある土地(埋蔵文化財包蔵地)」とは、どのような土地なのかがわかる
- 売却したい家や土地が埋蔵文化財包蔵地の場合はどうなるのかがわかる
- 埋蔵文化財包蔵地にある家や土地を上手に売るコツがわかる
- この記事はこんな人におすすめ!
- 売却しようとしている家や土地が、埋蔵文化財包蔵地にある人
- 埋蔵文化財包蔵地の近くにある家や土地の売却を考えている人
- 埋蔵文化財包蔵地の家や土地を上手に売るコツを知りたい人
もくじ
1.「埋蔵文化財がある土地(埋蔵文化財包蔵地)」とは?
「埋蔵文化財がある土地(埋蔵文化財包蔵地)」とは、石器や土器といった遺物が出土したり、貝塚や古墳、古代の住居跡などの遺跡が土の中に埋もれていたりすることが周知されている土地のことです(文化財保護法第93条)。
埋蔵文化財包蔵地とされている土地は全国で約46万カ所もあり、毎年9千件ほどの発掘調査が行われています。
この埋蔵文化財包蔵地は、市町村の教育委員会が作成する「遺跡地図」や「遺跡台帳」に記載されていますが、すべての埋蔵文化財包蔵地が記載されているとは限りません。
そのため、「遺跡地図」や「遺跡台帳」に記載されていない場所も埋蔵文化財包蔵地に該当する場合があるので注意が必要です。
2.売却したい土地が埋蔵文化財包蔵地だとどうなるのか?
全国に約46万カ所も埋蔵文化財包蔵地があると聞くと、売却を考えている家や土地が該当しないか心配になるかもしれません。
ここでは、万が一、所有している土地が埋蔵文化財包蔵地だった場合、売却時にどうすれば良いかを説明します。
2-1.売却価格が下がる可能性がある
埋蔵文化財包蔵地にある家や土地は、売却価格が安くなる可能性があります。
なぜなら、埋蔵文化財包蔵地に該当する土地の場合、土木工事などで発掘をするときには60日以上前に届け出を行い、場合によっては発掘調査を指示されるからです(文化財保護法第93条)。
そのため、すでに家が建っている土地だとしても、建て替えの際などに土地を掘り返して埋蔵物が出土した場合は、調査が終わるまで工事を止めなければなりません。
家を建てるときだけではなく、配管工事や浄化槽を設置するなど、土地を掘り返す工事がすべて含まれまれるため、土地の発掘を伴う家の工事をしている際に発掘調査を命じられたら、調査期間分工事に遅れが生じます。
万が一、埋没文化財が発見されれば、よりくわしい本調査が必要になるので、さらに工期は延びるでしょう。調査結果によっては、希望する家が建てられないかもしれません。
埋没文化財包蔵地にはこのようなリスクがあるため、買主から価格を下げるよう求められることが多く、結果として安く売却するしかなくなる可能性が高くなってしまうのです。
2-2.買主が見つかりづらい
前述したとおり、埋蔵文化財包蔵地は、土地を発掘する際に発掘調査を指示される可能性があるため、土地の価格は低くなりがちです。
それでも、買主が見つかればいいのですが、埋蔵文化財包蔵地は買主が見つかりづらいのが現実です。
買主にとっては、埋蔵文化財包蔵地を購入すると、将来家を建て替えたいと考えたときに発掘調査に時間がかかったり、最悪の場合、建てたい家を建てられなかったりするリスクを負うことになります。
そのようなリスクはできるだけ避けたいと考える人が多いため、埋蔵文化財包蔵地については、買主が見つかる可能性が低くなってしまうのです。
2-3.調査費用を負担しなければならない場合がある
先に述べたとおり、埋蔵文化財包蔵地において土地を掘り返すなどの工事を行う場合は,事前に所在市区町村の教育委員会に届け出をすることが文化財保護法で定められています(文化財保護法93・94条)。
調査が必要になった場合、その経費の負担先は明確に定められていませんが、一般的には開発事業者の負担です。
営利目的でない個人の居住用の場合は、自治体などの公費により実施される制度があります。しかし、事業が絡んだ投資用物件や店舗付き建物などを建てるための場合は、自治体によっては個人が負担することになります。
3.埋蔵文化財包蔵地に建つ家を上手に売るコツ
「埋蔵文化財包蔵地に建つ家や土地の売却はむずかしそう」と心配になった方もいるかもしれません。
ここでは、埋蔵文化財包蔵地に建つ家を上手に売却するために押さえておきたいコツを4つ紹介します。
3-1.売却前にできる限りの事前調査をする
埋蔵文化財包蔵地をスムーズに売却する最初のポイントは、売却前にできる限りの事前調査をしておくことです。
埋蔵文化財包蔵地についての情報は、市町村の教育委員会が作成している遺跡地図や遺跡台帳で確認できます。
売却する土地が埋蔵文化財包蔵地であるとわかっている場合はもちろん、近くに遺跡がある、昔、遺物が出たとことがあるといった場合は、埋蔵文化財包蔵地に該当しないか念のため確認しておくようにしましょう。
3-2.現況の建物が建った経緯を調べる
現況の建物が埋蔵文化財包蔵地に建っていることが明らかなケースでは、建物を建築したときの記録が残っていないかを調べておくことも大切です。
地域によりますが、建築されたのが1970年以降であれば、建築確認済み証に当時の調査結果を記載した文化財保護課の意見書などが見つかるかもしれません。
建築当時に行われた発掘調査によって、建築に問題がないなどの何らかの判断をしたことがわかれば、買主が家を建て直すことになったときに、再度本格的な調査をしなくてすむ可能性が高いと考えられます。
3-3.重要事項説明は分かりやすく説明してもらう
埋蔵文化財包蔵地に指定されている土地にある家を売却するときには、不動産会社が作成する重要事項説明書には、できるだけくわしい内容を記載してもらうようにしましょう。
重要事項説明書には、文化財保護法にチェックを入れる箇所がありますが、これだけでは買主は内容を理解できません。
購入した土地で工事をするときに、どのような手続きが発生すると予測されるのか、家を建て替えるときの相談はどこにすればいいのかなどがわかるようにしてもらいましょう。
買主の不安を最大限取り除くとともに、売却後のトラブル発生の可能性をできる限り軽減しておくことが大切です。
3-4.買取業者に買い取ってもらう
仲介による売却活動をしてみたものの買主が見つからないような場合には、買取業者に買い取ってもらうことを検討しても良いでしょう。
買取業者に買い取ってもらうと、市場価格の1〜3割程度、価格が安くなってしまう点がデメリットです。
しかし、次のようなメリットがあります。
- 買い手を探す必要がないのでスピーディに売却できる
- 仲介だと発生する仲介手数料が不要になる
- 契約不適合責任を問われない(損害賠償や契約解除を求められない)
埋蔵文化財包蔵地は、土地を掘り返したときに何が起こるかわかりません。
契約不適合責任を問われるリスクを避けられることは、買取で売却する大きなメリットだと言えるでしょう。
まとめ
この記事のポイントをまとめました。
- 「埋蔵文化財がある土地(埋蔵文化財包蔵地)」とは、遺物が出土したり古代の住居跡などの遺跡が土の中に埋もれていたりすることが周知されている土地のこと
- 埋蔵文化財包蔵地には、次のようなデメリットがある
・売却価格が下がる可能性がある
・買い手が見つかりにくい場合がある
・調査費を負担しなければならない場合がある - 埋蔵文化財包蔵地に建つ家を上手に売る4つのコツ
・売却前にできる限りの事前調査をする
・現況の建物が建った経緯を調べる
・重要事項説明は分かりやすく説明してもらう
・買取業者に買い取ってもらう - 買取業者に買い取ってもらうと、市場価格よりも安くなるが、次のようなメリットがある
・買い手を探す必要がないのでスピーディに売却できる
・仲介だと発生する仲介手数料が不要になる
・契約不適合責任を問われない(損害賠償や契約解除を求められない)
埋蔵文化財包蔵地になっている土地やそこに建っている家を売却する場合は、建て替え時や土地の掘り返しが必要となる工事の時などに調査が入る可能性があるため、どうしても買主から敬遠されがちになります。
そのような埋蔵文化財包蔵地を上手に売却するためには、事前にしっかりと土地の調査をしておくことが大切です。
また、売却後に問われる契約不適合責任を回避するためには、買取を利用した売却も検討してみると良いでしょう。
いずれにしても埋蔵文化財包蔵地は売却がむずかしくなるため、売却力のある不動産会社に相談、依頼することが大切です。そのような不動産会社を探したい場合は、ぜひ、イクラ不動産をご利用ください。
無料&秘密厳守で家の査定価格が簡単に素早くわかるだけでなく、あなたの状況にピッタリ合った売却に強い不動産会社を選べます。さらに、不動産の売却でわからないことがあれば、宅建士の資格を持ったイクラの専門スタッフにいつでも相談できるので、安心して売却を進めることができます。
イクラ不動産については、「イクラ不動産とは」でくわしく説明していますので、ぜひ読んでみてください。
- 合わせて読みたい
- 都市計画道路予定地って売却できる?事業決定前なら可能です
- 【お家の売却】送電線下の家は安くなる?売却に影響するポイントを確認
- 店舗住宅って売却できる?売却方法と注意点をわかりやすく解説
- 底地を売却したい!高く売れる方法を見つけよう
- 雑種地とは?地目が雑種地の一戸建てを売却する方法
- 隣地と高低差のある土地を売却するには?売却が難しい理由を解説
- 結露しやすい家は売却できるの?結露が発生する原因と売却方法3選
- 区画整理地だけど売却できる?事業段階ごとの売却の傾向と注意点
- 液状化した土地に建つ家は売却できる?売却方法と注意点をチェック
- 雨漏りした家を売却したい!上手に売却するためのポイントを解説
- ひな壇になっている土地の売却はどうやるの?
- ひび割れのある家を売るには?上手に売るコツを確認
- 旧耐震基準の家を売却したい!高く売るためにできることとは
- お風呂がない家でも売れる?売却方法を工夫しよう!
- 越境物のある家を売却することはできるの?その方法を知っておこう
- 湿気の高い家は売却できる?原因と対策を知っておこう
- 連棟住宅の売却はむずかしい?ポイントと注意点をチェックしよう
- 水路に接した家や土地を売却するには占用許可が必要って本当?
- 傾いている家でも売却できる?傾きの調べ方や売却方法を解説
- マンション1階は安いし売れにくい?少しでも高く売却する方法を解説
- 3階建ての家を売却するときは安くなるの?デメリットを知っておこう
- 日当たりが悪い家だけど売却したい!上手に売却するコツを紹介
- 葬儀場近くの家の売却は難しい?価格への影響をチェック
- 【墓地に近い家】売却したいけど安くなるの?ポイントを押さえよう
- 市街化調整区域にある家や土地の売却方法についてわかりやすくまとめた
- 台風被害にあった家の売却で注意すべきことは?3つのポイントを解説
- 団地の売却を成功させよう!高く売るためのポイントを解説
- 平屋を売却したい!平屋ならではのメリットを知っておこう
- ペットを飼っていた家は査定額や売却価格が下がるの?ポイントを解説
- 川沿いにある家は売却するときに売れづらいって本当?
- 浸水想定区域にある家は売却できる?ハザードマップと価格との関係
- 浸水した家は安くなる?できるだけ高く売却する3つの方法
- 借地の家はなぜ安いの?査定方法と高く売却する方法をまとめた
- 再建築不可物件は売却できる?査定相場価格や再建築を可能にする方法を解説