お家を買い替えるときも税金がかかると聞きました。
いったいどれくらいかかるんでしょうか…
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
お家の買い替える際は、購入と売却、それぞれに税金がかかります。
こちらでは、買い替えのときにお家の売却にかかる税金についてわかりやすく説明します。
もくじ
1.家を売った利益に対して発生する税金(譲渡所得税)
まず、家を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合は、所得税・住民税・復興特別所得税の納税が必要です。これを譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)といいます。
譲渡所得の計算をする際は次の式で算出します。
譲渡所得 = 譲渡収入(売却価格)-(取得費 + 譲渡費用)
※家の取得費は減価償却相当額を差し引きして算出します。
家が売れた金額=譲渡所得ではありません。売却価格から自分が家を購入するときにかかったお金と、売るためにかかった経費を差し引いて計算します。
譲渡所得がマイナスだった場合、税金はかかりません。しかし、一定の条件を満たせば、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」や「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」などの特例を受けることができます。
1-1.譲渡所得が黒字になった場合に受けられる特例
譲渡所得を計算し譲渡益が出た場合は、要件を満たすと次の特例が受けられます。なお、①と②は併用が可能ですが、①と③、②と③は併用できません。
1-1-1.①居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
マイホームを売ったときに、利益部分(譲渡所得)から最高3,000万円まで控除ができる特例です。
・マイホームを売ること
・売った年の前年及び前々年に「3,000万円特別控除」「特定居住用財産の買換え特例」「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」や「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受けていないこと
など
所有期間や居住期間については制限がないため、比較的使いやすい特例ではありますが、マイホーム新築時の仮住まいや別荘など居住用財産とは認められない場合もあります。
また、以前に住んでいた家を売った場合は、自分が所有者として住んでいたことがあり、なおかつ住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売る必要があります。
1-1-2.②10年超所有軽減税率の特例
10年以上所有していたマイホーム売った場合、所得税と住民税の税率を下げてくれる(軽減される)特例です。
・マイホームであること
・売った年の1月1日において所有期間が10年以上であること
・売った年の前年及び前々年に同特例を受けていないこと
・買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと(※3,000万円特別控除は除く)
など
併用できない特例も数多くありますので、どれを使ってよいか、また使えるのかを確認する必要があります。
1-1-3.③特定居住用財産の買換えの特例
マイホームを売った金額よりも新しく買い替えたマイホームの方が高かった場合、将来その家を売却するまで課税分を繰り延べできる特例です。
・居住期間が10年以上のマイホームを売ること
・売った年、その前年及び前々年に「3,000万円特別控除」「10年超所有軽減税率の特例」などを受けていないこと
・売却代金が1億円以下
など
繰り延べとは、いわゆる先送りであり、いま課税されなくても、将来売却した時には課税されることになるので注意が必要です。非課税となるわけではないので金額上のメリットはありませんが、現在の負担を軽減できるというメリットがあります。
1-2.譲渡所得が赤字になった場合に受けられる特例
譲渡所得が赤字になると、要件を満たせば次の特例が受けられます。
1-2-1.①居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
マイホームを買い替えた際の赤字を、損益通算してもなお損失がでた場合、翌年以降3年間繰り越して控除ができます。
・マイホームを売ること
・所有期間が5年以上
・買い替えをする家の床面積が50㎡以上であること
など
1-2-2.②特定居住財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
マイホームを売却した際の譲渡損失のうち、マイホームの売却金額よりローン残債のほうが高かった場合、その差額を限度として損益通算ができる。赤字があった場合、翌年以降3年間繰り越して控除ができます。
・マイホームを売ること
・所有期間が5年以上
・マイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
・マイホームの売却価格が住宅ローンの残高より下回っていること
など
2.印紙税(いんしぜい)
不動産の売買契約書は課税文書なので、収入印紙を貼付して印紙税を納めます。
売買金額 | 不動産売買契約書 |
100万円超〜500万円以下のもの | 1,000円 |
1,000万円以下のもの | 5,000円 |
5,000万円以下のもの | 10,000円 |
1億円以下のもの | 30,000円 |
5億円以下のもの | 60,000円 |
(国税庁のHPより転載)
ただし、場合によっては売主の印紙税を節約することもできます。
詳しくは「売主は不動産売買契約書の印紙税を節税できるのか?」で説明していますので、ぜひご覧ください。
3.登録免許税(とうろくめんきょぜい)
次の場合、登録免許税がかかります。
・登記していなかった(未登記)場合
・登記簿上の住所と現住所が違う場合
・結婚等で登記簿上の名字と違う場合
・相続等で登記簿上の所有者と名義が違う場合
・権利証(登記済証・登記識別情報)を紛失した場合
・抵当権(住宅ローン)や根抵当権の抹消登記が必要な場合
登録免許税も税金なのですが、登録免許税に加えて司法書士への手数料がかかります。これを登記費用といいます。
登記費用は状況によって異なりますが、1万円〜5万円が相場です。
まとめ
譲渡所得税がかかるのは、家の取得費より高く売れた場合です。
また特例のうち、併用できるものと出来ないものがあります。たとえば「3,000万の特別控除」と「買換えの特例」は併用して利用することはできません。
たとえば、買い替え後に再度買い替えをする可能性があるケースで「買換えの特例」を選択してしまうと、次に家の売却をした際に、特例によって繰り延べられていた税金をまとめて支払うことになります。したがって、長期的な視野で検討していかなければいけません。
また、そもそもいくら机上で考えていても実際に家を売らなければ、売却金額が確定しません。さらに所得税は年収によって税率が異なります。
このように税金のシミュレーションは複雑です。
まずは、売却にかかる費用や税金についておおまかに知っておき、不動産会社や不動産会社が提携する税理士に相談すると良いでしょう。
税金を含め家を売るときの諸費用について「家を売ったときの手取りの計算方法について(不動産売却編)」で説明していますので、ぜひご覧ください。
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