離婚することになりそうです。子どもは私が引き取りますが、夫からいくら養育費を受け取れるか心配です。
離婚を機に家を売って、養育費に充てたほうがいいのでしょうか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
子どもがいると教育費などにお金がかかるため、離婚のときに養育費の話をすることは避けて通れません。
養育費がどのように決められるのか、また離婚で家を売った代金を養育費に充てられるのかなど、ここでは離婚したときの養育費についてわかりやすく説明します。
もくじ
1.養育費とは
養育費とは、未成年の子どもを育てるためにかかる費用(生活に必要な経費、教育費、医療費等)全般のことです。
厚生労働省の2016年度調査によると、養育費をの取り決めがある母子世帯は43%と半数近くが養育費を決めないで離婚しています。
という理由が大半です。
しかし、子どもを育てていくためにかかる費用は、子どもを引き取った親権者(監護親)となっている片方の親だけではなく、引き取らなかった親権者ではない親(非監護親)も当然に負担すべき費用です。
離婚しても親には子どもを扶養する義務があるため、引き取らなかった側も養育のためのお金を支払う義務があります。これは親として課された義務です。
なお、養育費は子どもと親子関係があることによって発生する為、子どもを認知した場合や養子縁組をした場合であっても、法律上の親子関係がある限りは養育費の支払い義務があります。
2.養育費の額や期間について
離婚するときに、養育費の金額をめぐって夫婦の意見が割れることもあります。また、いつまでもらえるのか気になる人もいるでしょう。
ここでは、養育費の額に決め方や期間などについて説明します。
2-1.養育費の額の決め方
夫婦間で離婚協議の内容がまとまらないと、裁判所の調停や審判、さらには裁判にもなりかねません。
養育費は、親権者を決めるのと同時に、養育費の額・支払始期(いつから)・支払終期(いつまで)・支払日・支払方法などを話し合いによって決めます。
ただ、養育費の額は、話し合いではなかなか解決しないことも多いため、目安として裁判所が作っているのが、次にあげている算定表(さんていひょう)です。
この算定表には、養育費を払う人(義務者)ともらう人(権利者)の年収や、子どもの人数などに応じた目安が示されています。
こちらは子ども1人の場合の養育費の月額を示したものです。
もらう側の年収 | |||||||||
払う側の年収 | (単位:万円) | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 | 600 | 700 | 800 |
1500 | 12〜14万円 | 10〜12万円 | 8〜10万円 | ||||||
1000 | 8〜10万円 | 6〜8万円 | 4〜6万円 | ||||||
800 | 6〜8万円 | 4〜6万円 | |||||||
600 | 4〜6万円 | 2〜4万円 | |||||||
400 | 2〜4万円 | ||||||||
200 | 1〜2万円 |
(裁判所HP「養育費・婚姻費用算定表」から抜粋)
しかし、これらはあくまでも目安にすぎません。
厚生労働省の2016年度調査によると、養育費をもらっていたり、過去にもらったりした1世帯の平均額は、子ども1人の母子世帯で月額約3万8000円、父子世帯で月額約2万9000円となっています。
子ども1人 | 子ども2人 | 子ども3人 | 子ども4人 | |
母子世帯 | 3万8207円 | 4万8090円 | 5万7739円 | 6万8000円 |
父子世帯 | 2万9375円 | 3万2222円 | 4万2000円 | ー |
(厚生労働省HP「こどもの数別養育費の状況」より抜粋)
このように、実際にもらっている養育費の平均額は、算定表の額よりも少ないです。養育費を取り決める際は、きちんと話し合って適切な額を決めることが大切だと言えます。
ただし、途中で養育費を支払えなくなってしまう恐れもあるため、長期的にずっと払い続けることができる妥当な金額で折り合いをつけることが重要です。
2-2.養育費は何歳までもらえるの?
養育費は民法で「監護費用(かんごひよう)」と定義されており、原則、親に親権がある期間、つまり子どもが未成年である20歳になるまでが養育費の支払期間となります。
ただし成人の年齢は2022年4月から18歳に引き下がることが決まっていますので、監護費用の期限については今後の裁判の判決によって定まります。
20歳でも大学生であれば経済的に自立していないでしょうから、養育費の支払いを22歳の3月までとすることもあります。そういった事情から実際に20歳以降も養育費をもらえている例もあります。
18歳で高校を卒業して就職したのなら、自立していると考えられます。この場合、離婚後に養育費を受け取ることができるのは高校卒業する年、満18歳になったあとの3月までと考えられます。
あるいは、成人後は子どもから請求する「扶養料(ふようりょう)」として受け取ることもできます。
2-3.養育費の増額(減額)請求はできる?
離婚の際にいったん養育費の金額を取り決めても、後に話し合いなどによって増額や減額の請求をすることができます。
なぜなら、あくまでも離婚時のお互いの経済状況で取り決めた額であり、経済的事情がその後大きく変わることがあるからです。
たとえば、子どもの進学や支払い側の倒産・失業、受け取る側の失業・再婚などがそれにあたります。
また、支払い側が再婚して扶養家族が増えた場合などは、減額が認められるケースもあるため、養育費の増額(減額)請求をしたい場合は、まずは相手と話し合うことが必要です。
相手が話し合いに応じない場合や、話し合いをしても合意ができない場合には、家庭裁判所で養育費増額(減額)調停をすることができます。
3.支払わなくなるリスクを少なくするには?
前述した通り、やむを得ない場合、養育費は減額請求ができます。しかし、最初は払っていても、途中で養育費を支払わなくなるケースはかなり多いです。
実際、厚生労働省の2016年度調査によると、養育費をきちんと受け取っているのは母子世帯で24.3%、父子世帯では3.2%にすぎません。
このような養育費を払わなくなるというリスクを減らすためには、少し時間や手間はかかりますが、養育費など取り決めたことを公正証書(こうせいしょうしょ)や調停証書(ちょうていしょうしょ)など文書にして残すことが大切です。
調停証書があれば、養育費が途絶えた場合に家庭裁判所から支払うよう勧告してもらうことができます。公正証書にする場合は、「未払いの場合は直ちに強制執行ができる」という主旨の文言を入れておき、強制執行認諾文言付き公正証書にしておくのがおすすめです。
離婚協議公正証書 | 離婚調停証書 | |
離婚方法 | 当事者が協議 | 離婚調停 |
作成場所 | 公証役場 | 家庭裁判所 |
時効(除斥期間) | 養育費は5年 | 10年 |
強制力 | 調停で定められた権利 | 金銭債務のみ |
3-1.養育費の支払いが止まった場合
実際に支払いが滞った場合、養育費を払ってもらうには相手の財産、つまり預貯金や不動産、会社員なら給与を差し押さえる必要があります。
この強制執行を申し立てるには相手の財産を特定しなければなりません。預貯金なら金融機関名や支店名など、給与なら相手の勤務先がわかりません。
相手を裁判所に呼び出して裁判官の前で明らかにさせる「財産開示手続き」という方法があります。
以前は、相手が呼び出しに応じなかったり、嘘をついたりしても罰則が軽かったのですが、2020年4月から「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」になりました。
また、「第三者からの情報取得手続き」という仕組みができて、預貯金や株式などについては金融機関、勤務先は市町村などが情報提供しなければならなくなり、相手が不動産を持っている場合は法務局に照会します。
申し立てをするには「債務名義」を持っていなければなりません。
債務名義とは、それを基に強制執行することが法律上認められている文書のことで、裁判所の判決や、裁判所で調停や和解が成立したときに作成される調停調書、和解調書が該当します。
また、養育費の支払いを公正証書にした場合は、その中で「未払いの場合は直ちに強制執行ができる」という趣旨の文言が入っていることが必要で、これを「強制執行認諾文言付き公正証書」といいます。
3-2.自治体が立て替え払いしてくれるケースも
養育費不払いへの対応策として、自治体が立て替えて支払ってくれるケースもあります。
例えば、兵庫県明石市では、調停調書などで取り決めがあるなどの条件があり、養育費が支払われない場合、1カ月分、子ども1人につき5万円まで立て替えてくれます。立て替えた分は、明石市が支払い義務のある相手方に請求します。
ただ、これはまだレアなケースで、民間の保証会社でも養育費の立て替え払いをするところもあります。
保証料はかかりますが、1~2年、毎月養育費と同じ額を受け取れ、立て替えた分は保証会社が相手方に請求します。
この保証料などについて、東京都豊島区など一部を補助してくれる自治体もありますので、役所に行って
と聞いてみることをおすすめします。
まとめ
相手と関わりたくないなどの理由で養育費を取り決めないケースがあります。その場合でも後から請求できますが、確実に受け取れるか分かりません。
養育費の話し合いとともに、当面の生活費を確保するために財産分与の話し合いも重要です。
財産分与では、婚姻期間中に得た資産は共有財産としてすべて夫婦で分けるため、夫婦でためた貯金も婚姻中に購入した家も分けることになります。
そのため、家自体や家を売った代金を養育費に充てることも可能です。
離婚で家の売却を検討している場合は、「イクラ不動産」でご相談ください。
無料&秘密厳守で簡単に素早く査定価格がわかるだけでなく、あなたにピッタリ合った不動産会社を選べます。
- 合わせて読みたい
- 離婚が原因で家を売却する時の5つのポイント(マンション・一戸建て・土地編)
- 離婚時に家を売れない場合と売るためのポイント
- 「離婚するから家を売りたい!」その対処方法
- 離婚で出た家が競売に!所有者、ローン名義人にはどのような責任が及ぶのか?
- 離婚後も妻が夫名義の持ち家に安心して住むには?住宅ローンの有無別に紹介
- 離婚後、家の名義を夫から妻に変更できる?住宅ローンとの関係を徹底解説!
- 離婚後の家は、夫婦「どっちのもの」になるの?名義は関係ある?
- 離婚時、慰謝料代わりに家をもらうことはできる?
- 離婚時、夫婦共有名義の家はどうやって財産分与するのかまとめた
- 離婚時、旦那名義の家を勝手に売却される危険性と対処方法
- 離婚で家を財産分与したとき、贈与税などの税金はかかるのか
- 離婚するとき、妻が家の連帯保証人から外れる3つの方法についてまとめた
- 連帯債務者が離婚したときの家の処分方法についてまとめた
- 任意売却するなら離婚前!離婚後の住宅ローンリスクを回避する方法
- 離婚時に家を売却したときにかかる税金についてわかりやすくまとめた
- 離婚時に家が「オーバーローン」かどうかの調べ方と対処方法
- 離婚するとき、家の「共有持分」だけを売却することは可能か?
- 離婚後に相手が慰謝料や養育費を支払わないとき、家を差押えできる?
- 離婚後、子どもの養育費代わりに家をもらえるのか?
- 離婚するとき、家を売るべきタイミングはいつなのか?
- 離婚時、家の残債(住宅ローン)は折半しないといけないのか?
- 離婚するとき、親名義の土地に夫婦の家がある場合の対処方法
- 離婚後、家のローンを理由に自己破産しないための対処方法
- 家を建築中に離婚した場合についてわかりやすくまとめた
- 専業主婦が離婚するとき、家を全部もらうことはできるの?
- 離婚するとき、家を売って借金返済にあてることは可能なの?
- 離婚時の家は、財産分与によって必ず半分ずつになるの?
- 離婚の際、旦那に出て行ってもらう方法は?家に残った場合のリスクはある?
- 子供なしの夫婦が離婚する際の家の処分方法についてまとめた
- 離婚の際、不動産を財産分与する方法についてわかりやすくまとめた
- 離婚の財産分与に必要な家の価値である「評価額」の調べ方をまとめた
- 離婚の際、頭金を入れた家を財産分与する方法についてまとめた
- 離婚の際、結婚前に購入した家は財産分与の対象にならないのか?
- 離婚の際、親名義が入っている家の財産分与の方法についてまとめた
- 離婚すると家は誰が相続するのかわかりやすく説明する
- 離婚するかも?有利に進めるために離婚の流れをわかりやすく解説!
- 離婚の際、家を取られるケースと取られないケースについてまとめた
- 離婚で「いらない」家はどうすればよいのかわかりやすく説明する
- 離婚時に家を自分名義にする方法についてわかりやすくまとめた
- 家を建てたばかりや買ったばかりで離婚するときの注意点をまとめた
- 離婚で家が売れたら5つのやるべきことについてわかりやすくまとめた
- 離婚裁判すると家はどのように分けられるのかについてまとめた
- 離婚で家を手放すべきケースとそうでないケースについてまとめた
- 離婚で家を処分する方法や手続きについてわかりやすくまとめた
- 離婚後、元夫や元妻と家が共有状態の場合における解消方法
- 離婚の際、家のローン借り換えをすべきケースと方法についてまとめた
- 家を買ったばかりで離婚するとき損をしないための方法についてまとめた
- 離婚で家を買取処分する方法とメリットとデメリットについてまとめた
- 離婚で家の査定が必要なケースと見積もりを無料でもらう方法
- 離婚したら家はどうする?分ける方法、もらう方法についてまとめた
- 離婚の財産分与を確保するための「仮差押」とはなにか
- 離婚で家の名義変更をしたい!住宅ローンの有無で手順は違うの?!
- 離婚の際に住宅ローンの名義を変更する方法を解説!
- 離婚にかかる費用はどのくらい?もらえるお金は?
- 離婚するときの財産分与ってどんなものがあるの?退職金は含まれる?
- 財産分与に時効はあるの?隠していた場合はどうなる?