離婚後、家の名義を夫から妻に変更できる?住宅ローンとの関係を徹底解説!

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離婚後、家の名義を夫から妻に変更できる?住宅ローンとの関係を徹底解説!

離婚後、住宅ローンが残っている主人名義の家に私が住むのですが、家を妻名義に変更することは可能でしょうか?

こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。

離婚するときには、これまで家族で住んでいた家から夫が出て、妻と子どもが住み続けることもあります。

しかし、住宅ローンがあるときに、勝手に家の名義を変更すると重大な問題が発生するので注意が必要です。

こちらでは、離婚後に家を妻名義にできる場合とできない場合や、妻名義に変更する方法についてわかりやすく説明します。

1.住宅ローンがない場合は家を妻名義にできる

離婚後すぐに家の名義を変更しても良いのは、住宅ローンが残っていない場合です。

家の名義を変えるには、この不動産の所有者が誰かを証明している「登記」の名義を変更する必要があります。

まずは夫婦で、家を妻に財産分与するという話し合いをして、その約束の内容を明らかにした「離婚協議書」もしくは「財産分与契約書」を作成しましょう。

これらの書類を使い、法務局に「登記申請」すると、家を妻名義に変えることができます。

名義変更に関する詳しい手順については「離婚時に家を自分名義にする方法についてわかりやすくまとめた」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。

登記申請は自分でもできますが、司法書士に依頼するのが一般的です。費用は、5~7万円程度かかりますが、司法書士がすべての登記手続きを代行してくれるので楽で、何より確実です。

2.住宅ローンがある場合は家の名義を変更できない

離婚時に住宅ローンが残っている場合、原則として家の名義を変更できません

住宅ローンが残っている場合、家の所有名義を変更するためには、ローン借入先の金融機関による承諾が必要だからです。

住宅ローン完済前に勝手に家を妻名義にすると、住宅ローンの契約違反となって、残っている住宅ローンの一括返済を請求される可能性もあります。

完済前に名義変更できるのかや、名義変更するとどのようなペナルティがあるのかについては、借入している住宅ローンの契約書を見ると確認できます。

3.住宅ローンがある家の名義を妻に変更する方法

離婚時に住宅ローンの残債(残高)がある場合、妻の名義に変更することは絶対に不可能というわけではありません。

2つの対処方法をご紹介します。

3-1.①ローンを完済する

1つ目は、住宅ローンを完済してしまう方法です。

貯金や妻の親からの援助などでローンを支払う方法もありますし、妻に収入があれば住宅ローンの借り換えなどによって、夫名義のローンを完済できます。

具体的には

  1. 免責的債務引受
  2. 夫婦間売買

という方法があります。

免責的債務引受(めんせきてきさいむひきうけ)とは、銀行が承認した上で、今、夫が借りている住宅ローンをそのまま妻が引き継いで住宅ローンを借りることができるというものです。

夫婦間売買とは簡単に言えば、住宅ローンを借り換えることです。免責的債務引受が難しい場合は、今借りている銀行に妻名義で住宅ローンの借り換えが可能かどうか審査してもらいます。

もし、今借りている銀行で審査が通らなかった場合は、他行で借り換えができないか相談しましょう。

負担付贈与や夫婦間売買についてさらに詳しくは「住宅ローンや名義を移したい場合」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。

いずれかの方法が利用できれば、金融機関から文句を言われる理由はなくなるので、「財産分与」によって家を妻名義に問題なく変更することができます。

MEMO

財産分与(ざいさんぶんよ)

財産分与とは、夫婦が離婚するときに、婚姻時に形成した資産を分け合うことです。預貯金や株式、生命保険や不動産などの財産が対象になるので、家も財産分与対象に含まれます。

3-2.②ローンを完済するまで待つ

2つ目は、ローン完済するまで待つ方法です。

すぐにローンを完済できない場合は、ローン完済まで待つしかありません。

そうなると、誰がローンを支払うかが問題になります。

ローンを夫名義で組んでいる場合、金融機関は夫にローン返済を請求してくるので、離婚後も夫が支払いを続けるのが一般的です。

ただし、それでは夫が納得してくれないこともあるでしょう。その場合、夫名義の口座から住宅ローンを引き落とすけれども、妻がローンの金額を夫に入金することで、実質的に妻がローンを負担することも可能です。

このようにしてローンを完済すれば、妻の名義に変更できます。

4.夫名義の家に妻が住み続けるリスクは?

家の名義を変更しないまま妻が住み続けるには、それなりのリスクもあるため注意が必要です。

4-1.勝手に家を売却される可能性がある

家の名義が夫婦共有名義になっている場合は、問題ありませんが、夫単独名義になっている場合、家を勝手に売却される可能性があります。

家の売却は、所有名義人であれば自由に行うことができるので、家に住み続けている妻や子供に相談する義務も許可を得る義務もありません。

夫名義ということは、その家が夫の所有物であることを示す紛れもない事実であり、正当な権利者が合法的な方法で家を売却しているので、いくら住んでいるからといっても売却を取り消すことは認められないのです。

詳しくは「離婚時、旦那名義の家を勝手に売却される危険性と対処方法」も併せてご覧ください。

4-2.競売になる可能性がある

仮に離婚後も夫がローンを支払うと約束してくれていたとしても、完済までの約20~30年と続く返済を欠かさず続けていくことができるという保証はどこにもありません。

ただ故意に支払ってくれなくなったというだけでなく、夫が病気になって収入が減ったり、働けなくなるリスクもあるのです。

また、子供がいた場合、養育費の支払いや夫自身の生活費も必要なため、当初は支払っていけると考えていても実際は厳しいとなるケースも多いです。

夫が住宅ローンを滞納してしまうと、債権者(銀行などのお金を貸している側)はローンのお金を回収するために家を強制的に売却(競売:けいばい)してしまいます

競売差押

これは裁判所も認めた方法であり、居座り続けた場合は、強制的に立ち退きをさせられることとなるので、妻や子供が住み続けることは不可能です。

さらに、妻が住宅ローンの連帯保証人や連帯債務者になっている場合、夫がローンを支払えなければ、残っている住宅ローン全額について返済する義務を負っているため、完済するまで、残っている住宅ローンについて支払いを請求されてしまうリスクから逃れることができないのです。

4-3.児童扶養手当(母子手当)が受け取れない可能性がある

離婚後に養育費代わりとして夫に住宅ローンを支払ってもらう場合、「児童扶養手当(母子手当)」が受け取れなくなくなる可能性があるので注意が必要です。

離婚協議書で決めるべきこと

MEMO

児童扶養手当(母子手当)

児童扶養手当とは、父母の離婚などで、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭(ひとり親)の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当です。(国制度)
(出典:東京都福祉保健局

地方自治体がひとり親家庭などの援助のために支給する児童扶養手当には、所得制限が設けられており、前年の所得が限度額以上ある場合、児童扶養手当の支給額が減額になるか、支給されなくなります。

「所得」には、養育費の8割相当額が加算されることになっているため、夫に住宅ローンを負担してもらう場合、この制限を超えてしまうケースがあります。

実際の算出金額やその他詳細については、各自治体によって異なりますので担当窓口までお問い合わせください。

注意

夫名義の家に住み続ける場合、そもそも住まいにかかる費用を負担してもらっているとみなされて、家賃相当額やその家賃の8割相当額が「収入」に含まれる可能性があります。

また離婚後、夫の住民票を変更しなければ、まだ同居しているとみなされて、児童扶養手当が申請が通らない可能性があるので注意が必要です。

4-4.リスクを減らすには公正証書にする

離婚時、すぐに家を妻名義にできない場合、住宅ローンを完済できるのは遠い将来になるでしょう。すると、離婚後も元夫がローンを払い続けたケースでは、夫が完済後に「やっぱり家は俺のものだ!」と言い出して、名義変更に応じてくれない可能性があります。

このようなケースを防止して、ローン完済後確実に妻名義にするには、離婚時に協議離婚合意書や財産分与契約書を「公正証書」にしておくべきです。

MEMO

公正証書(こうせいしょうしょ)

公証人(こうしょうにん:私的紛争の予防を防ぐため、証明行為を行う公務員)が作成した、法律行為や権利についての証書(しょうしょ:事実を証明する文書)です。

公正証書は信用性が高いので、公正証書を持っていると、離婚後長期間が過ぎて夫が納得しなくても、法務局で妻名義への変更を受け付けてもらいやすいからです。

公正証書を作成する際にはお近くの「公証役場」に行って公証人に相談しましょう。必要書類を揃えて夫婦で公証役場に行くと、公証人に離婚公正証書や財産分与契約書を作成してもらえます。

公正証書ができたら、公証人から謄本や正本(写し)を渡してもらえるので、名義変更を終えるまで大切に保管しましょう。

注意

不動産の名義変更に関しては、公正証書にしたからといって「100%強制執行できる」というわけではありませんので注意が必要です。

公正証書で協議離婚合意書や財産分与契約書を作成していても、原則、名義変更する際は夫の協力を得る必要があります。

5.家を売却して新しい家に住む方法もある

これまでにあげた方法が、離婚後に家を妻名義に変更する方法ですが、住宅ローンが残っている場合、金融機関の承諾が必ず必要となるため、実質的に家の名義変更は難しいケースがほとんどです。

前述した通り、夫名義の家に妻や子供が住み続けるにはリスクがありますし、完済後、名義変更を100%強制執行できる保証があるわけでもありません。

そこで、離婚時に家を売却してしまい、妻が新しい自分の家を借りたり買ったりする方法を選ぶ方も近年増えています。

家を売却する際は、アンダーローンかオーバーローンかで売却方法が異なります。

5-1.アンダーローンの場合

アンダーローンとは、残っている住宅ローンの残債(残高)が家の売却価格を下回っている状態のことです。

アンダーローン

この場合、家を売却したお金で住宅ローンを完済できるので、問題ありません。余ったお金については、夫婦で財産分与として分けることができます。

5-2.オーバーローンの場合

オーバーローンとは、残っている住宅ローンの残債(残高)が家の売却価格を上回っている状態のことです。

オーバーローン

この場合、家を売却しても住宅ローンを完済できないので、金融機関の了承を得て「任意売却(にんいばいきゃく)」を進めることとなります。

残った住宅ローンについては免除されるわけではありませんので、引き続き返済を続けなければなりません。ただし、家を売却することで大幅に今のローンを減らすことができます

売却については「離婚が原因で家を売却する時の5つのポイント」も併せてご覧ください。

5-3.リースバックを使えば売っても住み続けられる

離婚をしても、どちらかが今の家に住み続けたいというケースも多いです。

特に子供を引き取った場合、子供を転校させたくない、近所に知られたくないなどの理由から、家の売却をためらう場合があるでしょう。

そのような場合におすすめなのが、リースバックです。

リースバックを使えば、家を売却して売却代金を受け取り、その後、賃貸として住み続けられます

家やマンションをリースバックで売却して夫婦で分け、どちらかが子供と一緒に賃貸で住み続ければ、今の家で同じように生活することが可能です。

リースバックについては、「【リースバックのまとめ】家を売っても住み続けられる!利用方法や注意点を詳しく解説」で説明しています。ぜひ一読してみてください。

まとめ

離婚の際、家に住宅ローンが残っていると、原則として家の名義を変更できません。

できるだけトラブルを回避して財産分与するためには、家を売却して売却代金を分けるのがおすすめです。

また、家を売却しても住み続けたい場合は、リースバックの利用を検討してみても良いでしょう。

いずれの方法を取るにしても、まず、家の価値がどれくらいなのかを査定してもらう必要があります。

ただ、いきなり不動産屋会社を訪ねて相談するのは気が引けるという方は少なくありません。

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